今節は9連戦の残り6試合。鬼門ナゴヤドームでは勝ちゲームを藤川球の乱調で同点に追いつかれて2敗1分。甲子園に戻ってジャイアンツ戦。岩田の力投でなんとか連敗は脱出できたものの打線は相変わらず低調で1勝2敗。今節は1勝4敗1分で、通算勝利は13勝14敗5分。勝率.481で五割は割ったがかろうじて3位。首位のスワローズとの差は4.5ゲーム。和田監督はチームへの刺激の意味も込めて柴田と小宮山を二軍に落とし、田上と今成を一軍に昇格させた。
◎ドラゴンズ4回戦……0−1
久保と山井の投手戦。3回表、1死から久保のヒット、平野凡退のあと柴田もレフト前ヒットで続きチャンスを作ったが、鳥谷がサードゴロで得点ならず。久保は7回までほぼ完璧といっていい投球。ランナーを出してもあわてず冷静に速球と変化球をバランスよく織り交ぜ、ドラゴンズ打線に狙い球を絞らせない。6回表、新井貴の二塁打と金本の四球でチャンスを作るもマートンは打ちあげ、ブラゼルはピッチャーゴロ。谷繁のリードにまんまとひっかかる。8回裏、試合が動いた。1死から谷繁がレフトへの二塁打、堂上直のレフト前ヒットは前進守備の俊介が抑えて谷繁は三塁どまり。ここで代打堂上剛をピッチャーゴロに打ち取る。谷繁がホームに向かって走っていたが、久保はダブルプレーを狙い二塁へ送球。堂上直は二封。しかし、鳥谷の一塁送球がライト方向にそれ、打者走者の堂上剛は一塁セーフ。谷繁の生還を許し、この判断ミスともいえるゲッツー狙いが裏目に出てしまい決勝点を奪われた。9回表はクローザーの岩瀬にかんたんに三者凡退に切って取られ、3試合連続無得点で3連敗となった。
◎ドラゴンズ5回戦……2−2
タイガースの先発スタンリッジが10日ぶりの登板。調整機関をあけた分、スピード、コントロールとも上々で、ドラゴンズ打線に決定打を与えない。2回表、ブランコのヒットと盗塁などでピンチを作るが、堂上直をサードゴロに打ち取り難を逃れた。一方、ドラゴンズの先発は中田賢。4回までパーフェクトピッチングに抑えられていたが、5回表、1
死から金本とマートンの連打でチャンスを作ると、ブラゼルがライト前に久々のヒットを放ち、二塁から金本が一気にホームインし、ついにスコアボードに得点を記した。しかし、小宮山のセーフティスクイズ失敗などで追加点はならず。6回表には1死から柴田の内野安打、鳥谷のライト前ヒットでチャンスを作るも新井貴、金本と凡退。7
回表にはブラゼルがあわやホームランというレフトフェンス最上部に当たる二塁打を放ち、痛む足を引きずりながら塁上に立ったが、後続を断たれる。スタンリッジは7回裏、2死から井端と谷繁の連打でピンチを作るも堂上直をセカンドゴロに打ち取り7回無失点でマウンドを榎田に託した。その榎田が誤算。先頭の代打ディアスにヒットを打たれると、大島のバントで代走英智が二塁に進む。荒木への死球のあと、平田にライト前に落とされて同点に追いつかれた。それでもブランコを三振に取り、和田をサードゴロに抑えてリードは許さず。続く筒井も三者凡退の好投。小林正、田島、ソーサをはさんで10回表のマウンドには浅尾が。先頭の関本がショートに鈍い当たりの内野安打。珍しくヘッドスライディングを見せる執念。平野が送り、新井貴のレフト前タイムリーで再び1点リード。そして必勝を期して藤川球がマウンドに上がるが、代打堂上剛にセンター前に運ばれ、大島のバントで二塁に。荒木にレフト前に運ばれ堂上剛が同点のホームイン。それでも、最後は高卒1年目の新人、代打の高橋周をレフトフライに打ち取って試合終了。勝ちパターンにもっていきながら、引き分けという残念な試合であった。
◎ドラゴンズ6回戦……0−3
