開幕は3週間遅れで甲子園。カープ3連戦は能見、スタンリッジの好投に加え、トリプルKの活躍で2勝1敗。ナゴヤドームに場所を移し、打線の活躍で初戦をとるも残り2試合は投手戦となり1勝1敗1分。今節は3勝2敗1分。勝率.600でベイスターズと並んで首位。まずまずの滑り出し、特に投手陣の充実が開幕前からの予想通りで、今後もこの調子でシーズを戦えそうである。
◎カープ1回戦……7−4
開幕投手はタイガースが能見、カープが前田健。両投手とも緊張していたのかいつもの調子ではなかった。初回、カープ打線が能見をとらえる。先頭の梵がレフト線に二塁打。東出が送り、廣瀬の犠牲フライで先制された。しかし、タイガースもマートンの球団史上56年ぶりという開幕試合初回先頭打者ホームラン(前回は金田正泰)をライトポール際に打ち込んですぐに追いついた。3回裏、先頭の能見がヒットで出ると、マートンや平野は進塁打を打てなかったが、鳥谷が左中間を破る二塁打で能見を迎え入れ1点勝ち越し。カープは5回表に反撃。2死から梵と東出の連打でチャンスを作り、廣瀬のセンター前タイムリーで追いつかれる。さらに6回表、これも2死から赤松がセンター前ヒットで出塁し、すかさず盗塁。石原の高いバウンドの鈍い内野ゴロをブラゼルが急いで取るが一塁には間に合わず、その間に赤松が二塁から本塁へ一気に帰り勝ち越しを許した。ここからがタイガース打線のしぶとさを見せる場面。直後の6回裏、平野が二塁への深いゴロを内野安打にすると、鳥谷が四球を選び、新井貴のセンター前タイムリーで同点に。金本の一塁ゴロで鳥谷がホームを突くと、栗原の返球がそれて野選となり勝ち越し。城島の犠牲フライでさらに1点を追加した。能見は7回表に2死から2四球。栗原を迎えたところで久保田にスイッチ。久保田は栗原をショートゴロに抑えて難を逃れた。8回表には小林宏が初登板。ヒットの岩本を置いて石原にレフト線へのタイムリー二塁打を打たれて1点差に詰め寄られた。しかし直後の8回裏、三番手上野を攻め二塁打の鳥谷を置いて浅井がセンター前にタイムリー、城島の敬遠と俊介のヒットで満塁とし、代打桧山が3点差をつけるタイムリーを放つ。締めは藤川球。東出、廣瀬、トレーシーを三者三振に切ってとって3年連続の開幕勝利を飾った。勝利投手は能見、藤川球にセーブがついた。ヒーローインタビューは同点タイムリーの新井と先発勝利の能見。
◎カープ2回戦……2−1
タイガースの先発はスタンリッジ。3回までランナーを一人も出さない好投。先制したのはタイガース。苦手の篠田から、ブラゼル、金本の連打でチャンスを作り、城島の犠牲フライで1点をとった。しかし、スタンリッジが4回表に乱れる。1死から東出を歩かせ、廣瀬の打席でワイルドピッチ。ファウルと思ったのに空振りと判定されかっかとくる。ランナーを三塁に進め、廣瀬のタイムリーで同点に追いつかれた。しかし、そのあとは落ち着いた投球を見せる。5回裏、俊介のセンターオーバーの当たりは赤松が好捕したかと思われたが頭上を越えてフェンスにあたる三塁打となる。マートンの二塁横への当たりは東出のグラブをすり抜けライト前に。俊介が生還して勝ち越す。8回表には小林宏、9回表には藤川球の必勝リレーで逃げ切り開幕二連勝。ヒーローインタビューは先発勝利のスタンリッジと決勝タイムリーのマートン。
◎カープ3回戦……1−3
先発は復活を期す岩田。初回、先頭の梵にヒットを許すと、廣瀬にレフトスタンドに運ばれて2点を先制される。7回表には2死から栗原にライト前に運ばれると、岩本の当たりは金本の頭を越す三塁打となり、さらに1点を追加された。カープ先発のバリントンはテンポのよい投球でタイガース打線を抑えきり、8回無失点。9回裏にはクローザーのサファテが登板。二塁打の金本を置いて俊介がレフト線に二塁打を放ち一矢報いたが、マートンが三球空振りの三振で試合終了。開幕3連勝はならなかった。
