今節は交流戦化の開幕。まずは甲子園でファイターズと2連戦。とにかく打線がファイターズの自慢の投手陣の前に沈黙。2連敗。1日おいてゴールデンイーグルス戦。タイガースを知り尽くした星野監督の若手中心のオーダーに勢い負けして2敗。今節は4敗で、通算勝利は17勝19敗5分。勝率.472でついに5割を切って4位に転落。首位のドラゴンズとの差は5.5ゲーム。田上や今成の先発起用など大胆な手を打ってみたが、主力がここ一番で打てない。もっと気を楽にして打席に立ってはと思うが、実際に試合に臨むと方に力が入るものなのだろう。
◎ファイターズ1回戦……1−3
タイガースの先発はスタンリッジ。いきなり初回、先頭の糸井にバックスクリーン右にソロホームランを打たれて先制される。1死後、田中賢への死球、中田のヒット、稲葉への四球で満塁のピンチを迎えたが、陽を空振り三振に仕留めると、今浪はセカンドゴロに打ち取って1失点にとどめた。3回表、1死から田中賢にヒットを打たれ、不振の四番中田にレフト金本の頭上を襲うフェンスぎりぎりの二塁打を打たれて2点目を失った。しかし、ここも稲葉を一塁ゴロに取ると陽を三振に切って取り、それ以上の失点は防いだ。ファイターズの先発は左腕吉川。4回裏、マートンのライトフライを糸井がグラブに収めながら落球し、これが初めての出塁。5回裏には先頭の新井貴がセンター前にこの試合初安打を放つが、後続を断たれる。このままずるずるいくかと思われたが、6回裏、2死から平野が四球を選ぶと、マートンが右中間を破る二塁打で1点を返した。8回表、イニングまたぎの二番手渡辺が先頭の小谷野にヒットを打たれたが田中賢をショートゴロに打ち取り、中田もいい当たりながらショートライナー。稲葉を迎えたところで三番手筒井がマウンドに。ショートゴロに打ち取り1点差をキープする。8回裏、三番手宮西に対し、1死から鳥谷がレフト前にヒットを放ち、平野のバントで二塁に。マートンは敬遠気味の四球。金本の一塁線の強い当たりを稲葉がジャンプして好捕。このプレーが勝敗を左右した。9回表、四番手福原は1死から代打ホフパワーにセンター前に落ちるテキサスヒットを打たれ、代走中島と鶴岡の間のエンドランが決まって一三塁に。代打二岡は空振り三振に取ったが、糸井には粘られて四球を与え満塁に。小谷野にライト前のタイムリーヒットを打たれ、再び2点差とされる。9回裏、抑えの増井に2死から俊介のヒットで食らいつくが、代打桧山が一塁へ凡ゴロで試合終了。一つのプレーが試合の明暗をくっきりと分けた。
◎ファイターズ2回戦……1−4
タイガースの先発は安藤。3回表、先頭の大野にヒットを許したが、ウルフは不慣れなバントを失敗しスリーバントがファールとなって三振扱い。しかし、糸井にレフト前に運ばれ、小谷野には四球で満塁に。田中賢をセカンドゴロに打ち取るが、ランナーが目に入ったのか平野がグラブから球をこぼしてしまい、二封がやっとで、三塁走者が生還。名手の珍しいミスで先取点を与えた。6回表には先頭の小谷野にヒットを打たれ、1死後中田にもレフト前に痛烈な当たりのヒット。続く稲葉は一塁ゴロ。ブラゼルの二塁への送球はショートバウンドとなり、ランナーと交錯したかベースカバーの鳥谷が後ろにそらし、さらに1点を追加。陽は三振に取ったが代打スレッジに右中間を深々と破る三塁打を打たれて2点をさらに失い試合の大勢は決した。6回裏、それまで崩せそうで崩せなかったウルフをとらえかける。ヒットの平野と四球の金本、浅井を塁に置く2死満塁という状況で二番手堤に交代。ブラゼルがフルカウントまで粘りながら空振り三振。8回裏は四番手宮西から平野が猛打賞となるヒット。金本はレフトに軽く打ち返し、2死一二塁というチャンスを作る。ここで浅井がレフト前にタイムリーヒットを弾き返して1点を奪い、完封は免れた。タイガースは加藤、鶴が無失点で切り抜け、9回裏、打線の援護を待つ。ファイターズから移籍の今成がクローザーの増井からライト前に移籍越初ヒットを打つと、代打桧山はセンター前にうまくすくい上げて運び、無死一二塁。しかし鳥谷、平野と同じように打ち上げて内野フライ。最後はマートンがセカンドゴロで連敗。いつも分の悪いファイターズに連敗で交流戦は始まった。
◎ゴールデンイーグルス1回戦……2−3
