愛すれどTigers


金本引退表明後、田淵越えの一発

 ついにこの日がきた。金本知憲外野手が引退を表明。今節は、甲子園球場でのスワローズ3連戦。そのただなかでの引退表明だった。2連敗後、、金本引退表明後の初勝利は3戦目。スタンリッジの好投でかちとった。スワローズ戦は1勝2敗。東京ドームでの最後のジャイアンツ戦、2戦目に鳥谷と新井貴のホームランでついに東京ドーム今季初勝利をあげ、3戦目は敗れたものの、金本が田淵幸一さんの通算記録をこえる475号ホームランを放った。ジャイアンツ戦は1勝2敗。今節は2勝3敗。通算勝利は49勝68敗13分。勝率.419で、5位。首位のジャイアンツとの差は30.0ゲーム。最下位ベイスターズとの差は8.5ゲーム。
 なお、ブラゼル選手が東京ドームの最終戦のあと、登録抹消。出場機会もなく帰国となった。11月いっぱいまでは残留か対談かは未定とのことだが、今季チーム最多ホームランの選手をクビにできるほど戦力が余剰にあるわけではないわけで、ファンに愛されている助っ人をかんたんに退団させるのはもったいない。ぜひ残留という方向で話が進んでほしいのだが。

◎スワローズ17回戦……0-2
 タイガースの先発はメッセンジャー。3回まではパーフェクトに抑え、5回まで1安打無失点と好投。対するスワローズ先発のロマンは初回から不安定。先頭の上本が初球を打って左中間に二塁打とすると、大和も初球をバント。わずか2球で1死三塁というチャンスを作る。鳥谷、新井良の連続四球で満塁としたが、マートンの当たりは一塁への強いライナー。新井良があわてて帰塁して併殺は免れた。そしてブラゼルは三振。5回裏、2死から上本が四球を選び、大和のヒットと鳥谷の四球で満塁としたが、新井良はショートゴロで2度目の満塁も生かせず。6回表、先頭の比屋根がヒットで出塁し、田中浩のバントで二進。バレンティンは一塁へのファールフライに打ち取ったが、ミレッジを歩かせ、川端のレフト前ヒットで先制されてしまう。まさにワンチャンスをものにされたというところ。7回裏、好投のメッセンジャーに代打金本を送ると、ライト前ヒットで出塁し、代走に田上。上本が送り、大和は左ひじをかする死球。鳥谷も四球を選び、この試合三度目の満塁。しかし、二度あることは三度ある。新井良がサードゴロ併殺でまたもチャンスを逸した。8回表、二番手の鶴は先頭の代打雄平をショートゴロに打ち取ったが、鳥谷がそらして出塁。比屋根が送り、田中浩のライト前ヒットで一三塁とされ、バレンティンの犠牲フライで1点を追加された。8回裏、二番手山本哲から先頭のマートンがライト前ヒット。しかしブラゼルはセカンドゴロで併殺。平野がライト前に落として藤井彰のレフト前ヒットでチャンスを作る。しかし代打桧山はファーストゴロ。9回表、加藤が三人で抑えて反撃を待つが、9回裏、抑えのバーネットに鳥谷の四球で期待を持たせたが新井良が空振り三振。三度の満塁をいずれも生かせなかったのが今季を象徴している。
◎スワローズ18回戦……1-2
 試合前に金本の引退表明があり、選手たちも気合が入っていた。初回、スワローズの館山を攻める。1死後、大和が内野安打で出塁し、すかさず盗塁。鳥谷がライト前ヒットで大和を返して1点を先制した。しかし、2回以降館山はたちなおり、落ちる球を有効に使い、タイガース打線を翻弄する。タイガースの先発久保は1点のリードをていねいな投球で守っていたが、7回表につかまる。先頭の宮本にライト前に運ばれ、森岡のバントで二進。川本のセンター前ヒットで森岡が生還して同点。川本は一塁をオーバーランして鳥谷に追われタッチアウトの際に転倒し、肩を痛めて退場。同点にとどめた。8回表、ヒットの比屋根を田中浩に送られ、バレンティンのヒットとミレッジの四球で満塁に。