◎ドラゴンズ1回戦……5−4
タイガース打線は苦手の朝倉を攻略。3回表、2死からマートンが歩くと平野がセンター前に弾き返し、鳥谷のライト線への三塁打で2点を奪う。さらに新井がセンター前タイムリーを放った。さらに4回表、林がライトスタンドに、俊介がレフトスタンドにそれぞれソロホームランを放ち、5点差と広げた。タイガースの先発久保は大量の援護に少しほっとしたのか、谷繁のヒットと荒木の二塁打でピンチとなり、井端のショートゴロの間に1点を返される。さらに森野のセンターフライを俊介がグラブに当てながら落球。二者が生還して2点差に。後続は断ったが6回から渡辺、久保田、小林宏、藤川球のリレーに勝利を託す。藤川球が代打福田のソロホームランで1点差に詰め寄られた。それでも最後は荒木、井端を連続三振に切って取るなどして鬼門ナゴヤドームで最初の勝ち星をあげた。ヒーローインタビューは先制タイムリーの鳥谷。なお、この試合で金本が代打で出場した際に一塁走者の俊介が盗塁失敗、そのまま金本はベンチに引っ込んだために連続試合出場記録がストップした。
◎ドラゴンズ2回戦……1−1
先発のメッセンジャーは好投していたが、5回裏、1死から谷繁を歩かせて山内のバントで二塁に進まれる。荒木のライト線への二塁打で1点を先制された。ドラゴンズの先発小笠原は3回途中、足の故障で降板。急遽登板した二番手山内にも抑えられ、点が取れない。6回表、その山内から城島が強襲ヒット。俊介が送り、三番手三瀬から代打関本が四球。マートンのヒットで城島が本塁を突くが、タッチアウト。平野の投手ゴロで万事休したかと思われたが、三瀬の一塁送球は高くそれて全力疾走の平野は一塁セーフ。関本が生還して同点に。タイガースは新人の榎田、久保田、小林宏、藤川とつないで9回まで無失点。ドラゴンズも河原、浅尾、岩瀬、平井、小林正、鈴木の継投で延長11回表までタイガース打線を抑えこむ。11回裏、福原がグスマンを三振に取ると、小嶋にスイッチ。小嶋は制球が定まらず内野安打と四球、暴投などで1死満塁とし、佐伯をなんとか一塁ゴロに。ブラゼルが本塁に送球して難を逃れ、最後は渡辺が荒木を内野ゴロに打ち取り規定により時間切れの引き分け。
◎ドラゴンズ3回戦……0−1
タイガースの先発下柳は抜群の制球でドラゴンズ打線を手玉にとり、7回無失点の結果を残したが、打線がネルソンの速球にてこずりこちらも7回無得点。二番手以降はタイガースが久保田、小林宏。ドラゴンズが浅尾、岩瀬を繰り出し試合は動かず延長10回に。10回表、小林正、鈴木の継投で抑えられる。タイガースは10回裏、福原を投入。ここで抑えて11回に藤川球を出すというもくろみ。福原は2死まで快調にとったが、森野を歩かせ、和田にレフトオーバーのサヨナラタイムリーを打たれてしまった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 勝ち投手にはなれなかったが、7回無失点、しかも苦手なナゴヤドームでの好投はベテランの気合を感じさせた。今季はかなり活躍してくれそうな予感。
野手……俊介 守備と走塁ではミスもあったが、打棒は好調。高打率をキープして、真弓監督の期待にこたえている。ミスを糧として今季このまま若さで突っ走ってほしい。
上々の滑り出し。ただ、マートンが大きい当たりを求めて大振りし、本来の打撃スタイルを見失っているのが気にかかる。まるで一昨年のメンチのようなバッティングだ。マートンの打撃が平成ダイナマイト打線のカギを握るだけによく調整して次節のジャイアンツ戦に備えてほしいものだ。
(2011年4月18日記)