愛すれどTigers


新井貴、移籍後初のグランドスラム

 今節は9連戦の始まり。甲子園でのジャイアンツ3連戦では接戦が続いて2勝1敗。続く横浜スタジアムのベイスターズには初戦に清水の快投で2試合連続の完封負けを喫したが、新井貴を4番に戻す形にしたところで打線が爆発。ここでも2勝1敗と勝ち越した。今節は4勝2敗。通算33勝35敗1分の勝率.485で、負け越しは2と減らした。首位スワローズと7.5ゲーム差の3位。しかし、2位ドラゴンズが6連敗したため2位との差は0.5と縮まった。

◎ジャイアンツ10回戦……2−1
 タイガースの先発はスタンリッジ。初回、苦手の長野にレフトスタンドにソロホームランを打たれて1点を先取された。しかし、2回以降は立ち直り、4回表に高橋由を歩かせて長野を迎えたピンチにもセカンドゴロ併殺で切り抜けるなど、尻上がりに調子をあげてきた。ジャイアンツはタイガースに強いグライシンガー。今季まだ1勝と思えない自在の投球に抑えられた。しかし、6回裏、1死から関本が内野安打で出塁。鳥谷のショートゴロは併殺崩れでなんとか一塁に鳥谷が残った。鳥谷が盗塁を試みると、マートンがランエンドヒットでセンター前に打ち返し、2死一三塁。続くブラゼルはライト前に落ちるタイムリーで同点に。その間にマートンが三塁に進み、新井貴の投手の足元で弾むセンター返しのタイムリーで勝ち越しの2点目を入れる。ここでグライシンガーは降板。スタンリッジは8回表、1死から藤村に左中間を破る二塁打を打たれるが、代打亀井を空振り三振、坂本は見逃し三振に切って取りピンチを脱した。9回表、藤川球がマウンドに。1死から長野に足に当たる投手強襲ヒットを打たれ、ラミレスにもセンター前ヒット。鈴木、松本と俊足の代走に、フォークボールを藤井彰が少し弾いたすきに走られ1死二三塁とされたが、阿部と来日初スタメンのフィールズを連続三振に打ち取って逃げ切り。僅差の試合だったが、どことなくタイガースの方に余裕が見られたように感じたのは気のせいか。ヒーローインタビューは6勝目をあげたスタンリッジと決勝タイムリーの新井貴。
◎ジャイアンツ11回戦……2−1
 ジャイアンツは内海、タイガースは鶴が先発。先制したのはタイガース。2回裏、2死から新井が三塁ベースを直撃して三塁手フィールズの頭を越す二塁打を放つと、続く金本が張本勲さんの記録を抜く二塁打を右中間に放ち、1点を先取した。鶴は3回表に先頭の亀井のヒットなどで2死一二塁のピンチを作るが高橋由をキャッチャーのファールフライに打ち取り、以降は快調に5回まで無失点で切り抜けた。しかし6回表、1死から坂本にセンター前ヒットを打たれ、高橋由のレフト線フェンス直撃の二塁打で同点に追いつかれた。続く長野にもヒットで続かれ、ここで榎田に交代。榎田はラミレスを歩かせて1死満塁としたが、阿部の強い当たりの一塁ゴロをブラゼルが好捕。ホームから一塁へと渡る併殺で難を逃れた。榎田は7回表にもピンチを招く。先頭のフィールズにバットを折りながらもライト前に来日初安打を許すと、亀井はピッチャーゴロに抑えて二塁封殺、しかし併殺は取れず。藤村にセンター前ヒットで続けられ、重盗で1死二三塁。代打谷は三振に打ち取るが、藤井彰が弾んだ球を取れず2者がホームイン、と思いきや、主審が元の塁に戻るように指示。実は弾んだ球は谷に直接当たっておりその時点でボールデッドとなったため、ランナーは還れなかったのだ。このつきを生かした榎田は坂本を敬遠で歩かせて満塁策をとり、大村を三振に打ち取って絶体絶命のピンチを切り抜けた。タイガースは小林宏、藤川球を投入して無失点を続け、ジャイアンツも山口を出してタイガース打線を抑える。9回裏、先発の柱からクローザーに配置転換した東野がマウンドに。先頭のマートンがライト前ヒットで出ると真弓監督は柴田を代走に。続くブラゼルはライトオーバーの二塁打で無死二三塁とする。新井貴を敬遠した東野に、無死満塁で代打の神様桧山を起用。桧山のライトフライは少し浅めだったが、俊足の柴田がホームに突っ込んでサヨナラ勝利。先発の柱をいきなりクローザーに転向させるという原監督の無謀な配置転換に助けられた。ヒーローインタビューはサヨナラ犠飛の桧山。
