愛すれどTigers


伊藤隼太プロ入り初アーチが満塁弾

 今節は、神宮球場でのスワローズ4連戦。3戦目に岩本の好投と伊藤隼の満塁ホームランで快勝したのみ。1勝3敗。続いて甲子園とマツダズームズームスタジアムでカープ戦。ベテランと若手の力がかみ合い、やっといい形の試合ができて2勝。今節は3勝3敗。通算勝利は54勝73敗14分。勝率.425で、5位。ジャイアンツとの差は29.5ゲーム。ベイスターズの最下位が確定し、残るはカープとの4位争いのみ。4位カープとの差は3.0。

◎スワローズ20回戦……0-3
 タイガースの先発久保は毎回走者を背負う苦しい投球。3回裏、2死からバレンティンと川端に連打を食らい、一二塁のピンチで宮本にライトオーバーのタイムリーツーベースを打たれ先制を許した。4回裏、先頭の中村にセンター前ヒットを打たれる。館山はバントをして走りかけたところを捕手の今成がぶつかって転んだため守備妨害をとられて走者を進めることができなかったが、雄平のピッチャー返しの当たりは久保の足に当たりショート方面に転がり、1死一三塁とされる。続く福地はセカンドゴロに打ち取ったが、上本はバックホームせずに走者の雄平にタッチに生き、雄平がよけた分だけタイミングが遅くなり、一塁に送ったがセーフとなり併殺はならず、三塁走者が生還。5回限りで降板した。スワローズは館山が先発。8回まで完封。ヒットは3回表の伊藤隼、6回の代打平野ともに併殺でチャンスをつぶす。8回表、金本が3本目のヒットを放ち、2死となって今成の四球でついにスコアリングポジションに走者を進めたが、代打桧山はセカンドゴロ。8回裏、四番手の加藤が中村と雄平に四球を与え、福地には死球で2死満塁に。ここでマウンドに鶴が上がったが、田中浩に押し出しの四球を与えておおきな3点目を献上した。9回表、二番手のバーネットがマウンドに。上本、大和の連打と鳥谷の四球で無死満塁としたが、新井良は空振り三振。代打マートンはサードゴロ併殺で逆転のチャンスを一瞬にして逸し、ついにBクラス確定。
◎スワローズ21回戦……4-10
 先発スタンリッジが大乱調。初回、先頭の雄平にセンター前ヒットを許す。続く福地はセカンドゴロで二封するが、田中浩にライト前ヒットでつながれ、バレンティンのレフト前タイムリーで1点を先制された。さらに川端にライト前に2点目のタイムリー。宮本にはライト前に落とされ1死満塁に。武内は三振に打ち取ったものの中村にレフトオーバーの走者一掃の二塁打を打たれてなんとこの回5失点。3回表にも2四球で1死満塁のピンチを作ったが、ここは中村をサードゴロ併殺に仕留めて難を逃れた。スタンリッジは4回を投げ切ったところで降板。赤川の前に5回まで1安打に封じられていたタイガース打線が、6回表に反撃。二塁打の上本を塁に置き、大和がライト前にタイムリー。2死のあとマートンにもレフト前タイムリーが生まれて3点差と縮めた。さらに野原将がプロ入り初の一軍スタメンで起用され、プロ入り初安打をレフト前に放った。6回裏、二番手白仁田が2死から中村にヒットを打たれ、赤川のセンター前に落ちるライナーを大和が飛びこんで取りにいったがライト方向に大きく弾いてしまい、タイムリーとなる。7回表、小宮山がレフトスタンドにプロ入り初ホームランを叩きこみ、赤川をマウンドから引きずりおろした。7回裏、三番手鶴が1死から田中のセンター前ヒット、川端の二塁内野安打などでランナーをため、宮本にライト前にタイムリーを打たれる。鶴にかわる四番手藤原も武内にタイムリーを浴び、この回2失点。8回裏には先頭の代打飯原を歩かせ、雄平にこの日4安打目となるライト前ヒットでランナーをためて福地の左中間を破る走者一掃の二塁打で10失点という大量失点を記録してしまった。9回表、スワローズの四番手増渕から代打金本がライトスタンド最前列にソロホームランを叩きこみ、大敗であったにもかかわらず、心地よい感触を残してくれた。しかし、反撃もそこまで。代打森田、そして上本が連続三振に終わり試合終了。若手投手がきっちり抑えていたら、白熱した展開になったかもしれない。
