愛すれどTigers


新井兄弟弾でついに連敗ストップ

 今節は、東京ドームでジャイアンツと3連戦。初戦はセットアッパーの山口から桧山が同点タイムリーを放ち引き分けに持ち込んだものの、以後は打線がチャンスにうてず2敗1分。京セラドーム大阪でのカープ戦でもチャンスにあと1本が出ずに2連敗したが、3戦目に新井兄弟に今季2度目のアベックホームランが出るなどで大勝し、連敗ストップ。1勝2敗とした。今節は1勝3敗1分。通算勝利は36勝53敗10分。勝率.400で、5位。首位のジャイアンツとの差は23.0ゲーム。最下位ベイスターズとの差は3.5ゲーム。重苦しい雰囲気が続いたが、元気者の新井良が4番打者として活躍すれば、きっともっと活気が出てくるに違いない。上本、俊介、今成ら若手の活躍も今節は目についた。

◎ジャイアンツ16回戦……1-1
 メッセンジャーと澤村の投手戦。2回表、タイガースは先頭の新井貴のレフト前ヒットと金本の四球でチャンスをつかむが、マートン、新井良が連続三振。藤井彰もショートゴロに倒れ、チャンスを逸した。メッセンジャーは2回裏、先頭の村田に二塁打を打たれ、高橋由に四球を与えるが、エドガーをショートゴロの併殺に打ち取り、古城を敬遠して澤村をショートゴロに打ち取って難を脱する。4回表には1死からマートンがセンター前にヒット。新井良は三振に倒れたが、藤井彰がレフト前にヒットを放ち、メッセンジャーが四球を選んで満塁のチャンス。しかし平野のピッチャー返しの打球を澤村は一度弾いたもののすぐにとって一塁に送球し間一髪アウト。なかなか点が取れない。5回表、1死から鳥谷がヒット。新井貴のサードゴロでランナーが入れ替わり、金本とマートンの連続四球でまたも満塁に。しかし新井良が平凡なセンターフライでまたまた点が取れず。制球の定まらぬ澤村を6回までもたせてしまった。6回裏、先頭の坂本にヒットを打たれ、阿部には四球。なんと村田のバントで1死二三塁とされ、高橋由の強い当たりのセカンドゴロは平野が弾くもなんとか拾って一塁はアウトにしたが、三塁走者の生還を許した。メッセンジャーも6回限りで降板。7回裏、二番手筒井が先頭の代打長野に二塁打を打たれ、代打矢野のバントで三進。谷のサードゴロは前進守備の新井良が捕り、飛び出していた長野を本塁との狭殺プレーでアウトに。谷の代走藤村は筒井の巧妙な牽制に釣り出されてアウト。相手の走塁ミスに助けれた。8回表、三番手の新人田原からマートンが死球。代走の上本がすかさず盗塁。新井良が送り、代打には関本。関本が三振したところで続く代打は桧山。ここでマウンドには山口。その初球を桧山はみごとにとらえてセンター前同点タイムリーに。9回裏、四番手藤川球は先頭の村田にヒットを打たれたが、代走鈴木尚の盗塁を小宮山が刺す。高橋由は歩かせたが、代打石井義を三振に打ち取り、長野もレフトライナーで延長戦に。10回表は西村の前にランナーも出せず、10回裏は藤川球が代打實松、藤村、松本哲を三者三振に打ち取り、総力戦は引き分けに終わった。
◎ジャイアンツ17回戦……0-2
 タイガースの先発は久保。1回裏、1死から松本哲に二塁打を打たれ、坂本を歩かせてピンチを招いたが、阿部を見逃し三振、村田を空振り三振に打ち取り、2回以降は快調なペース。ジャイアンツの先発はタイガース戦初登板の若い小山。タイガース打線は狙い球を絞り切れず凡打の山。5回表、先頭の金本がヒットを打ったが、マートンも新井良もランナーを進めることができず、小山の冒頭で二塁には進んだが、藤井彰は敬遠気味の四球。久保はセカンドフライに終わり、この試合唯一のチャンスをつぶしてしまった。6回表には二番手高木康から俊介がレフト前にヒットを放つが、盗塁失敗でせっかくの走者を生かせない。6回裏、1死から長野に三遊間抜けるかという当たりを打たれ、辛うじて鳥谷はグラブには当てたが捕球できず走者を許す。続く松本哲はバントの構えで揺さぶり、カウントが悪くなったところを右中間に先制のタイムリー二塁打。坂本にもライト前にタイムリーを打たれ、数少ないチャンスに集中打を浴びてしまった。久保は7回2失点で降板。8回は鶴が抑えて反撃を待つ。9回表、五番手山口の前に大和、俊介、鳥谷とあっさり凡退して試合終了。7回裏には鳥谷によるライナーのスライディングキャッチあり、8回表には松本哲によるフェンスに体当たりしてのフライ捕球ありと、ファインプレーも連発。それだけに村田のバントやタイガース打線の淡白な攻撃など、打つ方に活気が見られなかったのが残念。これでタイガースは今季のジャイアンツ戦の負け越しが決定した。
