愛すれどTigers


神宮決戦は自滅の3連敗

 今節は甲子園で2試合のあと京セラドーム大阪で1試合のカープ3連戦。前回での京セラドーム大阪では悪夢のような3連敗を喫した相手に、お返しの3連勝。この勢いでスワローズと神宮球場で首位追撃の決戦と意気込んだが、3試合ともミスがもとで失点し、なんと3連敗。今節は3勝3敗。通算52勝52敗5分の勝率.500。それでも首位スワローズとの差は7.0ゲームと開いて4位。持ちあげておいて突き落とす、まことにタイガースらしい展開といえるのだが……。

◎カープ14回戦……2−1
 この試合から新井貴が4番に復帰。タイガースの先発メッセンジャーは初回から快調に飛ばしていたが、3回表につかまる。先頭の石原にヒットを許し、1死後バリントンのバスターは平野のグラブをはじいてライト前に。マートンが送球を誤りゆうゆう刺せたはずのランナーを刺せず、東出のライト前ヒットで満塁に。赤松のショートゴロは緩い当たりであわや内野安打というタイミングだったがなんとか一塁はアウト。しかしサードランナーは生還し1点を先制される。しかし、タイガース打線もすぐに反撃。バリントンから3回裏に先頭のメッセンジャーがセンター前ヒットを放ち、平野が四球を選ぶ。柴田がバントを決め、鳥谷がレフトポール際へ大きな飛球。フェアかファールか微妙な当たりを嶋が好捕したが、メッセンジャーはタッチアップから楽々ホームイン。メッセンジャーは4回以降立ち直り、7回を投げ切って1失点の好投。5回裏、1死から平野がヒットを放つと柴田がまたもバントを決め、鳥谷が左中間に弾き返すタイムリーで勝ち越した。8回表は榎田が抑え、8回裏、二番手今村からヒットの俊介を藤井彰が送り、代打に桧山。ここでカープは青木高を投入。あわやホームランという大ファールを放つも結局空振り三振。1点差で9回表、藤川球を投入。きっちり3人で抑え逃げ切った。ヒーローインタビューは今季チーム10勝一番乗りのメッセンジャーと2打点で試合を決めた鳥谷。
◎カープ15回戦……5−1
 カープの先発は福井。初回にタイガース打線がとらえる。先頭の平野がレフト前にヒットを放つと柴田が送り、鳥谷は見逃し三振に倒れたが新井貴がレフト前にタイムリーで先制。タイガースの先発スタンリッジは初回こそ三者凡退に抑えたが2回表には2死から嶋と石原を歩かせ木村には死球で満塁に。それでも福井を空振り三振に打ち取り難を逃れた。1点差のまま我慢の投球のスタンリッジだったが、6回表、先頭の赤松にライト前ヒットを打たれ、続く廣瀬はバントを2度ファールと失敗させキャッチャーフライに打ちと取ったが栗原にはセンター前ヒットで1死一三塁に。バーデンを歩かせると、嶋のセンターへ抜けそうな当たりを打たれる。それでも平野が好捕して一塁走者は二塁で殺したが、一塁への送球は一瞬遅くセーフに。この間に赤松が生還して同点に。7回表には先頭の木村にヒットを許し、福井にはバントを失敗させた末に三振を取ったが、ここでスタンリッジは交代。二番手小嶋は東出にバントを決められ、マウンドには三番手福原が。ここで福原は赤松を空振り三振に打ち取り、同点のまま7回裏の攻撃に。2死から柴田、鳥谷が連続四球でチャンスを作ると、新井貴の打球は前進守備のセンター赤松の頭を超える。柴田と鳥谷が生還して勝ち越しの2点タイムリー二塁打となる。ここで福井から豊田にスイッチしたが、続くマートンもレフト前ヒットで新井貴を返し、マートンはホームへの送球の間に二塁へ。関本もセンター前に打ち返し、マートンは一気にホームを突く。石原のブロックを猛烈なスライディングで突破して4点差をつけた。8回表には渡辺が、9回表には榎田が、きっちりと抑えて逃げ切り、連勝。ヒーローインタビューは今季初勝利の福原と先制と勝ち越しのタイムリーを放った新井貴。
◎カープ16回戦……9−3
