愛すれどTigers


首位スワローズに連勝で3.5差に

 今節は東京ドームでのジャイアンツ3連戦。連日の熱闘で五分五分の戦いを繰り広げる。結果も1勝1敗1分と全くの互角。多少分の悪い東京ドームで互角ならば、次の甲子園ではタイガース優位か。そして長期ロードが終わり甲子園球場にもどってスワローズと雨中止をはさんで2連戦。スワローズキラー久保とメッセンジャーの好投で2連勝。今節は3勝1敗1分。通算48勝47敗4分の勝率.505。首位スワローズと3.5ゲーム差でドラゴンズ、ジャイアンツと同率の2位。

◎ジャイアンツ16回戦……2−5
 タイガースの先発は岩田。初回、2死から長野とラミレスの連打でピンチを作るが高橋由をショートライナーに打ち取り難を逃れる。これでペースをつかみ、以降は四球はあっても連打は許さず5回まで無失点と上々の出来。一方、ジャイアンツの先発ゴンザレスから2回表に新井貴がセンター前にヒットを打つと、ブラゼルも右中間フェンス直撃のヒットを放ち無死一三塁とする。ただ、ここでブラゼルはペースをまわった際に足を痛めて退場。主砲の早期退場がこのあと大きく響くことになる。関本の高いバウンドのサードゴロの間に新井貴が生還して1点先制。ゴンザレスは3回以降は立ち直り、タイガース打線は毎回のようにランナーを出すが、チャンスで新井が併殺打を打つなどチャンスを生かせない。6回表、1死から関本のヒットでチャンスを作る。バックアップに走ったゴンザレスがふくらはぎを痛めて退場。急遽登板した高木から金本がヒットで追加点のチャンス。しかし藤井彰が併殺でチェンジ。流れはジャイアンツに。直後の6回裏、岩田は先頭の坂本にヒットを打たれると寺内にスリーバントを許し、長野を敬遠気味に歩かせる。ラミレスのライト線への当たりはファールグラウンドを転がり二塁打に。一塁走者の長野も一気にホームをついて逆転を許した。7回裏、二番手小嶋が先頭の阿部を歩かせ古城のバントで二塁に。亀井は一塁手関本への地面すれすれのライナーに打ち取る。ここで坂本を敬遠して渡辺にスイッチ。代打谷にセンター前に落とされて1点を追加された。2死二三塁からあえて満塁を選ぶ長野への敬遠策は、山口のライトフライで成功。8回表、山口から上本と関本が軽打で連続ヒット。上本は一気に三塁に進み、俊介の内野ゴロで2点目を返す。しかし続く藤井彰が2打席連続となる併殺打を打たされ同点にはならず。8回裏、マウンドには今季初登板の藤原。先頭の高橋由を歩かせ、代走鈴木を一塁に釘付けにしながら藤村のバントは小フライに打ち取る。阿部にライト線へ二塁打を打たれ、二三塁とし、亀井を歩かせ満塁に。ここでベテラン福原が登板したが、坂本に軽打でセンター前に運ばれて2点を献上。谷を歩かせ満塁としたが長野はフライに打ち取り味方の反撃を待つ。しかし、9回表、久保の前に平野が四球を選んだだけに終わって敗れた。岩田は好投しながらも10敗目。ここというところでブラゼル不在が痛かった。
◎ジャイアンツ17回戦……2−1
 能見と内海の息詰まるような投手戦。内海の低めにコントロールされた変化球にタイガース打線は翻弄され、一方能見は速球とスライダー、フォークを見事なコンビネーションで投げ分けてジャイアンツ打線を幻惑する。4回表、平野が内海のチェンジアップをとらえてライトスタンドへ運ぶ今季第1号ソロホームランで先制。直後の4回裏、能見は落ち切らずに甘く入ったフォークをラミレスにバックスクリーン左にもっていかれて同点。5回表、ブラゼルに代わり5番に入ったマートンがセンター前にヒットを放つが、関本とのエンドランが失敗し、三振と盗塁死の併殺。6回裏、高橋由の右中間を破ろうかという当たりを俊介がみごとなランニングキャッチでつかまえ、チャンスを与えない。そして8回表、金本が肩口からはいるカーブをつかまえライトスタンドへ決勝ソロホームラン。8回裏、能見は2死から長野を歩かせたがラミレスを三振に打ち取り拳を握りしめた。9回裏、藤川球が登板。代打に古城が出てきた時はジャイアンツのファンはまたホームランを打てるなどという幻想を抱いて沸いたが、さすがは藤川球、三振に切って取る。格の違いを見せつけた。最後は阿部がセカンドゴロで試合終了。ブラゼル抜きの打線だったが投手戦となればタイガースの方が有利というのを見せつけてくれた。ヒーローインタビューは投手戦を制した能見と決勝ホームランの金本。
◎ジャイアンツ18回戦……3−3
