甲子園でのジャイアンツ戦は1勝1敗。それでもこの勝利でジャイアンツに引導を渡した。続く甲子園のべスターズ戦で藤川球が悪夢の逆転ホームランを打たれて1敗でマジック消滅。マツダズームズームスタジアムのカープには初戦に敗れてドラゴンズの優勝確定。それでもあとは2連勝して2勝1敗で、今節は3勝3敗。通算76勝62敗3分で勝率.551。首位のドラゴンズに1.5差の2位。3位のジャイアンツとはゲーム差はなく、勝率で上回っている。優勝は逃したが、なんとかジャイアンツよりも上の位置でシーズンを終えてほしい。
◎ジャイアンツ23回戦……5−7
先発スタンリッジが初回につかまる。徹底したセンター返しで松本、小笠原、ラミレスの3連打で1点を失うと、阿部に四球で満塁。長野のレフト前ヒットと古城への押し出し死球でさらに2点を追加された。しかし、直後の1回裏、ジャイアンツの先発内海に対して反撃。ヒットのマートンを平野が送り、新井のライト線への二塁打で1点を返す。それでもスタンリッジは安定しない。3回表、2死からイ・スンヨプに四球、長野が内野安打、古城に四球で満塁とし、内海にレフト前に2点タイムリーを打たれる。二塁を狙った内海をアウトにしそれ以上の追加点は阻んだが、投手のタイムリーはきいた。4回表、二番手渡辺はヒットの松本を暴投で二塁に進め、小笠原のタイムリーで1点を奪われる。このまま完敗かと思われたが、6回裏に反撃。ヒットのマートンを右中間を破る平野の三塁打で返し、鳥谷がバックスクリーン右に2ランを放ち、3点を返す。内海はここで降板し、二番手久保に継投。7回表、三番手福原が阿部にライトポール際に飛び込む技ありのソロホームランを打たれて1点を追加されたが、その裏桜井が久保からレフトスタンドにソロホームランでお返し。しかし、反撃もそこまで。山口、クルーンの継投で逃げられた。
◎ジャイアンツ24回戦……3−1
後がない試合でタイガースは踏ん張った。ジャイアンツの先発ゴンザレスとの相性を考えブラゼルを先発から外し、関本を起用。二塁には坂を置く。これが大成功。タイガースの先発能見は3回表に内野安打の坂本を二塁に進ませラミレスのレフト前タイムリーヒットで1点を先制されるが、続く阿部のヒット性のライナーを関本がジャンプして捕り、最少失点で防いだ。そしてその直後の3回裏、関本がライト前ヒット、坂がライトのフェンスに直接あたる一度はホームランと判定され、ビデオ判定でひっくり返った三塁打を放ち同点に。マートンの犠牲フライで勝ち越す。さらに平野が死球、鳥谷がライト前ヒットで続いて新井がしぶとくセンター前に抜ける食らいつくタイムリーで2点差とした。ジャイアンツは先発要員の朝井をリリーフに投入するなどしてタイガース打線を抑えたが、能見も6回まで投げ1失点の好投。久保田、藤川球とつないで逃げ切った。これでジャイアンツの優勝の可能性はなくなり、4連覇の野望を打ち砕いた。マジックナンバーは7に。ヒーローインタビューは関本と坂。
◎ベイスターズ22回戦……3−4
今季の甲子園の最終戦、矢野の引退試合というふだんとは違う雰囲気の試合。タイガースは3回裏、大家から坂がヒット。久保が送り、平野のセンター前タイムリーで1点先取。久保は直後の4回表に村田のソロホームランで同点に追いつかれたが、4回裏、二塁打の新井を置いてブラゼルが久々のタイムリーとなるライト前ヒットで勝ち越し。5回裏にはマートンがヒットを放つと平野のレフト線への当たりは二塁打となり、鳥谷の犠牲フライで2点差とした。久保は快調に飛ばして8回まで投げ切る。ベイスターズ打線は手も足も出ない。一方ベイスターズも寺原、牛田とつないでタイガース打線に追加点を与えない。9回表、矢野の出囃子に乗って藤川球が登板。甲子園のスタンドでは矢野コールが響く異様な雰囲気。あと一人というところで城島から矢野に交代としたかったのだが、藤川球は松本と内川に連続四球を与えると、村田に投じた高めのボール球を強振され、ボールは無情にもレフトスタンド最前列へ。まさかの逆転3ランを打たれてしまった。9回裏、抑えの山口に対し2死から関本がヒットを打ち、マートンのヒットで代走の大和は三塁まで進んだが、平野がショートゴロで試合終了。この瞬間、タイガースのマジックナンバーは消え、ドラゴンズにM1が点灯した。試合終了後、矢野の引退セレモニーが行われ、胴上げで矢野を送った。
◎カープ22回戦……0−5