 先発の能見は初回、ヒットの東出を赤松に送られ廣瀬に死球。栗原の泳いだようなフォームから繰り出された左中間への二塁打で1点を先制された。しかし、そのあとはバーデンをショートライナー、井生を三振に打ち取り、2回以降は立ち直る。タイガースがカープ先発の篠田をとらえたのは3回裏。先頭の金本の一塁ゴロを篠田がベースカバーに入るのが遅かったのと金本の全力疾走の迫力で間一髪でセーフ。藤井彰が四球を選び、能見がバントを決めて1死二三塁とすると、平野のライト前ヒットで同点に。続く俊介もセンター前に弾き返して勝ち越し。新井のレフト前ヒットで2点差に広げ、マートンのライト前の二塁打でさらに1点。とどめは関本のレフトスタンドに飛び込む3ランホームラン。この回一挙に7点をあげ試合を早くも決めた。篠田は4回限りで降板。5回から登板した今井から6回裏に能見が四球を選ぶと、平野はライト線へ三塁打で能見を返し、自身も三塁にヘッドスライディング。7回表、能見は先頭の倉にヒットを許し、小窪のレフトスタンドへの2ランを打たれる。8回には福原が二番手としてマウンドに。きっちり三者凡退に打ち取る。8回裏、ヒットの柴田を塁に置き代打森田がレフトオーバーのフェンス直撃となる二塁打で柴田を迎え入れた。9回表には西村が三者凡退で締めて対カープ3連勝。前回の京セラドームでの3連敗を帳消しにした。ヒーローインタビューは攻守に活躍の平野と決定打となるホームランの関本。「4番の座を奪い返す」はシャレかマジか。
◎スワローズ14回戦……2−4
 スワローズの先発は故障上がりで1ヶ月ぶりの先発となる館山。不安な立ち上がりをみごとにとらえた。2死から鳥谷が左中間に二塁打を放つと、続く新井貴がバックスクリーンに先制の2ランを放つ。しかしタイガースの先発岩田は直後の1回裏、先頭の青木に二塁打を打たれ、田中のバントで三進を許し、川端の一塁ゴロを新井貴が焦って弾き、青木が生還。すぐに1点差に詰め寄られたことで流れを相手に押しやったか。4回裏、二塁打の畠山を三塁に送ろうとした飯原のバントに岩田が俊敏な反応を見せ三封。宮本のショートゴロ併殺を狙ったが一塁でぎりぎりセーフに。直後、甘く入った球をバレンティンは見逃さずレフトスタンドに逆転2ラン。5回裏もピンチを招くふらふら投球に真弓監督は断を下し6回裏には渡辺を投入。1死から飯原のバットをへし折る投手ゴロ。飛んできたバットの破片をよけ体勢の悪いまま打球を取ろうとして弾き、焦って一塁に悪送球。走者を二塁に進めた。宮本は二塁ゴロで走者を三塁に進め、ここでバレンティンを敬遠。相川はなんとかショートフライに打ち取り難を逃れる。8回表、代打金本はもう少しでホームランという大ファールを打った後、余裕で見送った高い球をストライクと判定されて三振に。主審に抗議するが受け入れられるわけもなし。続く代打桧山は右中間を深々と破る二塁打。ここで館山は降板し、マウンドには久古。平野の打席で代走大和が三盗する。平野は四球を選び、チャンス拡大。しかし代打上本はセカンドフライ。鳥谷は膝元の絶妙な速球で見逃し三振。最後の大きなチャンスを逃した。7回裏には小嶋の三者三振といいムードだったが、8回裏、福原が先頭川端にヒットを打たれて畠山のレフト前ヒットを久々の一軍出場の林が三塁の関本に返す時に球は高くバウンドし、関本もこれをそらす。その間に川端にホームインされて、大きな1点を失った。9回表、イムから先頭の新井貴がショートの頭上に強烈なライナーを放つが川島慶に好捕されて流れを引き戻すことができず、マートンは空振り三振、関本も三振に倒れて連勝ストップ。岩田がいい流れに乗れず、相手にチャンスをやってしまったという感じの試合。
◎スワローズ15回戦……2−6
 タイガースの先発はスワローズキラーの久保。しかし、この試合では狙い球を絞られていたのかいつものように手玉に取るという感じにならない。3回裏、先頭の石川にヒットを打たれると青木にもライト前に運ばれ、田中浩にうまく送られる。そしてここまで久保に手も足も出なかった川端にライトスタンドに先制3ランを打たれてしまった。一方のスワローズ先発は今季タイガース戦初登板の石川。3点をもらった直後の4回表、マートンがレフトスタンドにソロホームランを運び、スワローズに傾きかけていた流れを引き戻す。しかし、その流れをタイガースは自分のものにできない。4回裏、先頭の宮本にライト前にヒットを打たれ、バレンティンを歩かせる。