今節はナゴヤドームでのドラゴンズ3連戦。3戦とも1−0のロースコアというめったに見られない白熱した試合で結局1勝2敗。神宮球場で首位スワローズと2週続けての3連戦はメッセンジャーの乱調が誤算だったがなんとか勝ち越し2勝1敗。今節は3勝3敗。通算44勝43敗2分の勝率.506。首位スワローズと4.0ゲーム差の2位。3位のジャイアンツには0.5差。
◎ドラゴンズ13回戦……1−0
タイガースの先発は能見。1回表、先頭の荒木をいきなり四球で出す。続く英智がバントをしたが、これが指に当たる。しかし英智がアピールしなかったこともあり主審の判定はファール。これにドラゴンズ落合監督が四球ではないかと抗議をし、この抗議が10分に渡ったため「遅延行為」として退場の宣告を受けた。英智は結局三振。グスマンはボール球を打ってライトフライ。森野も投手ゴロに打ち取り、これで流れを呼び込んだ。タイガースはドラゴンズ先発ネルソンから2回表に6番打者で復帰のマートンがヒット。1死後、藤井彰とのエンドランが決まり、藤井彰はライト前にヒット、マートンは三塁に進む。ここで能見が一二塁間を破るライト前タイムリーでマートンを迎え入れて先制する。能見の低いボールになる変化球をドラゴンズ打線は強振し7回裏まで3四球ながらノーヒット。ネルソンも3回以降立ち直り、タイガース打線を寄せつけない。1点差のまま8回裏を迎える。この回先頭の平田がレフト前のテキサスヒットを放ちノーヒットノーランの夢はついえたが、堂上直はバント失敗の末三振、代打谷繁もいい当たりながらライトフライ。代打小池には四球を与えたが荒木を打ち取り無失点で切り抜けた。9回裏には藤川球が登板、代打大島、グスマン、森野を三者三振に打ち取って1点差を逃げ切った。ヒーローインタビューはあわやノーヒッターの好投と決勝タイムリーの能見。
◎ドラゴンズ14回戦……0−1
スタンリッジとチェンの投手戦。1回表、1死から平野がレフト前ヒットで出塁すると、鳥谷もライト前に弾き返して一三塁と攻め立てるが、新井貴はボール球を振って空振り三振。わざわざブラゼルを外したのに5番にすえたマートンはいい当たりながら一塁正面のゴロでチャンスを生かせず。結局、チャンスらしいチャンスはこの回だけ。あとはチェンの低めに決まる変化球に引っかかり、どの打者も自分のスイングができない。いっぽうのスタンリッジもストレートと変化球をみごとなバランスで投げ込み、ドラゴンズ打線は沈黙。7回裏、均衡は崩れた。連続三振で2死を取ったあとに落とし穴があった。和田にセンター前に弾き返されると、続く平田にはライト線に運ばれ2死一三塁に。堂上直は死んだ打球のサードゴロ。しかし、それがドラゴンズに味方した。新井貴の送球と堂上直との競争になり、少し高めに送球がそれ、ヘッドスライディングの堂上直の手が早く、内野安打に。その間に和田がホームインして決勝点となる1点が入った。8回表、俊介の四球を生かして藤井が初球をうまく転がし1死二塁と同点のチャンス。ここで代打は桧山。しかしチェンの外角球に手を出し空振り三振。上本の当たりはセンター前に抜けるかと思われたが荒木がいい位置に守っておりジョーとゴロに終わる。9回表、先頭の平野が猛打賞となるレフト前ヒット。しかし鳥谷のショートゴロで二封。ここで落合監督は自らマウンドに行きチェンを浅尾と交代させる。新井貴は三振。マートンはヒット性の当たりだがセカンドライナーに終わり、接戦を落とし連勝ストップ。
◎ドラゴンズ15回戦……0−1
