愛すれどTigers


上本、甲子園で満塁ホームラン!

 今節は甲子園での6連戦。ドラゴンズは相手の守備のミスなどにも助けられて2勝1敗。ベイスターズ戦は榎田が疲れを見せて二軍落ちしたのが響いたか1勝1敗1分。今節は3勝2敗1分。通算37勝38敗2分の勝率.493で、負け越しは1に減った。首位スワローズと7.5ゲーム差の2位。3位のドラゴンズには1.5差をつけた。

◎ドラゴンズ10回戦……1−3
 先発は能見とネルソン。1回裏、タイガースは1死から平野と鳥谷の連打で一三塁と攻め立てる。新井のサードゴロは森野が併殺を狙って二塁に送球したが、ベースカバーの井端が併殺を焦ってボールをこぼし、オールセーフ。平野が先制のホームを踏んだ。能見は初回からランナーをためながらもなんとか持ちこたえていたが、3回表、2死から平田に二塁打を打たれると、森野にセンター前に弾き返されて同点に追いつかれた。さらに4回表、小池を歩かせ小山の二塁打で1死二三塁とされる。ネルソンの当たりそこねの打球がホームベースの角に当たって大きく弾み、能見が捕球した時には三塁走者の小池はホームに。ネルソンもセーフで勝ち越しを許す。5回表には和田にレフトスタンドに叩き込まれ、3失点目。5回裏、1死から藤井がセンター前に落ちるテキサスヒットで出塁すると、真弓監督は能見をここであきらめ代打にこの試合が一軍初昇格の森田を起用。森田は初球を叩く。打球はレフトスタンドへ。プロ入り初打席初安打初ホームランというプロ野球史上50人目でタイガースでは初めてという記録的なホームランで同点に追いついた。6回からはタイガースは継投。渡辺、榎田はランナーを出しながらも粘りの投球で無失点。8回に登板した小林宏は三者凡退でリズムを作る。8回裏、好投のネルソンからマートンがライト前に運ぶヒットで出塁し、平野の送りバントで二塁に進む。ここでドラゴンズは左腕の三瀬を投入。鳥谷は初球を右中間に運び、前進守備の外野がもたつく間に三塁まで進み、マートンを迎え入れついに勝ち越す。続く新井には河原を起用。これも初球を軽々とセンターに運び、鳥谷はこの犠牲フライで楽々ホームイン。2点差となって9回は藤川球がマウンドに。最後は平田を見逃し三振に切って取り美しく締めた。ヒーローインタビューはプロ入り初ホームランの森田と勝ち越しの三塁打の鳥谷。なお、小林宏は移籍後初勝利を飾った。
◎ドラゴンズ11回戦……9−1
 タイガースの先発はスタンリッジ。初回、死球の野本を二塁に置き、森野のセンター前ヒットで先制点を許した。対するチェンには真弓監督はブラゼルを外し二塁に上本を起用。1回裏、マートンがヒットで出ると平野のセカンドゴロは荒木が二塁に送るがぎりぎりセーフでフィールダーズ・チョイス。鳥谷のレフト前ヒットでマートンが本塁に突っ込み、ホームを小山にブロックされながらも滑り込んでセーフ、同点に追いつく。4回裏、鳥谷の一塁ゴロをグスマンが弾き、鳥谷は二塁へ。新井貴がセンター前ヒットで鳥谷を返す。続く関本と新井貴の間にエンドランが成功して無死一三塁。浅井の犠牲フライで新井が生還。藤井彰のショートゴロは岩崎達が弾いて満塁に。スタンリッジ三振のあとマートンの打席でチェンがワイルドピッチ、関本も生還してこの回4点をもらった。続く5回裏、平野の内野安打のあと、1死から新井貴のサードゴロを森野が二塁に送るがセーフでフィールダーズ・チョイス。2死から浅井が歩いて満塁に。上本のライナーはレフトポール際に飛びこむ満塁ホームラン。甲子園での初アーチがグランドスラムとなった。チェンは味方の守備に足を引っ張られる形で9失点で降板した。スタンリッジは大量の援護にまもられ完投を目指す。8回表には2死から佐伯と荒木の連打でピンチを招いたが野本をサードゴロに。9回表には森野とグスマンのヒットで2死一二塁とされるも代打小池をレフトフライに打ち取り試合終了。2試合連続の完投勝ちでついに勝率5割にもどした。ヒーローインタビューは完投のスタンリッジと満塁弾の上本。
