愛すれどTigers


2012年度いよいよ開幕

 今シーズンのタイガースは、もし優勝を逃したらあと10年くらい優勝できなくなる、そんな気がする。今オフには藤川球と鳥谷の海外FA移籍権が行使されるかもしれない。和田新監督が投打のキャプテンに指名した2人がすっぽりと抜けてしまう可能性があるのだ。そうなったら、来季以降のタイガースはそれこそ一から若手を育てていかなければならない。それらの選手が熟成して優勝を狙えるようになるには10年はかかるだろう。
 だから、今年は何が何でも優勝しなければならないのだ。キャンプ中の藤川球と鳥谷の言動からは今年に賭けるものが伝わってくる。
 戦力面では昨年から目立った補強をしていない。上園とのトレードでイーグルスから松崎を獲得したが、現有戦力からいうとこのトレードで大幅な戦力アップがなされたということはできないだろう。
 期待されるのは若手の成長だ。前監督の真弓さんもテレビでタイガースの鍵になると指摘していた。実際、昨シーズン、チームの成績を度外視してでも起用した小宮山捕手や柴田外野手、大和内野手らは今季の戦力として計算されるまでに成長しつつある。公式戦で経験を積むことにより、俊介外野手、森田内野手、田上外野手、中谷捕手兼外野手、若竹投手、清原投手、秋山投手、岩本投手などがとびだしてくれたらいうことなし。
 ベテラン勢は安定している。先発投手は、能見、岩田、メッセンジャー、スタンリッジ、久保、安藤と出そろい、開幕当初は久保のかわりに小林宏や二神も起用されるだろう。ここから誰かが欠けたとしても、鄭凱文、小嶋、鶴などが手ぐすねを引いて待っている。リリーフは切り札の藤川球とその前を投げる榎田、さらには福原、渡辺、藤原、筒井と中継ぎの顔ぶれもかなりの結果を出してくれそうだ。むろん、川崎、加藤、松崎ら左のワンポイントで使える投手たちも投手陣に疲れが見える夏場以降にはチャンスをもらえるだろう。
 捕手は藤井彰が正捕手として起用されるが、スタミナ面から小宮山、岡崎、清水らが適宜先発起用されることが予想される。城島が捕手として出場できない分、小宮山ら若手の成長は必須である。
 内野手はほぼ固定。4番打者としてサードの新井貴。平野と鳥谷の二遊間は鉄壁。鳥谷、平野の一二番コンビが固定できれば打線の威力が増す。一塁はブラゼルと城島のツープラトンだが、ここはブラゼルを固定したい。ただ、膝に不安を残すブラゼルの調子が落ちた時に休ませ、城島を使えるのは大きい。外野は金本が驚異的な復活を成し遂げたけれど、だからといって以前のようにフル出場は無理だろう。若手は守備固めからでも金本のポジションを奪う気概で出場してほしい。ライトは故障のマートンが復帰したら、まず固定。となると、センターが一番の激戦区となる。大和、伊藤隼、俊介らの名前もあがるが、進境著しい柴田で固定できるとセンターラインが締まってくる。
 伊藤隼太。ドラフト1位の逸材をどう育てるか。和田監督の腕の見せ所だろう。私は当面は金本の控えとして起用し、金本を休ませる時には必ず伊藤隼をスタメンに置くという形が理想と考えている。
 代打では桧山、関本の左右の切り札がベンチにいる。浅井も昨年の屈辱を晴らしたいだろうし、林は今季が最後のチャンスというくらいの気持ちで臨んでくるだろう。
 和田新監督の采配はまだ未知数ながら、タイガース一筋で引退後もずっとコーチとしてユニフォームを着続けているところに強みがある。タイガースというチームの裏も表も知り尽くしている。長年解説者をしていた真弓前監督が現場の勘を取り戻すまで苦労していたことを思うと、かなりの違いとなって出てくるはずだ。「熱くなれ!」のスローガンは精神的な部分を大切にしている証左だろうし、オープン戦で見せた足をからめた攻撃が公式戦でもできれば、投手力が計算できるだけに接戦で強くなれる。
 戦力的に見ればジャイアンツが圧倒的に優位に立っているとみられているが、今のプロ野球で最も大切なのは絶対的な抑え投手の存在だ。昨シーズンのドラゴンズには浅尾と岩瀬のコンビがいた。今シーズンもいる。リードさえすれば切り札の投入で逃げ切れる。ジャイアンツにそんな絶対的なリリーフエースはいない。昨シーズンは久保が活躍したが、今年も同じ活躍ができるかどうか。どんなに杉内やホールトンや内海が好投し、山口がセットアップしても、久保がぶち壊したらそれだけでチーム全体が戦意喪失。シーズンは長い。前半独走していたとしてもリリーフエース不在のチームは必ず息切れする。
 とにかくタイガースは今季優勝しなければ来季以降とんでもないことになる可能性がある。だから、ファンも「熱くなれ!」のスローガンとともに気合を入れて応援する必要がある。1つ2つ負けたくらいで選手を疫病神の給料泥棒のとまるで犯罪者のようにつるしあげるのはよそう。一体となって優勝を目指そうではないか。

(2012年3月29日記)


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