タイガースの先発はプロ入り初登板の蕭。初回、緊張もあって先頭の荒木を歩かせ盗塁を許し、大島のセカンドゴロで三進させる。森野には左中間に先制タイムリーを打たれたが、レフトの俊介の好判断で二塁で刺し、最少失点にとどめる。蕭は2回以降立ち直ったが、4回裏、大島とグスマンの連打でピンチを作り、森野のバントで1死二三塁に。和田のレフトへのファールフライで大島が三塁からタッチアップしたが、俊介の素晴らしいダイレクト返球でホームでタッチアウト。味方のバックアップもあり、蕭は5回1失点と上々のデビューを果たした。しかし、打線が蕭を助けられない。前回甲子園でやられたソトに今回も抑えられた。6回表、2死から平野のショートへの内野安打と上本のセンター前に抜けるヒット、鳥谷の四球で満塁としたが、新井貴はサードゴロに倒れる。7回表も2死から俊介がライト前に落とすヒット、そして牽制球に釣り出されながらも走りぬいて盗塁。藤井彰は足の甲に死球でつなぎ、代打に満を持して関本が登場。フルカウントまで粘ったが最後は見逃し三振。タイガースのリリーフ陣もがんばった。6回以降、福原、小嶋、西村のリレーでドラゴンズ打線に追加点を与えない。ソトは7回を投げ切り、浅尾と岩瀬のリレー。9回表、1死の場面で岩瀬からブラゼルがヒットを放ち、代走に大和と同点の期待を抱かせたが、マートンのサードゴロは併殺となって試合終了。やはりナゴヤドームは鬼門であったか。
◎スワローズ9回戦……4−1
先発は先週と同じ顔合わせで、久保と村中。タイガース打線は3回表に点火。先頭の藤井彰がヒットで出ると久保が送りバント。マートンがレフト前に弾き返して1死一三塁に。平野は二塁方向へ叩きつけるバッティング。森岡二塁手はマートンを二封するのがやっと。その間に藤井彰が生還してまず1点。鳥谷が歩いて一二塁とすると、新井がレフトスタンドに3ランを叩きこむ。結局タイガースの得点はこの回の4点のみ。しかし、久保は前回同様緩急をうまくつけた投球でスワローズ打線を抑えていく。7回裏、バレンティンにレフトスタンドにソロホームランを打ちこまれ、さらに2死から代打宮出のヒットと青木の四球でピンチとなったが、川島慶をセカンドゴロに打ち取り、この回限りで交代。8回は小林宏が三者凡退に、そして9回は藤川球が三者三振と余裕の継投で楽々逃げ切った。ヒーローインタビューは試合を決めた3ランの新井貴。
◎スワローズ10回戦……2−8
先制したのはタイガース。2回表、上本がスワローズ先発由規からレフトスタンドにソロホームランを放つ。しかし、タイガースの先発メッセンジャーはここまでの登板で決まっていた低めの変化球が決まらず球が高めに浮く。内野安打で出塁した宮本を二塁に置き、2死からスワローズ打線の怒涛の攻撃が始まった。まず相川が左中間に同点タイムリーを放つと、由規が三塁前にセーフティーバントを決めてつなぐ。青木には四球で満塁。田中浩のセンター前2点タイムリーで勝ち越しを許す。川端の一塁ゴロはメッセンジャーのベースカバーが遅れブラゼルが自分で一塁に入ろうとしたが一瞬遅れてセーフでまた満塁。畠山のライト前ヒットでさらに2点を追加されてこの回5点を奪われる。メッセンジャーはここで降板。二番手の小嶋は四球で満塁としたが宮本をセンターフライに打ち取りなんとか後続を断った。しかし、その小嶋も4回裏につかまる。青木と田中浩を連続三振に打ち取りながら、川端にライト前に弾き返されると続く畠山にレフトスタンドに2ラン。3番手福原は1死満塁から青木にライト前に落ちるタイムリーを打たれる。収穫は4番手の西村。6回から3イニングを投げて無失点。去年の切れが少しずつ戻りつつある。打線は由規の前にヒットは打つものの連打が出ない。8回表、マートンが内野安打で出塁し、鳥谷のレフトオーバーの二塁打でやっと1点を返したが、反撃はここまで。メッセンジャーの乱調ですべての流れがスワローズに行ってしまった試合だった。