相川にバントを決められ、石川をショートへのハーフライナーに打ち取ったところで久保は降板。早目の仕掛けで小嶋をマウンドに送る。青木をサードゴロに打ち取った、と思った瞬間、関本が打球をこぼして青木はセーフに。この間にランナーが一人生還。続く田中浩はセカンドゴロに打ち取ったと思った瞬間、平野が後ろにそらし(記録はヒット)、打球はセンター前に。もう一人ランナーが生還し、この回2つのミスで2点を奪われた。5回表、先頭の小宮山が今季初安打をレフト前に運ぶと、続く平野がライト前に運ぶ。小宮山は一気に三塁を陥れ、平野は一気に二塁へ進もうとしたがスワローズの守備陣の判断がよく二塁でタッチアウト。点差を考えるとランナーをためる場面だっただけに、前の回のエラーを挽回しようと焦ったか。鳥谷のレフト前ヒットで1点は返したが、新井貴はショートゴロでそこまで。5回裏、先頭の畠山は平凡なショートフライ、と思った瞬間鳥谷が落球。畠山は二塁へ進む。1死後宮本のヒットで一三塁とされ、バレンティンを歩かせたところで小嶋は降板。三番手福原は相川をセカンドゴロに打ち取り、併殺と思った瞬間、平野が前にこぼし二封のみ。三塁走者は生還。福原は代打森岡を三振に打ち取ったが、ここまでエラーが続出すると勝てない。押本には二連打でチャンスを作るが若い左腕の日高に抑えられて得点できず、久古、松岡、イムの継投で逃げ切られた。若い藤原と西村が好投したことは光明。とにかく2試合続けてエラーで敗れるという自滅の連敗となった。
◎スワローズ16回戦……2−4
 タイガースの先発はメッセンジャー。4回裏、突如乱れる。先頭の田中浩に四球を与え、1死後、畠山の強い当たりのサードゴロを新井貴が好捕するも二塁に送球したが間に合わず内野安打に。武内は三振に取ったが、宮本にレフト前にフライを打ち上げられ、右寄りのシフトをしいていた金本がスライディングキャッチを試みるも惜しくも捕れず。二塁打となり2点を先制された。その後も2四球で満塁としたが、増渕をセカンドゴロに打ち取りなんとか追加点を阻んだ。5回以降はまた好投。それだけにこの回の乱れがもったいなかった。タイガース打線は増渕の前に5回まで1安打と抑えられていたが、6回表につかまえる。1死後、平野が四球を選ぶと、柴田のショートへのゴロは川端がどこにも投げられず内野安打に。ここで鳥谷はいい当たりのサードライナーに倒れたが、新井貴がライト前に弾き返して1点を返した。松井光、押本とつながれ8回表、連日抑えられていた久古から先頭の平野が左中間にヒット。代打上本がバントを決め、鳥谷のライト線へのタイムリーで同点に追いついた。新井貴がセンター前のテキサスヒットで続き、1死一二塁。マートンはいい当たりのショートライナー。二塁走者の鳥谷が飛び出してしまい、必死で戻るが戻れず併殺。8回裏、榎田が2死から川端に四球を与え、畠山にレフトスタンドに2ランを叩きこまれた。9回裏、イムにきっちりと抑えられ試合終了。この試合でもミスが出てまさかの3連敗。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー 今季タイガース投手陣の10勝一番乗り。タイガースの外国人投手がチームで最初に10勝目をあげるのはなんとマット・キーオ以来という。スワローズ戦も勝利投手にはなれなかったが7回を投げて2失点と安定した内容。こんなに頼れる存在になるとは思いもよらなかった。
野手……平野恵一 一番打者に定着してからはコンスタントにヒットを稼ぎ、打率も3割を維持。リーグ3位で昨年と同様の位置に。このまま首位打者の長野や2位のマートンとタイトル争いを続けていってほしい。

 次節は甲子園でドラゴンズ3連戦。ナゴヤドームでは接戦になるが甲子園では常に優位に試合を進めているだけに期待したいところ。1日おいてカープとマツダスタジアムで4連戦。変則的な日程だが、こうなると先発投手陣がしっかりしているタイガースが有利か。とにかく大きなショックを受けた神宮での汚名を返上する戦いを見せてほしい。

(2011年9月12日記)


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