愛すれどTigers


ブラゼル来日初サヨナラ打

 今節は甲子園球場でマリーンズと2連戦。初戦は6点差を追いついて引き分け、2戦目はブラゼルの来日初のサヨナラヒットが出て、1勝1分。1日おいて札幌ンドームでファイターズ戦。ここは昨年も全廃した鬼門で、ここぞというところでタイムリーが出ずに2敗。今節は1勝2敗1分で、通算勝利は21勝23敗7分。勝率.477で、スワローズが持ち直し4位に陥落。首位のドラゴンズとの差は6.5ゲームと変わらず。

◎マリーンズ1回戦……9−9
 マリーンズの先発はスワローズ時代にもジャイアンツ時代にも苦手にしていたグライシンガー。しかし初回、先頭の平野がヒットを打ち、鳥谷の左中間を破る三塁打で1点を先制。ただ、タイガース先発の岩田の調子が出ない。2回表の2死満塁のピンチはグライシンガーを三振に取りなんとかしのいだが、3回表につかまる。先頭の岡田に内野安打で出塁されると、根元のバントは野選となり無死一二塁。井口のセンター前ヒットで同点に追いつかれ、ランナーを三塁に残してサブローのショートゴロ併殺の間に生還されて逆転される。4回表、今江、大松、里崎の三連打でさらに1点を奪われ、グライシンガーのバントで1死二三塁に。岡田の一塁ゴロはブラゼルが本塁を気にして一塁に投げるのが遅れ、さらに誰もベースカバーに入っておらず満塁に。根元のサードゴロで本塁封殺し、2死にしたところで岩田は降板。二番手の久保が井口にバックスクリーン左に満塁ホームランを打たれ、この回5失点。6点差をつけられ万事休したかと思われた。しかし、4回裏、先頭のマートンがライト前ヒットで出ると、ブラゼルの高く上がった二塁フライを井口が落球。新井貴はライトフライに終わったが、藤井彰がライト前にタイムリーでまず1点を返す。代打の坂は凡退したが、平野は四球を選ぶ。大和のショート後方のフライを根元とサブローがお見合いして間に落とした上に、打球が横に弾む間に一塁走者の平野までが生還し、走者一掃の二塁打となった。さらに鳥谷にライト線を破る二塁打が出て再び1点差に。それでもマリーンズは粘る。5回表、二番手渡辺は今江にレフトポール際にソロホームランを打たれ、6回表には先頭岡田のセカンドゴロを平野がグラブからこぼして生かしてしまい根元のバントで二進させ、井口のセンター前タイムリーで3点差とされた。6回裏、三番手中後から代打新井良が四球を選ぶと、平野がヒットで続き、大和が死球でまんるいに。鳥谷のセンター前ヒットで1点を返す。そして8回裏、五番手益田から代打柴田がライト前ヒット。平野がレフト前ヒットで続き、大和のバントが決まる。鳥谷の犠牲フライで1点差とし、金本もヒットで続く。マートンはセカンドゴロ。これを井口が大きく前にはじき、その間に平野が生還してついに同点に。最終回は藤川球が三者空振り三振に打ち取る。9回裏、薮田に1死から代打桧山がヒット。柴田が送りサヨナラのチャンス。平野は敬遠、代打関本も四球で満塁。しかし鳥谷はショートゴロで一歩及ばず引き分けた。マリーンズ井口は6打点2失策と独り舞台。大荒れに荒れた試合だった。
◎マリーンズ2回戦……2−1
 タイガースの先発はスタンリッジ。毎回のように先頭打者を出塁させるも、ショートゴロを打たせてはピンチを脱する。2回裏、マリーンズの先発、新人の藤岡から藤井彰がレフトポール際に先制のソロホームランを放つ。しかし、3回以降は打ちあぐねた。5回表、今江と大松に連打を浴び、里崎はセンターフライ、藤岡はバントを刺せずに三振と追い込んだが、岡田のレフト前に落ちるヒットで二塁から今江が生還し、同点とされた。スタンリッジは7回表、里崎のヒットとバントの構えをしている藤岡への死球、岡田のバントで1死二三塁とピンチに。根元は空振り三振に。代打福浦は歩かせたが、サブローを一塁ゴロに打ち取って満塁のピンチをしのいだ。8回表は筒井が、9回表は藤川球がそれぞれヒットを打たれるも後続を断ってしのぐ。マリーンズの二番手内から8回裏、先頭の代打柴田がヒットで出るが、平野はバントができず三振。柴田は盗塁で二塁に進むが代打桧山、鳥谷が連続空振り三振でチャンスをものにできず。9回裏、三番手薮田から金本が死球を選び、代走田上とマートンの間でエンドラン。マートンの当たりは三遊間を破り無死一三塁に。関本は三塁ベース前のサードゴロ。田上は素早く帰塁し、マートンは二塁に進む。そしてブラゼルの当たりは鈍いゴロながらセカンド塀内の右を抜けるライト前ヒットとなり田上が生還してサヨナラ勝ち。ヒーローインタビューはサヨナラヒットのブラゼル。不調の新井貴はベンチスタートで、結局代打での出番もなく1試合休む形となった。
