愛すれどTigers


鷹のエース攝津をノックアウト

 今節から交流戦が始まった。甲子園でバファローズ2連戦。前節の好調さが嘘のようにミスが出て連敗。続く甲子園のホークス戦では初戦を落としたが、2戦目にエース攝津を一発攻勢でノックアウトして、連敗を止めた。西武ドームに移ってライオンズ戦。初戦は涌井の自滅で取ったが、2戦目は菊池の前に打線が沈黙。3連勝はならなかった。今節は2勝4敗。通算で25勝18敗1分。勝率.581。首位ジャイアンツとのゲーム差は2.5で2位。

◎バファローズ1回戦……0-1
 バファローズの先発はディクソン。沈む球が持ち味で、好調タイガース打線はこの低めの球に手を焼いた。初回、西岡がショート内野安打で出塁し、大和は一塁ゴロで二封。鳥谷が四球を選んでチャンスを作ったが、マートンは空振り三振。新井良はショートゴロでチャンスを逸した。タイガースの先発スタンリッジは制球がままならず、四球も多かった。毎回のようにランナーを許すも、なんとか要所を抑える。4回表、後藤に右中間を破る二塁打を打たれ、伊藤のバントで三塁に進まれる。ここで安達がスクイズを敢行。これが空振りとなり、ホームに突っ込んできた後藤をタッチアウト。安達はレフトフライでピンチを脱した。しかし、5回表、坂口にライトポール際に飛びこむホームランを打たれ、1点を先制された。スタンリッジは7回をなげてこの失点のみ。8回表、二番手福原が1死からバルディリスに死球。イ・デホにレフト前ヒットを打たれたところで加藤と交代。加藤は代打糸井をセンターフライに打ち取ると、後藤もセカンドゴロに打ち取る好リリーフ。9回表は四番手筒井が好投して打線の反撃を待つ。バファローズは8回裏に佐藤を投入して三者凡退。9回裏にはクローザーの平野佳。2死から新井貴がライトの駿太がスライディングキャッチしようとしてこれをこぼす幸運なヒットで塁に出、代走田上、代打桧山で勝負をかけたが、桧山は初球を打ちあげレフトフライに終わり、完封負けを喫してしまった。ディクソンのとらえどころのない投球に翻弄されて打線全体の調子がくるってしまった敗戦だった。
◎バファローズ2回戦……2-9
 タイガースの先発榎田は初回調子よく2死を取ったが、バルディリスにレフトスタンドら先制ソロホームランを浴びる。さらにイ・デホにヒットを打たれると、ロッティーノにもレフトスタンドに2ランをうたれ、いきなり3失点。バファローズの先発は新人の松葉。2回裏、マートンと俊介のヒットで2死一三塁とし、日高のタイムリーで1点を返す。さらに榎田がセンター前にヒットを放ち、俊介が一気にホームをつくもクロスプレーでベースタッチを失敗し、アウトに。ここで1点差としていたら展開もまた違っていただろう。榎田は3回表に川端に二塁打を打たれ、イ・デホにセンターバックスクリーンに2ランを放りこまれ、4回限りでマウンドを降りた。5回表、二番手鶴が川端にヒットを打たれ、バルディリスには肩口から頭部をかすめる死球。これが危険球となり交代。三番手藤原が急遽マウンドに。イ・デホを歩かせて無死満塁に。ロッティーノは三振に打ち取ったが、後藤に押し出しの四球を許す。さらに山本の犠牲フライでもう1点を追加された。5回裏、日高のヒットと伊藤隼の四球でチャンスを作るが、西岡はサードゴロ併殺。2死二塁となったが、大和のセンター前タイムリーでなんとか1点を返す。以降はタイガースは福原にかわって一軍に上がった清原がランナーを許しながらも無失点で7回と8回を切り抜け、9回には筒井がこれも無失点に抑えた。しかし、大量得点差で流れはバファローズに。6回には比嘉に、7回には左腕松本になんと三者三振。平井、岸田という継投の前に、9回裏の今成の内野安打がでたのがやっと。好調だったはずの打線も、絶好調の先発も初回の2ホームランでできたバファローズの流れに呑みこまれてしまった。
◎ホークス1回戦……2-4