川端のライト前ヒットで逆転されたが、続く1死満塁のピンチを三輪の三振と森岡の内野フライで切り抜けた。9回表、二番手の榎田が乱調。二塁打の中村を野口の一塁ゴロで三進、比屋根に死球と田中浩のセンター前ヒットで満塁に。ここで渡辺にスイッチし、バレンティンを浅いセンターフライ、ミレッジをセカンドゴロに打ち取って危機を脱し、打線の援護を待った。9回裏、バーネットから新井貴が四球で出塁、代打金本が抜ければ蝶だという素晴らしい当たりを放つも、比屋根がダイビングキャッチ。あまりに強く飛び込んだため、肩を痛めて引っ込むほどの気迫あふれるプレーに負けた。最後は代打桧山が止めたバットに当たった打球がサードゴロに終わり、連敗。金本の引退表明の比を白星で飾ることができなかった。
◎スワローズ19回戦4-1
 スタンリッジは初回に雄平と田中浩の連打でピンチを作るが、バレンティンの併殺で難を逃れ、以降は毎回ランナーを許しながらも要所を締める投球。スワローズの先発赤川には初回1死から大和のレフト前ヒット、鳥谷のライト前ヒットで好機到来。新井良三振の間にダブルスチールを敢行。鳥谷が一二塁間に挟まれている間に大和が先制のホームを駆け抜ける。3回表、二塁打の雄平を塁に置き、田中浩のバントで三進。バレンティンのセンター前ヒットで同点に追いつかれた。それでもスタンリッジそれ以上の失点は許さない。6回裏、先頭の新井良が四球を選ぶと、マートンのショート強襲ヒットでチャンスを広げ、新井貴のショートゴロでランナーを進め、平野のセカンドゴロは併殺が取れず二塁のみのアウトでその間に新井良が生還し勝ち越し。スタンリッジは7回1失点で降板し、8回表には加藤、福原、筒井のリレーで1死一三塁のピンチに川端を内野フライで仕留めてリードを守る。8回裏、三番手日高から鳥谷がヒット。四番手松井光からは新井良、マートンの連打で無死満塁とし、新井貴が凡退したあと、金本が代打に。五番手正田は金本に押し出し四球を与える。代打浅井のセンターライナーで新井良がホームを突いて、ついに3点差に。最後は藤川球が締めてスタンリッジに久しぶりの勝利をつけた。ヒーローインタビューは好投のスタンリッジ。「ウィニングボールは金本さんに渡します」と泣かせるセリフも。
◎ジャイアンツ22回戦……2-3
 ジャイアンツの先発、天敵杉内の立ち上がりをとらえる。初回、先頭の上本が右中間に二塁打を放つと、大和はバントで三塁に送る。鳥谷が歩き、すかさず盗塁。新井良はバットを折られながらもサードゴロで上本を返し1点目。さらにマートンがレフト線、サードの頭を越す二塁打を放ち鳥谷が生還して2点目。タイガースの先発岩田は速球と変化球をうまく織り交ぜゴロの山を築く。6回裏、1死から阿部のレフト前ヒットと村田のレフトオーバーの二塁打で二三塁と攻め立てられたが、矢野のショートゴロを鳥谷がバックホームして阿部を刺し、小笠原はショートフライで切り抜けた。7回表、先頭の新井貴が二塁打を放つと、俊介が送り、1死三塁と追加点のチャンス。ところが小宮山がスクイズをフライにしてしまい、離塁していた新井貴を見た阿部が三塁に送球し、併殺となる。このミスが響いた。7回裏、先頭の谷にライト線へ二塁打を打たれ、寺内はサードゴロに打ち取り谷を二塁に釘付けにしたが、長野は四球。藤村のセカンドゴロで長野を二封にしたが併殺はならず。そして坂本の当たりはレフトスタンド最前列に飛びこむ逆転スリーランに。岩田は阿部にもヒットを打たれて降板。二番手の渡辺も村田にヒットを許したが、三番手の加藤が踏ん張って代打高橋由をショートゴロに打ち取る。山口、西村の継投の前に、勢いをなくしたタイガース打線は封じ込められ、金本が代打に出る機会すらなかった。悔しい逆転負けに、チームの勢いの差というものを感じた。
