愛すれどTigers


岩本のプロ入り初勝利で鬼門ナゴヤ勝ち越し

 今節は、甲子園球場でのジャイアンツ最後のと3連戦。初戦は相手のホームラン構成に敗れ、2戦目はお返しの猛打とメッセンジャーの完封で勝ち、3戦目は緊迫した投手戦で引き分けて1勝1敗1分。鬼門ナゴヤドームでの最後のドラゴンズ戦ではスタンリッジを見殺しにした初戦と、能見の好投に救われた2戦目のあと、2年目の19歳岩本のプロ入り初先発初勝利で3年ぶりにナゴヤドームで勝ち越し、2勝1敗。今節は3勝2敗1分。通算勝利は47勝64敗13分。勝率.423で、5位。首位のジャイアンツとの差は27.0ゲーム。最下位ベイスターズとの差は7.0ゲーム。
 なお、元タイガース、バファローズ監督でオリックス球団のGMもつとめたOBの中村勝広さんがGMに就任。来季の構想について、監督と話をする前に吹きまくっている。あの、くじで松井秀喜を逃した監督がフロントで帰ってきた。その手腕についてはオリックス時代のロートル外人かき集め策などでわかるとおり、根本陸夫さんのようなスゴ腕は期待できそうにない。スカウティングの腕を期待するなら、他にも人がいたのではないかと思うのであるが、果たしてどのような結果になるか。

