今節は、松山坊っちゃんスタジアムでカープと2連戦。勝っていた試合をなんと逆転降り逃げで敗れる”松山の悲劇”で幕開け。2戦目はエラーの連続で岩田の足を引っ張る。かくて2連敗。続く東京ドームでのジャイアンツ戦は天敵杉内を打ち崩しながらの逆転負けなどもあり、3連敗。今節は5敗。藤井彰がまたも登録抹消で、若い小宮山や今成にホームをまかせているが、彼らが打たれることでリードを学ぶというのなら、今は耐えしのぶ時期。藤川球が一軍に復帰し、次節には福原も戻ってくる。これで少しはリリーフ陣も落ち着くはず。球児の離脱よりも福原の離脱の影響が大きかった。通算勝利は29勝38敗8分。勝率.433で、5位に転落。首位のジャイアンツとの差は13.0ゲームで、数字の上では現時点での自力優勝がなくなった。
◎カープ9回戦……3-4
カープの先発大竹を初回からとらえる。1死後、平野と鳥谷が連続でライト前ヒット。新井貴がセンター前に打ち返し、平野が生還して1点先取した。3回裏には2死から鳥谷が歩き、新井貴がレフト前ヒットで続く。そして金本がセンター前に弾き返し、鳥谷が2点目のホームを踏む。4回裏、ヒットの柴田を塁に置き、小宮山はランナーを進めることはできなかったがスタンリッジがバントを決め、マートンのライト前に落ちるヒットで柴田が生還し、3点をリード。スタンリッジは6回まで快調に飛ばすが、7回表に球のキレが落ちたところをつかまった。四球の丸と二塁打の堂林を塁に置き、廣瀬にセンター前にタイムリーを打たれて2点差に迫られた。ここで代打前田智が送られ、マウンドには筒井が。前田智をハーフスイングの空振り三振に、天谷も空振り三振に打ち取りピンチを乗り切る。8回表は渡辺がランナーを出しながらも無失点でしのぎ、9回表のマウンドは榎田。赤松、石原をそれぞれ内野ゴロに打ち取り、あと一人で勝利が確定というところまできた。ここで悪夢が始まる。代打迎にヒットを打たれ、天谷にもライト前に運ばれ、ピンチに。ルーキーの代打菊池のレフト前タイムリーで1点差とされる。さらにダブルスチールで二三塁とされる。梵は空振り三振に打ち取るが、内角に沈む球を小宮山が捕れず足に当てて大きく一塁側ファールゾーンに弾いた。天谷、菊池が続いてホームインし、なんと逆転。振り逃げでの逆転なんて見たことない。9回裏、ミコライアから鳥谷がサード堂林のエラーで出塁したが、新井貴はサードゴロ。鳥谷は二塁に進み同点のチャンス。代打今成は歩かされ、勝負は新井良に。食らいつくもセカンドゴロで万事休す。サンテレビの谷口アナウンサーが「松山の悲劇」と思わず口にした悪夢の逆転劇で5位のカープに0.5ゲーム差と迫られた。
◎カープ10回戦……1-3
タイガースの先発は岩田。3回表、ヒットの天谷を赤松のバントで二塁に送られ、岩本の一塁ブラゼルのミットの下をすり抜けるライト前ヒットで先制された。4回表、1死から菊池のサードゴロを新井貴が大きく悪送球。バックアップの遅れもあり、菊池は三塁に進む。打者石原のところで岩田の低めの球はベース前でワンバウンドして大きく三塁側にそれ、菊池が生還して2点差とされた。タイガースはカープ先発今井の前にあと1本の決め手を欠いていたが、4回裏、新井貴が右中間を破る二塁打を放ち、金本のライトフライで三進。ブラゼルの高く弾む内野ゴロの間に生還して1点差と迫る。カープは今井を6回途中であきらめ、菊池原、サファテ、今村とつなぐ。タイガースも岩田は7回まで踏ん張り、渡辺、筒井と継投。筒井が9回表、先頭の廣瀬を歩かせ菊池のバントで二進、石原は三振に取ったが、代打迎のレフト前へのゴロを鳥谷が飛びついて捕ろうとし、逆にグラブに当ててそらしたことで廣瀬が生還して2点差とされた。9回裏にはミコライオの前に三者凡退。ついに5位に陥落してしまった。
◎ジャイアンツ10回戦……3-6
タイガースの先発はメッセンジャー。初回、先頭の長野を歩かせ、谷のバントで二塁へ。坂本も歩かせ、2死後、阿部に詰まった当たりのレフト前ヒットを打たれて1失点。高橋由もレフト前に落として2点目。エドガーには三塁線を抜くレフト線への二塁打で3点目。古城は敬遠。勝負をかけた澤村には押し出しの四球でいきなり4点を失った。さらに2回裏、いきなり谷にレフトスタンドへたたきこまれると、ヒットの村田を塁に置き、高橋由がライトのマートンの頭上をこえる二塁打を放ち、この回六失点で降板。以降、二神、鶴、加藤、渡辺と小刻みな継投で3回以降ジャイアンツ打線を沈黙させた。タイガース打線は澤村からランナーを出すが決定打が出ない。4回表、鳥谷と新井貴の連打でチャンスを作るが、金本は三振。ブラゼルの一塁ゴロで新井貴は二封されたが、ベースカバーの坂本が併殺を狙い一塁へ悪送球し、その間に1点を返した。7回表、今成の内野安打と代打浅井のテキサスヒットでチャンスを作る。マートンもライト前ヒットで続き満塁に。しかし、平野は三振。鳥谷の押し出し四球で2点目は取ったが、新井貴は球審秋村に外角のはずれ球をストライクと宣告され見逃しの三振。金本の打席で代打起用。ジャイアンツは二番手山口を投入。関本は空振り三振でビッグチャンスを1点どまりで終えてしまった。金本は腰痛で欠場。9回表、クローザーのマシスンから2三振を取られたが、平野と鳥谷のコンビが二連打。平野は一気に生還して3点差に詰め寄った。しかし新井貴が三振で試合終了。安打数ではタイガースが勝っていただけに、ジャイアンツの初回の集中攻撃を防ぎきれなかったのが悔やまれる。
