京セラドーム大阪のカープ戦も「黒いユニフォーム」。球団新記録の22得点という打線の爆発はあったものの。2勝1敗。神宮球場のスワローズ戦では初戦は落としたが、高卒ルーキー秋山がプロ入り初勝利をあげるなど2勝1敗。今節も3勝3敗。通算62勝49敗2分で勝率.559。首位を一時ジャイアンツに譲ったがすぐに奪回、2位ジャイアンツとはやはりゲーム差なし。
◎カープ15回戦……4−5
タイガースは久保、カープは篠田が先発。タイガースが篠田の立ち上がりを捕まえる。1回裏、内野安打の平野を塁に置き、鳥谷がセンター方向へ大きなホームランを放ち先制。新井もレフトオーバーの二塁打を放ち、金本のライト線への二塁打で3点目のホームを踏んだ。しかし久保はピリッとしない。直後の2回表、廣瀬を歩かせ、岩本のレフトスタンドへの2ランで1点差に迫られた。タイガースもすぐさま反撃。2回裏、藤川俊のヒットに続き、久保がバント失敗もめげずにセカンドの一番深いところに転がして内野安打に。藤川俊は三塁に進み、マートンの犠牲フライですぐに4点目を取る。ただ、篠田は3回以降球が低めに集まるようになり、タイガース打線は焦りから打ち気にはやり、淡白な攻めに。久保は4回表、二塁打の倉を左中間を破る篠田のタイムリー二塁打にかえされて1点差に詰め寄られる。6回表、先頭の倉に二塁打を許し、梵のライト線への二塁打でついに追いつかれ、久保は降板。タイガースは江草、西村、久保田とつないで失点を防ぎ、カープも7回途中、篠田が平野の頭部への死球で危険球退場となっても、大島、チュークと継投して同点のまま9回に突入。9回表、久々の登板となった藤川球が嶋に決勝のソロホームランをライトスタンドに運ばれてしまう。9回裏は横山に抑えられ、痛い連敗を喫した。ジャイアンツが勝ったため、首位から陥落。
◎カープ16回戦……22−8
タイガースの先発は安藤。1回表、いきなりつかまる。先頭の梵にライト前ヒットを打たれると、木村のバントで送られ、栗原、嶋の連続センター前タイムリーで2点を失い、廣瀬のサードゴロは新井のエラーで生き、岩本にもレフト前に運ばれて3点目。対するカープの先発は高卒ルーキーの今村。コントロールがままならず、マートンに四球。平野の内野安打と鳥谷の死球で満塁とし、新井がまずライトに犠牲フライ。ブラゼルのホームラン性の当たりは天井に当たって戻り、ライトフライとなりこれも犠牲フライで1点差とした。真弓監督はホームランではないかと抗議したが、ビデオ判定の結果犠牲フライになった。2回裏、藤川俊、マートン、平野と四球。鳥谷のライト前に転がるタイムリーで同点とするも新井の併殺打でチャンスを生かしきれず。安藤は3回表、ヒットの栗原を塁に置き嶋のレフトスタンドへの2ランホームランを打たれる。さらに二塁打の廣瀬に続かれ岩本にライトスタンドへの2ランを打たれ、4点差をつけられたところで降板。二番手の鶴は4回表、木村に左中間に二塁打を打たれると、栗原にもライト線へタイムリー二塁打を打たれて5点差に。カープは3回表に今村に打席に立たせながらなぜか3回裏から青木高を登板させる。しか、この青木高ののらりくらり投法でタイガース打線はあせりを見透かされたように凡打の山。6回表までは三番手藤原が好投し、続いてこの嫌な空気を打ち砕いたのが城島。6回裏、ヒットのブラゼルを置いてレフトスタンドに2点差と迫る2ランを放つ。青木高はここで降板。続く三番手の岸本から藤川俊が二塁打を放つが、三塁を欲張りタッチアウト。代打林も三振で流れが断ち切られたかに見えた。しかし、7回表、四番手渡辺が自らの悪送球などで1死満塁のピンチを招いたが、好調の木村は一塁ゴロで本塁フォースアウト、赤松の強いライトライナーもマートンがしっかりとってピンチを切り抜けた。