 タイガースの先発はメッセンジャー。立ち上がりから苦しい投球。初回、ヒットの福元は二盗を試みたところを藤井彰がみごとに刺したが、内川に二塁打を打たれ、ラヘアを歩かせピンチに。ここは松田を空振り三振に取ってピンチを脱した。続く2回表、吉村のライト前ヒットと今宮のレフト前ヒット、さらにマートンの緩慢な返球で無死二三塁とされ、山崎にはレフト線ファウルラインぎりぎりに入る二塁打で2点を先制された。帆足は三振、長谷川の一塁ゴロで2死三塁とされ、福元のプロ入り初タイムリーとなるレフト前ヒットでこの回3点目を失った。3回以降はカープの曲がりがよくなりいつものメッセンジャーに戻っただけに、この3失点は大きかった。ホークス先発は帆足。タイガースの苦手なのらりくらり型の左腕である。3回裏、先頭の俊介がライト前に落とすヒットで出ると、メッセンジャーが送り、西岡は浅いセンターフライに倒れたが、大和がライトとセカンドの間に落ちるテキサスヒットで俊介を返して反撃開始。6回裏には二番手藤岡に対し1死から大和が内野安打で出塁。一塁にヘッドスライディングするファイトを見せると、鳥谷がセンター前ヒットでつなぐ。ここで三番手岩嵜に交代。マートンは低めの球を見送り三振。しかし新井貴がライト前に弾き返して大和が生還し1点差とした。ただ、鳥谷が一気に三塁を狙おうとして、ライト吉村の返球でアウトになり、1点差にとどまったのが痛かった。7回表、二番手加藤が先頭の長谷川を歩かせ、福元のバントで二塁に進められると、内川の強い当たりのセカンドへの打球は西岡のグラブを弾いてライト前に。これがダメ押しのタイムリーとなる。ホークスは8回表に新鋭の千賀を投入。1死から西岡が歩き、大和のヒットと鳥谷の四球で満塁とする。慣れない甲子園の大観衆の前で明らかに緊張していた千賀だったが、マートンが2球続けてボール球を空振りしてからは落ち着きを取り戻し、マートン、新井貴と連続三振に打ち取られた。タイガースは鶴、筒井とつないでホークス打線の反撃を断ち切ったが、9回裏、ファルケンボーグの前にあえなく三者凡退で終わり、試合終了。マートンの返球や鳥谷の走塁など、要所で出た記録に残らないミスが全体の足を引っ張った。
◎ホークス2回戦……9-5
 タイガースの先発は岩田の登録抹消でチャンスのまわってきた小嶋。しかし、そのチャンスを生かせない。初回は無失点に抑えたものの、李と内川にヒットを打たれる。そんな小嶋を打線が援護する。1回裏、ホークスのエース攝津から西岡が先頭打者ホームランをレフトポール際に放りこむと、大和がライト前ヒットで続く。鳥谷の投手ゴロは摂津がセカンド悪送球でオールセーフ。マートン三振の間にダブルスチールを成功させると、新井貴は四球で1死満塁に。そして新井良がレフトスタンドにプロ入り初の満塁ホームランを打ち、この回一気に5点を奪う。さらに2回裏、ヒットの大和が盗塁し、鳥谷のライト線への二塁打で1点を追加。ところが、小嶋は3回表、2死から長谷川を歩かせると、李に2ランを、続く内川にもソロホームランを立て続けにレフトスタンドにもっていかれた。4回表には松田にソロホームランをやはりレフトスタンドへ。1死は取ったが今宮にヒットを打たれたところで交代を告げられる。チャンスをつかんだのは二番手の鶴。5回までしっかり無失点で追撃の芽を断つ。5回裏、二番手河原から四球を選んだ新井貴が盗塁で二進。河原の暴投が大きく跳ねる間に新井貴は一気にホームまで突っ走る。6回裏には、2死から大和が歩き、足を気にした河原の棒球を鳥谷が逃さずレフトスタンドにダメ押しの2ランを叩きこんだ。三番手加藤、四番手安藤とつなぎ、8回表には安藤が内川にバックスクリーに飛びこむソロホームランを打たれたが、9回表にはセーブはつかないがクローザーの久保を投入し、三者凡退で逃げ切った。これで今季の交流戦初勝利となる。ヒーローインタビューは先制ホームランの西岡と満塁弾の新井良。
◎ライオンズ1回戦……10-5
