愛すれどTigers


清原大貴颯爽とデビュー!

 今節は甲子園でスワローズ戦とベイスターズ3連戦。そしてマツダズームズームスタジアムでカープ3連戦。甲子園では館山、加賀美、三浦らに好投され連敗を喫したが、本拠地最終戦を白星で締めくくって1勝3敗。マツダでは能見の好投や、清原、鶴、白仁田といった若手の好投が目立ち2勝1敗。今節は3勝4敗。通算68勝70敗6分の勝率.493。首位ドラゴンズとの差は9.0ゲームで4位でシーズンを終了した。真弓監督は正式に退任。次期監督は和田打撃コーチが就任することが確実視されている。

◎スワローズ24回戦……0−4
 打線がスワローズ館山の低めに丁寧にコントロールされた投球に完全に牛耳られた。脱帽というほかない。チャンスらしきものは4回裏と6回裏のみ。いずれも柴田のヒットで突破口を開こうとしたが、中軸が完全に抑えられた。失投といえる球がなかったといっていい。一方、タイガースの先発メッセンジャーは球が高めに浮くところをとらえられた。2回表、宮本とバレンティンの連打で作ったチャンスを、森岡のバントで拡大し、相川のセンターへの犠牲フライで先制される。4回表には2死からバレンティンに二塁打を打たれると森岡には四球。相川にタイムリーを打たれて2点差に。5回表には2死から畠山と宮本の連打のあと、バレンティンにサードの頭を越すレフト線へのタイムリーで2点を加えられた。以降、渡辺、筒井、藤原、西村のリレーで追加点を許さなかったが、それ以上に館山の投球がよかった。なお、この日、ドラゴンズがベイスターズと引き分けて2年連続の優勝を飾った。
◎ベイスターズ22回戦……1−2
 ベイスターズの新人加賀美が先発。初回、内野安打の鳥谷を置いて新井貴が左中間を破るタイムリー二塁打で先制。初物に弱いジンクスを破れるかと思ったが、2回以降は狙い球を絞り切れず凡打の山。4回裏には新井貴がセカンドゴロを打った際にバットをへし折られ、折れたバットの先が三塁内野スタンドに飛び込み観客に当たって負傷させる珍事も。タイガースの先発岩田は快調に5回まで散発2安打の好投。しかし、6回表、集中打を浴びる悪い癖が出た。先頭の加賀美にプロ入り初安打となる二塁打を打たれると、1死後荒波に右中間を破る二塁打を打たれ同点に。さらに筒香にもセンター前ヒットを打たれて逆転される。ベイスターズは7回から二番手江尻。代打田上が嬉しいプロ入り初安打をレフト前に放つも、三番手大原慎の前に代打金本と関本が連続三振でチャンスを生かせず。タイガースは7回から榎田、福原とつなぎ、ベイスターズも篠原、藤江と投手をつぎ込んで互いに譲らず、9回裏、山口に三者凡退に切って取られて連敗。
◎ベイスターズ23回戦……3−5
 先制したのはタイガース。2回裏、天敵三浦からブラゼルがライトスタンドにソロホームラン。しかし、今季2度目の先発の小嶋はこれを守ろうとボールを置きに行き打たれる。4回表、村田に二塁打を打たれ、渡辺直に死球を与える。松本にセンターオーバーの三塁打を打たれて逆転され、さらに山崎にもレフト前に弾き返されて1点を追加される。続く黒羽根にもヒットを許し、三浦のバントで2死二三塁に。下園のセンター前タイムリーで2点をさらに与える。タイガースは5回以降筒井、西村、藤原が無失点リレー。5回裏、先頭の小宮山がライト前ヒットを打つと、続く田上が四球を選び、代打金本がライト前ヒットで満塁に。柴田は浅い外野フライでタッチアップできず。平野のセカンドゴロは二封がやっとで小宮山が生還し、1点を返す。続く鳥谷はレフト前ヒットで2点差に迫るが、打点王のかかる新井貴はライトフライで一気に追いつくところまでいかず。三浦に9回までマウンドに登られ、マートンのヒットで降板させたが、ここでベイスターズは山口を投入。大和と代打桧山は平凡なフライ。代打関本のヒットで同点のチャンスを作ったが、俊介がいい当たりだったがセカンドゴロに終わり、試合終了。三浦の老獪な投球に翻弄されてしまった。
◎ベイスターズ24回戦……4−2
 今季の甲子園最終戦。タイガースの先発は久保。初回につかまる。先頭の下園にヒットを許し、荒波の一塁ゴロで二塁へ。筒香のヒットで1死一三塁とされ、村田の犠牲フライで先制された。4回表には筒香を歩かせ、村田にヒットでつながれ、渡辺直のバントで1死二三塁に。松本のタイムリーが出て2点差に。タイガース打線は高崎の前に淡々とした攻撃。しかし、4回裏に反撃。柴田が二塁への内野安打で出塁。これがこの日のタイガースの初安打。平野の左中間へのヒットで柴田が三塁にすすみ、打点王を狙う新井貴が犠牲フライを打ち1点差に。一気に攻めたのは6回裏。1死から平野がヘッドスライディングの二塁内野安打で出ると鳥谷もライト前に運び、新井貴が四球を選んで満塁に。マートンが右中間に運び走者一掃の三塁打。これで一気に逆転した。タイガースは福原、渡辺、筒井、榎田と小刻みな継投でベイスターズ打線を封じ、9回表には藤川球がきっちり3人で締め、本拠地最終戦を白星で飾った。藤川球はセーブ王が確定的になった。本拠地最終戦のため、ヒーローインタビューはなし。
◎カープ22回戦……7−1
 タイガースの先発は能見。最多奪三振のタイトルがかかる能見だが、カープの前田健が現在トップ。カープ打線は勝敗を度外視して三振をしないように早打ちを繰り返し、そのため能見は楽に投球できたが、結局奪三振数をのばすことができなかった。カープの先発は福井。2回表、先頭のマートンが四球。森田と田上の連打で満塁とし、小宮山のレフトへの大きな犠牲フライでマートンが生還して先制。さらに福井の暴投で2点目を加える。3回表、平野の左中間を破る二塁打と鳥谷の四球でチャンスを作り、新井貴がライト前にタイムリー。さらにマートンのショートゴロ併殺の間に4点目を取る。5回表、ヒットの平野を塁に置き、鳥谷が右中間を破るタイムリー二塁打を放つ。さらに新井貴がレフト前にヒットを放つと鳥谷が一気にホームを突き生還。新井貴の打点王のタイトルをアシストする好走塁。これで6点差となり試合の行方は決した。福井はこの回途中で相沢にマウンドを譲って新人王争いから大きく後退。5回裏、2死から東出が二塁打。赤松のタイムリーで1点を奪われ能見は完封を逃す。しかし、続くチャンスで新井貴打点王のライバル栗原を凡退させる最高のアシスト。8回表、カープ四番手の永川勝から田上がプロ入り初猛打賞となるヒットを放ち、さらにプロ入り初盗塁。2死後、五番手青木高から柴田が投手強襲ヒットを放ち、青木高の手に当たって球が弾かれる間に田上が生還、7点目を入れた。能見は早打ちカープの前に4奪三振のみ。9回裏、松山もバーデンも早いカウントで打って出て凡退。最後の打者となる會澤にはフォークの連投で意地の奪三振。今季最後の登板を完投勝利で飾った。ヒーローインタビューはプロ入り初猛打賞と初盗塁の田上。
◎カープ23回戦……0−1
 タイガースの先発はプロ入り初登板となる清原。4回までは必ずランナーを背負いつつも落ち着いて後続を断つ好投。しかし、5回裏、ヒットの安部を大竹に送られ、東出のライト前タイムリーで1点を失い、この回限りで降板。若い清原を援護したいタイガース打線だが、今季未勝利で復活を期する大竹の前にヒットは出ても決め手を欠き得点できず。2回表にはマートンが、5回表には藤井彰が二塁打を打つが若い森田や田上が、そして清原がチャンスを生かせず。タイガースは6回から藤原、白仁田、鄭と若手投手の継投でカープの得点を阻んだが、カープも8回から大島、今村と若手投手陣をつぎこんでタイガース打線を黙らせ、そのまま試合終了。これで今季のタイガースの負け越しが決定。マートンは4打数2安打で最終戦に首位打者を賭けることになった。
◎カープ24回戦……2−0
 今季最終戦の先発は鶴。予定の5回を1四球のみのノーヒットピッチングで投げ切り、来季へ大きな期待をもたせてくれた。さらに新人最多ホールドの記録を作らせようと榎田を6回表に投げさせ、2奪三振を含む三者凡退で記録達成かと思われたが、なんと7回表、ここまで打ちあぐねていた今井をとらえる。先頭の柴田のヒットに続き、上本も左中間を破る二塁打で無死二三塁。新井の打点に期待がかかったが、ここはカープは栗原のアシストで勝負を避け敬遠気味の四球で満塁に。森田がレフトに犠牲フライで先制。ランナーがそれぞれ進み、続く大和もレフトへの犠牲フライで2点目。これで榎田にはホールドではなく勝利がついた。嬉しい誤算というべきか。奪三振王と200イニング登板の記録を賭けて7回裏には能見が登板。しかし、カープも前田健のアシストでどんどん打って出て三振は取れず。残念ながら奪三振王のタイトルを逃した。8回裏に登板した白仁田がバーデンにヒットを打たれてノーヒットノーランリレーは逃したが、打たれたヒットはこれだけ。二塁上本のエラーも出てピンチを作るも、筒井にスイッチして代打丸を併殺に打ち取り失点は免れた。9回裏には藤川球が登板。四球は出したものの、最後の打者中東を三振に打ち取り、真弓監督最後の勝利を締めた。カープの今季本拠地最終戦のため、ヒーローインタビューはなし。

