愛すれどTigers


能見と金子の息詰まるエース対決

 交流戦は3週目に突入。対戦も一回りし、二順目に入る。甲子園でのイーグルス2連戦はエース田中を打ちこみながら、久保が抑え失敗で初戦を落とし、2連敗。京セラドーム大阪でのバファローズ戦も初戦は落としたが、2戦目は能見と金子千の息詰まるような投手戦を制して連敗を止め1勝1敗。ヤフオクドームでのホークス戦は、初戦一気の逆転勝ちでこの試合終了時点でセ・リーグ首位に立ったが、2戦目はスタンリッジが滅多打ちをくらい惨敗し、1勝1敗で再び2位に戻った。今節は2勝4敗。通算で30勝22敗2分。勝率.577。首位ジャイアンツとのゲーム差は0.5と縮まり2位。

◎ゴールデンイーグルス1回戦……4-7
 タイガースはスタンリッジ、イーグルスは田中の両先発が好投。均衡が破れたのは3回裏。先頭の西岡がレフト前ヒットで出塁し、大和が送って二塁に進むと、鳥谷が左中間への二塁打で先制。続くマートンもライト線への二塁打で2点目をあげた。スタンリッジは6回表までは快調に投げていたが、7回表、先頭の嶋にレフト線への二塁打を打たれ、苦しみ出す。鉄平のセンター前ヒットで一三塁とされ、銀次にレフトマートンの前に落ちるテキサスヒットで1点差とされる。松井は前進守備のショートゴロで打ち取るが、ここで加藤にスイッチ。代打中島を三振に取ったものの、聖澤にセンターの左に大きな当たりを打たれる。大和が懸命に追うが、グラブの先をかすめる三塁打となり、逆転を許した。三番手福原を投入し、ジョーンズはサードフライに打ち取り、打線の反撃を待つ。7回裏、二番手青山がマウンドに。1死から、坂、西岡と連続四球を出したところで小山伸にスイッチ。大和は内野フライに打ち取られたが、鳥谷が一二塁間を破る同点タイムリーを放って試合は振り出しに。8回表は安藤が抑え、8回裏に打線が小山伸を打つ。1死から俊介が四球。新井良は三振に打ち取られたものの、藤井彰の初球に俊介が盗塁。藤井彰のライト前タイムリーで勝ち越しのホームを踏んだ。9回表、クローザーの久保は1死を取ったものの、銀次のヒットでリズムを崩す。松井にはライトオーバーに打たれ、俊介が雨にぬれた芝生に足を取られている間に銀次が長躯ホームインで同点に追いつかれた。松井は二塁に進む。続く代打島内には前進守備の左中間を破る三塁打を打たれて勝ち越しを許し、久保は降板。流れをせき止めるために出した筒井は聖澤にライトスタンドポール際への2ランを打たれ、3点差と引き離される。9回裏には、イーグルスのクローザー、ラズナーの前に三者凡退。またもや久保のリリーフ失敗で星を落とす嫌な負け方となった。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……0-2
 イーグルスの先発戸村は荒れ球。初回、3四球で2死満塁と攻め立てたが、新井良のサードゴロでチャンスをつぶす。4回裏にも3死四球で1死満塁に。しかし榎田は一塁ゴロで本塁封殺。西岡はセカンドゴロ。この間、タイガース打線は狙い球を絞れずノーヒット。対する榎田は低めのコントロールが冴え、先頭打者をしっかりと打ち取る投球で序盤を快調に抑える。5回裏、1死から鳥谷の四球と初安打となるマートンのライト前ヒット、新井貴もレフト前ヒットで続き、1死満塁に。しかし新井良がショートゴロ併殺でここもチャンスを逸する。6回表、2死を取った榎田が聖澤にセンター前ヒットを打たれると、ジョーンズには死球。マギーのレフト前タイムリーで皮肉にも好投していた方が先制点を奪われてしまった。それでも榎田は8回を投げ切り1失点で打線の反撃を待つ。戸村をとらえきれなかったタイガースは、8回裏、三番手小山をとらえる。先頭のマートンがヒットで出るが、新井貴は併殺。新井良が二塁打を打つも四番手の左腕片山に対する代打浅井はライトフライ。9回表、二番手福原は1死から森山に高いバウンドのサード内野安打を打たれ、盗塁を許す。嶋のライト前ヒットで大きな追加点を奪われた。9回裏、イーグルスのクローザーラズナーに対し先頭の藤井彰がヒットを放つが、代打今成はファーストゴロで二封。西岡、代打桧山はいずれも平凡な外野フライに倒れ、逃げ切られた。