タイガースの優勝がなくなった。前日の衝撃的な敗戦や矢野の引退セレモニーなどで選手は脱力したのだろうか。カープのソリアーノの荒れ球に策もなくただただ凡打を重ね、完封負け。この状況で新人の秋山には荷が重かったか。初回、梵に先頭打者ホームランを許すと、4回裏には栗原と嶋の連打の後、廣瀬のバントを秋山がとって三塁に悪投。1点を献上してメロメロに。小久保のヒットで満塁とされ、石原の犠牲フライでさらに1点。梵の2点タイムリーでこの回4失点。マウンドを降りた。筒井、福原、杉山とつないでなんとかカープ打線を抑えたが、時すでに遅し。この結果、ドラゴンズの優勝が決定した。なんともあっさりとした結末。
◎カープ23回戦……11−4
なんとか2位を死守して甲子園でクライマックスシリーズを開催したいという執念が見られた試合。初回、ジオから鳥谷のヒット、マートンと金本の四球で2死満塁とし、ブラゼルのレフト前への2点タイムリーで先制。メッセンジャーはその裏梵のヒットと送りバントのあと、岩本にタイムリーを打たれて1点差とされたが、5回表に集中打。先頭の新井が四球を選ぶと、金本のセカンド後方に落ちるヒットで新井は三塁へ。ブラゼルのセカンドゴロは木村が併殺を焦ってお手玉。新井が生還して2点差に。坂が歩いた後勝ち投手目前のメッセンジャーに代打林を送れば、その林は期待にこたえてライト前にタイムリー。二番手青木高から鳥谷のレフト線へのヒットでさらに2点。マートンのライト前ヒットでこの回5点目を加えた。7回表には三番手梅津から城島が久々のヒットとなるソロホームランをレフトスタンド上段に叩き込むと、桜井と平野のヒットでチャンスを作り、マートンが日本記録まであと1本となる209本目のヒットで桜井を返して2点目。8回表には四番手武内から藤川俊と城島がヒットを放ち一三塁のチャンスを作り、坂の犠牲フライでさらに1点を追加した。5回から6回まで能見が完ぺきなリリーフ。7回に登板の三番手の渡辺も抑え、8回裏には四番手福原が登板。嶋にヒット、會澤に四球を与え暴投で三塁に進ませ木村の内野ゴロで1点を返された。9回表、大島から平野が三塁打。新井のタイムリーでホームインして久々の11得点。9回裏、筒井は栗原の二塁打や赤松のヒットなどで無死満塁として降板。急遽登板の久保田はヒューバーのセカンドゴロ併殺の間に三塁ランナーのホームインを許したが、會澤をファールフライに打ち取り試合終了。ヒーローインタビューはショートを守る内野手としては史上最多の100打点を記録した鳥谷。
◎カープ24回戦……7−2
鳥谷が今井から初回にいきなり先制ソロホームラン。デーゲームに弱いスタンリッジもこれで落ち着いたか。5回まで危なげなく無失点。4回表にはヒットの新井を置いて金本が約1ヶ月ぶりとなる2ランホームランをライトスタンドに運ぶ。さらに6回表、二塁打の新井を塁に置いて金本のヒットで一三塁とし、ブラゼルの二塁ゴロで1点を加えると、続く城島がレフトスタンドに2ラン。スタンリッジは6回裏に岩本のタイムリーで1点を失っただけで7回を投げ切り交代。8回裏、二番手渡辺が梵の二塁打と木村への死球、岩本のタイムリーで1点を失えば、久保田が勇躍登板し、後続を断った。9回表、中田から代打関本が四球を選び、平野の投手ゴロエラーでチャンスを作り、新井の二塁打でダメ押しの1点を追加。9回裏、あの悪夢の逆転ホームラン以来の登板となる藤川球は丸、小久保、石原を三者三振。いい形で再出発。カープの本拠地最終戦あいさつのため、ヒーローインタビューはなし。ジャイアンツに試合がなかったため、勝率で上回り2位に浮上した。なお、この試合でマートンはイチローのもつ年間210本安打に並んだ。
愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 ここにきて今季最高の好調が続いている。どんな場面で登板しても力強い速球で打ち取る。2位でシーズンを終えるためにも頼もしい男の復活である。
野手……鳥谷敬 打順が1番に戻り、一時停滞気味だった打棒が一転して好調に。この調子を維持して2位死守の先兵となってもらいたい。
次節は神宮でのスワローズ戦が1試合。横浜のベイスターズ戦が2試合。これで今季のレギュラーシーズンは終了する。勝つ勝つ勝つ。すべて勝ってにっくきジャイアンツの上のままシーズンを終えるのだ。クライマックスシリーズで有利になるだけではない。あと少しで優勝できたのに3位で終わるなんて気分が悪いではないですか。
(2010年10月4日記)