愛すれどTigers


東京ドームでGを、松山でSを3タテで6連勝

 今節は東京ドームでジャイアンツ3連戦。相手が得意とするホームラン攻勢を、タイガース打線が演じて見せてくれた。新井貴、能見、藤井彰、伊藤隼らが毎試合かわりばんこにフェンス越え。投手陣もよく踏ん張り3連勝。1日おいて松山坊っちゃんスタジアムのスワローズ戦は、石川、小川、松岡に集中打で攻め立て3連勝。藤浪が背中に張りを訴えて登録抹消というアクシデントもあったが、そのマイナス面を感じさせないほどの好調ぶり。今節は6勝。通算で23勝14敗1分。勝率.622。首位ジャイアンツとのゲーム差は1.5と縮まり2位で交流戦を迎えることになった。

◎ジャイアンツ7回戦……5-2
 ジャイアンツの先発宮國は不調のただ中。この試合も立ち上がりからコントロールを乱す。初回、1死から大和がレフト前ヒットで出ると、鳥谷もライト線への二塁打で二三塁と攻め立てる。しかしマートンが見逃し三振、新井良がセカンドゴロとつかまえきれない。タイガースは爪が割れたため1回先発を回避した能見が再登録され、復帰登板となった。立ち上がりは不安な部分を攻められる。1回裏、先頭の矢野にいきなり二塁打を浴び、寺内のレフト前ヒットで無死二三塁に。坂本はファールフライに取ったが、阿部の打席でフォークボールがワンバウンドするところを藤井彰が弾いて矢野の生還を許し、先制される。それでも、後続を断ち、最少失点にとどめた。2回裏、長野のバックスクリーンへのソロホームランで2点目を取られたが、それ以降は自分の投球リズムを取り戻し、ヒットを許さない。宮國攻略は3回表から。西岡のヒットと鳥谷の二塁打、マートンの四球で1死満塁とし、新井良の犠牲フライでまず1点。4回表には伊藤隼がヒットで出たものの盗塁死。しかし、藤井彰が四球で出塁し、盗塁。能見のライト前ヒットで1死一三塁とし、西岡のセンターへの犠牲フライで同点に。この回限りで宮國は降板。5回表、二番手笠原から新井貴がレフトスタンドへ勝ち越しのソロホームランを叩きこむと、6回表には能見がプロ入り初となるソロホームランをライトスタンドへ。さらに7回表、三番手一岡から先頭の新井良が四球を選び、1死後、伊藤隼がレフト前ヒットでつないで、藤井彰のライト前タイムリーで3点差とした。この5点、毎回1点ずつの得点というじわじわと攻める嫌らしい得点。そして、能見は5回裏、先頭の松本哲にヒットを打たれたが、笠原のバントを二封し、苦手の矢野を併殺に取って、3回以降唯一のピンチを封じると、あとはいつものペースでジャイアンツ打線を手玉に取り、ついに完投勝利。前回のお返しをきっちりとして見せた。ヒーローインタビューは2勝目を完投で飾り、プロ入り初ホームランを放った能見。
◎ジャイアンツ8回戦……5-0
 スタンリッジと杉内の投手戦で始まる。3回表、1死から藤井彰の放ったレフトへの当たりは、東京ドームなら出羽の球の伸びを示し、ふわりとレフトスタンド最前列へ飛び込む。打った藤井彰がレフトフライとあきらめて二塁ベースを回ったところで止まり、審判の手がまわるのを見て驚いてホームインしたようなホームランだったが、この一発でタイガースは勢いづく。4回表、先頭の大和がライト線へ二塁打を放つと、2死から新井良が四球を選び、新井貴が右中間スタンドへ3ランを叩きこむ。スタンリッジにはジャイアンツがセンター返しで崩そうとするが、そこには必ず鳥谷がいて流れるようなスローイングでアウトに。4回裏には先頭の松本哲に、5回裏には1死から長野にそれぞれ二塁打を打たれたが、低めにコントロールされた変化球と、ぐいぐい攻め込む速球でジャイアンツ打線を抑えこむ。7回表、新井貴がダメ押しとなるソロホームランをレフトスタンドに。杉内は8回まで投げ切って5失点。4安打しか打てなかったが、うち3本がホームランで、残塁はなしという効率のいい攻めで天敵を葬り去った。スタンリッジは8回裏、代打石井義にあわやセンターオーバーという当たりを打たれるも、大和のランニングキャッチに助けられるなど、バックの守りにも恵まれて、6安打無四球の完封勝利。ジャイアンツのお株を奪うホームラン構成で連勝。ヒーローインタビューは2本塁打の新井貴。
◎ジャイアンツ9回戦……3-2
