今節は、ドラゴンズと3連戦。初戦と2戦は京セラドーム大阪で連敗したが、相性の良い倉敷マスカットスタジアムに場所を移し6連打の打線爆発で連敗をストップし1勝2敗。マツダズームズームスタジアムのカープ戦では2戦目に守備のミスから惨敗したりしたものの、首のかかるブラゼル、スタンリッジらの活躍で3戦目をとり、1勝1敗1分とした。今節は2勝3敗1分。通算勝利は41勝59敗12分。勝率.410で、5位。首位のジャイアンツとの差は25.5ゲーム。最下位ベイスターズとの差は5.0ゲーム。カープ戦では球団創設時の復刻ユニフォームを着用。「グレートセントラル」シリーズでカープは初優勝時のビジターユニフォーム。タイガースは現在の変な模様の入ったユニフォームを即刻やめてもっとシンプルなデザインに戻すべきだと心底思った。
◎ドラゴンズ15回戦……0-1
久保とソトの投手戦。久保はコントロールよく8回まで投げて散発5安打無失点という申し分のない結果を出した。一方のソトも速球とチェンジアップのコンビネーションがよく、8回まで投げて散発4安打無失点。こうなると、勝利の女神は流れに逆らうものに対して冷たく当たる。9回表、延長の制限時間までまだ1時間もあるというのに、和田監督は好投の久保をおろして藤川球を起用。代打を出して交代という流れでもない。9回になったら久保が打たれるという予感がしたのだろうか。しかし、9回表、打たれたのは藤川球だった。先頭の山崎はセンター前の二塁打。大和が油断するすきに積極果敢に走った山崎の走塁がドラゴンズに勝利を呼び込んだ。代走に岩崎達。谷繁がバントで走者を三塁に進め、平田はショート鳥谷のグラブを弾く強い打球の強襲ヒット。球が外野に転がる間に岩崎達が生還。ドラゴンズが貴重な1点をもぎ取った。代打野本への四球、大島のレフト前ヒットで1死満塁とされたが、藤川球はなんとか後続を断って最少失点にとどめた。9回裏、ストッパーの山井が登板。先頭の新井良がヒットで出て代走には柴田。俊介の投手ゴロは山井の悪送球を誘い、無死一二塁。ここでタイガースベンチは新井貴にバントを指令。しかし、バントの構えで空振りすれば、二塁走者の柴田は三塁に勢いよく突っ込んだもののタッチアウト。結局新井貴は三振。代打桧山はよく粘り四球を選んで再び同点のチャンスを作ったが、代打今成が三振し、試合終了。久保の力投もむなしく完封負け。
◎ドラゴンズ16回戦……2-5
タイガースの先発二神が初回につかまる。先頭の大島にいきなりヒットを打たれ、荒木のバントで二塁を許す。2死までこぎつけたものの森野と井端の連続タイムリーで2点を奪われた。タイガースも吉見に対して反撃。2回裏、二塁打の金本を塁に置き、坂が右中間を破る二塁打で1点を返した。しかし二神は3回表、二塁打の森野を塁に置き、なんと井端にレフトフェンスをぎりぎりながら越える2ランを打たれ、4回限りで降板。4回裏、1死から坂と藤井彰の連打でチャンスを作ると、代打今成がセカンド荒木の頭上を越えるタイムリーで1点を返した。しかし1死満塁まで詰め寄るも平野と鳥谷が凡退してチャンスを生かせず。タイガースは鄭、榎田、鶴の継投でドラゴンズ打線を抑えるが、9回表、筒井が先頭の和田に二塁打を打たれ、代走松井佑に森野の内野ゴロで三塁に進まれる。そしてまたもや井端にピッチャー返しのセンター前タイムリーヒットを打たれ3点差と広げられた。9回裏は岩瀬の前に手も足も出せず、三者凡退で試合終了。今季のドラゴンズ戦の負け越しが早くも決まった。
◎ドラゴンズ17回戦……6-3