7回裏、マートンが四球を選び、続く平野は足元に死球。鳥谷の内野安打で満塁とし、新井が押し出しの四球を選ぶ。四番手大島からブラゼルは三振したが、金本がフォークをうまくすくい上げて逆転の満塁ホームランをライトスタンドへ! ふだんガッツポーズをしない金本も思わず握り拳を震わせた。さらに藤川俊が二塁打を放つと、代打浅井がレフトスタンドに2ランを叩き込み、この回だけで7点を奪った。そして8回裏、梅津が登板。1死からブラゼルの二塁打、代打桧山のヒットでチャンスを作り、城島がタイムリー。藤川俊が歩き、2死後、マートンのタイムリー、代走から二塁に入っていた上本がプロ入り初安打をタイムリーで飾り、鳥谷が3ラン。新井が歩きブラゼルがヒットで続き、この回2打席目の桧山が3ラン。この回、10点を奪う。この試合、22得点で球団史上最多得点を記録した。ヒーローインタビューは逆転満塁ホームランの金本。
◎カープ17回戦……1−6
カープの先発スタルツは今季最高というコントロール。タイガースの下柳は2回表、2死からヒューバーに四球を与え、岩本がヒットで続き、會澤がレフト前に先制タイムリー。3回表には梵が二塁打、木村が送り、赤松の犠牲フライで2点目を奪われた。タイガースは3回裏、藤川俊が二塁打で出て下柳が送り、マートンのセンター前ヒットで1点差に迫ったが、得点はこの回のみ。5回表、カープは會澤の二塁打とスタルツのヒットで無死一三塁とし、梵の二塁ゴロで1点を加え、さらに木村が送り赤松の二塁打でさらに1点。下柳はここでKO。二番手の福原が抑えたが、三番手江草が8回表に赤松、栗原、廣瀬の連打で無死満塁とし、ヒューバーに押し出し四球を与え、岩本にも犠牲フライを打たれてダメ押しの2点を奪われた。9回表、マートン、浅井の連打でチャンスを作るが、抑えの横山の前に後続を断たれ試合終了。前日の豪打がかえって打線の調子を乱したか。
◎スワローズ18回戦……0−6
スワローズの館山が完璧な投球。低めの変化球がぎりぎりストライクゾーンをかすめ、その球を意識すれば速球に詰まらされる。こういう投球をされたら手も足も出ない。なんとか足で崩そうとしても、平野が2度の出塁で、牽制に釣り出されたり鳥谷との間のエンドランで三振ゲッツーをくらったりと策も空回り。タイガースのメッセンジャーも決して悪くなかった。立ち上がり3回はパーフェクトに抑えていたが、4回裏に2死から飯原に四球を与えると、ホワイトセルに内閣をうまくさばかれてライトスタンドへ先制2ラン。6回裏にはヒットの青木がバントで二塁に行き、飯原のレフトスタンドへの2ランで合計4点を失う。8回裏、今季初登板の桟原が先頭の青木に死球を与え、田中のバントで二進。飯原のライト線の三塁打で1点を奪われ、続くホワイトセルにもセンター前タイムリーを浴びて試合を決定づけた。とにかく館山の投球がよすぎた。これに尽きる。
◎スワローズ19回戦……9−2
タイガースは秋山、スワローズは中澤と年は離れているがルーキー同士の対決。先制したのはタイガース。1回表、内野安打のマートンを平野が送り、鳥谷の内野ゴロで三塁へ。新井がライト前に先制タイムリーを放つ。しかし、2回裏、二塁打の畠山を置いて宮本にレフト前に同点タイムリーを放たれる。そのあとも川端のヒットなどで2死満塁とされたが、田中をライトライナーに打ち取り同点にとどめた。3回表、マートンの一塁ゴロをホワイトセルが弾いて出塁。平野が送り、鳥谷の二塁打で再びリード。3回裏、秋山はホワイトセルへの四球と、相川、宮本のヒットなどで2死満塁とされるが、川端を新井へのサードゴロに打ち取り難を逃れる。