◎ジャイアンツ23回戦……2-0
 能見とホールトンの投手戦。3回表、平野と藤井彰がそれぞれライト前にヒットを放ち、能見が送って1死二三塁のチャンスを作るが、上本、大和ともに内野ゴロを打たされ絶好の得点機を逸する。4回表、鳥谷がホールトンの失投を逃さずライトスタンド最前列にプロ入り通算100号ホームラン、1点を先制した。直後の4回裏、1死から坂本を歩かせ、阿部にライト前に運ばれ、1死一二塁のピンチ。しかし村田を捕邪飛に、谷を空振り三振に打ち取り難を脱する。5回裏、2死から代打矢野と長野に連打を浴びるが藤村を見逃し三振に打ち取る。6回以降はランナーを出してもつながらせない投球で8回を投げ抜けば、9回表に新井貴が三番手田原からレフトスタンドに入るソロホームランで待望の追加点をあげた。そして9回裏、藤川球が村田、代打高橋由、小笠原をいずれも打たせて取る投球で締め、今季東京ドーム初勝利。ヒーローインタビューは先発勝利の能見。
◎ジャイアンツ24回戦……2-4
 ジャイアンツとの最終戦についに金本が先発出場。マウンドには若い秋山。この秋山が誤算。初回、1死から藤村に二塁内野安打を打たれると、坂本にもレフト前に運ばれる。阿部のライト線のタイムリーでまず1点を奪われ、高橋由は見逃し三振に打ち取ったものの村田にバットをありながらもセカンドの頭上を越える2点タイムリーを打たれた。さらに満塁のピンチを迎えるが、ここは宮國をファーストゴロに打ち取って大量失点は免れた。2回裏はペースを取り戻して三者凡退としたが、3回裏に先頭の阿部にソロホームランをライトポール際に打ちこまれて4失点でマウンドを降りた。宮國にはチャンスを作ってもなかなか決定打が出なかったが、4回表、鳥谷が全力疾走でショート内野踏んだで出塁すると、金本が2点差と迫る、通算記録球界単独10位となる2ランホームランをライトスタンドに叩き込んだ。タイガースのリリーフ陣はよく踏ん張り、鶴、渡辺、加藤、福原のリレーでジャイアンツに追加点を許さない。7回表、マウンドに上がった二番手福田から上本の四球と大和のセンター前ヒットでチャンスを作ると、三番手高木京がマウンドに。鳥谷は三振、新井良は四球で2死満塁とし、打席には金本。しかし空振り三振。8回表には苦手の山口からマートンと新井貴の連打で無死一三塁とし、藤井彰のバントで新井貴は二塁に進む。代打浅井のサードゴロで代走の俊介がホームを狙うがタッチアウト。上本も凡退で得点できず。9回は西村に抑えられて、今季のジャイアンツ戦をすべて終えた。

愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 ジャイアンツ戦は今季最高の出来。できれば完投させたかった。これだけの投球ができる投手が負け越しているというのがタイガースの現状なのだなあ。
野手……金本知憲 肩の調子は万全でなく、ジャイアンツ戦も2試合欠場したが、3戦目に先発すると、若い宮國から狙いすましたようにジャイアンツ戦最後のホームランを放つところなど見事なもの。引退するのはまだまだもったいない。

 次節は甲子園でベイスターズ戦。今季相性がよくないだけに、なんとか勝ち越して終わりたい。続けて甲子園でドラゴンズ戦。今季はコテンパンにやられているから、なんとかナゴヤドームに続くカード勝ち越しで嫌なイメージを払拭したい。甲子園に秋風が吹いてきた。金本はまだベンチにいるが、ブラゼルはベンチから消えた。小林宏の来季戦力外もほぼ確実とみられる。こうしてシーズンが終わっていくのだね。

(2012年9月17日記)


目次に戻る

ホームページに戻る