◎ドラゴンズ12回戦……0−2
 ドラゴンズの先発は予想を裏切りソト。初めて対戦する外国人左腕に弱いというジンクスはここでも生きていた。6回まで毎回のようにランナーを出しながら、ここというところでの1本が出ないままずるずると無得点。タイガースの先発岩田は5回までノーヒットに抑えながら、6回表、2死から平田にマートンと平野の間を抜く二塁打を打たれると、荒木のレフト前ヒットで平田を返されて先制点を奪われる。それでも岩田は粘りの投球で7回まで投げ切って1失点。反撃を狙うタイガースに対し、ドラゴンズは7回には河原、小林正、浅尾とつないで1死一二塁のチャンスを断ち切る。特にチャンスでマートンが浅尾に三球三振に打ち取られたところで流れはドラゴンズに。8回は渡辺が抑えたが、9回表、加藤が佐伯、森野に連打を浴びて降板。交代した福原が和田に犠牲フライを打たれて決定的な2点目を与えた。9回裏、岩瀬の前に代打関本がヒットを放つも若い小宮山が初球を打ってショートゴロ併殺。2試合連続で若い力が働いたが、3試合目のヒーローになりそこねた。3タテはやはり難しい。
◎ベイスターズ12回戦……4−4
 タイガースは復帰第1戦となる久保、そしてベイスターズはかつて久保とともにマリーンズを支えていた清水。先制したのはタイガース。1回裏、ヒットの平野を塁に置き、鳥谷がライト線へ二塁打を放ち1死二三塁。新井貴の強い投手ゴロを清水が弾きながらも一塁はアウト。この間に平野が生還して先制。さらにブラゼルがライト前に運んで鳥谷を返しまず2点を奪った。さらに3回裏、ヒットのマートンを平野が送り、新井貴のレフト前ヒットで1点追加。そしてブラゼル、浅井が四死球で出塁し満塁に。上本がセンター前に弾き返して新井が生還し4点目。ブラゼルもホームに突入したが、これは間に合わず憤死。ここでもっと大量点が取れなかったのが響いた。久保は4回表、1死から村田にレフト線に二塁打を打たれ、続く中村紀は三振に打ち取ったが、内藤を歩かせ藤田にもヒットを許し満塁に。代打ハーパーにライトライン上に落ちる二塁打を打たれて2点を返された。5回表、下園と金城のヒットで1死一三塁とされたところで久保は降板。二番手渡辺は村田に犠牲フライを打たれて1点差とされる。6回表、三番手の榎田は先頭の内藤に二塁打を打たれ、藤田のバントをブラゼルは三封しようとしたがセーフとなりピンチに。ハーパーと吉村は打ち取ったが、下園にレフト前に同点タイムリーを打たれてしまう。このあと、ベイスターズの篠原、江尻、牛田が、タイガースは福原、小林宏がそれぞれ好投し同点のまま9回に。タイガースは藤川球、ベイスターズ山口の両リリーフエースがそれぞれ登板しきっちりと締めて時間切れ引き分け。
◎ベイスターズ13回戦……5−9