5回表、マートンのライトスタンドへのソロホームランで3点目。5回裏には2死から畠山に四球を与えたが相川のライトライナーをマートンが横っ跳びでキャッチして秋山は5回を投げ切った。直後の6回表、新井がバックスクリーン左にソロホームランを放ち、中澤をKO。タイガースは6回裏は西村、7〜8回裏は久保田が危なげない投球でスワローズ打線を抑える。9回表、五番手デラクルスから浅井、藤川俊のヒットと代打桧山の四球で満塁とし、マートンが走者一掃の二塁打を右中間に放つ。さらに六番手佐藤から鳥谷、新井、ブラゼルの三連打で2点を追加、8点差とした。9回裏、藤川球は川端と新田に連打を浴び、青木の内野ゴロの間に1点を奪われたが、後続を断ち、秋山にプロ入り初勝利をプレゼントした。ヒーローインタビューはもちろんプロ入り初勝利の秋山。ジャイアンツが敗れ、タイガースはまたまた首位に浮上。
◎スワローズ20回戦……12−5
タイガースの先発は中四日の久保。スワローズは高卒3年目でこれがプロ入り2度目の先発という山本斉。タイガースが先制。1回表、レフト前ヒットのマートンを平野が送り、鳥谷がレフト前にタイムリー。しかし、1回裏、久保は青木に先頭打者ホームランを打たれ同点に。2回表、タイガースはすぐさま反撃。金本がライトスタンドに勝ち越しソロホームランを放つと、城島もレフトスタンドに叩き込んで2点差に。さらに2死からマートンと平野が連続で内野安打で出塁。鳥谷のセンター前ヒットでマートンが生還して3点差とした。4回裏、スワローズは四球の田中を塁に置き、畠山が1点差に迫る2ランをレフトスタンドへ。しかし、5回表、二番手松井光からヒットの金本を塁に置いて城島がこの日2本目となる2ランをレフトポール際にぶち込み突き放す。6回表には三番手押本から平野がヒット。鳥谷がこの日4打点目となる2ランを放ち5点差に。久保は6回を投げ切り西村、福原とつなぎスワローズ打線を抑える。8回表、四番手松岡からマートンが一塁へ内野安打。平野のバントも守備の乱れで内野安打となり、鳥谷が5打点目のタイムリーを放つ。そしてブラゼルの久々の3ランがライトスタンドへ。9回裏、鶴が登板し、ホワイトセルと畠山の連続二塁打で1点を奪われ、さらに代打武内にもタイムリーを打たれて2失点。しかし、最後は川端をセカンドゴロに打ち取って逃げ切り。久保はセ・リーグタイの12勝をあげ、最多勝利争いに浮上した。ヒーローインタビューは4安打5打点の鳥谷。
愛すれどTigers週間MVP
投手……秋山拓巳 前回の初登板でもジャイアンツ相手に健闘したが、今回は好調スワローズ打線を1点に抑えてプロ入り初勝利。高卒ルーキーの先発勝利はタイガースでは1986年の遠山昭治以来。果たしてタイガース投手陣の救世主となれるか。
野手……金本知憲 カープ戦の満塁ホームラン、スワローズ戦の勝ち越しホームランと打球に力が戻ってきた。一時多かった空振りも減り、確実にヒットを放つことができるようになった。やはり金本が打つと盛り上がる。これまで力を出し切れてなかった分、ここから存在感を示す活躍が期待される。やはりタイガースは金本が打つと打線が締まる。
次節はついに甲子園に帰りベイスターズ3連戦。続いてマツダスタジアムでカープ3連戦。スタンリッジが一軍に合流し、能見も二軍で実戦復帰を果たした。ここまで苦しいやりくりをしていただけに、故障者の復帰で一気に抜け出したいところだ。下位チームにはまず先制点をとってやる気を失わせること。マートンの打棒が復活して鳥谷が好調なのはいい材料だ。連勝で9月戦線をいい形でスタートしてほしい。
(2010年8月30日記)