今節は、鬼門ナゴヤドームでドラゴンズと3連戦。いきなりホームランを打たれて沈没した初戦、名手のエラーで先制点を献上した2戦、ドラゴンズ岩田ののらりくらり投法に封じこまれた3戦と、まるでいいところなく3敗。続く神宮球場でのスワローズ戦は初戦大きくリードしながら逆転負け。2戦目は打ち合いを制したが、3戦目はリリーフ陣が打ち込まれて逆転負け。で、1勝2敗。切り札の藤川球に続いてベテランの福原までもが腰に張りを訴えて登録抹消。代役として期待した加藤は接戦では打たれてしまう。藤井やブラゼルはスワローズのラフプレーで相次いで退場。なんだか嫌なムードが漂ってきた。今節は1勝5敗で、通算勝利は29勝33敗8分。勝率.468で、4位。首位のジャイアンツとの差は9.0ゲームと大きく開いた。
◎ドラゴンズ7回戦……1-3
タイガースの先発はスタンリッジ。1回裏、1死から大島、和田に連続でセンター前ヒットを打たれ、ブランコはライトフライに打ち取ったものの、続く堂上剛にボールを先行させてしまいストライクを取りにいったところをフルスイングされ、ライトスタンドに飛び込む先制3ラン。2回以降は安定した投球を見せただけに、このいきなりの一発はこたえた。タイガース打線はドラゴンズの吉見に対して初回に平野が内野安打を放って以降、4回表に鳥谷にヒットが出るまで一人のランナーも出せず。6回表には今成、新井良と勢いのある若手を次々と代打に起用するが、突破口とはならず。6回裏からは渡辺、加藤、久保田と継投してドラゴンズ打線を沈黙させただけに、反撃を期待したいところ。7回表、先頭の平野が四球を選ぶ。鳥谷は見送り三振したが、新井貴はショートゴロ。井端から二塁ベースカバーの荒木に送られたが、荒木はこれをこぼす。ところが塁審佐藤の判定はアウト。荒木が完全捕球したあとで送球動作の間にこぼしたということだ。これには和田監督も怒り、しつこく抗議するが、判定は覆らず。せっかくのチャンスを逸した。8回表、今度は先頭の柴田が右中間を破る三塁打でチャンスを作るが、今成は浅いレフトフライ、代打桧山はピッチャーゴロとなかなか続かない。マートンがライト前にタイムリーを放ち一矢報いるが、平野はセカンドゴロで反撃もここまで。9回表には岩瀬に三者凡退に打ち取られ、2時間23分という速さで試合終了。鬼門ナゴヤドームで先制アーチをかけられたのでは、勝ち目が見えてこないのも当然か。
◎ドラゴンズ8回戦……4-9
タイガースの先発岩田が、名手のあり得ないミスをきっかけに自滅した。1回裏、先頭の荒木にセンター前ヒットを打たれ、大島には追い込みながら死球を与える。和田をセカンドゴロに打ち取ったが、名手平野が併殺を狙い二塁に悪送球。ベースカバーの鳥谷も捕りにいく体勢が悪く球は三塁ファールグラウンドを転々とする。その間に走者は一掃され2点を献上した。さらにブランコを歩かせ、井端のバントで1死二三塁に。平田は浅いライトフライに打ち取ったが、谷繁の打席で岩田が暴投。3点目を献上し、谷繁を歩かせたあと堂上直にライト前にタイムリーを打たれ、いきなり4点のビハインド。3回裏には井端と平田の連打でピンチとなり、谷繁のセンターオーバーの二塁打でさらに2点を失った。4回表、ドラゴンズの先発雄太から鳥谷が四球を選ぶと、新井貴が左中間を破る二塁打で二三塁とし、金本の2499本目となるライト前タイムリーヒットでまず1点を返す。ブラゼル三振のあと、大和がレフト前にタイムリーで2点目を奪い4点差に戻した。しかし岩田は4回裏、1死から和田をサードゴロに打ち取るが新井貴が弾いて走者を許し、井端のセンターオーバーのタイムリーで5点差に戻される。6回表、鳥谷の四球と新井貴のヒットでチャンスを作ると、雄太にかわり小林正がマウンドに。金本は四球を選び、満塁に。ブラゼルの一塁ゴロは併殺崩れとなり三塁から鳥谷が生還。さらに三番手山井から大和がセンター前に落とすテキサスヒットで2点目を加えた。しかし、藤井彰の打席で山井のワンバウンドの投球を見てブラゼルが走ると、谷繁はそちらは無視して一塁に送球し、李塁していた大和がタッチアウト。このミスでこちらにきかけた流れが断ち切られた。6回裏、三番手渡辺がヒットの大島に盗塁され、1死後ブランコを歩かせ井端のセンターオーバーの二塁打で2点を失い、反撃の機運はなくなった。二番手の鶴、四番手の加藤、五番手の久保田の好投が救い。一方ドラゴンズも8回からソトと武藤の継投で逃げ切り。初回の信じられないエラーに、ナゴヤドームの鬼門たる所以を感じた。
