横浜球場のベイスターズ戦は戦後すぐの「黒いユニフォーム」の復活。それと同時に打線が大爆発。3試合連続の二ケタ得点で3連勝。東京ドームに勢いに乗って乗り込んだが、スタンリッジの腰痛などで先発投手の数が足りず、高卒ルーキー秋山の踏ん張りも空しく3連敗。カード別に極端な結果になった。今節は3勝3敗。通算59勝46敗2分で勝率.562。首位をなんとかキープ、2位ジャイアンツとはゲーム差なし。
◎ベイスターズ13回戦……12−8
先発のメッセンジャーがまたもや大誤算。1回表、先頭の内川にレフトスタンドにいきなりソロホームランをかまされる。続く藤田にヒットを打たれ暴投で二塁にやり、村田のライト前へのタイムリーで早くも2失点目。しかしタイガース打線も苦手の清水を攻略。2回表、先頭の新井が四球を選ぶと、ブラゼルがヒットで続き、金本も四球で満塁に。城島がレフト線への二塁打で2点を返して同点に追いつく。3回表には平野と鳥谷の連打でチャンスを作り、新井がバックスクリーン横に3ラン。しかし、メッセンジャーは打線の援護に応えられない。3回裏、ヒットの村田を置いてスレッジにレフトスタンドに1点差となる2ランを打たれた。5回表、鳥谷がレフトポール際に飛び込むソロホームランで2点差をつけ、清水をこの回限りで引きずりおろす。それでもメッセンジャーは持ちこたえられず、5回裏、ハーパーとスレッジのヒットでピンチを招き、下園とカスティーヨの連続タイムリーで同点にされ、マウンドを福原に譲った。福原はこのピンチを乗り切ったものの、6回裏、内川のヒットとハーパーの四球で1死一二塁とし、村田のライト前タイムリーで勝ち越しを許した。ここで三番手藤原が登板。スレッジ、下園に連続四球を与えて押し出しで2点差をつけられた。7回表、タイガースも反撃。二番手の弥太郎からマートンのヒット、平野のバントで1死二塁とし、鳥谷のタイムリーで1点差に迫る。さらに8回表、クローザーの山口に対して林の内野安打と代打桧山のライトオーバーの二塁打で1死二三塁とし、マートンが歩いて満塁。平野のライトの一番深いところへの犠牲フライでついに同点に追いついた。ただ、ここでマートンが一塁から飛び出しタッチアウト。勝負は9回に。7回裏は西村が、8回裏は久保田が見事な投球でそれぞれ抑え、9回裏を迎えた。鳥谷は一塁強襲ヒットと山口のワイルドピッチで二塁へ。新井もヒットでつなぎ、ブラゼルの犠牲フライでついに勝ち越し。金本三振のあと城島は四球。途中から守備についていた藤川俊がレフトスタンドにダメ押しの3ランを放つ。藤川俊はこれがプロ入り第1号。しかも自信の誕生日。9回裏は藤川球がベイスターズ打線を三者凡退に片付けて締め、タイガースは3連勝。ヒーローインタビューはプロ入り初ホームランの藤川俊。
◎ベイスターズ14回戦……11−2
ベイスターズの先発は若い小杉。1回表は三者凡退に打ち取られたが、2回以降は豪打爆発。2回表、新井がセンター前に弾き返すヒットを放つと、続くブラゼルがライトスタンドに先制2ラン。タイガースの先発は久保。3回裏、武山の二塁打で2死二塁とされ、内川のセンター前ヒットで1点を返される。しかし、タイガースは4回表、2死から林がライトスタンドにソロホームランですぐにお返し。さらに5回表、やはり2死から鳥谷がレフトスタンドにソロホームラン。新井が四球を選び、ブラゼルがこの試合2本目となる2ランをバックスクリーン上のスコアボードにぶち当てた。さらに金本がヒットを放つと城島もレフトへ引っ張る。判断よく金本が三塁まで走り、城島も二塁に。ここで小杉は降板。二番手は左腕篠原。ここで林が2打席連続の3ランをライトスタンドへ。6回表には1死から平野と鳥谷が連打。ランナーを三塁に置いて新井がライトの一番深いところまで飛ばす犠牲フライでまた1点。7回表には三番手江尻から金本が四球を選び、代走には藤川俊。城島のヒットで三塁まで進み、林の犠牲フライで11点目を入れた。大量点の援護をもらった久保は低めに球を集めゴロを打たせる投球で8回を投げきった。9回裏には川崎が登板。藤田、ハーパーと連打を浴び、藤田は三塁に進んだがハーパーは二塁を狙い走塁死。村田のレフト前タイムリーで1点を返された。しかし、続くスレッジと下園を討ち取り試合終了。ブラックタイガーのユニフォームが凄みを増す豪打であった。久保はプロ入り最高のシーズン11勝目。ヒーローインタビューは2ホーマー5打点の林。
