今節はゴールデンウィーク締めくくりとなる甲子園でのカープ3連戦。初戦は爪が割れたため登録抹消となった能見の代役秋山が好投したが踏ん張り切れず落とし、2戦目を猛打で返したが3戦目は前田健の前に打線が沈黙して1勝2敗。1日おいて甲子園のスワローズ戦は、2試合連続苦手の石川とルーキー小川をつながる打線で大量得点で下したが、3戦目は打線が奮起するもこれまでがんばってきたリリーフ陣が打たれ2勝1敗と勝ち越し。今節も3勝3敗。通算で17勝14敗1分。勝率.548。首位ジャイアンツとのゲーム差は5.5で2位。
◎カープ3回戦……5-6
タイガースの先発は、能見の代役として白羽の矢が立った秋山。初回、いきなり菊池にレフトスタンドに先制のソロホームランを打たれた。立ち上がりは球が高くいっていた秋山だったが、3回以降は低めへの変化球が決まるようになり安定した投球に。2回裏、今度はタイガース打線がカープ先発バリントンをつかまえた。マートンの内野安打を皮切りに、福留、新井貴とセンター返しのヒットで無死満塁に。新井良は三振を取られたが、藤井彰がセンター前に落として同点。秋山もピッチャー返し。バリントンが弾いたのを菊池が判断よく三塁に送って三封されたが、福留は生還して勝ち越し。さらに西岡が四球で2死満塁に。大和もセンター前に弾き返して2点を追加した。秋山はこの時のホームインの際に右足を痛めたようだったが、特に投球に影響が出ることなく、6回まで投げ進む。1死から菊池にレフト線に二塁打を打たれ、丸は三振に取ったが廣瀬を歩かせ、松山のライト前ヒットで1点を返された。ライト福留はオーバーランした廣瀬を見て判断よく二塁に投げる。狭殺プレーとなったが、深追いした鳥谷が走者にタッチをしようとしてボールをこぼしてしまい2死二三塁に。ここで秋山は降板。二番手鶴が梵に右中間を破る二塁打を打たれて2者を返し、同点に追いつかれた。7回表は安藤が、8回表は福原が、それぞれランナーを出しながらも無失点で切り抜ける。特に福原はヒットの丸と廣瀬の投手前バントを二封しようとしたが間に合わず野選となり、松山のバントで1死二三塁、さらには2死後、堂林を歩かせて満塁としたが、代打栗原を空振り三振に取る力投でピンチを切り抜けた。8回裏、レフト線へ鳥谷が二塁打。さらにマートンもライト前に落として1死一三塁とする。バリントンが降板し、二番手の河内から福留が鈍い当たりのサードゴロで鳥谷を返して勝ち越す。9回表はクローザーの久保が登板。先頭の代打中東はサード内野安打。ルイスのセカンドゴロで二進。菊池はライトフライに打ち取ったと思われたが、福留と大和の間に落ちて二塁打に。1死二三塁で丸を敬遠して満塁に。廣瀬のサードゴロは三塁坂が弾いてエラーとなり、同点に追いつかれる。さらに梵のライト前タイムリーでついに勝ち越されてしまった。9回裏はカープは今村が登板。あっさりと三者凡退に打ち取られ、勝てた試合を落としてしまった。ミスの重さを感じさせる試合であった。
◎カープ4回戦……11-3
カープの先発は今季初登板の左腕篠田。2回裏、先頭の福留がセンター返しのヒットを放つと、1死後、新井良が右中間スタンドに先制ホームランを叩きこむ。3回裏には2死から鳥谷がセンター前ヒットを放ち、篠田の落ちる球を捕手の倉がこぼしている隙をついて二進。すかさずマートンがレフト前にヒットを放つと、鳥谷は一気にホームイン。3点目を入れた。5回裏、大和のセンター前ヒットに続き、鳥谷がセンター返しの打球を放つもショートの阿部が好捕。しかし、二塁に投げそこねて内野安打とする。そしてマートンが左中間スタンド最前列に3ランホームラン。