 野球選手には時に野球の神様が降りてきたのではないかという試合がある。この試合のスレッジはまさにそう。こういう試合でその選手を抑えるには敬遠するしかない。3回表、先制したのはそのスレッジの右中間スタンドへのソロホームラン。この日の先発の若い鄭には神様の降りた選手を抑える力はなかったか。続く村田に二塁打を打たれ、ハーパーのタイムリーであっという間に2点を失った。タイガースも若い須田に反撃。3回裏、藤井彰、代打森田の連打でチャンスを作ると、須田は2球連続の暴投で藤井彰が生還。あっけなく1点差とした。さらに4回裏、新井貴が歩いてブラゼルが1ヶ月ぶりの2ランホームランをライトスタンドへ。これで逆転しただけでなく、ヒットの上本が盗塁し、藤井彰の左中間を破る二塁打で生還。2点差をつけた。4回表からマウンドに上がった小嶋は好投を続け、真弓監督は7回表まで投げさせることに。しかし、この日休養のために登録抹消した榎田の不在が響いた。代打一輝、下園の連打と石川への四球で満塁とし、スレッジにライトスタンドへ満塁ホームランを打たれて逆転されてしまう。8回表には川崎が下園を歩かせ石川にもヒットを許し、スレッジにバックスクリーンに飛び込む3ランを打たれて試合は決した。9回裏、真田からブラゼルがソロホームランを放ち、俊介のヒットと上本の四球で攻め立てたが、クローザーの山口を投入されると代打の柴田は三振。代打桧山は外野手の間に落ちるかという当たりをスレッジがスライディングキャッチ。やはりスレッジには野球の神様が降りてきていたとしか言いようがない。マートンが凡フライを打ち上げ試合終了。この日のタイガースの選手は伊良部秀輝さんの訃報に際し喪章をつけて戦ったが、スレッジ一人に粉砕されてしまった。
◎ベイスターズ14回戦……2−0
 天敵三浦から、初回、平野が投手強襲のヒットを放つと、鳥谷のセカンドゴロの間に二塁へ進み、新井貴のレフト前ヒットでホームイン。先制点をあげた。3回裏、まーとんがセンター前に落ちるヒットで出ると、平野は一二塁間を破り一三塁に。鳥谷は落ちる球をすくい上げる技ありのバッティングでレフト前にタイムリー。2点差とした。タイガースのメッセンジャーは再々先頭打者を塁に出すも、落ち着いた投球で後続を断つ。今季最長となった7回表、先頭の村田にヒットを打たれたものの、ハーパー、金城、渡辺直を三者三振。いずれも落ちる球を空振りさせる緩急自在の投球でみごとに抑えた。8回表、小林宏が登板。審判の判定に泣かされ2死球で1死一三塁とされたが石川の一塁への強い当たりをブラゼルが好捕。ベースを踏んで二塁に送り、一塁走者もタッチアウトで併殺完了。9回表は藤川球がスレッジ、ハーパーらをしっかり抑えて三者凡退。連敗を脱出して長期ロードに出ることになった。ヒーローインタビューは7勝目をあげたメッセンジャー。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー 6回が壁になっていた男が、今節の試合では7回を2安打に抑えた。前日KOされた鄭もメッセンジャーのこの日の内容と比べると当分出番はなさそう。スタンリッジと並んで外国人投手がチーム最多勝を争うのはチームの長い歴史でもこれが初めて。
野手……上本博紀 ドラゴンズ戦の満塁ホームランだけではない。内角を引っ張るパンチ力のある打撃で関本にも刺激を与える活躍。プロ入り初打席でホームランを放った森田と並んで他手の活躍がチームを元気づける。

 次節からは長期ロード。まずは東京ドームで今ひとつ調子の上がらないジャイアンツと3連戦。ここは一気に突き放したいところだ。そして京セラドーム大阪に戻り首位スワローズと直接対決。ここで少しでもゲーム差を縮めたい。榎田の欠けたところに入るのは福原か。下柳を昇格させてリリーフで使うというてもあるだろう。上本や森田ら若手野手が元気なところを見せているだけに、ベテラン勢にも奮起を期待したい。

(2011年8月1日記)


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