タイガースの先発岩田の立ち上がりを攻められる。2回表、二塁打の井端を塁に置き、谷繁がバントで三塁に進めると、平田がライトオーバーの二塁打で井端を返す。さらに4回表、ヒットの井端を塁に置いて、谷繁のレフトスタンドへの2ラン。嫌な雰囲気が漂い始めた。これを吹き飛ばしたのが若トラたち。4回裏、それまで大野にノーヒットに抑えられていたが、先頭の上本、続く大和が連続してレフト前にヒットを放つと、鳥谷がセンターフェンス直撃の二塁打で上本を返す。さらに新井良がレフト線に走者一掃のタイムリーで同点に追いついた。新井貴のレフト前ヒットはレフト和田が油断するすきをついて新井良が三塁に進み、俊介は叩きつけるバッティングでセンター前に高いバウンドのヒットを放って勝ち越す。この日プロ入り初出場の中田には凡フライに倒れ、小宮山、岩田と打ち取られたが、大野はこの回限りで降板。岩田は6回表、井端に死球を与えたところで降板し、リリーフに後を託す。鄭、加藤、鶴、そしてセットアッパーとして福原が好投し、ドラゴンズ打線を抑えると、タイガース打線は8回裏にその投球に応える。三番手武藤から先頭の大和がヒットと盗塁。鳥谷が歩き、新井良がバントで二三塁に進める。新井貴は敬遠で満塁に。ここで代打桧山がレフト前に運ぶ2点タイムリー。3点差をつけ、満を持して藤川球が9回表にマウンドに。先頭の平田は歩かせたが、代打野本は三振、代打田中は捕邪飛、そして大島も三振に打ち取ってドラゴンズ戦の連敗をみごとにストップさせた。ヒーローインタビューは代打通算打点を98と伸ばし、チーム最多記録の八木と並んだ桧山。
◎カープ17回戦……2-2
メッセンジャーとバリントンの投手戦。2回裏、メッセンジャーは先頭のエルドレッドを歩かせて1死から堂林にセンター前に運ばれる。センター坂は急造外野手。三塁に送球するがエルドレッドはセーフ。その間に堂林も二塁を陥れる。丸の犠牲フライであっさりと先制された。しかし、メッセンジャーはここから踏ん張り、石原敬遠のあと、バリントンを打ち取って最少失点にとどめた。バリントンを打ちあぐんだタイガース打線だったが、5回表、先頭の金本がセンター前に運び、坂のバントで二塁に。新井貴は背中に死球を受け、続く藤井彰のライト前ヒットで満塁に。メッセンジャーはお返しをするようにセンターへ犠牲フライを打ち同点に。続く上本のライト前ヒットで二塁走者の新井貴が三塁をオーバーランした。ファーストのエルドレッドがこれを刺そうと三塁に送球したが、大きくずれてファールゾーンを転がる間に新井貴が生還して勝ち越しのホームイン。メッセンジャーは最少得点差をよく守っていたが、8回裏につかまる。先頭の菊地は鳥谷を襲う内野安打で出塁。梵の一塁ゴロは新井貴がこぼし、併殺は取れず、一塁アウトのみ。二塁に走者を残してしまう。エルドレッドを三振に打ち取りほっとしたところで、続く松山に高めの球を狙われライト前に同点タイムリーを打たれてしまった。9回表、四番手の今村を攻める。先頭の坂がヒットで出塁。しかし、新井貴は見逃し三振、坂は二塁へ盗塁しようとするもタッチアウト。チャンスを逸したかに見えたが、藤井彰と代打今成の連続ヒット、上本の四球で2死満塁の大きなチャンスを作る。しかし、平野はセカンドゴロ。延長10回、藤川球とミコライオのストッパー対決はそれぞれがしっかり抑えて時間切れの引き分け。今季のメッセンジャーほど打線の援護に恵まれない投手はいないのではないか。
◎カープ18回戦……3-8
