今節は、甲子園に戻りドラゴンズと3連戦。連敗をスタンリッジの力投でストップさせ、天敵山本昌も打ち込み2勝1敗。甲子園で続くスワローズ戦は1日目は雨で流したが、鳥谷のサヨナラ打もあり1勝1敗。今節は3勝2敗。やっと底を脱したかと思ったら、今度は榎田がヒジ痛で離脱。なかなかベストメンバーで戦えないのは辛いところだ。通算勝利は32勝40敗8分。勝率.444で、5位。首位のジャイアンツとの差は13.0ゲームと変わらず。
◎ドラゴンズ10回戦……1-0
タイガースのスタンリッジとドラゴンズ吉見の投手戦。先制したのはタイガース。3回裏、1死からマートンの左中間への二塁打が出ると、平野のセカンドゴロで三塁へ。鳥谷が歩き、打席には新井貴。ライト前、ファールライン上に落ちるタイムリーを放ち、今季初めてドラゴンズ戦で先制点をあげた。スタンリッジは4回表に井端、堂上剛の連打でピンチを作り、吉見の内野安打で2死満塁のピンチとなったが、大島を一塁ゴロに打ち取りピンチを脱する。さらに5回表、2死から和田と井端の連打でピンチになったが堂上剛のセンター前に抜けるかという当たりを鳥谷が好捕して二塁封殺、またもピンチを脱する。文字通り虎の子の1点を、7回から筒井、福原、榎田の継投で、ランナーを出しつつも必死で守る。打線は吉見に7回までランナーを出しても連打がなく追加点が取れない。8回裏、二番手ソトから先頭の鳥谷が四球を選ぶが、新井貴とのエンドランで三振ゲッツー。9回表、藤川球が久々のマウンドに上がったが、膝の具合が万全ではないようで、思うところに球が決まらない。1死から森野と和田に連打を浴び、井端を歩かせて満塁。堂上剛は一塁ゴロに打ち取り、新井貴がバックホームして本塁で封殺。谷繁にはさんざんファールで粘られたがサードゴロで新井良が一塁新井貴へ送り、送球は少しそれたがしっかりとベースを踏み直し試合終了。連敗をなんとか止めた。ヒーローインタビューは久々の勝利のスタンリッジ。
◎ドラゴンズ11回戦……1-2
タイガースの先発岩田が初回につかまった。先頭の平田に右中間スタンドに先頭打者ホームランを献上したのだ。さらに大島にレフト前ヒット、森野に四球とピンチを招き、和田を併殺に取って2死までこぎつけたが、井端の左中間を破る二塁打で2点目を失う。しかし、2回以降はペースを取り戻し、7回を投げ切って久々の10奪三振を記録した。ただ、その力投に打線がこたえられない。プロ入り初先発の2年目左腕大野の前に、初回マートンのヒットと平野の四球、大野の暴投で無死二三塁のチャンスを作り、鳥谷のショートゴロの間にマートンが生還して1点差とする。ところが、新井貴は空振り三振、金本はライトフライで三塁まで進んだ平野を返せなかった。2回裏には大和と岩田のヒットで2死一二塁のチャンスを作るがマートンがサードゴロ。6回裏には金本と新井良の連打で1死一二塁としたが、ここで二番手田島に交代、大和はセカンドゴロ併殺でまたもチャンスをつぶした。8回からは筒井、渡辺の継投でなんとか追加点を防ごうとしたが、9回表、渡辺が2つの四球で2死一二塁とピンチに。ここで加藤が登板し大島を1球でショートライナーに仕留めて打線の援護を待つ。ソーサに抑えられ、岩瀬に交代した9回裏、2死から代打関本が四球を選び、代走は上本。マートンの一打に期待をかけたが、上本が盗塁を試みて失敗。あっけない幕切れで連勝はならず。
◎ドラゴンズ12回戦……4-1
ドラゴンズ先発の山本昌に1回裏、マートンがライトファールライン上に落ちる二塁打を放ち、大和のセカンドゴロで三塁へ。鳥谷がセンター前に先制タイムリー。2回表、タイガースの先発メッセンジャーは先頭の和田にセンター前ヒットを打たれると、井端、山崎を歩かせ無死満塁に。堂上直はサード正面のゴロ。前進守備の新井良がホームへ送り封殺。小宮山は一塁に送球して併殺完成。小田を歩かせたあと山本昌を見逃し三振に打ち取り、ピンチを逃れる。4回裏、2死から金本が歩くと、新井良のあわやホームランというフェンス直撃の二塁打で2点目を奪う。5回裏、先頭の小宮山が内野安打で出塁。1死後、マートンがライトポール下に直撃する二塁打で二三塁とし、大和のタイムリーで3点目。さらに鳥谷の犠牲フライで4点目を奪い、山本昌をこの回限りでひきずりおろす。ドラゴンズは朝倉、武藤、高橋聡でタイガース打線を抑える。タイガースは8回表に榎田を投入。これが裏目に。1死から平田にヒットを打たれ、大島は三振に取ったものの森野のライト前ヒットと和田の四球で2死満塁。三番手福原をマウンドに送るが井端にライト前にタイムリーを打たれた。それでもディアズを三振に取り、9回には藤川球を送り、三者凡退で締め、ドラゴンズ戦、今季初のカード勝ち越し。ヒーローインタビューは久々の勝利のメッセンジャーと攻守と待望の追加点を打った新井良。