タイガースの先発は安藤。初回はなんと三者三振という素晴らしい立ち上がり。しかし、2回裏、先頭のブランコにライトフェンス上部に当たるソロホームランを打たれ、先制点を許した。さらに和田と井端にはせんたー前に落ちるテキサスヒットを打たれ、谷繁のバントで1死二三塁とされ、堂上直のライトの頭を越す二塁打で2点を追加される。安藤は4回まで投げて降板したが、3回以降は立ち直っていただけに、ホームランによって流れを相手につくってしまった2回だけが悔やまれる。ドラゴンズの先発は雄太。特に調子がよかったわけではないが、タイガースの打者たちが谷繁の老獪なリードに翻弄され、さらにリードを許したのをなんとか追いつかねばと焦ってしまっているのがテレビの画面からも見えてしまう。4回表、無死から大和のショートへの鈍い当たりの内野安打、鳥谷のライト前ヒットで無死一三塁という絶好のチャンスを作るが、新井貴が真ん中の球を空振り三振、マートンはいい当たりだったがライトの正面に飛んでアウト。そしてブラゼルは三振。5回表には代打浅井のヒットも続く代打城島のショートゴロ併殺で生かせず。7回まで雄太をもたせてしまった。5回裏からはタイガースは鶴、福原、渡辺の継投。ヒットを打たれピンチを作りながらも要所を押さえて無失点で切り抜けた。その頑張りに打線はこたえられない。8回表は田島、9回表は岩瀬にそれぞれ三者凡退に抑えられて完封負け。ついに勝ち越しなしの勝率5割というところまで追い込まれた。
◎ジャイアンツ7回戦……0−4
タイガースは打線のテコ入れにと2年ぶりに金本を四番に据えた。しかし、それが結果に結びつかないところがつらい。タイガースの先発能見は初回、2死から坂本を歩かせ盗塁を許し、村田のレフト前タイムリーヒットで先制される。2回表には實松のレフトフライを金本が追いつきながらグラブに当てて落球、實松は三塁をおとしいれた。続く長野はレフトスタンドに2ラン。3回以降は立ち直った能見だが、6回表、先頭の村田にバックスクリーンに叩きこまれて4失点で降板した。それでも渡辺、福原とつないで7回以降は追加点を許さなかった。打線は天敵杉内の前に完全に沈黙。4回裏、2死から鳥谷がセンターに弾き返すヒットを放つが、この試合、杉内から放ったヒットはこれ1本だけ。9回裏、ついに顔面骨折から一軍に復帰した藤井彰が四球を選んだが、これがこの試合2人目の走者。俊介、平野と内野ゴロでなんとか三塁に送ったが、代打関本があえなく見逃し三振。完敗でぐうの音も出なかった。
◎ジャイアンツ8回戦……2−1
この試合、和田監督はさらに打順を組み替え。1番に鳥谷、3番にマートン、5番に新井貴を入れる。初回、その新打順が機能。ジャイアンツ先発内海から鳥谷が二塁打を放つと、平野のバントで三塁に進み、マートンのショートゴロの間に鳥谷は生還し、先制のホームを踏んだ。さらに4回表、タイガースの選手では甲子園第1号となるソロホームランを先頭の新井貴がレフトポール際に叩きこみ、2点差とする。内海はこの回限りで降板。タイガースの先発岩田は初回からランナーを背負うが併殺で切り抜けるなど、粘りの投球。5回表、1死から谷、ボウカーに連打を許し、代打加治前のタイムリーで1点差とされる。しかし、長野をセカンドゴロに打ち取り同点のホームは許さない。7回表、高橋由、谷の連打で無死一三塁とされるが、ボウカーのセカンドゴロで高橋由を本塁封殺。代打阿部は三振に取り、続く代打亀井もセカンドゴロに打ち取ってピンチを逃れた。8回表、二番手榎田は1死から寺内を歩かせ、坂本と村田の連打で満塁とされる。ここで三番手の筒井が登板、高橋由をショートフライ、谷をライトフライに打ち取り逆転のピンチを脱した。