◎ジャイアンツ19回戦……3-7
 タイガースの先発は久保。初回、松本哲の三塁ファールフライを新井良がカメラマン席に飛び込んで取るファインプレー。額に傷を作って流血してても、ハッスル男は元気に守備につく。そんな後押しがありながら、久保は坂本にセンター前に運ばれると、続く阿部にレフトスタンドに2ランを打たれた。さらに2回表、今度は實松のソロホームランが空席の目立つレフトスタンドに。3点差をはねかえせるか不安だったが、新井良が反撃のきっかけを作る。2回裏、澤村からレフトポール際にソロホームラン。さらに1死から新井貴が歩き、平野のヒット、藤井彰がセンターとライトの狭い隙間に落とすテキサスヒットで満塁に。久保は三振したが、上本が押し出し死球で1点差とする。3回裏には四球の鳥谷とセンター前に弾き返すヒットの新井を塁に置き、平野がライト前に同点タイムリーを放った。このあと試合は膠着状態に。互いに点が取れず、特に不調の澤村を6回までもたせてしまったのは痛い。久保は8回まで投げ切る。そして9回表、榎田をマウンドに送り出したが、代打矢野にレフトフェンス上部に当たる三塁打をいきなり打たれ、続く代打谷には難しい球をうまくさばかれ三塁線を抜くレフト前二塁打で1点を勝ち越された。實松のバントで代走寺内が三進。代打大田を歩かせたところで福原にスイッチ。長野をセカンドゴロに打ち取ったが上本がホームへワンバウンド送球をし、寺内が生還。石井義のセカンドゴロは、上本はバックホームせず併殺を取ろうとし、構えができていなかった鳥谷がなんとか捕球はできたものの併殺はできず1点をさらに追加される。坂本の二塁打で4点目を奪われ、万事休す。9回裏には切り札西村から上本が二塁打を放つも、代打金本と鳥谷が凡退してジャイアンツ戦9連敗。
◎ジャイアンツ20回戦……6-0
 タイガースの先発メッセンジャーは立ち上がり、コントロールが定まらない。長野と阿部に四球を出し、2死一二塁とされたが村田をセカンドフライに打ち取り難を逃れる。ジャイアンツの先発は新人の江柄子。2回裏、マートンと平野のヒットと藤井彰の四球で1死満塁とするも、メッセンジャー、上本が連続三振。またロースコアかと思わせた。しかし、タイガースは相手のミスにつけこむ。3回裏、1死から鳥谷が二塁への内野安打、新井良のサードゴロは村田が後ろにそらすエラーで一二塁に。ここで鳥谷が三盗。捕手實松がサードに送球するが村田が取れず後ろにそらし、鳥谷は一気にホームイン。マートン凡退で2死となったところで原監督は江柄子を降板させ、高木康をマウンドにあげる。しかし高木康は準備不足かブラゼルを歩かせ、平野のセンター前ヒットで2点目。続く藤井彰もセンター前に弾き返し3点目。メッセンジャーまでレフト左へのタイムリーヒットでこの回3点。4回表、2死から高橋由、藤村の連打と實松の四球で満塁とされたが、代打古城をセンターフライに打ち取り無失点。一方ジャイアンツは4回裏、2死から大和が左中間を破り、二塁打。鳥谷がライトオーバーの三塁打で1点追加。さらに新井良が犠牲フライ。前半で6点差をつけた。メッセンジャーは以降は安定した投球で12奪三振。タイガース打線は四番手田原にてこずって追加点はならなかったが、メッセンジャーは大量リードに守られて今季2度目の完封勝利。
 ヒーローインタビューは今季2度目の完封勝利を飾ったメッセンジャー。
◎ジャイアンツ21回戦……1-1
 タイガースは初回から内海を攻める。先頭の上本がライト線へ二塁打を放ち、大和がバント。しかし上本のスタートが悪く三塁に送球されてタッチアウト。鳥谷はセカンドゴロで大和が二封。新井良のレフト線への二塁打で2死二三塁と先制のチャンスを作るもマートンは三振。2回裏には新井貴と小宮山のヒットで1死一二塁とするが、岩田はバントっを失敗し、結局三振。上本の死球で満塁とし、大和がライト前に先制タイムリー。しかし連打ができない。鳥谷がサードゴロで1点どまり。3回以降は内海も調子を取り戻し、チャンスらしいチャンスが作れない。一方のタイガース岩田は初回から快調に飛ばし、ジャイアンツ打線を抑えこむ。5回表、矢野、寺内のヒットと長野の四球で2死満塁とされたが、谷を空振り三振に。6回は2死から坂本と阿部の連打を浴びるも大田を力のないライトフライに打ち取る。しかし7回表、先頭の寺内にヒットを許すと、内海はバントに成功。長野のタイムリーで同点に追いつかれた。長野は盗塁を試みるが、小宮山がみごとに刺す。それでも谷、坂本の連打と阿部の四球で満塁に攻め立てられたが、村田を内角にずばりと決まる速球で見逃し三振。8回以降は、タイガースは筒井、福原、藤川球のリレーでジャイアンツの得点を許さない。ジャイアンツも福田、山口の継投でタイガース打線を抑えこむ。試合は延長戦に。榎田が、そして西村がそれぞれベストピッチを見せ、緊迫した投手戦は引き分けに終わった。
◎ドラゴンズ18回戦……0-1