◎スワローズ9回戦……3-2
タイガースの先発は久保。初回は三者凡退に抑えたが、2回表、1死から松井淳、宮本の連打と福地への四球で満塁とされる。しかし、相川をショートゴロ併殺に打ち取り、難を逃れた。4回表にも松井淳への四球、宮本のヒット、福地への死球で1死満塁と再びピンチに。ここでも相川をサードゴロ併殺に切って取った。4回まで苦手の館山にノーヒットに抑えられていたタイガース打線だったが、5回裏、新井貴がライト前に落とすヒットで出ると、1死から新井良が四球を選び、平野のピッチャーゴロで三塁にランナーを進める。ここで今成がセンター返しのヒットで先制タイムリーを放つと、続く久保も右中間に連続タイムリーで2点を先制した。久保は7回まで投げ切り、勝ち投手の権利を残して8回表、榎田に託す。その榎田が先頭の田中浩に四球を与え、代走比屋根に盗塁され、畠山に同点2ランをぶちこまれ、試合は振り出しに。9回は福原、延長10回は藤川球が無失点で抑えると、10回裏、スワローズ六番手の山本哲に対し2死から大和が必死のヘッドスライディングを見せて内野安打で生き、鳥谷のレフト頭上を襲う二塁打で大和が一気に生還。劇的なサヨナラ勝利をあげた。ヒーローインタビューはサヨナラ打の鳥谷。
◎スワローズ10回戦……2-5
能見がいきなり失点。初回、ミレッジに左中間スタンドに先頭打者ホームランを打たれた。しかし、直後の1回裏、タイガース打線も村中を攻める。先頭のマートンがライト前ヒットを放つと、大和がバント失敗のあとヒッティングで一塁畠山の頭を越え、グラブを弾くヒットで続く。鳥谷が歩き、新井貴のライトへの犠牲フライで同点に。さらに三塁に進んだ大和を金本のライトへの犠牲フライで逆転した。それでも能見はしっくりとこない。2回表、2死から中村を歩かせ、村中にもヒットを打たれる。ミレッジを歩かせたあと、田中浩には三塁強襲の同点タイムリーを打たれる。そして3回表、畠山にレフトスタンドにソロホームランをぶちこまれ、ひっくり返された。能見は3回で降板。二番手の鶴は抑えたが、三番手の渡辺が6回表に1死から福地にヒットを打たれ、中村はライトフライに打ち取ったが、村中に四球を与えてしまう。ミレッジにも四球で満塁。田中浩の打球は投手を直撃。右腕に打球が当たり、大きく弾む間に三塁走者に生還されてしまう。四番手加藤は7回表1死から松井淳に大和の頭をこえる三塁打を打たれたが、今成の牽制でアウトにし、2死とする。宮本と福地に連打を浴び、中村のレフト前ヒットで3点差とされる大きな失点。タイガース打線は2回以降、ランナーは出しても後続を断たれて、村中に完投勝利を許してしまった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェイソン・スタンリッジ 長いトンネルをチームとともに抜けた。前回登板は「松山の悲劇」の先発。悲運の男がつけた勝ち星で連敗が止まったことに大きな意味がある。
野手……鳥谷敬 一時の不調から脱し、スワローズ戦ではみごとなサヨナラ安打。3番打者らしいチャンスで打つという場面を今後ももっと見せてほしい。
どん底状態は甲子園で脱した。勝ったり負けたりを繰り返しているけれど、9連戦の残り3戦、ジャイアンツ戦を勝ち越して、少しでも勢いをつけたいところ。カープも、あの「松山の悲劇」以来絶好調。こういう波がくる可能性はどこにでもある。そしてオールスターブレイク。ここは故障者たちのケアにしっかりつとめて、若手は毎日猛練習で後半に臨んでもらいたいところだ。
(2012年7月16日記)