愛すれどTigers


マートン、拙守で二軍落ち

 今節は、ベイスターズと3連戦。初戦は長野オリンピックスタジアムで天敵三浦を打ち先勝したが、横浜スタジアムに場所を移したらスタンリッジの乱調で敗れ、プロ入り初先発の二神もリードしたところで降板し、リリーフ陣が打たれて引き分けで1勝1敗1分。神宮球場に場所を移してスワローズ戦では館山の好投で2戦目は落としたものの相手のミスにも助けられて2勝1敗とした。今節は3勝2敗1分。通算勝利は39勝55敗11分。勝率.411で、5位。首位のジャイアンツとの差は23.5ゲーム。最下位ベイスターズとの差は4.5ゲーム。乱調のスタンリッジ、集中力を欠く拙守で関川コーチと口論したマートンが二軍に降格した。しかし、二軍で再調整していたブラゼルや坂の活躍もみられ、前節に続いて上本も存在感を発揮した。長期ロードもあとわずか。若手主体に切り替えて活気が出てきている。

◎ベイスターズ16回戦……3-1
 ベイスターズの先発は天敵三浦。3回までは完全に抑えられてしまった。タイガースの先発は久保。初回は2死一二塁のピンチを、筒香を凡フライに仕留めて脱し、2回裏はランナーを出しながらも高城を併殺に。3回裏は1死から荒波にレフト前ヒットを打たれ、内村はショートフライに打ち取ったが、中村紀にレフトのフェンスにダイレクトで当たる二塁打を打たれる。一塁走者の荒波は一気にホームを突く。レフト金本のそ返球を受けた鳥谷はホームへ直接ストライク送球。藤井彰のブロックもよく、タッチアウト。これで流れがタイガースに。4回表、上本が死球でこの試合初めての走者となり、平野が二塁にバントで送る。鳥谷が四球で1死一二塁とし、新井良の三遊間を破るレフト前ヒットで上本がホームイン。先制点をあげた。これで久保は立ち直り、6回まで投げて無失点と好投。7回表、ヒットのマートンを置いて、2死ながら好投の久保に変えて桧山を代打に送る。桧山はセカンドゴロに倒れたが、攻めの姿勢が選手に伝わったか、7回裏は加藤と鶴できっちり抑え、8回表の猛攻に。先頭の上本がライトオーバーの三塁打を放つと、平野が右中間を破る二塁打で待望の追加点。鳥谷の打席で三浦は暴投。平野を三塁に置き、鳥谷が叩きつけるバッティングでセンター前にタイムリー。3点目を入れた。8回裏は福原がきっちりと抑え、9回裏には満を持して藤川球がマウンドに。ところが、先頭の中村紀にライト前ヒットを打たれ、続くラミレスにもライト前に運ばれる。筒香のサードゴロで二封するも、代打下園のセンター前タイムリーで1点を失った。さらに後藤を歩かせ、満塁のピンチ。ここで代打小池をショートゴロ併殺に打ち取って何とかゲームセット。冷や汗もののセーブをあげた。ヒーローインタビューは先制タイムリーの新井良。
◎ベイスターズ17回戦……5-11
 タイガースの先発スタンリッジが初回につかまる。先頭の荒波を二塁への内野安打で出塁させ、内村のバントで二塁に。中村のライトフライで三塁に進まれ、ラミレスにセンター前に弾き返されてまず1点を先制される。ベイスターズの先発は藤井秀。2回表、四球の新井貴を塁に置き、藤井彰がライト前ヒットで一二塁としたが、スタンリッジのバスターエンドランは空振りに終わり新井貴が三塁タッチアウト。チャンスを逸した。さらに2回裏、先頭の渡辺直に死球を与え、続く後藤にはライト前ヒット。鶴岡のバントで1死二三塁とされると、藤井を歩かせて満塁に。そして荒波に右中間を破られる走者一掃の三塁打で一気に3点を追加され、さらに内村のセカンドゴロを上本が弾いて荒波もホームイン。3回表、先頭の上本が右中間を破る二塁打を放ち、大和がセカンドへの内野安打で無死一三塁に。鳥谷が犠牲フライを放ち、4点差にする。ところが3回裏、スタンリッジは2死から後藤にレフトスタンドにソロホームランを打たれてまた5点差に。スタンリッジはこの回限りで降板。5回表、鳥谷がライトスタンドにソロホームランを放ちまた4点差に縮める。直後の5回裏、二番手渡辺亮が2死から筒香にライトスタンドへソロホームランを叩きこまれると、渡辺直への四球、後藤のヒット、鶴岡への四球で満塁。代打森本のショートゴロを鳥谷がお手玉し、エラーでさらに1点を加えられて6点差とされた。6回表、二番手加賀から反撃。無死からマートンのライト前ヒット、関本のレフト前に落ちるヒットでチャンスを作ると、新井貴がレフト前ヒットで1点を返す。代打今成のヒットで満塁としたところで加賀は降板。三番手篠原に代打ブラゼルが三振に打ち取られたが、四番手菊地の暴投でさらに1点。上本の四球で満塁とし、代打桧山の犠牲フライで3点目をあげ、2点差まで詰め寄った。ただ、あとひと押しで鳥谷が三振。7回からは藤江、大原慎、山口のリレーに抑えられた。6回裏、三番手筒井が中村紀にレフトポール際にソロホームランを打たれたところで戦意喪失。8回裏には五番手鶴がルイーズと筒香の連打で無死一三塁とされ、渡辺直のタイムリーと森本のタイムリーで2点を追加されて11失点という今季ワースト失点を記録した。
◎ベイスターズ18回戦……4-4
 タイガースはプロ入り初先発の二神が初回、立て続けに9球ボール。荒波、内村を連続四球で出し、荒波は盗塁を企図したところを藤井彰が刺したが、筒香にはストライクを取りに行ったところを打たれライト前ヒットで1死一三塁に。ここでラミレスをショートゴロ併殺に切って取り、2回以降は落ち着いた投球。タイガース打線も二神の援護をしようと、二軍から上がってきたばかりの選手たちが奮起。ベイスターズ高崎から3回表に上本がヒット。平野が送り、鳥谷がサードへの内野安打。新井良はショートフライに倒れたものの金本がなかば勝負を避ける形で歩かされて2死満塁に。ここで坂がライト前に2点タイムリーを放ち先制。続くブラゼルも高めの球をライト前に運び、3点目を奪った。二神は5回裏、後藤に左中間スタンドにソロホームランを叩きこまれ、2点差とされたが、なんとか投げ切って勝ち投手の権利を得た。しかし6回裏、1死から荒波、内村に連続してライト前に運ばれ、ここで交代。二番手加藤は筒香を歩かせて満塁に。ラミレスを迎えたところで起用したのはこれも二軍から上がってきたばかりの鄭。ラミレスのサードゴロの間に三塁走者が生還して1点差と迫られ、さらには落ちる球を藤井彰が捕り切れず、捕逸で同点に。続く後藤にライト前に勝ち越しタイムリーを打たれてしまった。それでも直後の7回表、新井良がレフトスタンド中段に同点のソロホームランを叩きこむ。タイガースは、鶴と福原の継投、ベイスターズは藤江と山口の継投でランナーを出したりもしたがそれぞれ無失点で抑え、試合は延長戦に。10回表、菊地の前にタイガース打線は三者凡退。その裏、藤川球が登板しこちらも2連続三振を含む三者凡退で時間切れの引き分けとなった。