◎ジャイアンツ12回戦……0−4
 試合は3回で決まった。タイガースの先発岩田が突如崩れた。ボールで相手を誘うように藤井彰がリードしても、球はみな打ちゴロの真ん中高めに。前回の息詰まるような投手戦を投げ切ったのと同じ投手とは思えない。これが野球の怖いところでもあり、面白いところでもある。1死からゴンザレスにヒットを許すと、坂本にもセンター前に運ばれ、亀井のライト線へのフェンス近くまで転がる三塁打で2点を失う。さらに大村に左中間に二塁打で3点目。そしてこの日ラミレスにかわり4番に抜擢された長野に同じように左中間に運ばれてこの回4失点。岩田は3回限りで降板した。4回以降は渡辺、福原、久保田、そして移籍初登板の加藤がそれぞれ無失点で切り抜けただけに、この4失点は大きかった。ジャイアンツの先発ゴンザレスは、これが不調でずっと二軍調整を余儀なくされていた投手かと思うほど低めの制球がよく、タイガース打線はヒットは打てても続かない。鳥谷は好打を連発するもすべて野手の正面を突く不運。7回まで投げ切られ、あとは流れで久保、東野と完封リレーを食らってしまった。3タテはなかなか難しい。
◎ベイスターズ9回戦……0−4
 ベイスターズ清水の沈む球に打者はことごとくひっかかり、なかなか連打が出ない。2回表、2死から新井貴が三塁線を破る二塁打を打ったのが初安打。しかし、続く金本は空振り三振。5回表は2死から藤井彰のライト前ヒット、メッセンジャーのセンター前ヒットとこの試合唯一の連打を記録したが、平野がセカンドゴロに倒れる。つまりすべてこんな調子。一方、タイガースの先発メッセンジャーは4回表に自らの投手ゴロエラーで先頭の石川を塁に出すと、下園に送られ、ハーパーのレフト線へのタイムリーで1点先取された。さらに5回裏には連打で無死二三塁とされたが、細山田のセーフティスクイズを本塁で刺し、石川を三振に打ち取り難を逃れる。それでも6回裏、村田にレフトスタンドへソロホームランを放りこまれ、7回裏、渡辺直、細山田に連続四球を与えてついに降板。二番手川崎は代打藤田にバントを決められて1死二三塁とし、石川の鈍い当たりの一塁ゴロの間に渡辺直の生還を許し、3点目を失う。8回裏には三番手久保田がスレッジ、金城、渡辺直に三連打を浴びて試合を決める4点目を許した。タイガースは8回表には牛田から関本が二塁打を打ったが後続が断たれ、9回表には山口からマートンがヒットを放ったがブラゼルが併殺。2試合連続の完封負けとなった。
◎ベイスターズ10回戦……10−2
 ベイスターズ先発山本に初回からタイガース打線が襲いかかる。ヒットの平野を置いて鳥谷がライトスタンドに先制2ラン。久しぶりに4番に戻った新井貴が左中間を破る二塁打を放ち、ブラゼルが四球を選ぶと、前日はブレーキになっていた金本がライト前にタイムリーを放ちいきなり3点を奪う。2回表には1番に戻ったマートンがレフトスタンドにソロホームラン。ここで山本は降板、小林太に交代した。3回表にはその小林太から新井貴がまたも左中間を破る二塁打。ブラゼルがまたも歩き、金本がレフトスタンドに3ラン。さらに投手の鄭がライトオーバーの二塁打を打つと、マートンもレフト線へ二塁打を放ち、序盤に8点の大量リード。タイガースの先発は今季一軍初登板の鄭。3回までノーヒットに抑えていたが、4回裏に先頭の石川のヒットを足場にハーパーにも技ありのヒットで1死一三塁とされ、村田にセンター前に弾き返されて1点を失った。それでもあとは落ち着いた投球でベイスターズ打線を抑える。7回裏、スレッジのヒット、渡辺直への死球、代打藤田のヒットで満塁とされ、代打中村紀の鈍い当たりのサードゴロの間に1点を失った。