スカイマークの2試合と甲子園の1試合という変則開催となったドラゴンズとの首位攻防戦は接戦続きで1勝1敗1分と五分で切り抜ける。しかし、甲子園のスワローズ戦では継投ミスなどで2連敗したが、今節も高卒ルーキー秋山がプロ入り初完封を無四球打点付きで飾る3勝目をあげ1勝2敗。今節は2勝3敗1分。通算68勝54敗3分で勝率.557。首位の座をドラゴンズに譲り、2位に。ゲーム差は1.5。残り試合数を考えるとまだまだ有利とはいえ、下位への取りこぼしが許されない状況になってきた。
◎ドラゴンズ19回戦……1−0
タイガースの先発スタンリッジは速球が走り、変化球を絶妙に織り交ぜ、ドラゴンズ打線を手玉にとる。初回こそ先頭の荒木にヒットを打たれ大島のバントで二塁に進められたが、怖い森野と和田を三振と内野ゴロに打ち取ってリズムを作った。タイガース打線はこちらも絶好調のチェンからなかなか点を取れない。3回裏、上本のしぶといヒットやマートンのヒットなどで2死満塁としたが、新井がサードゴロに倒れる。4回裏には荒木のエラーをきっかけに無死満塁としながら、上本のサードゴロ、スタンリッジの併殺でチャンスをつぶした。やっとチャンスをものにしたのは5回裏、マートンの右中間を破る二塁打でチャンスを作り、藤川俊の見事な三塁前へのバントでマートンを三塁に進める。そして鳥谷がセンターへ犠牲フライを放ち、ついに待望の選手点をもぎ取った。7回まで無失点でスタンリッジが投げ切ると、8回表には藤川球を投入。8回表には1死一二塁のピンチを招き、森野にあわやホームランという当たりを打たれたが、台風の風邪に押し戻されセンター浅井がナイスキャッチ。和田を歩かせ2死満塁としてブランコを見逃し三振に切って取る。9回表には先頭の藤井を歩かせたが、バントなどで2死までとり、荒木をライナー気味のセンターフライに打ち取りゲームセット。実にタイトな試合をなんとかものにした。ヒーローインタビューは完封リレーのスタンリッジと藤川球。
◎ドラゴンズ20回戦……1−10
先発のメッセンジャーが初回から崩される。先頭の荒木にヒットと盗塁を許し、大島のショートゴロは鳥谷が取り損ね内野安打。和田を歩かせ1死満塁とされ、ブランコにレフト前に落ちるタイムリーで2点。藤井の二塁打で1点をさらに失い、ホームに突っ込んだブランコが城島のミットを蹴りあげ返球を後ろにそらせてさらに1点。堂上直のタイムリーでこの回5失点。2回表には森野の頭部に死球で危険球退場となった。2回裏、ブラゼルが先発山井からレフトスタンドにホームランを叩き込み反撃開始かと思われたが、結局得点はこの1点のみ。4回表には西村が森野に2ランを浴び、7回表には上園が1死二三塁から山井のタイムリーと荒木のタイムリー、森野の犠牲フライで3失点。ドラゴンズは9回には小林正と鈴木の継投で逃げ切る。初回の荒木の盗塁がすべてを決めた。そんな試合だった。
◎ドラゴンズ21回戦……2−2
タイガースは骨折で長期離脱していた能見が久々の登板。初回はリズムがつかめず、荒木の二塁打をきっかけに森野の先制タイムリーで1点を失った。しかし、タイガース打線も反撃。3回裏、ネルソンから平野がヒット。鳥谷の二塁打で一気にホームまで駆け抜け同点に追いつく。直後の4回裏、能見は2死から崩れる。堂上直の二塁打とネルソンのヒットでピンチとなり、荒木のレフト前タイムリーで1点をリードされた。能見は7回をこの2失点だけに抑え、8回から渡辺がよく抑えた。9回裏、浅尾から城島がヒットを放つが代走大和が盗塁死。藤川俊がライトオーバーの三塁打を放ち、ここで切り札岩瀬がマウンドに。代打の桧山の打球は浅いフライだったが二塁手の頭を越して同点タイムリーとなる。10回裏、小林正と鈴木から鳥谷、新井、ブラゼルの三連打で1死満塁としたが、浅井のバットを折るほど詰まらされたショートライナーで飛びだしていた一塁走者ブラゼルがアウト。この判定に怒ったブラゼルは暴言退場。9回までに野手を使い果たしていたタイガースベンチは、やむなく西村投手を外野に。相手打者が変わるごとに平野と西村はライトとレフトのポジションを行ったり来たり。幸い打球が外野に飛んでくることはなかった。タイガースは藤川球、福原をつぎこみ、延長12回で勝負がつかず引き分け。負けずにすんで本当によかった。
