愛すれどTigers


藤浪、高卒新人新記録の4月3勝

 今節はナゴヤドームでのドラゴンズ3連戦。初戦はエースの能見が爪を割った影響で打ちこまれ、中継ぎの久保田も滅多打ちにあい大敗。しかしスタンリッジ、榎田の好投でドラゴンズ打線はなんとか抑えこめて、1勝2敗。続く横浜スタジアムでのベイスターズ戦は、2戦目こそ藤井秀に抑えられて敗れたものの全体に打線が相手投手をしっかりとらえて2勝1敗と勝ち越し。今節は3勝3敗。通算で14勝11敗1分。勝率.560。首位ジャイアンツとのゲーム差は3.5の2位をキープ。

◎ドラゴンズ4回戦……3-15
 タイガースの先発は能見。初回、大島を歩かせ荒木に送られ、ルナにヒットでつながれて和田のレフトへの犠牲フライで先制される。さらにクラークのヒットでまた三塁にランナーを置き、井端のセンター前に落ちるヒットで2点目を奪われた。2回表、吉見から福留の四球と新井貴、藤井彰のヒットで2死満塁と攻め立てたが、能見がショートフライに打ち取られ、反撃できず。直後の2回裏、ドラゴンズの藤井にレフトスタンドにソロホームランを打たれ、さらに4回裏、2死一三塁から大島にレフト前タイムリーを打たれて4失点で早々と能見は降板。5回裏、二番手の久保田は今季初登板。いきなりルナに二塁打を打たれると、和田とクラークに連続四球で無死満塁。井端の2点タイムリー、谷繁の犠牲フライ、藤井のヒットと大島への四球でまた満塁に。荒木に2点タイムリーを浴び、ルナを歩かせ、和田の走者一掃のタイムリーでこの回なんと8失点。試合はここで決まってしまった。6回表、二塁打の鳥谷が福留のライトフライで三塁に進むと、新井貴、藤井彰の連続タイムリーで2点を返す。さらに7回表、大和のヒットと鳥谷の四球でチャンスを作り、福留のライトオーバーの二塁打で大和が生還。鳥谷も本塁を狙うがタッチアウトとなる。大差がついてもなんとか点を取りにいこうという前向きな姿勢が見られた。吉見はこの回限りで降板。7回裏、三番手の歳内が森野にソロホームランを打たれ、さらに四球の荒木を置いて和田に2ランを浴びた。若手が試合の流れに呑まれた感じである。ドラゴンズは、三瀬から井上とつなぎ、逃げ切り。タイガースの連勝は4でストップ。
◎ドラゴンズ5回戦……3-0
 ドラゴンズの先発は前回の登板で抑えこまれたカブレラ。初回、先頭の西岡がレフト前ヒットで出ると、すかさず盗塁。大和のバントで三塁に進む。2死後、マートンの当たりそこねのサードゴロはルナが取れず内野安打となって西岡が生還。先制点を奪う。4回表、先頭の福留が四球を選び、新井のレフト前に落ちるヒットで福留は一気に三塁へ進む。1死後、藤井彰がセンターへ大きな犠牲フライを放ち、待望の追加点を取った。タイガースはスタンリッジが毎回のようにランナーを出しながらも、鳥谷や西岡の堅守に助けられてその度にピンチを脱する。6回表、新井貴、新井良、藤井彰の3連打で無死満塁とし、スタンリッジ三振のあと、西岡のセンター返しのタイムリーで新井貴が返って決定的な3点目を取った。二塁から新井良も一気にホームを突いたが、これは刺されてしまった。6回裏、スタンリッジは先頭の代打森野にヒットを打たれ、ルナと和田は三振に取ったがクラークにレフト前に落とされてまたもやピンチに。しかし、井端の一二塁間の当たりは西岡が好捕してセカンドゴロに取った。両先発が6回限りで降板すると、ドラゴンズは三瀬、井上、小林正のリレーでタイガース打線を抑える。タイガースも必勝の投手リレーで応じる。7回裏、安藤は谷繁、藤井、大島のヒットで1死満塁と攻め立てられたが、森野の強い当たりはショートライナーとなり、飛び出していた二塁ランナーが帰れず鳥谷の二塁への送球でアウトに。併殺が決まる。8回裏には三番手福原がルナとクラークのヒットでピンチを作るが、井端をセカンドゴロ併殺に切って取り、無失点でクローザーの久保にバトンを渡す。久保は9回裏、藤井に死球を与えたものの代打中田亮、大島を凡フライに打ち取り逃げ切った。鬼門ナゴヤで2戦目にして今季初勝利。ヒーローインタビューは今季初勝利のスタンリッジ。
◎ドラゴンズ6回戦……0-1