1死後、新井貴が四球を選び、新井良がヒットで続く。藤井彰のライト前ヒットで新井貴がホームをつき、ライト廣瀬の返球が悪く、ホームイン。7点差をつけた。タイガース先発のスタンリッジは立ち上がりから好投を続けていたが、直後の6回表、1死からルイスと菊池の連打で一三塁とされ、丸のファーストゴロを新井貴がホームへ送球するも球がそれて1点を返される。さらに廣瀬、堂林にもタイムリーを打たれ、4点差に迫らけた。それでも7回表はきっちりと抑え、この回限りでリリーフ陣に勝利を託す。6回裏には二番手福井から先頭の大和が四球、1死後、マートンがこの試合4安打目となるライト前ヒットでチャンスを広げ、福留が四球で満塁に。新井貴はセカンドゴロで二封されるもショート菊池が一塁へ悪送球し、大きく球がそれる間に2人の走者が生還。7回裏には代打伊藤隼のセンター前ヒットに続き、西岡がライト線に三塁打を放ち1点を加えると、大和のファーストゴロの間に西岡がホームインして今季最多の11得点を記録した。8回表には二番手加藤が好投。9回表、三番手筒井が松山のヒット、堂林は関本へのサードゴロだったが二封しようとして野手選択となり、栗原のライト前ヒットは前進守備の福留が強肩を見せてホームインを許さず無死満塁に。ここで倉はショートフライ、代打小窪は浅いライトフライ、ルイスも平凡なレフトフライで、筒井はなんとか無失点で逃げ切った。ヒーローインタビューは4安打4打点のマートンと先制ホームランの新井良。マートンは日本語で「ぼちぼちでんなあ」などと答えて観客を沸かせた。
◎カープ5回戦……0-5
榎田と前田健の両防御率0点台の投手に寄る投手戦が予想された1戦。ただし、前田健は故障のために登録を抹消されていたこともあり、久々の投球で、そこにつけこむ隙があるかと思われた。しかし、故障前と変わらぬ安定した投球。榎田も序盤は快調に飛ばす。しかし、3回表だけ投球が乱れた。1死から石原を歩かせ、前田健のバントで二進。菊池のセンター前ヒットと丸への四球で2死満塁に。ここでコーナーを慎重に狙い過ぎ、梵に押し出しの四球を与えて先制されると、廣瀬には右中間を深々と破られる走者一掃の二塁打を打たれてさらに3点を追加された。4回表は三者三振、5回表にはバントヒットの菊池の二盗を日高が刺すなど、しっかりと抑えただけに、2回の投球が悔やまれた。前田健に対し、タイガース打線は無策。セーフティバントで揺さぶるなどもできず、7回まで投げられ4安打無四球で0封される。榎田は5回限りで降板し、二番手鶴はランナーを出しながらも失点は防ぐ。8回表、1死から梵を歩かせ、廣瀬のヒットで一三塁とされたが、廣瀬の代走赤松が牽制球で飛びだし、狭殺プレイでアウト。三塁走者も本塁を伺えず、迎をセカンドゴロに打ち取る。8回裏、カープの二番手今村の前に得点できず、9回表には故障で育成枠に落ちながらも這い上がってきた玉置が4年ぶりの一軍マウンドに。落ち着いたマウンドさばきで2死を取るが、石原にライトポール直撃のソロホームランを打たれてダメ押しの1点を奪われた。9回裏、ミコライオに対し1死から鳥谷のヒットで望みをつなぐが、マートンがショートゴロ併殺に終わり、完封負け。ゴールデンウィークの9連戦は敗戦と勝利が交互になる「ヌケヌケ」の状態で結局負け越してしまった。
◎スワローズ7回戦……14-3