愛すれどTigers週間MVP
投手……鶴直人 今季最終戦でカープ打線をノーヒットに抑える。最終戦で出したい投手がたくさんいたため、ノーヒットノーランに挑戦ということにはならなかったが、打線の援護があれば勝ち投手。この日の投球を忘れず、オフシーズンやキャンプでは徹底的に鍛え、来季こそ一本立ちしてほしいものだ。
野手……マット・マートン 首位打者を狙う位置で最後まで手を抜くことなく最終戦まで出場。最終戦はノーヒットで首位打者は逃したが、甲子園最終戦の決勝タイムリーなど彼本来の力を最後まで発揮してくれた。

 かくしてシーズンは終わりぬ。真弓監督はほんまにお疲れ様でした。決して選手をけなすことなく、キャンプ中もシーズン中も若手に常に打撃へのアドバイスを与え、育成についての情熱は星野監督や岡田監督以上の熱心さを見せた。真弓監督への評価は次回にゆずる。ひたすら罵声に耐えて最後まで監督としての仕事を全うしてくれた。次期監督は和田コーチ。タイガースの黄金期も暗黒時代も知り尽くした人物である。来日当初のマートンへの熱心な指導などでも実績をあげてきた。いずれは監督にと期待していた人なので、私としてはうってつけの人材と思う。さあ、今度はドラフト会議だ。慶応大の伊藤選手の1位指名が確実だと言われているが、ジャイアンツから東海大の菅野投手を横取りするくらいの気概を見せてほしい。

(2011年10月25日記)


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