◎スワローズ22回戦……12-0
 タイガースの先発は岩本。毎回ランナーを背負いながら、ここというところで切れ味の鋭い速球や鈍く落ちるカーブで切り抜ける。たいするスワローズは村中。2回表、マートンのレフトスタンドに運ぶソロホームランでタイガースが先制。3回表、先頭の岩本が歩くと、上本、大和は凡飛に倒れたが、鳥谷のヒットでつなぎ、新井良が三遊間を抜くタイムリーで2点目を追加。さらにマートンがライトの頭を越す二塁打で2点を加え、4点差をつける。3回裏は2四球と1死球で無死満塁と攻め立てられたが、岩本は度胸満点の投球で福地をショートゴロに打ちとり無失点で切り抜けた。5回表、1死から大和と鳥谷が連続四球で出塁し、新井良のサードゴロは川端が弾いて満塁に。ここで投手は松井光に交代。マートンがセンターへ犠牲フライを放ち、4点目。各走者もそれぞれに三塁に進み、代打金本は敬遠気味の四球。そして伊藤隼が球団史上初めてというプロ入り第1号をライトスタンドへの満塁ホームラン。9点差をつけた。岩本は6回裏、福地、武内の連打と中村への四球で満塁とされたが、畠山のショートライナーで三塁走者が飛び出して帰塁できず併殺に。岩本はこの回限りで降板し、リリーフに後を託す。8回表、三番手増渕から森田が四球、小宮山と代打今成のヒットで満塁とし、上本の犠牲フライでさらに1点。4月以来の10得点に。9回表、四番手正田を攻め、鳥谷、新井良の連打でチャンスを作り、途中出場の俊介がセンター前にタイムリー。森田もライト前タイムリーを放って今季最多の12得点。最後は筒井が締めて連敗ストップ。ヒーローインタビューは球団創設時の西村幸生以来という初登板から2連勝を飾った岩本と満塁ホームランの伊藤隼。
◎スワローズ23回戦……3-6
 スワローズの先発石川を初回に攻略。先頭の上本がライト前に運ぶと、続く大和はバスターエンドランで三遊間に内野安打。鳥谷のライト線への二塁打で走者を一掃。さらに新井良のライト前ヒットで三塁に進んだ鳥谷がマートンのサードゴロの間に生還して、幸先のよい3点を奪う。しかし、このあとの石川の粘り強く老獪な投球に若手の多いタイガースは翻弄される。3回表は鳥谷、新井良、野原将のヒットで1死満塁とするが、伊藤隼、藤井彰はともにショートゴロで走者を返せない。岩田はテンポの良い投球でスワローズ打線にタイミングをとらせていなかったが、2回裏、畠山のヒットと川端の三塁強襲のヒット、バントで1死二三塁とされたが、飯原を三振に取った直後に甘く入った球を相川に弾き返されて2点を失う。それでも1点差のままなんとか切り抜けていたが、7回裏、ヒットの川端を塁に置き、宮本のバントで二進。代打宮出は浅いレフトフライで三塁走者はかえれず。それでも相川が粘り強くライト前に運んでついに同点に追いつかれた。そして8回裏、ヒットの雄平を塁に置き、バレンティンにライトスタンドに運ばれ、ついに降板。二番手白仁田は畠山、川端の連打で1点を失った。9回表、抑えのバーネットから代打金本が四球で出塁し、2死後、マートンのヒットでチャンスを作ったが、森田がセカンドゴロで万事休す。14安打で3点しか取れないところが今季のタイガースらしさを象徴している。
◎カープ23回戦……2-0