◎スワローズ14回戦……9-7
 先制したのはタイガース。スワローズ先発赤川から2回表に1死から平野が二塁内野安打で出塁。小宮山が四球を選び、岩田のバントで2死二三塁とすると、上本がレフトオーバーの二塁打で走者を一掃。続く大和のレフト前ヒットで上本が二塁から一気に生還、相川のタッチをうまくかいくぐる好走塁でこの回3点を奪った。さらに3回表、四球の新井良を塁に置き、新井貴がレフトスタンドに2ランを叩きこむ。赤川はこの回限りで降板した。一方の岩田は2回までは好投したが、3回裏につかまる。先頭の森岡にヒットを打たれ、相川の右中間への二塁打で無死二三塁とされる。代打川本のレフトフライをマートンが捕りそこね(記録はヒット)走者一掃の二塁打に。続く代打山田の浅いレフトへの当たりをマートンがスライディングキャッチしようとしてまた弾き(これも記録はヒット)二三塁に。ここで和田監督はマートンを下げて俊介をレフトの守備につける。上田は俊介へのレフトフライに打ち取ったが、ミレッジは右中間に1点差とする二塁打。畠山のヒットで一三塁に。川端の犠牲フライで同点に。あれよあれよという間に大量リードが帳消しとなった。5回表、三番手平井からヒットの俊介を置いて新井貴が二打席連続の2ランをレフトスタンドへ。これでふたたび2点リード。5回裏、先頭の山田にヒットを打たれ、上田のバントで二塁に。岩田の落ちる球を小宮山が大きく三塁側に弾いて山田は二塁から一気にホームインして1点差に。7回表、四番手押本から小宮山が四球を選び、代打ブラゼルがレフトスタンドに来日初の代打ホームランを放ち、3点差に突き放す。岩田は5回限りで降板し、加藤、鄭、筒井とつないでスワローズ打線を抑える。8回裏、五番手福原が先頭の川端にヒットを打たれ、小宮山の捕逸で二塁に進める。相川のタイムリーで2点差に迫られた。しかし、9回裏、藤川球がランナーを出しながらも危なげない投球でしっかり抑え、乱戦を制した。ヒーローインタビューは2打席連続ホームランの新井貴。
◎スワローズ15回戦……0-1
 メッセンジャーと館山の投手戦。タイガースは初回、上本がライト前にヒットを放ち、平野が四球を選んで無死一二塁と館山を攻め立てるが、鳥谷はショートゴロ併殺。上本は三塁に進んだが新井良はライトフライで先制の機械を逸した。このあとは館山の前にチャンスらしいチャンスをなかなか作れない。一方のメッセンジャーは2回裏、畠山のライト前ヒットと川端への四球で無死一二塁のピンチを作る。しかし、田中浩のバントは新井貴が判断よく三塁へ送り失敗。森岡を三振に取り、川本は歩かせたが館山を三振に取ってピンチを脱した。5回裏には1死からミレッジと上田の連打でまたもピンチを招くが武内をセカンドゴロ併殺に打ち取ってピンチを脱した。それでも6回裏についに失点。先頭の畠山にヒットを打たれると、川端のバントで二塁に。田中浩が詰まりながらもセンター前に落として畠山が生還し、スワローズに先制を許した。7回表、新井良と金本の連打でチャンスを作るが、新井貴のバントは畠山が三塁に送りホースアウト。代打桧山のセンター前ヒットで1死満塁としたが、代打今成はショートフライ、そして代打ブラゼルは三振。絶好のチャンスを逸した。タイガースは鄭、加藤、渡辺、筒井の継投でスワローズ打線を封じて反撃を待つ。9回表、ストッパーのバーネットから代打関本がレフト前ファールラインぎりぎりのところに落ちるヒットで出塁、代走は大和。しかし、新井貴は三振、大和は盗塁失敗で試合終了。マートンを二軍に落としてまでして臨んだ試合だったが、連勝はならず。
◎スワローズ16回戦……6-1
 先制したのはタイガース。村中から2回表に1死から新井貴、平野の連打でチャンスを作ると、藤井彰がレフトオーバーのタイムリー二塁打。新井貴に続いて平野もホームを狙うが、惜しくもタッチアウト。1回裏、能見はミレッジにいきなりヒットを打たれるが、盗塁を藤井彰が刺す。それでも上田と田中浩の連打でピンチを招いたが、畠山と飯原を連続三振に打ち取りピンチを脱した。これ以降は能見と村中の投手戦に。6回表、先頭の上本が右中間を破る二塁打を放つと、大和のバントは三塁に送球されるも上本の足が早く塁につきフィルダーズチョイスで無死一三塁に。さらに鳥谷が四球を選んで満塁。ところが、新井良、関本の連続サードゴロはそれぞれ走者を本塁で封殺され、新井貴はセカンドフライに終わり無死満塁のチャンスに得点できず。能見は7回を投げ切って無失点で降板。1点差のまま8回裏、二番手福原がマウンドに。1死からミレッジにヒットを打たれ、代走の三輪に盗塁を許す。上田はショートゴロに打ち取ったが、田中浩のつまり気味の当たりはライト前に落ちて三輪が同点のホームイン。またも嫌なムードが漂ってきた。それを断ち切ったのが9回表。ストッパーのバーネットに対し、1死から平野がショート内野安打、しかも山田の悪送球で二塁に進む。藤井彰のセカンドゴロで三進し、代打桧山が打席に。ここでバーネットが暴投で平野が生還して勝ち越し。桧山のピッチャーゴロはバーネットが一塁に悪送球して桧山は一気に二塁へ。代走の俊介を上本がセンター前ヒットで返し2点目。大和の当たりは右中間を破る二塁打となり上本が生還して3点目。鳥谷のセンター返しの打球はショート山田のグラブの下をくぐりセンター前タイムリーヒットになって4点目。新井良はレフト線へ二塁打で二三塁とし、関本が右中間を破る2点二塁打で6点目。大差をつけて9回裏は藤川球がマウンドに。代打藤本と代打福地を三振に取るなど三者凡退で締めくくる。ヒーローインタビューはダメ押しの3点目のタイムリーを放った上本。