 初物に弱いタイガース。この試合も初対戦の小野に対し、初回から1死一三塁というチャンスを作りながら新井貴は三振、マートンはショートゴロと決め手を欠く。逆に調子よく投げていたスタンリッジは2回裏に高橋由にライトスタンドに先制ホームランを打たれると、3回裏にはヒットの坂本を藤村に送られ長野のヒットで1死一三塁に。ラミレスは内野フライに打ち取ったが、高橋由にセンター前に運ばれ中継の上本がもたつく間に一塁走者の長野にまでホームインされ3点差をつけられる。しかしスタンリッジもよく立ち直り、6回まで投げ切る。さらに7回からは渡辺、榎田とつないでジャイアンツ打線を封じた。反撃ののろしは4回表。新井貴のレフトスタンドへのソロホームランで1点を返すと、5回裏は1死からスタンリッジのヒットと柴田のヒットで2死一三塁に。鳥谷は三遊間への当たり。坂本がよくおさえて二塁に送るが俊足の柴田の足が早く、内野安打に。この間にスタンリッジがホームインして1点差とする。新井貴がライト左に強いライナーを打つが、これを高橋由のファインプレーに阻まれてしまう。高木と野間口の前に7回まで得点できなかったタイガースだが、8回表、ロメロから新井貴、マートンの連打でチャンスを作ると、ここで投手は山口に。金本のライト前ヒットで新井貴が生還し同点に。一塁をまわっていた金本に高橋由が気づき、一塁にダイレクト送球。微妙なタイミングだったが金本はアウトに。これに激高した金本は激しく抗議するが判定が覆ることはない。このあと試合は延長に突入し藤川、福原のリレーで無失点に抑えてなんとか引き分けに。
◎スワローズ12回戦……9−4
 スワローズキラーの久保が先発。2回表、ヒットのバレンティンを塁に置き、ガイエルに不用意に投げた甘い球をとらえられ、ライトスタンドに2ランホームランで先制される。しかし、タイガース打線は不調の村中をとらえる。2回裏、ヒットの関本を塁に置き藤井彰が左中間に二塁打を放つ。関本はホームに突っ込むがこれはアウト。しかしこれでとらえられる感触をつかんだ。3回裏、先頭の久保が振り逃げで出塁。1死後、大和のヒットで一二塁とし、鳥谷は三振で2死となったが、新井貴がレフト前に落としてまず1点。続くマートンがセンター前ヒットで同点に。関本は四球を選び満塁に。ここでこの日今季初めて一軍に昇格し先発出場のチャンスを与えられた狩野が期待にこたえる。右中間にヒットを放ち2点を加えて勝ち越しに成功した。5回裏には鳥谷がヒットで出塁すると新井貴のショートゴロを川端が二塁悪送球。球がライトまで転がる間に鳥谷はホームイン、新井貴も三塁に進んだ。そしてマートンがライト線へ二塁打を放ち、新井貴が生還、リードを4点とした。村中はこの回限りで降板。7回裏には三番手橋本からマートンがセンター前に、関本がレフト前に、代打柴田がセンター前にそれぞれ弾き返して無死満塁に。藤井彰の併殺の間にマートンが生還してさらに1点。代打森田が左中間を破る二塁打でもう1点追加した。楽勝パターンで、3回以降好投した久保は7回限りでお役御免。8回表、小林宏が登板。1死から川端のサードゴロを新井貴が悪送球。これで小林宏のリズムが狂う。畠山を歩かせ、バレンティンのライト前ヒットが二塁打となり1点を返され、ここで降板。三番手の榎田は美優元のセンターライナーが犠牲フライとなり2点目を返されたがガイエルを凡フライに打ち取り流れを断ち切る。8回裏、四番手山本哲からヒットの大和を塁に置き盗塁で二進。マートンのレフト前のタイムリーが出てダメ押し。9回裏は福原が先頭の中村にヒットは打たれたが後続を断ち快勝。ヒーローインタビューはスワローズ戦通算9連勝の久保と復帰戦で価値あるタイムリーを放った狩野。
◎スワローズ13回戦……1−0
 タイガースの先発はメッセンジャー。初回いきなり川島慶にヒットを打たれるが、青木を三塁線ぎりぎりの当たりをなんとか新井貴が処理するサードゴロに打ち取ると、ガイエル、畠山を連続空振り三振に打ち取る。スワローズの先発は由規。1回裏、柴田と鳥谷の四球でチャンスを作るが新井貴は見送り三振、マートンはセカンドライナーでチャンスをつかめず。2回以降はメッセンジャーは無四球、ヒットも散発でスワローズ打線を手玉に取る。唯一ひやりとしたのが6回表のガイエルの放ったあわやホームランというファールボール。しかしそのあと空振り三振に打ち取る。タイガース打線も由規を打ちあぐんでいたが、7回裏、1死から藤井彰がスライダーをレフト前に運ぶと、続く代打桧山もレフト前に逆らわないバッティングで続く。そして平野がレフト前に弾き返し、藤井彰がホームイン。大切な1点をもぎ取った。2死後、鳥谷が四球で満塁としたが、新井貴は力のないセカンドゴロで大量点は奪えなかった。8回表は榎田が、9回表は藤川球がそれぞれ三者凡退にスワローズ打線を打ち取り連勝。なんと8月のスワローズ戦は7勝1敗と圧倒。スワローズはタイガースへの苦手意識を完全に刻みつけられた。ヒーローインタビューはチーム最多勝の9勝目をあげたメッセンジャーと決勝タイムリーの平野。

愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 ジャイアンツ戦の好投は圧巻。内海との一歩も引かぬ投手戦は、これぞエースといえる力強いもの。さあ、ここから勝ち星を積み重ねていく時だ。
野手……平野恵一 前節に続いて好調を維持。首位打者長野に迫る打率。さらには1年ぶりのホームランも飛び出し、ただ今絶好調。盗塁は下手でもちょろちょろ動いてかき回してくれ。

 次節は鬼門ナゴヤドームでのドラゴンズ戦。岩田、能見、スタンリッジがそれぞれの持ち味を生かせば投手戦となり、たとえ得点しにくいナゴヤドームであっても勝機はある。そして甲子園にもどり今季苦戦しているベイスターズを迎える。ここらあたりで一気に叩いて勝ち星をのばしておきたいところだ。ブラゼルの故障、小林宏の不調と主力を欠く状態だが、森田、大和、柴田、俊介らの今節の活躍で、上本の奮起や今季一軍初昇格の野原将も見せ場をつくってほしい。むろん復帰してきた狩野もここ一番での勝負強さを見せてほしいし、なんといっても悩める4番打者新井貴にはすべてをふっ切って本能のままにプレーをしていただきたい。そうすれば調子のよい投手陣に大量点のプレゼントができるはずだ。

(2011年8月29日記)


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