 カープのエース前田健から、初回にいきなり先制パンチ。鳥谷がライトスタンドにソロホームランを叩きこむ。前田健は腰の具合がよくなく、ベンチで治療をしたり、常にセットポジションでピッチングをしたり。4回裏、先頭の新井良が2打席連続となる二塁打を左中間に放つと、金本のライトフライで三進。森田がセンターへの犠牲フライを放ち、待望の追加点をとる。能見は攻めの投球でカープ打線を封じこめる。4回までノーヒットピッチングを続け、5回表の初安打も丸のセンターへのつまった当たりを大和がスライディングキャッチを試みてワンバウンドになったもの。7回表、1死から丸のライト前ヒット、堂林の内野安打、石原のライト前ヒットで満塁とされたが、代打廣瀬、そしてトップバッターの安部を連続三振に打ち取りピンチを切り抜けた。8回以降は再び安定した投球で最後まで投げ抜き、エース対決を制し、10勝目を手にした。ヒーローインタビューはもちろん能見。
◎カープ24回戦……2-1
 カープの先発は新人王を狙う野村。タイガース戦は初登板。変化球主体の投球に序盤は打ちあぐねていた。4回表、2死から金本がセンター前ヒットを放つと、続く森田がセンターオーバーの三塁打で先制。さらに伊藤隼もセンター前にタイムリー。小宮山、メッセンジャーも連打で満塁としたが、上本が自打球を股間に受け、倒れてしまう。担架で運び出された上本にかわり俊介が打席に入ったが、三振。あと1本が出なかった。タイガースの先発はメッセンジャー。全体に安定した投球だったが、5回裏に乱れる。先頭の石原にヒットを打たれると、代打東出を歩かせ、この日、引退試合の石井琢にも四球。無死満塁で打席には代打の切り札前田智。セカンドゴロに打ち取り併殺をとる。石原の生還は許したが、丸を三振に取り最少失点でとどめた。タイガース打線は中崎、今村の継投に抑えられたが、メッセンジャーも力投。9回裏、先頭の天谷にヒットを打たれると、安部のバントで二進を許す。石原を歩かせると、東出のバントで2死二三塁。ここでサヨナラのピンチに向かえたのは石井琢。花道をおぜん立てしたような感じになったが、なんとか詰まらせてライトフライに打ち取り、試合終了。カープになんとか勝ち越した。石井琢引退試合のため、ヒーローインタビューはなし。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー 1点は取られたものの、石井琢引退し合いで花を持たせることなく、真っ向勝負で勝ち星をもぎ取った。内容的にも今季最高の出来だったとは解説の福本さんの言葉。来季も先発の軸として活躍が期待できる。
野手……伊藤隼太 プロ入り初ホームランがなんとグランドスラム。やはり何かを持っている男なのだ。今節はカープ戦でも初タイムリーを打ち、来季のレギュラー奪取への足がかりを作っている。もっと早くから使い続けていたら、入団時の期待にこたえる活躍をしていたかも。

 次節はナゴヤドームでドラゴンズ戦、そして1日あけて甲子園球場でスワローズ戦。週はまたぐが、3日あけて甲子園での最終戦はベイスターズ戦。金本の引退試合でもある。上本が自打球を股間に当てて登録抹消という残念な出来事もあったけれども、大和の内野としての守備も実戦で見ておきたいところ。いよいよペナントレースが終わる。
 城島の引退、小林宏、鄭凱文の戦力外通告と、去る人たちの姿も見えてきた。一方で、ツインズの西岡を獲得に走っているという話も……。鳥谷の海外流出に備えて、ということらしいが。西岡はいい選手だが、補強のポイントとしてはどうなのか。現場レベルで西岡を求めているのか。こうやってオフシーズンに近づいていくのだなあ。

(2012年10月1日記)


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