◎ジャイアンツ18回戦……1-4
 連敗ストップと打倒杉内のため、打線を大幅に組み替えた和田監督。一二番に上本と俊介を起用し、四番に新井良、新井貴は六番というオーダー。初回、その効果はあらわれた。先頭の上本が四球を選び、すかさず盗塁。捕手實松の悪送球で上本は三塁に。俊介はライトへの犠牲フライで待望の先取点だ。新井良は二塁打を放ち、これは得点に結びつかなかったが、序盤からいい感じで試合は動いた。2回表には先頭の新井貴がセンター前ヒットを放ち、関本の鈍いサードゴロを村田が一塁へ悪送球し、無死二三塁に。しかし、藤井彰はショートゴロで本塁を突いた新井貴はタッチアウト。スタンリッジと上本が連続三振でチャンスを生かせない。3回表には先頭の俊介のヒットが出るも鳥谷はレフトフライ、新井良は見逃し三振。杉内のワイルドピッチで俊介は二塁に進むもマートンは歩かされ新井貴がセンターフライに終わる。5回表には先頭の上本が四球。俊介がバントで二塁に進め、鳥谷のレフト前ヒットで一三塁とするも新井良、マートンが連続三振。7回表には先頭の上本がレフト前にヒットを放ち、俊介が送る。鳥谷の打席で杉内の落ちる球を實松がこぼすとすかさず上本は三塁に走る。鳥谷は四球を選び、ここで新井良は何度もセーフティスクイズを試みてファールでスリーバント失敗。マートンが歩いて満塁としたが、新井貴はセンターフライ。これだけチャンスを作りながら、スミ1では力投のスタンリッジもさぞ疲れたことだろう。7回まで無失点で切り抜けたが、ついに8回裏につかまる。先頭の代打藤村を歩かせ、石井義のショートゴロで二進。長野を歩かせ、松本哲のヒットで満塁に。ここで坂本に犠牲フライをライトに打たれて同点に。この日ファーストの阿部を迎えたところで筒井と交代。筒井の高めの速球を阿部が叩くと無情にもボールはライトスタンドに。8回裏のスリーランほど効くものはない。最後は西村に締められまたも敗れた。投手交代が後手に回ったことが敗因か。
◎カープ14回戦……0-4
 岩田が初回からつかまる。球が高めに浮いたところを先頭の赤松にレフト前に運ばれ、菊池の二塁打で無死二三塁に。梵のセカンドゴロは二塁手の上本が前進守備をしいていたおかげで走者は塁に釘付け。しかしエルドレッドを歩かせて1死満塁としたところで、打者堂林の時に岩田の落ちる球を藤井が大きく弾いて先取点を献上した。さらに3回表、遷都の菊地にセンター前ヒットを許し、1死後、エルドレッドにライトスタンドに2ランを叩きこまれる。序盤の3点で試合は決まった。岩田は5回限りで降板。5回裏、先発大竹から先頭の代打今成のヒットと上本の三塁線を抜く二塁打で無死二三塁としながらも、俊介は三振、鳥谷はショートフライ、新井良はセンターフライ。本塁が遠い。タイガースは渡辺、加藤、ザラテとつなぎ、カープ打線を抑えて反撃を待ったが、カープは7回から中田、河内、今村のリレーでタイガース打線のチャンスをことごとくつぶし、最後はミコライオに抑えられ、またも完封負けを喫した。
◎カープ15回戦……1-2