◎ジャイアンツ11回戦……5-7
タイガースの先発は能見。初回、長野を見逃し三振に取ったが、谷のヒットと坂本の二塁打、村田には死球で満塁とされ、阿部の犠牲フライで1点を先制された。ジャイアンツの先発は天敵杉内。2回表、新井貴と新井良の連続内野安打でチャンスを作り、関本との間にエンドラン。しかし関本は三振、新井貴は三封という併殺。二塁に残った新井良を大和がレフトオーバーの三塁打で返し、同点。今成のライト前ヒットで勝ち越し。能見はライト線へ二塁打を放ち、今成が一気にホームを突いて2点差に。ところが能見がこのリードを守れない。2回裏、伏兵寺内にはレフトスタンドぎりぎりにはいるソロホームランを、長野にははっきりと打った瞬間にわかるソロホームランを打たれて同点にされた。3回表、2死から新井貴と新井良の連打でチャンスを作り、関本が低い球をうまくすくい上げて再び2点リード。このまま優勢で進むという流れだったが、5回裏、ジャイアンツに流れがきた。先頭の谷にセンター前ヒットを許し、続く坂本に外角をうまく打たれてライトへの二塁打で無死二三塁に。村田のセカンドゴロは併殺コースだったが平野が焦ったかホームへ悪送球。今成が弾いて二者生還で同点に。高橋由の犠牲フライで勝ち越しを許した。能見は5回、杉内は4回で降板という予想外の展開になった。6回は渡辺が抑えたが、7回には三番手筒井が先頭の谷にセンター前ヒットを許し、坂本の送りバントはベースカバーが誰もおらず内野踏んだに。村田は三振に取ったが、阿部には四球。高橋由のタイムリーで決定的な1点を奪われた。ジャイアンツは5回以降、高木京に抑えられ、6回表には福田を攻めて関本と大和のヒットでチャンスを作るが今成の併殺で得点できず、山口、西村、マシソンの必勝リレーの前になすすべもなかった。
◎ジャイアンツ12回戦……2-3
ジャイアンツの先発はホールトン。3回表、1死から今成のライト線への二塁打でチャンスを作り、2死後、マートンのライト前に落ちるタイムリーで1点を先取した。しかし、タイガースの先発安藤は際どい球がほとんどボールの判定で苦しい投球に。3回裏、長野と谷の連打に坂本のバントで1死二三塁とされ、村田のライトへの犠牲フライで同点に追いつかれた。4回裏、先頭の高橋由に二塁打を打たれると、続くエドガーにレフト前にタイムリーを打たれて負け越す。5回裏、先頭の坂本にヒットを打たれ、村田に死球を与えたところで二番手加藤に交代。しかし、左打者用に登板した加藤が阿部に二塁打を打たれて2点差とされる。高橋由には四球を与えて満塁に。それでもエドガー、代打矢野、ホールトンの右打者を三者三振に打ち取ったのだから、野球はわからない。2点差のまま、試合は動かず。9回表、クローザーのマシソンに2死を取られたところで、新井貴がレフト前にヒット。続く新井良が右中間への二塁打で1点差と迫る。しかし、代打浅井がセンター返しの打球を放つも坂本に好捕され、全力疾走も間に合わず一塁アウト。解説で川藤が「ボール球を振るな」と力説していたが、ボールと判定した球をことごとくストライクと言われたら、ボール球を振らざるを得ないのである。また「ジャイアンツの打者はボール球を振らない」と断言していたが、際どい球はたいていボールとコールされるのだから、ストライクを取りにいくしかないのである。この3連戦は審判の判定のばらつきにも泣かされた。
愛すれどTigers週間MVP
投手……二神一人 ジャイアンツ戦でついにプロ入り初登板を果たし、2試合に投げて無失点。不調の安藤よりも二神を先発させてもよかったのではと思わせる内容。まだドラフト1位の本領発揮というところまではいかないにしても、連敗の中で光明が一点さしこんだ。
野手……新井良太 兄、新井貴と4、5番を打ち、兄弟そろっての猛打賞も果たした。沈滞気味のタイガース打線にあって、とにかくしゃにむにボールに食らいつく姿勢は、他の選手も見習ってほしい。打線を活性化させているのは良太の元気だと、これだけははっきりといえる。
どん底状態でタイガースが甲子園に帰ってくる。ここは罵声を浴びせるのではなく、励ましの声援を送らねばなるまい。9連戦の相手は、ドラゴンズ、スワローズ、ジャイアンツだ。さあ、やられた分やり返せ。9連勝すれば5割に戻るぞ。それくらいの気持ちで前向いていこう。おお、このやけくそ的な星勘定は……10年前を思い出すのう。勝っても負けても負けても負けても虎命!
(2012年7月9日記)