今節は京セラドーム大阪でのカープ3連戦で悪夢の3連敗。まさに悪夢としかいいようがない。藤川球のリリーフ失敗、スタンリッジの乱調、名手鳥谷の信じられないエラー。マートンの大不振も響いた。横浜球場でベイスターズと雨中止のあと2連戦。久保の粘りもあり1勝1分。今節は1勝3敗1分。通算45勝46敗3分の勝率.495。首位スワローズと5.5ゲーム差、2位のジャイアンツには0.5差で、ドラゴンズと同率の3位。
◎カープ11回戦……1−3
能見と前田健の奪三振王対決。まさにエース同士の緊迫感ある投手戦となった。均衡が破れたのは7回表、1死から丸がレフト前ヒットで出るとすかさず盗塁。バーデンには空振りをとりにいったボール球をことごとく見切られ四球。石原には初球のチェンジアップを狙い打たれレフト前に運ばれる。丸は一気にホームイン。カープに先制点を許してしまった。8回表には2死から廣瀬にライト前ヒットを許すと、代走中東が盗塁。栗原を歩かせ丸のヒットで満塁に。しかしここで赤松を三振に打ち取って1点差を守った。8回裏、1死から代打関本がヒット。代走上本と代打桧山の間のエンドランが成功してレフト前ヒットで一三塁と攻め立てる。この試合、前田健の前にタイミングのあっていなかったマートンが意表を突くスクイズを一塁横に成功させ、同点に追いついた。9回表、タイガースは藤川球を投入。しかし、前回の京セラドームと同様、今回も藤川球はマウンドが合わないのか思うところに球がいかない。先頭のバーデンを歩かせ、石原はスリーバント失敗でアウトにしたが、代打石井琢のライト線への二塁打と東出への四球で満塁に。そして代打前田智にライト前に運ばれ2者を生還させ、またもリードを許す。藤川球は屈辱の降板。つないだ榎田は中東のスクイズを外し、捕手の小宮山が三塁走者の東出をタッチアウトに。そして中東は三振。9回裏の攻撃を待つ。しかし、クローザーのサファテの前に鳥谷、新井貴、ブラゼルが凡退し試合終了。前田健の立ち上がりを攻めきれなかったり、せっかく出塁した鳥谷が牽制死するなどタイガースに攻めのまずさが出たのに対し、カープは3盗塁と足をからめて撹乱戦術に出たのが勝敗を分けた。
◎カープ12回戦……4−5
カープの先発、福井からタイガースが先制。2回裏、ヒットの関本を塁に置き、福井がボーク。わずかにグラブが動いただけなのだが、二塁塁審は見逃さなかった。動揺した福井の球が甘く入るところを金本がライトスタンドに2ラン。監禁恐喝の疑いはバットで晴らすといわんばかりのホームランだった。しかし、スタンリッジがこの試合はキレのある球を投げられない。4回表、栗原にバックスクリーン横への特大ホームランを打たれ、1点差。5回表、嶋に二塁打を打たれ、倉のセンター前ヒットで無死一三塁とされる。代打石井琢にはレフト線へ技ありの二塁打を打たれ同点に。東出は前進守備の頭を越されるセンター前ヒットで逆転。ここでスタンリッジは降板。二番手は小嶋。木村にも前進守備の頭を越すライト前ヒットを打たれさらに1点を失う。このピンチに捕手の藤井彰は二塁ランナーの東出を牽制で刺し、一塁ランナーの木村も盗塁したところを刺す。なんとか2点差にとどめた。しかし、小嶋は6回表、2死からバーデンにレフト線に二塁打を打たれると嶋にもライト線に二塁打を打たれさらに1点を追加された。カープは梅津、岸本、豊田とつないでタイガース打線を封じる。7回裏、五番手今村を攻める。1死からマートンが四球を選び、平野、鳥谷の連打で満塁に。新井のライナーはライト正面へ。これが犠牲フライとなる。ブラゼルの左中間を襲うヒットで平野も生還し1点差とする。しかし、この試合猛打賞の関本のレフトへの強い当たりは嶋に好捕され反撃もここまで。タイガースは渡辺、福原、榎田、小林宏とつないでカープ打線を封じ9回裏の逆転劇を狙ったが、クローザーのサファテの前にマートン、鳥谷の三振などで三者凡退。痛い連敗を喫した。
◎カープ13回戦……4−5
タイガースはカープの先発ジオを初回から攻め立てる。平野がライト線に三塁打を放つと、新井貴の三塁強襲ヒットでホームインして先制した。しかし、タイガースの先発蕭は3回表につかまる。木村のサードゴロを新井貴が一塁へ高投。失策のランナーを置いて栗原がセンターへ逆転2ラン。それでも直後の3回裏、不振のマートンに変わって一番に入った柴田がセンター前に弾き返し、すかさず盗塁。平野のヒットで一三塁とし、鳥谷のライト前の高く弾むヒットで柴田が生還、同点とする。なおも一三塁で打者ブラゼルの時にジオがボーク。これで平野が生還し再びリードした。援護をもらった蕭はピリッとしない。先頭のバーデンにレフト線に二塁打。嶋を歩かせたあと石原のバントも二塁走者を三封。ここで左の代打石井琢が登場し、蕭は降板。二番手小嶋は石井琢を三振に切って取ったが東出にライト前に落とされて同点に追いつかれた。三番手の渡辺が踏ん張り、四番手の榎田もランナーを許しながら牽制でアウトにするなどリズムを作る。そして7回裏、カープの三番手豊田から金本が2試合連続の勝ち越しホームランをライトスタンドへ。落とし穴は8回表に待っていた。五番手小林宏が1死からバーデンにライト間にヒットを打たれ、代走赤松の盗塁でピンチに。嶋はショートゴロに打ち取ったが、二塁走者の赤松がなぜか三塁に突進するのを見た鳥谷が三塁へ送球。この送球が赤松の肩をかすって後ろにそれ、赤松は一気に生還。気落ちしたか小林宏は東出に前進守備の頭を越すタイムリーを打たれ逆転された。カープは梅津、青木、そしてサファテとつなぎタイガース打線も焦って相手投手の術中に。勝ちを確信したあと、名手鳥谷の予想もしないエラーで3連敗。なにか魔物が京セラドームに居座っていたかのような、悪夢のような連戦であった。