◎ファイターズ3回戦……1−2
 ファイターズの先発ウルフを3回表に攻略。先頭のブラゼルがセンター前に弾き返し、藤井彰がバントで送る。柴田は四球、平野は死球で満塁に。大和の鈍い当たりのサードへのゴロは送球が間に合わず、1点を先取した。しかし、鳥谷は三振、金本はいい当たりだったが一塁ゴロで追加点をとれず。タイガースの先発は能見。3回裏、先頭の大野を歩かせたが、エンドラン失敗で飛びだし、藤井彰の思いきって外した策が当たり一二塁間に挟まれアウト。糸井も四球で出したが、再び藤井彰が盗塁を刺す。4回裏、1死後、中田のショートゴロを鳥谷がエラー。稲葉は三振に取ったが中田に盗塁を許し、陽のセンター前ヒットで同点に。それでも関本の三塁フライ背面キャッチなどバックの守りに助けられ、能見は8回を1失点で投げ切る。しかし、タイガース打線もウルフのつかみどころのない投球に手を焼き、6回まで毎回ランナーを出すも攻略できず。ファイターズは7回以降、宮西、増井、森内とつなぎ、タイガースも9回裏には榎田を投入して試合は延長戦に。10回表、ファイターズのストッパー武田久に抑えられ、10回裏にはタイガースは藤川球を出す。1死から代打ホフパワーに二塁打を打たれ、糸井は敬遠。小谷野も歩かせ、田中賢にセンター前に弾き返され、サヨナラ負けを喫した。
◎ファイターズ4回戦……3−7
 メッセンジャーが先発。1回裏、いきなり糸井に死球。2死後、中田に先制の2ランをレフトスタンドに運ばれる。武田勝に手を焼いていたタイガース打線だが、5回表についに攻略。1死から新井良がレフト前にヒットを放ち、平野もレフト前に落として続く。1死後、鳥谷のライト前ヒットで1点を返すと、金本はライト線へ二塁打を放ち平野と鳥谷を迎え入れ、逆転。これで金本はプロ通算1500打点を記録した。しかし、メッセンジャーがすぐに追いつかれる。5回裏、小谷野にライト線に二塁打を打たれ、中田のうまくすくい上げるレフト前タイムリーで同点。両先発投手はそれぞれ7回まで投げ切り、3失点ずつで互角。8回表、タイガース打線は二番手増井を攻略できず。8回裏、タイガースの二番手筒井が誤算。先頭の稲葉にヒットを打たれると、陽のバントで二塁に。ここで和田監督がマウンドに行き激励。代打二岡は敬遠し、金子誠と勝負したが、左中間を破る二塁打で2者を返される。2死後、糸井のヒットで一三塁とされ、小谷野、田中賢の連続タイムリーでさらに2点を失い、小谷野を本塁で刺してなんとかチェンジに。しかし、4点差がありながらストッパーの武田久を送りこまれ、柴田の四球と平野のヒットでチャンスを作るも、代打新井貴はライトフライ。鳥谷は三振で逃げ切られる。これでファイターズには交流戦全敗に。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェイソン・スタンリッジ マリーンズ戦、味方の援護のないまま1失点でよくしのいだ。調子が悪いなりに必死に渾身の力をこめて投げる姿が美しい。チームはサヨナラ勝ち。それもスタンリッジの力投があったればこそだ。
野手……クレイグ・ブラゼル まだ本調子とは言いにくいけれど、マリーンズ戦のサヨナラ打のようにボールに必死で食いついていく姿勢が好結果を生んでいる。札幌でもヒットが出た。出会い頭の一発よりも、今の必死のパッチぶりにブラゼルの真の姿を見るような気がする。

 次節はKスタ宮城でイーグルス戦。甲子園での連敗を今度こそそっくりお返ししてほしい。イーグルスもそれほど楽な投手事情ではないはずなのだ。1日おいて甲子園で4連戦。バファローズとホークスには前回も互角の戦いができた。本拠地でファンの声援にこたえる働きを見せてほしい。そのためには今の委縮した表情ではなく、のびのびと思い切り野球を楽しむ気持ちを持ってほしい。思い切り打つ、思い切り走る。結果を恐れず相手に対して攻めて攻めてしていけば、きっと気持ちよく勝てる。そして、そろそろ新井貴をスタメンに戻してほしい。結果は出ていないけれど、しっかりと振っていい当たりが出始めている。新井貴の復調なくして打線の復調はないと信じている。

(2012年6月4日記)


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