 タイガースの先発榎田は、コントロールがままならない投球で、捕手日高のかまえたところになかなか球がいかない。その荒れ球が逆にジャイアンツ打線を苦しめたか。2回裏にはロペス、村田の連打でピンチを作るも中井を併殺に取り、2死三塁から脇谷を歩かせて澤村を三振に取りピンチを脱する。5回裏には長野、阿部への四球とロペスへの死球で2死満塁とされるも村田をショートゴロに。一方のジャイアンツ先発澤村は速球、変化球ともタイガースの各打者はタイミングが合わず、7回を終わって2安打のみ。それでも好調な方が先に崩れるのが野球の面白いところ。8回表、四球の日高を置いて、伊藤隼が今季第1号となる先制2ランをライトスタンドに。8回裏、逃げ切り態勢の福原をマウンドに送るが、村田にレフトポール際にソロホームランを打たれて1点差とされる。9回裏には三番手久保が代打石井のセンター前ヒットを松本哲のバントで二塁に進められ、2死三塁に。坂本のライトフェンスへの当たりは伊藤隼が飛びつくが惜しくも取れず三塁打となり、試合は振り出しに。10回裏は加藤が、11回裏は安藤がともに先頭打者を許すも後続を断つ。ジャイアンツも山口、西村の継投でタイガース打線を抑え、試合はついに12回の攻防に。ジャイアンツ四番手マシソンの前に2死となってから、田上が四球を選ぶ。ここで代打桧山は一塁前で大きくバウンドする打球を放ち、一塁手の頭を越えた球はライト線へ。ランエンドヒットでスタートしていた田上は一気にホームをつき、勝ち越し点をもぎ取った。9回裏、六番手筒井が先頭の村田にヒットを打たれるも、橋本はバントを失敗させ三振に。そして代打矢野はショートゴロ併殺で逃げ切った。安藤にごほうびのような今季初勝利がつく。ヒーローインタビューは決勝タイムリー二塁打の桧山。代打での通算打点で八木の球団記録を抜く99打点目を今季初安打で飾ったヒーローは、やっと打てて嬉しいと心からの笑顔で答えた。
◎スワローズ10回戦……5-0
 スワローズの先発石川は、前回のKOのお返しをするという強い気持ちのこもった投球。初回、西岡がいきなりセンター前ヒットで出塁したが、大和はランエンドヒットのピッチャーゴロで二進するも、鳥谷のレフトライナーをヒットと決めつけ一気にホームを突こうとしたが、ミレッジがスライディングキャッチしたため二塁に戻れず無得点。4回表までこの時のヒットだけに抑えこまれてしまった。一方、タイガースの先発メッセンジャーは初回から苦しい投球。1死から田中浩のヒットとミレッジへの四球でピンチを招いたが、バレンティンと岩村を連続三振に打ち取って難を逃れる。3回表には先頭の比屋根のヒットと田中浩のバントで二塁に走者を送られたが、ミレッジとバレンティンをなんとか抑える。5回表、先頭の新井良がセンター前ヒットで出ると、1死から藤井彰がショートゴロを打ち、これは森岡の一塁送球がそれてエラーとなり、俊介のセンター前への浅いヒットで満塁とする。ここでメッセンジャーがセンターオーバーの走者一掃となる二塁打を放ち、さらに西岡のヒットで1一二塁とする。大和はレフトポール際のフェンス直撃かという二塁打を放ち、メッセンジャーに続いて西岡も一塁から一気にホームインした。この回一挙5点で、これでメッセンジャーの投球に余裕が出てきた。タイガース打線も集中打はこの回限りで追加点をあげることはできなかったが、メッセンジャーは緩急をつけた投球でスワローズ打線を完封し、早くも5勝目。ヒーローインタビューはもちろん先制打と完封のメッセンジャー。
◎スワローズ11回戦……11-7
 スワローズ先発小川から先頭の西岡がいきなりレフト前ヒット。大和が送り、鳥谷が右中間を破る二塁打で先制。タイガースの先発岩田は初回を三者凡退と上々の立ち上がり。
しかし、2回裏、先頭バレンティンに二塁打を打たれるととたんにリズムを乱す。2死を取ったものの中村を歩かせ、川島慶にレフト前にタイムリーヒットを打たれて同点に追いつかれると、小川にはライトオーバーの二塁打で2点を奪われ勝ち越される。直後の3回表にタイガースが反撃。1死から西岡がレフト前ヒット。大和のサードゴロの間に一気に三塁を陥れた。鳥谷、マートンが歩いて満塁とし、新井良のライトフライはバレンティンが目測を誤り目の前でポトリ。二者生還して同点に追いつく。なおも2死二三塁で新井貴が三塁線を抜くタイムリーを放ち、2点勝ち越し。それでも岩田はピリッとしない。4回裏、内野安打の宮本とレフト線への二塁打の川島慶を塁に置き、代打新田のセカンドゴロは西岡がホームへ送ってセーフ。続く比屋根のスクイズも岩田がホームへ送ったがセーフ。2連続の野選で同点に追いつかれた。ここで岩田は降板。二番手鶴が田中浩を併殺に打ち取り同点にとどめた。