 能見とバリントンの両エースの見ごたえある投手戦。能見は各回にヒットは許しても、後続をきっちりと断つ。特にこの日は速球とチェンジアップの緩急がみごと。バリントンも右打者への新カーを効果的に使いつつコーナーをていねいにつく投球。均衡が崩れたのは5回裏。2死から上本がレフトスタンドへ大きな先制ソロホームランを放つ。バリントンは6回限りで降板。7回裏には二番手横山にあっさりと三者凡退に打ち取られた。8回表、先頭の赤松に甘く入ったチェンジアップをセンター前に弾き返され、菊池に送られたところで能見は降板。二番手の福原は梵を三振に打ち取ったが、エルドレッドにライトスタンドに前日のプレイバックかと思われるような逆転2ランを浴びる。8回裏、三番手今村から代打今成がライト前にヒットを放つと、代走の大和が盗塁。アウトセーフのきわどいタイミングだったが、塁審友寄はセーフの判定。野村監督が抗議したが覆るはずもなし。鳥谷がバントで大和を三塁に送る。新井良はピッチャーゴロで大和が飛び出し三本間に挟まれ、ランダウンプレーの間に新井良が三塁まで進むのを見て大和はタッチアウト。そして平野が強烈なライナーを三塁線に放ったのだが、ここが勢いのあるチームとツキに見放されたチームの差か、三塁手木村に横っ跳びでダイレクトに捕られ、チェンジに。同点機を逸した。9回表は加藤、鶴とつないで9回裏の攻撃に期待させたが、ミコライオの前に三者凡退で連敗は止まらず。
◎カープ16回戦……8-2
 タイガースの先発はメッセンジャー。初回、いきなり先頭の赤松に四球を与える。菊池のバントで二塁に進められると梵のライト前タイムリーで先制点を奪われた。しかし、カープの先発福井はタイガースを苦手としている。2回裏、新井貴が右中間に二塁打を放つと、マートンのセンター返しのヒットで一三塁とし、藤井彰のセカンドゴロでマートンが二封されている間に新井貴はホームイン。同点に追いついた。そして3回裏、先頭の鳥谷が四球を選ぶと、新井良がレフトスタンド最前列に勝ち越しの2ラン。さらに金本に四球を与えたところで福井は降板。今井にスイッチした。マートンのセンター前ヒットで1死一二塁としたが、藤井彰、メッセンジャーが打ち取られ、この回は2点のみ。6回裏、三番手中田から平野がヒット、鳥谷が四球、新井良がセンター前ヒットで1死満塁とすると、金本が一二塁間を抜くライト前タイムリーで2点を追加。そしてとどめは新井貴。弟に負けじとレフトスタンド中段に3ランを放ち大量リード。7回表、メッセンジャーは堂林にレフトフェンス最上部に当たる三塁打を打たれ、岩本のセカンドゴロの間に1点を許したが、この回最後まで気持ちを切り替えて好投。8回には筒井が、そして大量得点差ではあったが、9回表には藤川球が登板してカープ打線を難なく抑えこみ、ついに連敗をストップさせた。ヒーローインタビューは先発で久しぶりの勝利をあげたメッセンジャーと勝ち越しホームランを含む猛打賞の新井良。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー ジャイアンツ戦は1点に抑えて引き分け。カープ戦は2点に抑えて待望の勝ち星。今節は中4日で好投。ここというところで打たれてしまった他の先発投手以上に粘りの投球を見せてくれた。打線の援護があればもっと成績は上がっていたはず。今後も先発投手陣の軸としてがんばってほしい。
野手……上本博紀 抜擢されたチャンスをつかみかけている。なによりも出塁した時の盗塁企図数が素晴らしい。上本が1番に固定され、持ち前の打撃センスで率をあげていけば、レギュラーポジションの獲得も夢ではない。カープ戦のホームランのように、小柄ながらパンチ力のある打撃は往年の福本豊さんを思い出させてくれた。

 とにかく苦しい1週間だったが、最後の試合を勝利で締めて、これで雰囲気も良くなってくれるはず。次節は長野と横浜でベイスターズと、神宮でスワローズと6連戦。ベイスターズには勝ち越して最下位争いというムードにならないようにしてもらいたいし、スワローズにはもともと相性がよい。ここでもう一度巻き直し、建て直したら、心ないファンと称する輩の暴言や罵声も止まる。特に関東のファンの罵声はたちが悪い。自分が安全なところにいて好きなことをほざくのは恥ずかしいからやめるべきだ。

(2012年8月13日記)


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