◎ドラゴンズ9回戦……1-4
タイガースの先発はメッセンジャー。3回裏、先頭の荒木に二塁打を打たれ、大島のバントで三塁に。和田の鈍い当たりのショートゴロの間に荒木が生還し、先制点を奪われる。しかし、直後の4回表、ドラゴンズ岩田からマートンがレフトスタンドに同点ソロホームランを叩きこむ。その後は投手戦で試合が動かない。7回裏、メッセンジャーは力尽きた。井端のセンター前ヒットと森野の二塁打で無死23塁。谷繁の打球はライトの頭を越す二者が生還し、リードを許した。さらに山崎の内野ゴロの間に谷繁は三塁に。荒木の浅いライトファールフライで谷蘙がホームへつっこみ、4点目を奪われた。メッセンジャーは7回限りで降板。ドラゴンズはソーサ、岩瀬の継投。9回表、1死から新井貴、金本の連打で一発同点の場面を作るが、ブラゼルはショートゴロ併殺で試合終了。この試合で金本選手がプロ通算2500安打を記録。それを白星で飾ることができなかった。
◎スワローズ6回戦……6-7
スワローズの先発は赤川。2回表1死から大和と藤井彰の連打で一三塁のチャンス。ここで能見がセーフティスクイズを試みたが、大和が本塁で憤死。しかし続くマートンが歩いて満塁に。平野がセンター前にタイムリーを放ち1点を先制すると、鳥谷も押し出しの四球を選び2点目を取る。さらに新井貴がレフト前に2点タイムリー。一気に4点を先行する。3回表には新井良がレフトスタンドにソロホームランを放ち、5点差と突き放した。ところがこの試合の能見は球にキレがなく、4回裏、川端にセンター前に落ちるヒットを打たれると、畠山を歩かせ、バレンティンに執拗に内角速球で攻めるところをとらえられ3ランホームランをレフトスタンドに放りこまれた。それでも5回表、二番手のフェルナンデスから先頭の新井良が四球で出塁。1死後、藤井彰の強烈なライトライナーをバレンティンが弾き二塁打となり、新井良が生還して3点差に戻した。ただ、能見も乗り切れない。5回裏、中村にプロ入り第1号となるソロホームランをレフトポール際に打たれてまた2点差に。7回裏には必勝を期して筒井をマウンドに送ったが、筒井も球のキレがない。1死から宮出にレフトポール際にソロホームランを放りこまれ、中村には平野が横っとびに取ったがどこにも投げられない内野安打を打たれ、代打福地にもライト前ヒットでピンチを広げたまま久保田にスイッチ。ミレッジにライト前に運ばれついに同点に追いつかれた。田中浩はセーフティースクイズを失敗。ここで加藤に交代。サードへのファールフライをフェンスぎりぎりに関本がすべりこんで捕球。逆転は阻止した。8回表、五番手日高からマートンがヒット。平野が送って鳥谷は四球。ここで六番手山本哲がマウンドに。新井貴の打球はセンターの右に落ちるヒットかと思われたが、ミレッジのダイビングキャッチで得点を阻止された。8回裏、タイガースの五番手福原派は1死を取ったあと、バレンティンにスリーボールとしたところで腰の痛みを訴えて降板。急遽マウンドに立った渡辺はバレンティンを歩かせ、代走比屋根に盗塁を許す。宮本の四球の際ワンバウンド投球をしたら、比屋根はそれを見逃さず三塁を陥れる。代打藤本のセカンドゴロは本塁送球を焦った平野が大きく弾き、ついに決勝点となる1点がスワローズのスコアボードに。9回表には、この日休養でベンチスタートの金本や切り札桧山を代打で繰り出したが、クローザーのバーネットの前に三者凡退。よもやまさかの大逆転負けをくらってしまった。
◎スワローズ7回戦……6-4
初回、スワローズ先発のロマンから鳥谷がライトスタンドへ先制のソロホームランを放つ。しかし、タイガースの先発秋山は先頭のミレッジに内野安打を打たれると、盗塁を許し、田中浩のショートゴロの間に三塁に進まれる。川端のセンター前タイムリーヒットですぐに同点。それでもタイガースはすぐに反撃。2回表、ブラゼルがライトスタンドにソロホームランを放ち、再びリードした。3回表には先頭の秋山がヒットで出塁。マートンはサードゴロで秋山が二塁に進み、平野がライト線にタイムリー三塁打を放つ。さらに鳥谷もレフト前にタイムリーを打って3点差と突き放した。しかし、今季初登板初先発の秋山は苦しい投球。