5回表、二番手は押本。1死からマートンのライト線への二塁打と新井良のライト前ヒットで二三塁とし、新井貴の犠牲フライでまた勝ち越す。三番手正田からは代打藤井彰がライト前にヒットを打つと新井良がホームに強引に突っ込み、捕球体勢に入った中村と衝突。中村が倒れてぼるをこぼす間に、新井良は必死でホームにタッチして2点差に。6回表、マウンドには四番手江村。1死から西岡がレフト前ヒット。大和もセンター前ヒットで続き、鳥谷がライトスタンドに3ランを叩きこむ。リリーフ陣は三番手の加藤、そして四番手の地元松山出身筒井が7回までぴしゃり。8回表、この試合5本目となるヒットを放った西岡を大和が送り、鳥谷のセンター前ヒットで返して11点目をあげた。8回裏、筒井が乱れる。バレンティンにレフトスタンドにソロホームランを打たれると、畠山と中村のヒットで1死一二塁に。川島にタイムリーを打たれて4点差に迫られた。筒井は代打田中雅を三振に打ち取り、五番手安藤にスイッチ。安藤は代打武内に初球を打たせてショートゴロでピンチを脱した。9回裏、六番手の福原が田中浩とミレッジの連打とバレンティンへの四球で無死満塁とされたが、畠山を内野フライに打ち取ると、三輪は三振、中村をピッチャーゴロに仕留めて辛くも無失点で逃げ切った。ヒーローインタビューは5打点の鳥谷と5安打の西岡。
◎スワローズ12回戦……4-2
 スワローズの先発八木の立ち上がりを攻める。初回、西岡がレフト線に二塁打を放ち、大和、鳥谷の連続四球で無死満塁と攻め立てたが、マートンのヒット性の当たりはセカンドライナーとなり二塁走者の大和が帰塁できず併殺に。新井良はセカンドゴロで、大きなチャンスを逸した。タイガースの先発は能見。藤浪の登録抹消を受け、中5日での先発となった。初回から快調に飛ばしていたが、3回裏、田中雅と川島慶の連打、八木のバントで1死二三塁とされ、比屋根の犠牲フライで1点を先制された。しかし、以後はランナーを出しながらも粘りの投球。タイガース打線は八木のつかみどころのない投球に翻弄される。4回表、四球でマートンが出塁し、新井貴のヒットなどで三塁へ。藤井彰の浅い外野フライでホームまで突っ込むが、捕手田中雅に激突する激しい走塁をしても、タッチアウト。なかなか追いつけない。八木は7回無失点で二番手松岡に後を託す。その松岡をタイガース打線が攻める。8回表、センター前ヒットの鳥谷が盗塁し、マートンのライト前タイムリーで同点。代走田上も盗塁。捕手中村の悪送球で三塁に進む。1死から新井貴がレフトスタンド最前列に勝ち越しの2ラン。8回裏、代打水田にソロホームランを打たれて1点差とされ、さらに田中浩にも二塁打を浴びて、能見は安藤に後を託す。安藤はミレッジをショートゴロに、そしてバレンティンを敬遠して畠山と勝負。ライト前に落ちるかという当たりは俊介がスライディングキャッチで好捕。ピンチを脱した。9回表、三番手ロマンから関本がセンター前にヒットを打つと、大和のバントなどで2死三塁に。鳥谷敬遠で代打桧山が前進守備の二塁の頭を越すライト前タイムリーで貴重な追加点をあげた。9回裏は久々の登板となった久保が三者凡退で逃げ切った。2カード連続の3タテで連勝は6にのばした。ヒーローインタビューは勝ち越し2ランの新井貴。

愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 今節2勝をあげた。ジャイアンツっ戦では自らホームランを放つ活躍で完投。スワローズ戦では登録抹消の藤浪にかわり急遽先発しながら、ゲームを作った。これこそエースの活躍である。交流戦でもその球の切れで連勝をのばしていってほしい。
野手……新井貴浩 ジャイアンツ戦では2試合連続で勝利に導くホームラン。スワローズ戦でも犠牲フライやホームランでチームの勝利に貢献。新井本来の打棒が戻ってきた。なんだかんだいっても、新井が打つことで打線に芯ができるのである。

 次節は交流戦開始。甲子園でバファローズ2連戦。1日おいて甲子園でホークス2連戦。翌日から西武ドームでライオンズ2連戦。昨年は交流戦に入って連敗し、下降線を描いたが、ここまでの勢いならファンも盛り上がり、相手を呑みこんでしまうだろう。交流戦優勝とまではいかないが、勝ち越してリーグ戦に戻ってきてほしい。

(2013年5月13日記)


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