◎ベイスターズ15回戦……10−4
タイガースは久しぶりに安藤が先発。初回、少し力んだか、いきなり内川に二塁打を打たれ、藤田のバントで三塁を許し、ハーパーの犠牲フライで先制された。しかし、1点取られてかえって開き直れたのか、以降は両サイドをうまく使う投球術でベイスターズ打線を抑える。タイガース打線はベイスターズ戦発藤江の前に一巡目は沈黙していたが、二順目に入った3回表、一気に反撃。2死からマートンがライト前に弾き返しすかさず盗塁、平野が死球。鳥谷もよく選んで四球で満塁。新井の打席で黒羽捕手がパスボールし、マートンが返って同点に。二三塁とチャンスは続き、新井はライト線に2点タイムリーで勝ち越した。5回表、先頭の平野がヒット。鳥谷は内野ゴロでランナーが入れ替わり、新井の左中間フェンスを直撃する二塁打で鳥谷が一塁から長躯ホームイン。ブラゼルもライト前タイムリーで続き、金本もライト前ヒットで一三塁とすると、藤江はここで降板。二番手の江尻から城島はセカンドゴロで金本が二塁封殺。その間にブラゼルがホームインしてこの回3点目。城島は盗塁を決め、林のレフト戦の二塁打で4点目のホームを踏み試合は一方的に。6回表、三番手松山から平野が四球を選び、鳥谷のライトフェンス直撃のヒットで1死一三塁に。新井のショートゴロは併殺崩れとなり平野が生還して8点目。安藤はこのまますいすいいくかと思われたが、6回裏に崩れる。内川と藤田に連続して二塁打を打たれて1点を失うと、村田にも二塁打を打たれてこの回2失点目。スレッジにもヒットを打たれたところで交代となる。二番手藤原は下園に四球を与えてしまったが、続く三番手西村が後続を断ち、これで相手に行きかけた流れを断ち切る。8回表、ベイスターズ六番手加藤からヒットのマートンを塁に置き、新井がダメ押しの2ランをレフトスタンドへ運び、これで3試合連続2桁得点となった。8回裏、タイガースの四番手福原が村田にホームランを打たれたが、それ以外はきっちり抑え、9回裏は鶴が無失点で締めてベイスターズに3連勝。ヒーローインタビューは1ホーマー3安打6打点の新井。ジャイアンツはドラゴンズに3連敗したため3位に陥落。ドラゴンズが浮上してきた。
◎ジャイアンツ17回戦……5−12
タイガースの先発小嶋が1回裏にいきなりつかまった。1死から谷、小笠原と連続でセンター返しのヒットを打たれる。特に小笠原の打球は人工芝と土の部分の切れ目に当たってイレギュラーしたもので、ここらあたり不運であった。ラミレスも強く叩きつけたゴロがセンター前に抜けて1点目。エドガーにも弱い当たりのセンター前ヒットを打たれ、2点目を失った。しかしタイガースもすぐに反撃。新井と城島が四球を選び2死一二塁。林のライト前の当たりは谷がスライディングキャッチを試みたが弾いてセーフ。1点差とした。2回裏は先頭の脇谷を歩かせ、坂本の2ランで3点差に。しかしタイガース打線も好調。4回表、金本と城島の連打でチャンスを作ると、代打桜井がライト前にタイムリーで2点差と迫る。ただ、この試合はそこから先がつながらない。タイガースは二番手の鶴が無失点で切り抜けたが、三番手福原が5回裏にラミレスと阿部に連続ソロホームランを浴び、長野の三塁打と高橋由の四球で2死一三塁とされ、高橋由の盗塁時に城島が三塁走者の長野を刺そうとして悪送球、長野が返ってこの回3失点。6回表からはジャイアンツは二番手久保。金本のヒットと城島の二塁打などで1死二三塁とし、代打関本のライト前ヒットで1点、さらにマートンがセンターに大きな犠牲フライを放ち、3点差に迫る。ところが、6回裏、四番手久保田がヒットの谷をラミレスのレフトオーバーのヒットで返してしまい、また4点差に。7回裏には五番手藤原が二塁打の長野を坂本のタイムリーで返して5点差とひらく。8回裏、四番手川崎が二塁打の小笠原を置いて阿部のタイムリー、さらにはエドガーの2ランで3点を失い、予想外の大差がついた。ジャイアンツは山口、越智とつなぎ、9回表にはマイケル中村が登板。1死から平野と鳥谷の連打で1点を返し、新井のヒットでチャンスをつないだが、ブラゼル、金本が凡退して試合終了。ヒットは出るが、お得意の集中豪打は見られなかった。