3回裏、バレンティンにライトスタンドにソロホームランを叩きこまれると、続く宮本にもヒットを打たれ、松井淳に同点の2ランをレフトスタンドまで運ばれた。5回表、1死からマートンがショートへの内野安打で出塁し、ロマンのワンバウンドになる投球の間に二塁を陥れる。平野のライト前ヒットで一三塁とし、鳥谷のライトへの犠牲フライで勝ち越す。秋山は5回裏、先頭の川端にヒットを許したが畠山を併殺に取るとバレンティンを三振に打ち取りこの回限りで降板。6回から7回は渡辺が、8回は加藤がそれぞれ無失点で切り抜ける。8回表、スワローズの四番手日高に対し、2死から代打新井良が四球を選び、代走大和が盗塁。藤井のライト前ヒットで生還し2点差とする。そして9回裏は榎田が登板、2死からミレッジは歩かせたが田中浩を三振に打ち取り連敗ストップ。秋山は2年ぶりの勝利を手にした。ヒーローインタビューは3打点の鳥谷。
◎スワローズ8回戦……5-9
タイガースの先発は安藤。初回、ミレッジに二塁打を打たれ、田中浩のバントで三進。川端のショートゴロの間にミレッジは鳥谷が本塁に投げる様子がないのを読んだ走塁で生還、先制点を許した。スワローズの先発は村中。2回表、ブラゼルのヒジに四球。ブラゼルは代走浅井と交代し、大砲が早々と引っ込んでしまった。その後大和のヒットと安藤のサードゴロエラーで満塁と迫ったが、マートンがセカンドゴロで得点できず。2回裏、先頭のバレンティンが二塁打で出塁、宮本のセカンドゴロで三進。松井淳のセカンドゴロでホームにつっこむ。藤井彰がブロックするところをひじ打ちをかますラフプレーながら、アウト。しかし、このプレーで脇腹を傷めた藤井彰は3回限りで交代。正捕手まで途中退場となった。4回裏、1死後、バレンティンと宮本に四球を与え、松井淳の一塁ゴロで一三塁に。相川にレフト線にタイムリーを打たれ、2点差とされた。5回表、先頭の安藤がレフト前ヒットで出ると、続くマートンはライト線に二塁打で二三塁に。平野が歩いて満塁に。鳥谷は一塁の前で高く弾み頭を越すライト前ヒットで2者を返し同点に。新井貴もレフト前のタイムリーで続き、逆転。新井良がセンター前ヒットでまた満塁とし、浅井の犠牲フライでさらに1点追加。大和のヒットで満塁に。小宮山のショートゴロは大和が二封されたが、併殺崩しのスライディングで小宮山は一塁に生き、新井貴が生還し、この回一挙5点を奪った。ただ、この日の安藤は不調。5回裏、ミレッジと川端のヒットでピンチを作り、畠山にセンター前にタイムリーを打たれ、2点差とされる。さらに2死後、宮本にセンターの右を襲うヒット性の当たりを打たれるが、これは大和が頭から飛び込んで取るファインプレー。一度はピンチを脱した。6回表、三番手のフェルナンデスを攻めて1死満塁としたが、新井良が三振、浅井がライトフライに倒れ、チャンスを逸する。6回裏、安藤が打たれる。先頭の松井淳を歩かせ、1死後、代打森岡にヒットを打たれる。ミレッジの二塁打で1点差とされたところで安藤は降板。二番手加藤が田中浩に3ランをレフトスタンドに打たれて逆転を許した。7回裏、三番手の久保田が先頭のバレンティンを歩かせ、宮本のバントで二進。松井淳の二塁打で1点を追加されると、2死後、代打藤本の三塁打でさらに1点を追加され、試合は決した。タイガース打線は7回以降、押本、日高、バーネットの継投の前に得点できず、連勝のチャンスを逃した。
愛すれどTigers週間MVP
投手……渡辺亮 手薄になったリリーフ陣の中で、常に黙々と自分に与えられた役割を果たす仕事人。先発が崩れかけ、頼りになるベテランが次々とリタイヤしていく中で、申し分のないキャリアと勝負度胸で頼りになる男だ。
野手……大和 左投手との対戦で先発に使われることが多いが、右左は関係ない。センスのあるバッティングと思い切りのよい走塁。そして今季から取り組む外野守備も言うことなし。柴田は代打での成績がよいので、先発は大和に固定してもよいのではないだろうか。
次節は松山坊っちゃんスタジアムでカープ戦。そして東京ドームでジャイアンツ戦とまだまだロードが続く。ここでズルズル落ちないように、特にリリーフ陣の奮起を待ちたい。久保田も加藤もいい球があるのだ。もっと自信を持って投げ込み、相手を気迫で圧倒してほしい。なんとか今節の負けを少しでも取り返してほしいのだ。
(2012年7月2日記)