愛すれどTigers週間MVP
投手……久保康友 長野オリンピックスタジアムでの、最盛期を思い出したような店舗のよい投球が光った。今季はなかなか本来の力を発揮できていなかったが、ここにきて信頼できる投球が続いているのは心強い。
野手……上本博紀 前節に続いて今節もトップバッターに固定。粘り強く相手投手に玉数を投げさせたかと思うと、一転して好球必打で鋭い打球をとばして見せる。出塁したら大きなリードで相手投手の集中力を奪う。このままトップバッターのポジションを自分のものにしてほしい。あとは守備力の向上だ。

 まだチャンスであと1本が出ないときもあるが、若手選手やがけっぷちの選手たちがひたむきにプレイしてチームに活気を取り戻してくれた。このまま来季を見据えて粘り強く若手を起用し続けてほしい。二軍では岩本、歳内ら若手投手や森田、野原将ら若手野手が次は自分の番だと懸命にアピールしている。次節は京セラドームでドラゴンズ戦、マツダスタジアムでカープ戦という日程。歳内の先発起用も予想されている。主力が力を出し切れていない今こそ、若手のチャンスなのだ。マートンやスタンリッジも再調整してくるだろう。もう順位のことなどは考えず、思い切った選手起用でチーム内の競争を活発にやってほしい。

(2012年8月20日記)


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