 ドラゴンズの先発は今季初登板の岩田。初回、四球を選んだ西岡を大和が送り、西岡は三盗に成功。しかしこのチャンスに鳥谷は三振。マートンも力ないセンターフライで先制できなかった。ここでの拙攻があとあとまで響く。タイガースの先発は榎田。非常に調子が悪く、特に死四球が多かった。初回、大島に当てると、ルナ、井端にも四球で2死満塁に。ここはクラークをファーストゴロに打ち取り難を逃れた。2回表には福留と日高のヒットで2死一三塁とチャンスを作ったが、榎田がレフトフライ。つぶれそうでつぶれない岩田の粘りにタイガース打線は決定打を放てない。4回裏、先頭の和田を歩かせ、井端のバントを榎田が二塁に送るが送球が大きくそれて和田の後頭部に当ててしまう。それでもクラーク、谷繁を連続三振に取り、三盗を狙った和田も刺して死四球やミスはあってもヒットは打たせない。5回表、2死から榎田のプロ入り初安打と西岡のヒットでチャンスを作るが、大和がピッチャーフライに倒れてここも決定打が出ない。5回裏、1死から岩田を歩かせ、大島のショートゴロは併殺を狙うも一塁はセーフ。すかさず盗塁を決められ、榎田の暴投で三塁まで進まれる。そしてこの試合初の比安打となる荒木のレフト前ヒットでついに1点を奪われた。榎田は1安打ながら6死四球を与え、6回限りで降板。7回裏は加藤が三者凡退に抑え、8回裏には鶴が森野にライト前ヒットを打たれるも後続を断ち、わずか2安打しか打たれていない。にもかかわらず、8回表には二番手田島から西岡と鳥谷が四球を選びながらもマートンのサードゴロで得点にはならず。9回表にはクローザーの岩瀬から福留、新井良のヒットで1死一二塁とし、代打関本のセンター前に落ちるヒットで代走の田上が本塁を突くもタッチアウト。田上が三塁ベース付近で躊躇した分だけホームに突っ込むタイミングが遅れた。最後は代打藤井彰がセカンドゴロ。7安打を放ちながら最少失点での敗戦は、昨年のタイガースを見る思いであった。
◎ベイスターズ4回戦……10-5
 ベイスターズは開幕投手の高崎が先発。3回表、先頭の藤井彰がセンター前ヒットで出ると、メッセンジャー三振のあと西岡が歩き、大和のライト線への二塁打で先制の1点。鳥谷のショートゴロの間に西岡も生還し、2点目を入れた。タイガースの先発はメッセンジャー。直後の3回裏、1死から高崎の深いショートゴロを鳥谷がアウトに取れず内野安打に。続く石川のセカンドゴロは走者に気を取られた西岡がこぼしてエラーがつく。内村のレフト前ヒットで満塁とされ、梶谷は浅いライトフライで2死としたが、打席には絶好調のブランコ。ここはメッセンジャーが内角高めを攻め続け空振り三振でピンチを脱した。4回表、左中間を破る二塁打の新井貴を塁に起き、新井良がレフトスタンド最上段に2ランを叩きこむ。さらに5回表、先頭の大和がヒットで出ると、鳥谷がライトスタンドに2ラン。マートンもヒットで続き、福留は四球。新井貴が三振したところで投手は二番手吉川にスイッチ。新井良がライト前に落として満塁にすると、藤井彰が押し出しの四球でさらに1点を加え、メッセンジャーは三振で2死になったが、西岡が左中間を深々と破る走者一掃の三塁打でこの回一挙6点の猛攻。これで安心したわけではないだろうが、メッセンジャーは5回裏、代打後藤にレフトポール際にソロホームランを打たれると、内村の二塁打、梶谷のヒットで1死一三塁とされ、ブランコの犠牲フライでこの回2失点。それでも完投ペースで投げていたが、8回裏につかまる。井手のヒットと金城の二塁打で無死二三塁とされ、松本は三振、代打中村紀はショートフライと追いつめたが、この試合、ホームランと二塁打を打たれている後藤を歩かせ満塁に。ここでついに降板。二番手筒井は石川のタイムリーで2点を返され、5点差に。それでも内村をセンターフライに取ってなんとか傷口を広げずにすむ。9回裏には安藤が登板し、三者凡退で逃げ切った。ヒーローインタビューは今シーズン初ホームランの新井良。
◎ベイスターズ5回戦……1-9