◎ベイスターズ15回戦……5−3
ベイスターズ先発清水から初回にいきなり先制。平野が三遊間に叩きつけるヒットを二塁打として鳥谷がライト線への二塁打で平野を返す。さらに新井貴はライト前に流し打ちをして鳥谷を迎え入れる。しかし、タイガースの先発久保は2回裏、先頭のハーパーにレフトフェンス際に落ちる二塁打を打たれ、金城のヒットでつながれる。ここで藤田がライト線へ二塁打を放ちハーパーを迎え入れて1点差とされた。ピンチは続いたが、久保は後続を断ち1点差にとどめた。3回裏、先頭の石川にヒットを打たれたが、続くスレッジの右中間を破ろうかというライナーをマートンがスライディングキャッチして流れを作る。5回表、そのマートンがレフトスタンドへ復活をアピールするソロホームランを放って突き放し、清水は6回表の先頭打者を歩かせた時点で交代した。6回裏、金城と藤田の連打を食らった久保は細山田にバントを決められたところで小嶋と交代。代打の代打中村紀にその小嶋がセンターに大きく犠牲フライを打たれまた1点差に。しかし、ベイスターズはリリーフが弱い。三番手福山が藤井彰を歩かせ、代打柴田のバントで二塁に進塁。福山はマートンも歩かせ降板。四番手の篠原も平野、鳥谷に連続四球でタイガースのリードはまた2点差に。続く新井貴に期待がかかったが、五番手真田にショートゴロ併殺に打ち取られて大量得点はならず。8回表、ブラゼルが来日通算100号となるソロホームランをライトスタンドに。タイガースは小嶋のあと、榎田が好投し、8回裏には小林宏が登板。1死から藤田と細山田の連打で二三塁とし、代打渡辺直のタイムリーを許す。ここで小林宏は降板。続くピンチを渡辺亮が断つ。9回裏には藤川球が吉村、村田と連続三振に打ち取り、ハーパーもキャッチーフライに打ち取り試合終了。ヒーローインタビューは復活ののろしとなるホームランのマートン。
◎ベイスターズ16回戦……1−1
初回、ベイスターズの先発三浦の立ち上がりをとらえる。内野安打のマートンを平野が送り、鳥谷のライト前ヒットで一気に返し鮮やかに先制。しかし、後続を断たれ、追加点はならず。ここで三浦を打ち崩せなかったのが最後まで響いた。2回以降、三浦は立ち直り、内野ゴロの山を築く。タイガースの先発メッセンジャーは毎回ランナーを出しながらもタテに大きく曲がるカーブでベイスターズ打線を抑える。6回裏、二塁打の下園を石川に送られ、1死三塁のピンチ。ここで金城は高いバウンドのショートゴロ。鳥谷はすばやくホームに送球、藤井の好ブロックもありタッチアウト。しかし、7回裏、1死から吉村の二塁打、代打ハーパーのライト前ヒット、代打藤田への死球で満塁とされる。下園へストライクを投げ込むがことごとくボールと判定され、押し出しの死球で同点に。ここで渡辺にスイッチ。渡辺は石川、金城を連続の内野ゴロに打ち取りリードを許さない。タイガースは榎田、藤川球とつなぎ、ベイスターズも藤江、大原慎がタイガース打線を抑える。ついに延長戦に突入。福原は10回裏、ヒットと四球などで2死満塁とされたが好調の渡辺直を一塁ファールフライに打ち取り難を逃れる。11回表、山口から鳥谷があわやホームランというレフトフェンス最上段に当たる二塁打を放つが、新井貴はいい当たりながら一塁正面をついてファーストゴロ。11回裏、福原は1死から四球を出すが稲田にバントをさせず三振。下園を内野ゴロに打ち取り試合終了。双方手詰まりとなった引き分けであった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……渡辺亮 どんな場面でも登板し、きっちりと結果を残すセットアッパー。今節はその本領を発揮。ランナーがたまり一打逆転というような場面での起用が続いたが、みごとに抑えこんだ。小林宏が不安定な分、その存在感は増すばかり。
野手……平野恵一 不振のマートンに代わり、二番の打順ながら一番打者の役割を見事に果たしている。打率も一時的に三割に乗せ、昨シーズン逃した首位打者を狙う位置まで上がってきた。
次節は東京ドームでのジャイアンツ戦。ここで一気に順位交代といきたい。そして長期ロードが終わり甲子園で首位スワローズを迎え撃つ。打線がなかなかつながらず大量得点が望めない中、なんとかこつこつと点を重ねて相手の首を真綿で締めるような戦いを見せてほしいものだ。
(2011年8月22日記)