タイガースの先発は能見。3回表、先頭の枡田にセンター前に弾き返され初安打を許したが嶋のセカンドライナーで枡田は飛びだし平野が一塁に送りダブルプレー。続く塩見の打球は三塁線のイージーゴロと思われたがベースに当たり内野安打に。聖澤を歩かせ銀次のヒットで満塁に。ここはそれでも高須をショートゴロに打ち取り無失点で切り抜けた。イーグルスの先発は塩見。4回裏、先頭の鳥谷がセンター前に初安打を放ち、平野のバントで二塁に。マートンは三遊間を抜けるかという当たりを好捕されてサードゴロに倒れたが、金本が四球を選び、新井貴のレフト前ヒットで先制点をあげた。能見は球が高めに浮きながらもよく投げていたが、7回表、ついにつかまる。フェルナンデスの大きな当たりはフェンスぎりぎりで浅井がジャンプして捕りアウトにしたが、牧田にセンター前ヒットを許し、テレーロのレフトスタンドに飛び込む逆転2ランを浴びた。それでも後続は断つ。和田監督はそれでも能見を続投させ、信頼しているところを示した。ただ、それにこたえられない。8回表、1死からヒットの内村を塁に置き、高須がエンドランを決めて一三塁に。フェルナンデスの犠牲フライで点差は2に。しかし、直後の8回裏、ハウザーから代打新井良がライトポール際に飛びこむソロホームランを放ち、1点差に迫る。9回表は二番手福原がテレーロ、西村、嶋を三者三振に切って取り、味方の反撃に期待。8回途中からマウンドに上がったクローザーの青山から、この日先発を外されたブラゼルがセカンド強襲のヒットを放って意地を見せたが、代打桧山はピッチャーゴロで、連敗ストップはならなかった。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……6−10
タイガースの先発は久保。捕手は今成。初めて組むバッテリーだけに久保の味のある投球をどれだけ引き出せるか気にかかるところ。初回、二塁打の銀次を塁に置き、フェルナンデスのテキサス性のセンター前ヒットで先制される。しかし、イーグルスの高卒ルーキー釜田からタイガース打線が反撃。1回裏、鳥谷がショートへの内野安打で出、マートンのショートゴロを枡田がワンバウンド送球し、これがそれてチャンスを広げる。金本のライト前ヒットで満塁とし、新井貴のところでワイルドピッチ。難なく同点に。さらにブラゼルがレフト前に落ちるタイムリーで2点を加えてあっさり逆転した。しかし、久保は3回表に聖澤のヒット、銀次への四球、高須のヒットで満塁とされ、フェルナンデスにセンター前に同点タイムリーを浴びた。さらに4回表に枡田のセンター前ヒットを金本がダイレクトでとろうとして弾き、三塁打にしてしまい、代打小斉のセンターへの犠牲フライで勝ち越されてしまった。久保はこの回限りで降板。5回表には二番手渡辺が銀次のヒットとフェルナンデスの四球で1死一二塁とし、牧田のライト前タイムリーでさらに1点を追加される。タイガースはイーグルス二番手の川井から5回裏に金本の内野安打と代打新井良のライト前ヒットで2死一二塁とし、代打関本のライト前へのタイムリーで1点をすぐに返す。しかし、6回表、筒井が打たれた。ヒットの鉄平を聖澤が送り、銀次のライト前タイムリーで1点を失う。さらに7回表、四球の牧田を美馬に送られ、代打ガルシアには死球。小山桂のレフト前ヒットで満塁とされ、鉄平を三振に取り2死としたものの聖澤にはショートへの内野安打で1点を追加され、とどめは銀次の右中間を破る走者一掃の三塁打。6点差をつけられてしまった。調整登板で9回表に藤川球が三者凡退に抑えると、それがいいリズムになったか9回裏、五番手小山伸から2死のあと新井貴がヒット。そしてブラゼルがライトスタンドに久々の2ランを放ち、不振の大砲が猛打賞で目を覚ました。問題はマートンで、あまりの不振に感情をコントロールできなくなり、無気力プレーとも捕れる緩慢な動きが目立った。
愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 連敗中ながら、自分の役割をしっかりと果たし、負けていても試合の緊張感を切らせない投球をしている。こういうベテランが支えているからには、そうそう大崩れはしないはず。
野手……新井良太 ひたむきにボールに食らいつく姿勢が、移籍初ホームランを生んだ。声を出し、全力疾走し、どんなに負けていてもあきらめない。今のタイガースに必要なのはこういう姿勢なのだ。
次節は準フライチャンズの京セラドーム大阪でバファローズ戦、1日おいてホークス戦。厳しい状況は続くが、パ・リーグ最下位を争うバファローズ戦でどんな形でもいいから初戦をとれば、流れも変わるのではないだろうか。DHをどのように使うか、和田監督の腕の見せ所でもある。ブラゼルをスタメンから外して気分をリフレッシュさせ成功した。ならば今度はマートンの番だろう。新井良のような必死さをどの選手も見せてくれれば、と思う。
(2012年5月21日記)