愛すれどTigers


カープに連敗し11年ぶりに負け越し15

 今節は、甲子園でスワローズと3連戦。前節の勢いを保って2連勝したが、3タテはならず2勝1敗。甲子園を高校球児に明け渡して長期ロードに出た最初のカープ3連戦はマツダズームズームスタジアム。勢いのあるカープの若手に押しまくられて3連敗。今節は2勝4敗。通算勝利は35勝50敗9分。勝率.412で、5位。首位のジャイアンツとの差は20.0ゲーム。最下位ベイスターズとの差は5.5ゲーム。負け越し15は野村監督時代の2001年以来11年ぶり。下位チームによくあるあっさりした試合が目立つようになってきた。

◎スワローズ11回戦……7-2
 初回、メッセンジャーがつかまる。センター前ヒットのミレッジを田中浩が送り、川端のレフト前ヒットで一三塁とされると、畠山にはセカンド平野の動きの逆を突く打球でライト前にタイムリーヒットで先制される。続く松井淳にはセンター前に落とされてさらに2点目を与えた。それでも後続を打ち取り、2点で抑え、2回表には二塁打の相川を塁に置きミレッジのライト前ヒットで1死一三塁のピンチに。ここは田中浩をショートゴロ併殺に打ち取って難を逃れた。4回表には相川に右中間を破るかという大飛球を打たれたが、センター大和が飛んで好捕。そして4回裏、石川を打ち崩す。1死からマートンと新井良の連打でチャンスを作ると、藤井彰がライト前にヒット。これをライト松井淳が弾き、その間にマートンが生還して1点を返した。和田監督はここで決断。メッセンジャーの代打に浅井を送る。浅井は四球を選んだが、満塁で平野が併殺。一気にひっくり返せない。それでも5回表、二番手の鶴が三者凡退でリズムを作り、5回裏につなぐ。1死から鳥谷が左中間を破る二塁打を放つと、新井貴は右中間を破る二塁打で同点に。さらに金本がライト線にバットを折りながら運んで、松井淳がクッション処理をもたつく間に一気に三塁を陥れる逆転三塁打。ここで石川は降板。二番手増渕からマートンの右中間減り二塁打でさらに1点を追加。新井良は四球で一二塁とし、2死後、代打ブラゼルが三番手正田からライト前に中押しのタイムリー。6回裏にはその正田から鳥谷、新井貴の連打とマートンの四球で2死満塁とし、新井良の三遊間をゴロで破る2点タイムリーでダメ押し。6回表からは、加藤、渡辺、福原、筒井とつないでスワローズ打線を抑えきった。鶴は今季初勝利。ヒーローインタビューは同点打の新井貴と逆転打の金本。
◎スワローズ12回戦……3-2
 スワローズ先発の村中に前回登板のお返し。初回、この日抜擢された先頭の上本がいきなり左中間を破る二塁打を放つと、大和が送って1死三塁に。ここで鳥谷がライト前に先制タイムリー。さらに新井貴も右中間を破るタイムリー二塁打で鳥谷が長躯ホームインして2点先制。3回裏には二塁打の新井貴を塁に置き、マートンがセンター前にタイムリーで追加点をあげた。タイガースの先発久保は初回から速球勝負。スワローズ打線を翻弄する。ところが強いにわか雨の中、5回表に先頭の田中浩が鳥谷へのショートゴロを放つもイレギュラーバウンドして捕れず、1死後、川端のライトポール直撃の2ランで1点差に迫られる。それでも久保は踏ん張り、7回を投げ切った。タイガース打線は4回以降チャンスを作りながらも返せず、7回から山本哲、増渕の継投の前にダメ押し点が取れず。タイガースも8回には筒井と福原をつぎこみ、9回表のマウンドには藤川球が。2死から森岡にレフト前にヒットを打たれ、代走には走り屋の比屋根。代打藤本のレフト前ヒットで二塁に進んだ比屋根はレフトのマートンの動きが鈍いとみて三塁を狙うが、マートンの返球が早く、タッチアウトで試合終了。ヒーローインタビューは4月末以来久々の先発勝利をあげた久保。