タイガースの先発はメッセンジャー。初回から、コントロールが定まらない。1死後比屋根に四球を与えると、盗塁を許し、ミレッジのレフト前ヒットで1点を先制された。しかし、スワローズの先発石川の方がさらに制球難。1回裏、いきなり西岡がレフト線に二塁打を放ち、大和のバントで三塁に進むと、鳥谷はセカンドゴロで西岡は三塁に釘付けとなったが、マートンは四球。しかも最後の一球が暴投となり、西岡が同点のホームを踏む。新井良も四球で一二塁とすると、福留のセンター前タイムリーで勝ち越しの2点目をあげた。2回表、先頭の森岡をサードフライに打ち取ったと思ったら、新井良が落球。さらに中村も歩かせピンチを招いたが、石川、田中浩、比屋根を力のこもった速球で打ち取ってピンチを脱した。2回裏、藤井彰がレフト前ヒットを放つと、メッセンジャーはバスターエンドランを決めて無死一二塁に。西岡もセンター前に落として満塁とし、大和のレフト前ヒットでまず1点。鳥谷はライト前タイムリー、ライトバレンティンから三塁への送球が大きくそれ、走者一掃となり、鳥谷も二塁に進む。マートンのヒットで一三塁とし、新井良の犠牲フライでさらにさらに1点を追加。福留が歩いてまた満塁とし、新井貴もタイムリーレフト前タイムリー。この回、なんと一挙6点をあげる。石川はここで登板し、新人の大場にバトンタッチ。スワローズもすかさず反撃。3回表、ミレッジとバレンティンのライト前への連打で無死一二塁とされ、2死後、森岡と中村のセンター前への連続タイムリーとで2点を返された。しかし、3回裏、新人の大場に襲いかかる。大和、鳥谷、マートンの連続四球で無死満塁に。新井良は平凡なライトフライ。しかしこれをバレンティンが落球して1点を加える。1死後、新井貴が右中間を深々と破る二塁打で走者一掃。この回でけで4点を奪う。大場はここで降板し、三番手には押本。4回裏、押本から大和とマートンのヒットでチャンスを作り、新井良がこの試合先発全員安打となる右中間へのタイムリーを放ち、突き放す。メッセンジャーは4回以降は立ち直り、相手の早打ちにも助けられて7回を投げ切ると、筒井、玉置とつないで逃げ切り。ヒーローインタビューは3安打4打点の新井貴と4安打1打点の大和。
◎スワローズ8回戦……7-6
タイガースの先発は復活を期する岩田。初回、比屋根のサードゴロを新井良がエラー。田中浩のバントとミレッジのヒットで1死一三塁のピンチを招くが、バレンティンを一塁のファールフライに、そして畠山をショートゴロに打ち取り、ピンチを脱した。スワローズの先発は新人の「和製ライアン」小川。1回裏、西岡がレフト前ヒットで出るも大和のバントは投ゴロとなって二封。大和はこの失敗を盗塁で挽回し、鳥谷のセンター前ヒットで1死一三塁に。鳥谷が二盗して併殺を防ぐ形に。そしてマートンが先制の3ランをレフトスタンドへ。続く新井良は右中間を破る二塁打でつなぎ、新井貴が四球で一二塁に。伊藤隼の一塁ゴロは畠山が二塁へ送球するも新井貴の後頭部に当たり、大きくはね返る間に新井良が生還。二三塁として日高が右中間を破る二塁打で走者を一掃し、この回だけで6点を奪った。しかし、2回以降は小川の速球の前にランナーは出しても返せない状態が続く。岩田は、3回表の田中浩のレフトオーバーかという当たりをマートンに好捕してもらうなど、バックにも助けられ、4回まで無失点。勝ち投手の権利のかかる5回表につかまりかける。森岡、代打新田、比屋根のヒットで1死満塁とされ、田中浩のライトへの犠牲フライで1点を返された。続く6回表、バレンティンにバックスクリーン右にソロホームランを打たれ、この回でマウンドを降りた。6回裏、二番手正田から西岡がレフトオーバーの三塁打を放つ。これは日米通算1000本目の安打であった。大和の当たりはレフト前に当たるテキサスヒット。これで西岡がホームインして待望の追加点。しかし7回表、二番手安藤はヒットの田中雅、二塁打の比屋根を塁に置き、田中浩のレフト前ヒットで2点を返される。それでもバレンティンを空振り三振に、畠山をピッチャーゴロに打ち取り、なんとか3点差にとどめた。8回はセットアッパーの福原が抑え、9回表にはクローザーの久保が登板。ところが、2死からバレンティンに二塁打を打たれ、代打岩村のライトスタンドへの2ランで1点差に迫られた。宮本を投手ゴロに抑えてなんとか逃げ切ったが、最後まで目の離せない試合になった。ヒーローインタビューは1000本安打の西岡と、先制ホームランのマートン。