◎バファローズ3回戦……3-4
 タイガースの先発はメッセンジャー。初回、いきなり坂口にライト前ヒットを打たれると、川端のバントで二塁に進まれ、バルディリスのレフト前タイムリーで先制される。バファローズの先発は井川。ライオンズから移籍してきた高山が、移籍初打席となる3回表、レフトスタンドに同点のソロホームランを叩きこむ。しかし、直後の3回裏、1死から坂口にレフト前ヒットを許し、川端のショートゴロは珍しく鳥谷が弾いて失策。これも珍しい藤井彰の捕逸で二三塁とされ、バルディリスはピッチャーゴロに打ち取り、坂口を三本間で狭殺する。バルディリスも狭殺の間に二塁に進むことなく一三塁。それでもイ・デホを歩かせて満塁に。ここで糸井に2点二塁打をライト線に打たれた。5回裏、イ・デホのソロホームランがライトスタンドに。その後も糸井とロッティーノの連打と後藤への四球で満塁とされてメッセンジャーは降板。ピンチを二番手の渡辺が今季初登板という緊張のマウンドながらよく期待にこたえて抑える。6回表、タイガース打線が反撃。1死から俊介がライト前ヒットで出ると、西岡はライト前ヒットでつづく。大和が歩いて満塁とし、鳥谷がライト線への二塁打で2者を返して1点差と迫る。井川はここで降板し、二番手の比嘉がマウンドに。マートンはサードゴロ、新井も外野フライと抑えられ、逆転のチャンスをつかみ取れず。タイガースは加藤、鶴、筒井のリレーでなんとか無失点で切り抜けたが、打線もバファローズの佐藤達、平野佳の前に抑えこまれ、1点差を逃げ切られた。
◎バファローズ4回戦……2-0
 バファローズの先発はエースの金子千。初回は鳥谷が、2回表は坂が、3回表には無死から大和のお見合いによる幸運なヒットが出たものの、後続をことごとく打ち取られる。しかし、タイガースのエース能見はさらにそれを上回る投球。2回裏にはサード新井良の悪送球で初めて走者を許し、3回裏には後藤にレフト前ヒットを打たれ、伊藤のバントで二塁まで進まれ、4回裏には糸井に四球を与えたが、こちらも後続をしっかりと断って無失点。能見が許した走者はこの4回までの3人限り。試合が動いたのは7回表、先頭の新井貴がレフト線に二塁打を放つと、坂のバントは投手金子千が一塁に悪送球。無死一三塁から新井良がピッチャーゴロで三塁走者の新井貴は狭殺プレーでアウトに。1死一二塁から藤井彰の一塁ゴロでそれぞれ進塁し、大和が三塁線を破る二塁打でランナーを一掃。この2点が決勝点となった。それでも金子千は完投し、エースの意地を見せた。能見は5回以降はパーフェクト。切れのいい速球を中心に組み立てられた配球でバファローズの強力クリーンアップをねじ伏せた。また、鳥谷が2度もヒット性のゴロをファインプレーでアウトにしたのも大きかった。ヒーローインタビューは完封勝利の能見と、決勝タイムリーの大和。大和は二番打者を今季初めて外れて、9番に下がった打順での活躍だけに、嬉しさもひとしお。
◎ホークス3回戦……4-3