◎スワローズ13回戦……0-5
 スタンリッジが初回に不運な失点。先頭のミレッジにセンター前に運ばれ、田中浩にバントで送られる。川端のショートライナーは鳥谷のグラブを大きく弾き強襲ヒットに。1死一三塁から畠山がライト前に詰まった当たりの上にファールラインのちょうど真上に落ちるタイムリー二塁打。さらに森岡がセンター前にぽとりと落ちるヒットで2点目を失うが、大和のバックホームで、二塁走者の畠山をホームで刺し、2点で食い止めた。4回表、先頭の松井淳にセンター返しの打球を打たれるも、平野がよくおさえ、内野安打にとどめた。1死後、福地のヒットで一二塁とされ、相川にも三遊間を破られ3点目を失った。スタンリッジは6回まで投げて降板。鶴、加藤、渡辺とつなぐが、9回表、渡辺も不運な失点。先頭の森岡に二塁打を打たれ、福地のバントで三進。相川が歩いた後、ロマンはセンターフライに打ち取る。一塁走者の相川が大きく飛び出したのを見たセンター大和は一塁に送球するが、ベースカバーに誰も入っておらず、ファールグラウンドに。森岡が生還し、4点目を失う。さらにミレッジにもレフト前にタイムリーを打たれ、5点目を献上した。タイガース打線はロマンの前に沈黙。先頭の打者がヒットを打っても三振や併殺で先に進められず、4安打7三振という惨憺たる結果で完封を許してしまい、連勝ストップ。
◎カープ11回戦……3-4
 先制したのはタイガース。カープの先発大竹から3回表、大和が内野安打で出塁し、鳥谷のライト前ヒットで無死一三塁とする。新井貴はショートゴロで併殺をとられたが、その間に大和が生還した。続く4回表、先頭のマートンがレフト前ヒット、新井良もレフト線を深々と破る二塁打で無死二三塁とし、藤井彰が二塁右を抜くライト前ヒットでマートンを迎え入れた。さらに1死後、平野のショートゴロで三塁走者の新井良が素早い動きでホームを狙い、ショート梵は本塁をあきらめて一塁でアウトをとる。3点差としてがぜん有利になったはずだが、勝ちに見放されている岩田は4回まで快調に投げていたのに、5回裏につかまる。1死から白濱にヒットを打たれ、大竹はバントの構えからバスターに切り替えてレフト前ヒット。天谷の内野ゴロの間に二三塁と進まれ、菊池のレフト前タイムリーで2点を返された。それでも岩田は7回まで投げ抜く。8回表、二番手のサファテを攻めて、金本の二塁打、新井良の四球、代打桧山の死球で2死満塁と攻めたが、平野がライトフライに倒れて追加点ならず。8回裏、二番手筒井が先頭の天谷を歩かせ、菊池に送られる。ここで三番手福原にスイッチ。代打前田智のライトフライで天谷は三塁に。エルドレッドには三振に取ったと自信を持って投げたアウトローをボールと判定された直後に真ん中に投げてしまい、センターオーバーの同点二塁打に。堂林のレフト前ヒットをマートンがホームへ返球したが球はそれ代走木村が生還し、ついに逆転される。9回裏にはストッパーのミコライオから新井貴がヒットを打ったが、反撃はそこまで。あれよあれよという間の逆転劇であった。
◎カープ12回戦……3-6
 安藤が乱調。2回裏、エルドレッドにレフトスタンドに先制のソロホームランを打たれ、3回裏には先頭の倉のセカンドゴロは平野がよく取ったが送球がそれて内野安打に。福井はスリーバントを失敗させたが、天谷と菊池の連続ヒットで満塁にされる。ここで梵にセンターオーバーの走者一掃となる二塁打を打たれ、とどめは2打席連発となるエルドレッドの2ランがレフトスタンドに。安藤はここで降板し、以降は渡辺、鶴、加藤と無失点でつないで打線の反撃を待った。カープ先発福井にやられていた打線も、5回表に新井良のレフトスタンド最上段に叩きこむ特大のソロホームランで反撃開始。6回表には先頭の平野がヒット。1死後、鳥谷のライト前ヒットで一三塁としたところで福井がボーク。労せずして平野は生還。鳥谷も二塁に進む。新井貴の左中間を破る二塁打で鳥谷も生還し、3点差に。福井はここで降板。二番手中田の前にマートンは凡退したが、新井良がライト前にヒットを放つと、新井貴は一気にホームを突く。しかし、ライト迎の好返球で憤死。この好返球で試合は決まった。カープは今村、ミコライアと勝ちパターンの継投。タイガース打線は苦もなく抑えられ、長期ロードの冒頭で連敗となった。