 先発投手が3被安打1与四球、1被本塁打のみの1失点で完投し、それでも負けてしまうようなことがあるのだろうか。あるのだ。この試合、スタンリッジは5回2死までノーヒットピッチング。失投を森野にとらえられてライトスタンドに先制ソロホームランを運ばれたが、それ以降も好投し、残る2安打も2死からのものでピンチらしいピンチがなかった。それでも負ける。ドラゴンズは大野が先発。2回表、先頭の新井良が背中に死球を受け、続くマートンがヒット。関本が確実に送り、狩野は倒れたが小宮山が四球で2死満塁に。スタンリッジの三振で逆転はならず。4回表、2死から関本がレフト前ヒット。続く狩野の当たりは右中間を破るかと思われたが、センター大島がダイビングキャッチで同点のチャンスを逸した。ドラゴンズは8回表にはソーサ、9回表には山井を投入。先頭のマートンはサード堂上直のお手玉で内野安打。関本が送り、代打金本がセンター前ヒット。マートンの代走平野は前進守備に阻まれホームインできず、1死満塁に。ここで代打桧山は三振。代打ブラゼルは一塁ゴロで試合終了。まさにスタンリッジを見殺しにしてしまった。
◎ドラゴンズ19回戦……1-0
 タイガースの先発は能見。初回からドラゴンズの打者は全くタイミングが合わず、ピンチらしいピンチというと2回裏に森野に二塁打を打たれ、2死から小田を敬遠して山本昌と勝負し三振に打ち取った場面くらい。四球もこの敬遠のみ。8回を投げて相手に三塁を踏ませない見事な投球。一方は引退をかけてマウンドに登った山本昌。こちらも老獪な投球術でタイガース打線を翻弄。5回表、1死から関本がセンター前に弾き返し、狩野が左中間を破る二塁打を放つも関本は本塁につっこみタッチアウト。藤井彰は敬遠で能見が打ち取られ、得点できず。6回表、大和の二塁打と鳥谷の四球で山本昌を引きずりおろしたが、二番手武藤の前に新井良、マートンとも凡フライに終わる。7回からはネルソンに抑えられ、このまま前日のスタンリッジのように能見も見殺しにするかと思われたが、9回表、四番手雄太から先頭のマートンが四球を選び、関本が代走の俊介をバントで送る。平野がライト前に落とし、一三塁としたところで、藤井彰がセーフティバント。俊介はホームで捕手前田のタッチをうまくかいくぐり、決勝のホームを踏んだ。9回裏、藤川球が和田、ブランコ、井端を難なく抑え、ついに鬼門ナゴヤドームで今季初勝利。ヒーローインタビューはドラゴンズ打線を手玉に取って勝利投手となった能見。
◎ドラゴンズ20回戦……7-0
 タイガースの先発は高卒からのプロ入り2年目、岩本。プロ入り初登板が初先発となる。緩急をつけた投球で、ゴロの山を築く。対するドラゴンズは今季10勝目を賭けて山内がマウンドに。初回、上本がセンター前ヒットで出塁し、大和のバントで二進。鳥谷が歩き、マートンのセンター前に弾き返すタイムリーで先制。さらに3回表、ヒットの上本が盗塁し、2死二塁から新井良のタイムリーで2点目。マートンもライト前ヒットでつなぎ、ブラゼルがレフト前にタイムリーで3点目。5回表には大和がヒットで出ると盗塁。鳥谷のセカンドゴロで三進し、新井良のタイムリーで4点目を奪う。ここで山内は降板。岩本は6回まで投げ切ってドラゴンズの走者に二塁を踏ませない。7回からは福原、加藤、榎田と継投。こちらも二塁は踏ませない。8回表、ブラゼルがライトスタンドにソロホームランを叩きこむ。2死後、関本のショートゴロを井端がエラー。上本がセンター前ヒットでつなぎ、大和はレフト線に二塁打を放って走者一掃。大量リードで9回裏には鶴がきちっと抑えて完封リレーを締めた。岩本はプロ入り初勝利。しかも今季唯一となったが、初めてナゴヤドームでカード勝ち越しを決めた。ヒーローインタビューはもちろん岩本。勝つつもりだったと豪語しながらも、観戦してくれた家族のことについて触れられるとたちまち19歳らしく照れて言葉にならない。そのギャップが楽しかった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……岩本輝 高卒からのプロ入り2年目とは思えない落ち着きで、西村一孔さん以来という10代での初登板初先発初勝利を達成。秋山のように伸び悩むか、一気に一軍ローテーションをつかむか。それは秋季キャンプでの鍛え方次第か。ともあれ、カープ津田の後輩ということで注目されていた若手は真逆の緩急をつけたベテラン顔負けの勝負師であった。
野手……平野恵一 不振にあえいでいた男が、徐々に本領発揮。外野守備で投手を救い、つなぎのバッティングからここぞというところの決定打までしっかりと打ち返すことができるようになってきた。若手だけでもベテランだけでもいけない。脂の乗り切った技巧の復活に期待大だ。

 次節は甲子園でスワローズ戦。今季唯一相性のいいチームだけに、鬼門ナゴヤドームでの連勝をさらに伸ばしてもらいたい。さらに東京ドームで最後のジャイアンツ戦。着々とマジックを減らしていくのを指をくわえてみているのでは面白くない。今度は歳内をぶつけてひと泡吹かせてやってくれ。秋山の復活劇というのも見てみたいよなあ。投手だけでなく、野手でもいきのいいのをどんどん使ってほしい。野原将、野原祐、森田、荒木、甲斐、黒瀬なんてどうしているのだ。

(2012年9月10日記)


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