 タイガース先発の藤浪とホークス先発パディーヤの投手戦。藤浪は2回裏、松田と長谷川の連打で無死一二塁のピンチを作り、さらにダブルスチールで二三塁まで攻められたが、ラヘア、柳田、今宮を三者空振り三振に打ち取ってピンチを脱した。3回裏には1死から中村、本多の連打でピンチを作るが、内川は内角を攻めて空振り三振に、二塁走者中村の三盗を藤井彰が刺してこちらも無失点で切り抜けた。しかし、5回裏、先頭の柳田を歩かせ、今宮のバントで二進。中村のレフト前タイムリーヒットで先制を許す。さらに6回裏、1死からライト前ヒットの長谷川を塁に置き、ラヘアにセンターオーバーの二塁打を打たれて藤浪は降板した。二番手筒井の好投で追加点を阻むと、6回までチャンスらしいチャンスも作れなかったパディーヤ相手に、7回表に反撃。マートンと新井貴が連続でライト前にヒットを放つと、坂のバントで1死二三塁。代打今成のレフトへの大きな犠牲フライで1点差とし、続く代打桧山が右中間を破る二塁打で同点に。ここまでパディーヤ相手に内角を突かれて連続見逃し三振の柴田は、その球を狙い打ちでライト前に勝ち越しのタイムリーを放ち、パディーヤをノックアウトした。8回表には二番手柳瀬から大和がヒットを放つと、三番手の左腕森福は大和を警戒し過ぎてカウントを悪くし、鳥谷にライト前に運ばれて無死一三塁。ここはマートンがきっちりとライトフライで大和を返して2点差とした。8回裏、三番手の渡辺が松田にレフトスタンドにソロホームランを打たれて1点差とされるも、四番手の加藤が後続を断つ。そして9回裏、安藤がクローザーとして登板し、三者凡退で締めて9年ぶりのセーブをあげた。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーで地元出身の柴田。開幕から二軍で待っていた男が、ついにここにきて存在感をアピールした。
◎ホークス4回戦……0-12
 ホークス先発の左腕山田を崩しかけてはあと1本が出ない。1回表、1死から大和がセンター柳田のグラブを大きく弾く三塁打でチャンスを作るが、鳥谷はショートゴロ、マートンは歩かされ、新井貴はサード正面のゴロで得点できず。3回表は1死から西岡が二塁打を放つが、大和四球のあと鳥谷、マートンが外野フライを打ち上げてここも決定打不足。先に崩れたのはタイガース先発のスタンリッジ。4回裏、先頭の本多を一塁線の投手ゴロに打ち取ったが、スタンリッジが打者走者へのタッチを急いでボールをこぼしてしまい、エラーで先頭打者を出す。内川のセンター前ヒットで一三塁とし、松田を歩かせて無死満塁に。長谷川はセンター前に先制タイムリー。続くラヘアにはライト前に、柳田にはレフト前に、今宮にはレフトオーバーの二塁打と4連打で6点を失い、スタンリッジはこの回限りで降板。5回裏には二番手鶴がつかまる。先頭の本多を歩かせ、1死のあと松田の二塁打で二三塁。長谷川、ラヘア、柳田の3連打で4失点。6回裏には三番手玉置が四球の中村を塁に置き、内川にレフトスタンド最前列に飛びこむ2ランを打たれ、3投手で12失点。打線はいい打球がことごとく野手の正面を突き、流れがきていない時はこういうものという感じ。山田は7回でベンチに下がり、嘉弥真、岩嵜のリレーに完封負けを食らった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 連敗で苦しい状況の時に完封してみせる。また、それが1安打1四球という準ノーヒットノーラン。これぞエースの証である。チームに勢いをつけ、一時はジャイアンツを抜いて首位に躍り出るきっかけを作った。お見事の一語に尽きる。
野手……柴田講平 開幕からしばらくは二軍暮らしが続いたが、腐らず力を蓄えてきたことが、やっと実った。福留負傷でポジションは空いている。センター争いでは大和に負けたが、ライトのポジションは俊介や今成、伊藤隼らと切磋琢磨して定位置を争ってほしい。

 次節は甲子園でライオンズ戦。ジャイアンツに勝って意気上がる相手だけに、油断はできない。1日おいてやはり甲子園でマリーンズ戦。ここでは聖地で藤浪が投げる。不敗記録が続くのかどうか期待して見たい。

(2013年6月4日記)


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