◎ジャイアンツ18回戦……3−8
タイガースの先発は高卒ルーキーの秋山。その若者を助けるべく、タイガース打線は初回に福田を攻め立てる。センター前ヒットのマートンを平野が送り、新井が歩いてブラゼルがセンター前に先制タイムリー。秋山は2回裏、先頭の阿部にヒットを打たれ、エドガーの二塁打で無死二三塁。長野のセンター前で同点に追いつかれ、脇谷はセカンドライナー、福田はバント失敗のピッチャーフライと打ち取ったが、坂本にセンター前にタイムリーを打たれて2点目を取られた。それでもタイガース打線は秋山を盛り立てる。3回表にはマートンがレフトスタンドに、そして4回表には金本がライトスタンド最上段へそれぞれソロホームランを叩き込み、勝ち越し。3〜5回裏、秋山はヒットを打たせない好投で勝ち投手の権利を手に入れたが、6回裏、疲れが見えたところをつかまった。阿部の四球と長野のヒットで2死一二塁とし、脇谷に右中間を破られて逆転された。7回裏、二番手の西村が谷と小笠原のヒットで1死一三塁とされ、ラミレスにセンター前にタイムリーを打たれ、さらに阿部にライトスタンドに3ランを打たれ、この回4失点で試合は決した。ジャイアンツは二番手のベテラン左腕高木、久保、山口、クルーンとつないで高木が移籍初勝利。
◎ジャイアンツ19回戦……0−3
タイガースの先発メッセンジャーは初回、先頭打者の坂本にレフトスタンドに運ばれる。さらに3回裏、センター前ヒットの坂本を谷がバントで送り、メッセンジャーの送球は少し遅れて二塁セーフ、フィルダース・チョイスとなる。ここで小笠原が何を思ったか慣れないバントをしてピッチャーライナー。飛び出していた一塁走者の谷は帰塁が間に合わず併殺。流れがこちらに来たかに思われたが、ラミレスがセンター前に弾き返して2点目を奪われる。さらに暴投でラミレスを二塁に進ませ、阿部との勝負を避け歩かせたが、エドガーにレフト前タイムリーを打たれて3失点。これでメッセンジャーは降板。以降、タイガースのリリーフ陣は鶴、江草、久保田が好投しジャイアンツ打線を抑え込み、味方の反撃を待つ。しかし、ジャイアンツの先発朝井は2回表の二死満塁のときは平野をショートゴロに、4回裏の1死一二塁のときは代打桜井の三塁線鋭い当たりのゴロが併殺となるなどして再三のピンチを切り抜け、6回無失点でリリーフにゆずる。久保、山口、クルーンの前にタイガース打線は力みも見えて淡白な攻撃で反撃の糸口もつかめず、完封負け。特にブラゼルがこの3連戦は1安打1打点とふるわず、ブレーキ役になってしまった。これでジャイアンツとの差はなくなったが、かろうじて首位。
愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 先発復帰の大事なマウンドで結果を出した。まだまだ苦しい登板は続きそうだが、この勝利で自信を取り戻し、余裕のある投球ができるようになれば、再びローテーション投手として活躍してくれるはず。それを信じたい。
野手……黒いユニフォーム 強そうに見えるじゃないですか。このユニフォームで残り試合すべて戦ってくれんかなというくらい迫力がある。相手がベイスターズだったとはいえ、3試合連続二ケタ得点はこのユニフォームの威力だったといってもいいんじゃないですか。
次節は京セラドームでカープ戦。ここではまたあの黒い(本当は濃紺)ユニフォームを着用するので、打線爆発間違いなし。続く神宮のスワローズ戦ではまた通常のグレーのユニフォームに戻るが、前回対戦時も絶好調の相手に勝ち越したわけなので、少し勢いの止まった現在ならいい結果を出してくれることだろう。秋山のプロ入り初勝利も見たいしね。そして、この1週間を乗り切れば甲子園に帰ってくる!
(2010年8月23日記)