ジャイアンツは高木康、マシソン、山口の継投でタイガース打線を封じる。9回表、クローザーの藤川球が満を持して登板。しかし、先頭のボウカーにヒットを許し、代走の鈴木尚を中谷のバントで送られる。隠善にはファールで粘られたがサードへのファールフライ。長野を敬遠して一二塁と塁をつめ、寺内と勝負。こちらも格下の相手にさんざんファールで粘られながらなんとかフォークで空振り三振。試合終了となっても藤川球に笑顔はなかった。ヒーローインタビューは先発で粘りの投球を見せた岩田とピンチで登板し相手を圧倒した筒井。これで1日で勝率を5割に戻した。
◎ジャイアンツ9回戦……1−2
タイガースの先発メッセンジャーにとっては悪夢の2回表だっただろう。先頭の村田にライト線に二塁打を打たれたものの、続く高橋由は鈍い当たりの投手ゴロ。あたりが鈍すぎて、そのまま一塁に投げても間に合わないところを焦って送球。ブラゼルのミットの下を通過して一直線にファールグラウンドへ。村田がホームに帰り、高橋由も二塁に進む。谷のバントで三塁へ。ボウカーを打ち取り、今季無安打の實松に対した時、油断が生じたか、甘い球をセンター前に運ばれ、2点目を失った。メッセンジャーは7回まで投げてピンチらしいピンチはこの回だけだっただけに、自らの悪送球が悔やまれたことだろう。タイガース打線は澤村から毎回のように先頭打者を出塁させる。初回は鳥谷、平野の連打と金本の四球で1死満塁と攻めたが、新井貴は浅いライトフライ、ブラゼルは三振。4回は先頭の新井貴のヒットに続き、ブラゼルがライト前に運び無死一三塁。柴田のサードゴロで新井貴は三本間に挟まれアウトになるが、その間に走者は進塁して1死二三塁。しかし、藤井彰、メッセンジャーの連続三振で無得点。8回裏には2死から新井貴がセンターオーバーの二塁打を放ち澤村をマウンドから引きずりおろしたが、二番手の山口にブラゼルはセカンドゴロ。タイガースは8回に二番手の福原がピンチを作ったが三番手の榎田が代打阿部をセンターフライに打ち取り、9回表には渡辺がランナーを許しながらも無失点で打線の援護を待つ。9回裏、クローザーの西村に対し、関本の四球と代打桧山のライト前ヒットで1死一三塁のチャンスを作り、鳥谷の犠牲フライで1点差と迫ったが、反撃もそこまで。平野のセカンドゴロで試合終了。澤村から7安打を放ちながら決定打を欠き、いつかは攻略できそうな雰囲気のまま攻略できずに終わってしまった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……筒井和也 榎田と藤川球が本調子でない中、今一番安して見られるリリーフ投手は筒井だ。榎田のつくったピンチを真っすぐで押して無失点に抑えたジャイアンツ戦は圧巻。昨年までの苦しげな表情でマウンドに立つ姿はもうない。自信に満ちあふれた姿で、大器がついに開花した。
野手……鳥谷敬 不振の続く打線の中で、孤軍奮闘というところ。1番打者としてチャンスメークをし、チャンスに打順がまわってきたら、きっちりと返すことができる。開幕当初の不振をやっと返上できた。あとはチーム全体が不振から脱するだけだ。
次節は新潟のハードオフエコスタジアムでカープと対戦。今季相性のいい相手だけに、この連戦をきっかけに調子を取り戻してほしい。1日おいて横浜でベイスターズと3連戦。調子をあげつつある相手だが、先発投手陣は弱い。ここで弾みをつけて交流戦に突入だ。とにかくなんでもよい。一軍での出番に飢えている田上や今堀のがむしゃらな活躍と、その姿勢に刺激される主力選手の姿を見たい。
(2012年5月7日記)