◎カープ13回戦……0-7
 カープの先発はバリントン。初回、先頭の平野がレフト前にヒット。平野が送り、鳥谷の一塁ゴロで三塁に進むも新井貴が三振で先取点ならず。直後の1回裏、タイガースの先発能見から赤松が二塁打。菊池が送り、梵のセカンドゴロで赤松は本塁につっこむ。前進守備の平野はホームに送球するが、これがそれて藤井彰は赤松にタッチできず逆に先制を許した。2回表、すぐに逆襲。金本が二塁打で出るとマートンの一塁ゴロで三進する。しかし、新井良、藤井彰の連続三振で同点にならず。4回裏、能見は先頭の菊地にセンター前ヒットを打たれ、梵のバントで二塁に。エルドレッドは三振に打ち取ったが、堂林を歩かせ迎に左中間を破る二塁打を打たれ、2点を追加された。さらに6回裏、1死からエルドレッドにヒットを打たれ、代走中東に盗塁を許し、堂林は三振に仕留めたがまたも迎にレフト前タイムリーを許して4点差とされた。7回表、二番手サファテに対し1死から代打今成がヒット、2死後、平野に死球でサファテから三番手河内に交代。ここで代打桧山が連続四球で満塁のチャンス。ところが頼みの鳥谷がレフトフライに倒れ、1点も奪えず。7回裏、育成枠から這い上がったザラテが一軍初登板。しかし、先頭の倉を歩かせ、岩本にはヒットを打たれ、赤松の投手前バントをとりそこねて満塁に。菊池のライト前2点タイムリーと梵のライトへの犠牲フライで3失点という苦いデビューとなった。カープは今井、横山とつないでタイガースを完封。あと1本が出ずに3タテを食らってしまった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……鶴直人 負け試合ばかりの登板でホールドもつかなかった今季、黙々と投げ続けてきた若手のホープに初勝利のごほうびが。ここ数試合、失点はなく、投球に自信らしきものが見えるようになってきた。来季といわず、今季のうちに何度か先発のチャンスを与えたい。
野手……藤井彰人 故障から復帰し、うまい流し打ちで採算のタイムリーを放つ。さらにリード面や盗塁阻止にもベテランらしい技の妙を見せてくれた。故障上がりの藤井に頼らなければならないのが苦しいところだが、それだけ捕手というポジションは経験が必要だということなのだ。

 平野に精彩が見られない中、上本を起用したらそれが成功した。それなのに翌日はベンチスタート。やっと伊藤隼がマルチ安打を放っても、翌日はベンチスタート。金本の調子があがり、ここというところで打っているのになぜかベンチスタート。せっかく二軍から岩本があがってきたのに一度もマウンドを踏ませずに安藤と交代で二軍行き。勢いを自分から殺しているような選手起用が気にかかる。負けが込んでいる時こそ、勢いのついた選手を使い続けなければならないと思うのだが、和田監督の采配に見られる迷いはこんなところに出ているように思う。次節は東京ドームでジャイアンツ戦と、京セラドーム大阪でまたもカープ戦。このままずるずると行ってほしくないのだが、果たして勢いを取り戻すことはできるのだろうか。ジャイアンツ戦でしぶとく踏ん張って、なんとか流れをつかみたいところだ。

(2012年8月6日記)


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