ここで鄭は降板。榎田が石川をレフトフライに打ち取り最少失点で抑える。8回表、五番手真田からマートンが一塁にライナー。これをハーパーが弾いてマートンは二塁に。鳥谷のヒットで2死一三塁とし、新井貴がセカンドに内野安打を打ってマートンを返す。さらにブラゼルも一塁横を破るタイムリーで10点目を加えて試合を決めた。タイガースは8回から加藤、久保田とつないで逃げ切り連敗ストップ。ヒーローインタビューは約2年ぶりの勝利をあげた鄭凱文。カンニングペーパーを見ながらたどたどしい日本語で初々しく受け答えした。
◎ベイスターズ11回戦……12−9
 かつてはタイガースキラーとしてならした三浦を粉砕した。2回表、2死から関本が死球で出塁すると、すかさず金本が2試合連続となる2ランホームランをライトスタンドへ。さらに藤井彰がレフトスタンドにソロホームラン。まずは3点を先制した。4回表、関本のヒット、金本の四球、能見のバントがフィールダース・チョイスとなり1死満塁。ここでマートンがレフト線へ2点タイムリーを放つと、平野のヒットでまた満塁に。鳥谷がライト前に落ちるヒットでさらに1点を加えた。タイガースの先発能見は、味方の大量援護に応えられない。5回裏、先頭の吉村に二塁打を浴びると、新沼にもセンター前タイムリーを許す。さらに代打ハーパーがあわやホームランというライトフェンス直撃のタイムリー、下園にもタイムリー二塁打を打たれて3点差に詰め寄られた。続く6回裏、先頭の中村紀に四球を与え、吉村にレフト前ヒットを打たれたところでついに能見は降板。榎田にマウンドを託す。しかし、この日の榎田は球にキレがなく、渡辺直にヒットを打たれて満塁とし、新沼にさんざんファールで粘られた末にレフト前にタイムリーを浴び、2点差とされる。代打武山に送られ、石川に同点となる2点タイムリーを浴び、下園を歩かせて満塁にしたところで降板。三番手の渡辺は金城にライトにヒット性の当たりを打たれたがマートンが落下点に一直線に走りアウトとし犠牲フライで勝ち越しは許したものの後続を断つ。直後の7回表、新井貴がレフトスタンドに同点ホームランを叩きこむと、続く関本が今季第1号のソロホームランで勝ち越し。8回表には牛田からマートン、平野、鳥谷の三連打で1死満塁として新井貴が2打席連続の満塁ホームランを左中間スタンドに。5点差とする。タイガースは福原、小林宏とつなぎ、9回裏には加藤が登板。無死から村田のヒットと中村紀への四球でピンチを作るが、吉村、渡辺と打ち取る。しかし、新沼に2点タイムリーを浴びたところで藤川球にスイッチ。藤川球は代打スレッジを三振に打ち取り逃げ切った。ヒーローは同点と満塁の2打席連続ホームランを放った新井貴。

愛すれどTigers週間MVP
投手……鄭凱文 二軍で連続イニング無失点を続けながらも外国人枠の問題で一軍登板に恵まれなかった若武者が、ついに晴れ姿を見せた。しかも発先発のマウンドで堂々たる投球。他国でのプロ経験のない選手は外国人枠から外すとかできないものですかねえ。
野手……新井貴浩 六番の打順で徐々に調子をあげ、ついに4番復帰。タイガースにFA移籍してから初めてとなる満塁ホームランも放ち、かなり復調してきた。併殺の多いのは打球にスピードがある証拠。併殺でチャンスをつぶしてもひたすら思い切りよくバットを振ってきた男へのご褒美となるグランドスラムだったか。

 次節はマツダスタジアムでカープ3連戦。これが終わるとオールスター。今年はファン投票で藤川球。選手間投票で平野。監督推薦で榎田とマートンが選出された。台風の影響でカープ戦の3試合すべてを消化するのは難しいだろうが、勝率5割も2位浮上も視界に入ってきた。なんとかそこに近づいてオールスターを迎えてほしいものだ。

(2011年7月18日記)


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