◎スワローズ11回戦……8−7
スワローズの先発は怪我から1年ぶりに復帰の川島亮。3回表、マートンがレフトへ二塁打を放つと平野がバント失敗のあと高く弾む一塁ゴロをヒットにして無死一三塁。鳥谷のレフトへの犠牲フライでマートンがホームへ突入、クロスプレーも好スライディングでセーフ。まず先制。さらに新井貴がセンターオーバーの二塁打で平野を迎え入れ2点目を奪った。5回表には二番手赤川から内野安打の平野が鳥谷のレフト前ヒットで三塁を陥れるとブラゼルのレフト線への巧打でホームイン。効果的な3点目を奪った。ここのところ連敗中のタイガース先発岩田は、5回裏に勝利を意識したか青木に四球、田中浩に死球、畠山に四球と2死満塁のピンチを招いたが、宮出をショートゴロに抑えて難を逃れる。しかし、限界を危惧した真弓監督は6回からリリーフをつぎこむ。6回裏、渡辺がバレンティンにレフトスタンドにソロホームランを運ばれ2点差とされたが、7回裏はこのシリーズから一軍復帰の榎田が3三振の好投、8回裏は小林宏がきっちり抑える。9回表、スワローズの五番手押本から柴田がヒットを放ち、マートンのショートへの強い当たりを川端が後ろにそらしてチャンスを作る。ここで平野がレフト前ヒットで柴田を返す。六番手のバーネットから新井貴がヒットで続き、ブラゼルがライト線を破る二塁打で2点を追加。俊介の二塁ゴロの間にさらに1点。代打桧山にもライト前に落ちるタイムリーが出てこの回一気に5点を奪った。本来なら僅差を藤川球で逃げ切るプランが、この大量得点で乱れた。9回裏のマウンドには福原が。四球の武内を塁に置きホワイトセルにセンターバックスクリーンに2ランホームランを打たれる。田中浩には四球、畠山の一塁ゴロはベースカバーに誰も入らず内野安打に。川端のライト前ヒットで満塁に。ここでマウンドには藤川球。宮本を三振に取り、バレンティンを平凡なセンターフライ打ち取って試合終了、と思った瞬間、柴田がそのフライを落球。満塁の走者は全員生還。二塁に走者を残し、藤川球もさすがに動揺したか暴投で二塁走者を返して1点差に迫られた。さらに川本は三塁へのゴロ。これを新井貴が弾いて一塁送球も間に合わずまだ試合は終わらない。それでも踏ん張るのがクローザー。最後は武内を三振に打ち取って試合終了。センターからマウンドに駆け寄った柴田は藤川球に深々と謝罪の最敬礼。藤川球は笑顔で柴田に接したのが救い。ヒーローインタビューは4安打3得点の平野。しかし、平野の顔に笑みはなく、憤然とした表情が印象的であった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 僅差の試合でも、味方のエラーでチームが大ピンチに陥っても、火の玉ストッパーは動じない。そのピンチをも楽しんでイルカのような風格を感じる。小林宏も調子をあげてきただけに、これからどんどん上げていくという球児の言葉は頼もしい。
野手……クレイグ・ブラゼル 一発こそ出ないけれど、新井のチャンスで打てなくてもブラゼルがきっちりとランナーを返すバッティングをしてくれる。スワローズ第2戦で審判の不当な判定で三振を食らった時に激高したのも、なんとかチームのためにという気持ちの現れだろう。一発は出なくても、中軸の働きは十分に果たしている。
次節は京セラドーム大阪でのカープ戦。ジャイアンツ戦で叩かれて調子を落としている相手だけに取りこぼしは禁物。そして横浜球場に移ってベイスターズ戦。今季はこれまでのように簡単に勝てせてくれないが、スレッジにはノーストライク戦法で対処すればあとの打者には対処できよう。下位に取りこぼしたチームが落ちていく。それだけに強さを見せつけるような試合展開を期待したい。
(2011年8月15日記)