◎スワローズ9回戦……5-7
藤浪と八木の投手戦。先制したのはスワローズ。5回表、先頭の畠山がレフト線に二塁打を放つと、宮本のセカンドゴロで三進。森岡がコンパクトなスイングで速球をとらえてライト前に先制タイムリー。続く中村は変化球をすくい上げ、左中間スタンドに2ラン。さすがの藤浪も甲子園初黒星かと思われた。ところが、6回、7回とテンポよく抑えた藤浪に打線がこたえる。7回裏、突如コントロールを乱した八木はマートン、新井良に連続四球を出すと、新井貴はセンターバックスクリーンに同点の3ランを叩きこんだ。しかし、この試合、スワローズ打線はしぶとく食らいつく。8回表、二番手福原から先頭の中村がヒットで出ると、代打三輪が送り、比屋根は浅いレフトフライに倒れたが、田中浩はレフト前にヒットを放ち、マートンがこれを後逸して1点を勝ち越すと、ミレッジもレフト前タイムリーで2点差に。それでもタイガース打線は踏ん張る。8回裏、三番手石山から大和と鳥谷の連打でチャンスを作る。マートンはショートゴロ併殺に倒れ、2死三塁とされたが、新井良がバックスクリーン右へ飛び込む同点2ランを放ち、試合は振り出しに。9回表、クローザーの久保は先頭の畠山を歩かせ、宮本のバントで二進。森岡も歩かせ1死二三塁に。中村をセカンドゴロに打ち取ったが、三輪にレフト前に変化球をうまく運ばれてしまい、勝ち越しを許す。さらに上田にも落ちる球をライト前にもっていかれて2点差に。9回裏、スワローズのクローザー山本哲から先頭の藤井彰がヒットで出塁するも、代打桧山も、西岡も、内野ゴロでそれぞれ走者を二封され、大和のレフト線への二塁打で1打同点の場面を作るも、鳥谷がショートゴロに倒れてゲームセット。リードされて追いつきながら、そこからさらに追い抜くことができなかったため、常に主導権をスワローズに握られる展開となったのが敗因か。それにしても、これで甲子園初黒星が消えた藤浪という若者は、なんと甲子園に愛されているのか。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩田稔 必ずしも万全の投球ではなかった。しかし、悪いなりによく踏ん張り今季初勝利。これをきっかけに開幕当初の安定感のある投球を取り戻してくれることを期待したい。
野手……マット・マートン バットを振ればボールに当たり、当たればヒットになるという絶好調。来日当初の安定した打撃を完全にとりもどした。四番打者であることを意識し過ぎずに、自分のバッティングを貫き通しているところが活躍の原因だろう。長いシーズン、波はあるだろうが、気持ちのぶれがなければ首位打者ものぞめるだろう。
次節は東京ドームでジャイアンツ3連戦。1日おいて松山坊っちゃんスタジアムでスワローズ3連戦。能見、岩田の復帰でローテーションはかなり楽になったはず。この6試合が終わると、交流戦。ジャイアンツとの直接対決で少しでも差をつめて、スワローズを突き放し、交流戦にはその勢いで臨んでほしい。さいわい松山での榎田の登板予定はないので、昨年の「悪夢」は思い出さずにすみそうである。
(2013年5月6日記)