 ベイスターズの先発は藤井秀。初回、2死から四球で出塁した鳥谷が盗塁して揺さぶりをかけるが、マートンがサードゴロに倒れて先生のチャンスを失う。一方、タイガースの先発の小嶋は前回の好投が嘘だったかのような乱調。1回裏、2死を軽く取ったあと、井手の二塁左へのゴロを西岡がうまくさばくも一塁新井貴が送球をこぼして内野安打に。ブランコ、中村紀の連打で1点を失うと、金城にもヒットを打たれて満塁に。ここで松本に右中間を破る二塁打を打たれ、2点を追加された。2回裏には1死から藤井秀に四球を与え、石川のヒットでピンチに。内村は止めたバットに当たったピッチャーゴロで仕留めたが、走者は二三塁に進む。そして井手にライトフェンスに当たる二塁打を打たれて2点を追加された。さらにブランコにもタイムリーを打たれ、6失点で降板。二番手鶴はよく抑えたが、打線がその踏ん張りに応えられない。藤井秀の老獪な投球に凡打を積み重ねる。4回表、鳥谷とマートンの連打と福留の四球で1死満塁のチャンスを作るも、新井貴はファールで粘りながらも最後は空振り三振。新井良はライトフライで長蛇を逸した。6回裏、三番手川崎が1死から石川、内村と歩かせてブランコに2点二塁打を打たれる。大差がついてもタイガース打線も少しは粘る。8回表、2死から大和のヒットと鳥谷の四球でランナーをため、マートンのライト前に落ちるタイムリーで完封を免れる1点を奪う。しかし、反撃もそこまで。8回裏、五番手加藤がブランコにバックスクリーンへダメ押しのソロホームランを叩きこまれ、9回表、新井兄弟と小宮山が三者凡退に打ち取られ、藤井秀に10んぶりの完投勝利を許してしまった。また、福留のもう少しでフェンス直撃の当たりをレフト井手に好捕されたり、大和の一二塁間を破るかと思われたライナーを内村にジャンプされて取られたり、相手のファインプレーに阻まれてチャンスを作れないケースもあった。全体にベイスターズの流れで試合が動いたというべきか。
◎ベイスターズ6回戦……5-3
 タイガースの先発は藤浪。初回、いきなり先頭の石川にヒットを打たれたが、内村はバント失敗のあと三振、井手をショートゴロに打ち取りリズムを作る。2回表、ベイスターズの先発三浦からマートンがレフト線に二塁打を放つと、福留がバックスクリーンに先制の2ランホームラン。続く新井貴がレフト前ヒットで続き、新井良の右中間を破る二塁打で3点目を奪う。しかし、藤浪はこの試合はいつものコントロールの良さか出ず、2回裏、一二塁間の当たりを西岡がよく抑えるも内野安打となり、松本に左中間スタンドに飛び込む2ランホームランを打たれてすぐに1点差とされる。さらに3回裏、1死から石川を歩かせると、内村のヒットで一三塁とされ、井手のレフトへの犠牲フライで同点に追いつかれた。6回表、やっと打線が再点火。1死から新井貴、新井良の連打で1死一三塁とし、藤井彰の犠牲フライでリードを奪う。7回からは安藤、福原のベテランセットアッパーが、それぞれ走者を出しながらも要所を抑えて逃げ切りを図る。9回表、ベイスターズの四番手ソーサから代打今成がレフト線へ二塁打を放つと、西岡のセカンドゴロで三塁に進み、大和がセンター前に弾き返して大きな1点を追加。最後はクローザーの久保が走者は出したものの落ち着いた投球で締めて逃げ切る。ヒーローインタビューは史上初、高卒新人で4月に3勝をあげた藤浪。


愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェイソン・スタンリッジ 鬼門ナゴヤで大敗したあと、空気を変える好投で今季初勝利。ナゴヤドームで勝てないままずるずると言ってしまう怖さを払拭した。この1勝があるとないとでは今後のペナントレースの戦い方にも大きな影響が出るに違いない。ただの1勝ではないのだ。
野手……藤井彰人 打撃は好調で、先発した試合で必ず打点を挙げる活躍。リードしても、スタンリッジ、メッセンジャーら外国人投手や藤浪のような若手を悪いなりに組み立てを工夫してゲームを作った。日高の移籍でレギュラーの座を勝ち取ろうという競争意識がこの活躍に結びついている。

 次節は9連戦の締めとなる甲子園のカープ3連戦。1日おいて甲子園でスワローズ3連戦。能見、岩田の両左腕を欠く中で、なんとか若手にローテーションを奪うという意識でがんばってほしいもの。藤浪に負けてはいられないという思いを秋山、小嶋らにはマウンドで相手打者に向けてぶつけてほしいものである。ベテランセットアッパーたちに少し疲れが見えてきた。先発投手陣の中から一人でも完投勝利してくれるものが出るのを期待している。

(2013年4月29日記)


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