◎スワローズ21回戦……4−7
初回、タイガース打線は先発石川からヒットの平野を置いて新井のレフトオーバーの二塁打で先制。2回裏には、城島とブラゼルが連打で出塁、2死のあと、マートンのライト前へのタイムリーで2点目を奪う。タイガースの先発久保は3回表に飯原のソロホームランを浴びたが6回まで危なげない投球。しかし、7回表に福原を投入し、この早目の継投が失敗となる。いきなり畠山に同点ソロホームランを打たれると、相川、宮本の連打でさらに1点。福原に続く久保田も川端にタイムリーを打たれて逆転を許した。8回表には渡辺が畠山と相川の連打の後、宮本の2点タイムリーで突き放される。8回裏には松岡の暴投で1点を返したが、9回表、切り札イムから坂がソロホームランで反撃したが、そこまで。継投ミスで手痛い連敗を喫した。ついに首位陥落となり、ドラゴンズに首位の座を奪われた。
◎スワローズ22回戦……2−3
メッセンジャーと館山の投手戦。メッセンジャーはアウトをことごとくゴロでとり、7回表に球が上ずりフライアウトを初めて許す。館山からなかなか得点できなかったタイガース打線だったが、5回裏、金本と城島の連打でチャンスを作り、藤川俊のバントで二三塁に進める。メッセンジャーの三振のあと、マートンのサードゴロを宮本がトンネル。2点を先制した。8回表、藤川を投入したが、死球の福地とヒットの青木を田中が送り、飯原の二塁ゴロの間に1点を奪われる。さらにホワイトセルが外角球をうまくレフトポール際に運ぶ逆転2ラン。増渕、イ・ヘチョン、松岡、イムの必勝リレーで逃げ切られ、3連敗。
◎スワローズ23回戦……5−0
連敗ストッパーは高卒ルーキーの秋山だった。なんと無四球完封。スワローズ打線をわずか4安打に抑え、甲子園での初勝利を飾る。打線も村中を初回に攻略。ヒットの平野をライトオーバーの鳥谷の二塁打で返し、先制。続く新井もセンター前に弾き返して2点目を奪う。その後6回まではヒットも打てない状況だったが、7回裏、死球の金本の代走上本は盗塁死。しかし、二塁打の城島が藤川俊の一塁ファールフライの時にホワイトセルの緩慢な動きに乗じてタッチアップで3塁に進み、秋山のプロ入り初のタイムリーとなるレフト前ヒットで待望の追加点。マートンのヒットで秋山は三塁に進み、二番手渡辺恒から放った平野のセンター前ヒットを青木がこぼして秋山がホームイン。大きな2点を加えた。8回裏には二塁打の新井を塁に置き、城島がレフトへタイムリー二塁打を放ち、試合を決した。ヒーローインタビューはプロ入り初完封の秋山。
愛すれどTigers週間MVP
投手……秋山拓巳 高卒ルーキーの無四球完封勝利、さらに打点付きとなると、ジャイアンツの堀内やフライヤーズの森安といった後にその当時のエースに成長した投手のみ。秋山もこれらのエースにならい大エースとなっていってくれるに違いない。
野手……マット・マートン 今季通算安打が184本。ついにあの別当薫さんに並んだ。一時のスランプを脱し、200本ペースを取り戻した。優勝に向けて打線の牽引車となる活躍が期待できる。
次節は大きく勝ち越しているベイスターズと横浜球場で3連戦。1日おいて、甲子園で眼下の敵のジャイアンツと3連戦。スタンリッジ、下柳、久保、能見、メッセンジャー、秋山と先発の頭数がついに揃った。あとは疲れ気味のリリーフ陣をうまく休ませながらやりくりするのみ。そのためには集中豪打打線の復活が必須。いよいよ正念場を迎えた。
(2010年9月13日記)