 タイガースの先発はエース能見。初回にいきなりつかまる。先頭の浅村にレフトスタンドに先制ホームランを打たれ、ヒットの秋山を塁に置きオーティーズのレフト線への二塁打で2点目を失った。ヘルマンのヒットで1死一三塁とされたが、坂田を併殺に打ち取り、なんとか大量失点は免れた。しかし、ライオンズのエース涌井に対してすぐに反撃。先頭の新井貴のセンター前ヒットに続き、今成もライト線への二塁打で無死二三塁。新井良が歩いて満塁とし、藤井彰のライト前、坂田のスライディングキャッチの手前で落ちるヒットで1点を返す。さらに涌井の暴投で同点に。それでも能見はピリッとしない。直後の2回裏には片岡にバックスクリーンに飛び込むソロホームランを打たれ、3回裏には2死からオーティーズにピッチャー強襲のヒットを打たれ、ヘルマンのライト線への二塁打で二三塁となる。坂田のセンター前ヒットで2点を追加され、5失点。坂田には盗塁を許したが、このとき坂田がスライディングの際に左肩を脱臼するアクシデントがあった。これでライオンズの流れが途切れた。片岡を三振に取り、なんとかしのぐ。4回表、涌井の独り相撲が始まる。先頭の新井良が四球で出ると、藤井彰はレフト前にテキサスヒット。柴田のバントを涌井は素手で取りにいきお手玉して満塁に。西岡は四球で押し出し。ここで坂本弥に交代するが、大和も押し出しの四球。1点差に詰め寄り、初球を鳥谷がライト線に引っ張ってついに逆転。なおも一三塁と攻め立て、マートンの犠牲フライで2点差に。6回表には三番手岩尾から四球の鳥谷を置いて新井貴が2ランをレフトスタンドに。7回表、四番手岡本洋には先頭の新井良がまたも四球を選び、藤井彰のバントと柴田のセンター前ヒットで1死一三塁。岡本洋の暴投で10点目をもらう。6回以降は筒井、安藤、久保のリレーで逃げ切り、乱戦を制した。ヒーローインタビューは逆転二塁打の鳥谷。
◎ライオンズ2回戦……1-5
 タイガースのスタンリッジとライオンズ菊池の投手戦。特に菊池の速球と変化球のコンビネーションにタイガース打線は翻弄されてしまう。試合が動いたのは4回裏。1死から大崎にライト前ヒットを打たれ、片岡のショートゴロで二進。炭谷には四球。それでも永江をセカンドゴロに打ち取ってチェンジかと思われたが、西岡の送球が早すぎベースカバーに入った新井貴とのタイミングが合わず、ボールはミットの下をすり抜けてファールグラウンドに。これで先制点を奪われた。浅村にもライト前タイムリーを許し、秋山の一二塁間の当たりは西岡がよく抑えたが内野安打となり、その間に永江が生還。続く栗山にもライト前タイムリーを打たれ、オーティーズの打席でスタンリッジは暴投し、さらに1点を奪われた。1つのエラーが5点という大量失点に広がってしまった。菊池を打ちあぐねていたタイガース打線だったが、7回裏2死から新井良がバックスクリーンにソロホームランを叩きこみ、一矢報いた。続くコンラッドも久々の出場でタイミングが合わなかったが、この回は二塁打で続いた。しかし、藤井彰はライトフライで後が続かない。5回裏からは、鶴と玉置が2イニングずつ投げて無失点。変化球にライオンズ打線がてこずっていた。次回のこのカードでの参考になるか。9回表、二番手十亀から新井貴の二塁打と新井良のライト前ヒットで逆転への期待が広がったが、コンラッドがダブルプレーに終わり、連勝ストップ。

愛すれどTigers週間MVP
投手……鶴直人 今シーズンは負けている時によく登板しているが、ただの敗戦処理ではない。敗戦時でも相手の流れを断ち切り、先発投手の崩れをしっかりとカバーしている。いずれ先発のチャンスもめぐってくるのではないか。危険球退場の次の試合できっちり気持ちを切り替えて登板できていたのも、成長のあらわれだろう。
野手……新井良太 プロ入り初めての満塁ホームランやチームメイトが打ちあぐねた菊池に一矢報いる一発など、復調の様子。良太が打つと打線に元気が出る。このまま次節に向け調子をあげていってほしい。

 次節はQVCマリンフィールドでマリーンズ戦。古巣に対して西岡が恩返しをして見せるか。1日おいて甲子園でファイターズ戦。昨年交流戦での連敗の皮切りとなった相手だけに今季はお返しをしたい。そして、藤浪と大谷の対戦が予想される。甲子園の申し子たちによるライバル対戦の序章を見られる。わくわくしてくるではないか。

(2013年5月21日記)


目次に戻る

ホームページに戻る