タイガースの先発は能見。初回、1死から菊池にヒットを打たれ、梵の内野ゴロで二進。エルドレッドを歩かせ、堂林はサードゴロに打ち取るが、併殺を狙い二塁に投げた新井良の送球は大きく上にそれ、菊池をホームに返してしまった。それでも後続を断ち、1失点で切り抜ける。カープの先発福井はタイガース戦は相性が悪い。4回表、鳥谷と新井良の連打、金本の四球で無死満塁に。新井貴はサードゴロに倒れたが、二封のみで新井貴はなんとかセーフ。その間に鳥谷が生還して同点に。続く坂が左中間を破る二塁打で新井兄弟を返して2点差と勝ち越す。能見は2回以降自分のペースで快調にカープ打線を抑えていたが、5回裏、先頭の赤松に右中間に二塁打を打たれ、菊池のライトフライで三進。そよぎのライト前タイムリーで1点差に迫られる。さらに6回裏、1死から迎に死球を与え、天谷のセカンドフライは上本が背走したが落下点にぎりぎり追いついたところで落球。倉の左中間を破る二塁打で2点を失い、逆転を許した。2死後、鄭にマウンドを譲ると、鄭は赤松にライト前にタイムリーを浴びて2点差に。7回裏、三番手鶴が先頭の梵にヒットを打たれ、代打木村のバントで二進。堂林にセンターオーバーの二塁打を打たれ3点差に。天谷の左中間を破る当たりは、金本が前進守備をとっていたために中継などが遅れ、打った天谷は一気にホームを突いて2点ランニングホームランとなって試合は決した。守備の乱れがことごとく失点に結びつき、生き生きと動くカープの選手との差を感じさせた。
◎カープ19回戦……3-2
スタンリッジと今井の投手戦。二軍で調整し、満を持して登板したスタンリッジは5回1死までパーフェクトに抑える投球。また、ローテーション入りを狙う今井も4回2死までノーヒット。4回表、2死から金本のキャッチャーへのファールフライを捕手石原が見失い、命拾い。そして金本はセンター前に弾き返しチーム初安打。続く坂もライト前に運び、ブラゼルがレフトスタンド最前列まで運ぶ技ありの3ランホームランで先制。スタンリッジは6回裏に二塁打の天谷を塁に置き、2死までこぎつけたが赤松にライト前に運ばれ1点を返される。さらに8回裏、代打阿部と赤松のヒットで1死一三塁とされ、代打エルドレッドにレフト前にタイムリーを打たれ1点差とされる。梵を捕邪飛に打ち取ったところで榎田に交代。榎田は代打前田を力のないセカンドゴロに打ち取りピンチを脱する。9回表、カープはセットアッパーの今村を投入し、新井良、俊介、坂を三者三振に取り打線の援護を待ったが、9回裏、藤川球がマウンドに上がり、堂林、天谷を連続三振に打ち取るなど久しぶりに安定したクローザーぶりを示した。ヒーローは先制3ランのブラゼル。
愛すれどTigers週間MVP
投手……加藤康介 負け試合、勝ち試合、ワンポイント、イニングまたぎ。どんな場面でも投げる。2度の戦力外通告を乗り越えて、ベテランが黙々と仕事をしている。今リリーフ陣の中で一番安心して見ていられるのではないか。投げられる喜びをチームで一番感じているのが加藤かもしれない。
野手……坂克彦 慣れない外野守備での先発出場。それでもやっとつかんだチャンスは離さない。新人時代から近鉄球団消滅、楽天球団んから電撃移籍、そして再度の怪我。若手でありながら、ここまでの苦労はベテランたちとかわらない。もう二軍には戻らない。その思いがプレーに表れている。
次節は横浜球場でベイスターズ戦。今度こそ突き放して、上を見て試合ができるようになってほしい。そして待望の甲子園でまたまたカープと3連戦。若手の躍動する姿もいいが、崖っぷちに立たされたベテランたちがなんとか奮起して若手と競争している、その懸命な姿には心を動かされるものがある。上本や大和が研究されて苦しんでいる。油断したらここまで苦しんできているベテランたちの逆襲にあうぞ。たとえ順位は低くとも、チーム内の競争はまだまだこれからだ。
(2012年8月27日記)