愛すれどTigers


大和、生涯初のサヨナラ打

 富山でのドラゴンズ戦は接戦を制して連敗を止め、金沢で予定されていた試合は雨で中止。ドラゴンズ戦は1勝。久々に甲子園に戻ってのカープ戦は、初戦は相手のミスに助けられて逆転勝ち。2戦目はリードを許すも追いつき、大和の生涯初というサヨナラ打でけりをつけた。3戦目は前田健にひねられて3タテはできなかったものの2勝1敗。今節は3勝1敗。通算で38勝28敗2分。勝率.576。首位ジャイアンツとのゲーム差は2.5の2位。

◎ドラゴンズ7回戦……2-1
 ドラゴンズの先発はブラッドリー。初回2死から鳥谷の二塁打とマートンの四球でチャンスを作るが、新井貴のサードゴロで逸した。ブラッドリーは人差し指が虫に刺されていて悪化したという理由で、初回限りで降板し、2回からは若い左腕の岡田にスイッチ。この岡田にタイガース打線がてこずる。タイガースの先発は能見。2回と4回に走者を許すもいずれも併殺で切り抜けるなど、安定した投球。タイガース打線は岡田と三番手の武藤に手を焼いていたが、7回表に先頭の新井良が四球を選び、伊藤隼の一塁ゴロで二進。能見のセンター前ヒットで1死一三塁とすると、西岡のショートゴロを堂上直が自ら二塁を踏んでから一塁に送球したため、全力疾走の西岡は一塁セーフで、新井良が生還して1点を先制した。8回裏、ここまで快調に飛ばしていた能見だったが、2死から代打山崎を四球で出すと、藤井にライト前に運ばれ、続く荒木のセンター前ヒットで代走松井雅が同点のホームを踏んだ。それでも能見はクラークをショートフライに打ち取って、リードは許さない。直後の9回表、六番手中田から新井良がレフトスタンドにソロホームランを叩きこみ再びリード。9回裏、ルナを空振り三振にとった能見だったが、和田の打球が足を直撃して完投目前で無念の降板。リリーフした福原は平田をセカンドゴロ併殺に打ち取って、みごと逃げ切り。ヒーローインタビューは決勝ホームランの新井良。
◎カープ6回戦……7-4
 カープの先発武内に苦しめられる。狙い球を絞れず、6回までノーヒットに抑えられた。タイガースはスタンリッジが先発。3回表、先頭の安部にヒットを打たれ、堂林のセカンドゴロも内野安打となるかと思われたが、西岡のバックトスと鳥谷の正確な送球で併殺に。4回表、先頭のルイスを歩かせ、赤松のバントで二進。丸に一二塁間を抜かれて先制される。さらにエルドレッドにもセンター前ヒットでつながれ、2死としたものの會澤のライト前タイムリーで2点目を失った。さらに6回表、1死後から丸にヒットを打たれ、ボークで二進させると、2死後に松山のライト前タイムリーで3点目を奪われ、この回限りで降板した。7回表、ついに先頭の大和がチーム初安打をセンター前に打ち返すと、1死後盗塁に成功。マートンのセンター前タイムリーで1点を返した。しかし、二番手の筒井が8回に乱れる。1死から菊池にヒットを打たれ、丸のショートゴロで二進を許す。エルドレッドを迎えて三番手渡辺が登板したが、ライトオーバーの二塁打で遺体追加点を許した。エルドレッドを二三塁間で狭殺し、反撃を待つ。8回裏、二番手の今井から1死後伊藤隼がライト前にヒットを放つと、代打は桧山。三番手河内からストレートの四球を選ぶ。四番手ミコライオが登板し、西岡は一塁ゴロに。ところが一塁手松山が二塁封殺を狙い悪送球で1点を返す。大和のバントはミコライオが二塁に投げるが遊撃手安部が落球して満塁に。鳥谷のセカンドゴロの間に1点を返して1点差に迫る。ここでマートンがセンター前に弾き返し、2者を返して逆転。新井貴が歩き、今成が走者一掃となるセンターオーバーの三塁打を放って3点差とした。9回表、加藤がきっちり三者凡退に抑えてプロ入り初セーブ。相手のミスにみごとにつけこんだ集中打での逆転勝ち。ヒーローインタビューは両親がアメリカから見に来ている前で3打点をあげ勝利を決めたマートン。「甲子園好きやねん」と日本語で答えて歓声を浴びた。
◎カープ7回戦……4-3
 タイガースの先発メッセンジャーは立ち上がり不安定。先頭のルイスにセンター前ヒットを打たれ、続く菊池を歩かせる。丸とエルドレッドを平凡なフライに打ち取って2死まではとったが、松山にライト線へ2塁打を打たれ2点先取された。さらに3回表にはルイスに左中間スタンドにソロホームランを打たれて5回を投げ切ったところで交代した。打線は大竹を打ちあぐんでいたが、4回裏、先頭の大和が四球で出ると、盗塁と鳥谷の一塁ゴロで1死三塁とし、マートンのセンター返しのタイムリーで1点を返した。さらに5回裏には先頭の新井良がレフト前ヒットを放つと、日高のセンター前ヒットで無死一三塁とする。代打今成の一塁ゴロは新井良が狭殺プレーでアウトとなったが1死二三塁とする。西岡の投手強襲ヒットで1点差に詰め寄ると、大和のセーフティプッシュバントが内野安打となり同点に追いついた。以降は、タイガースは渡辺、安藤、加藤、福原が1イニングずつ無失点でつなぐ。カープも7回から投入した上のの好投でタイガース打線を封じた。9回裏、カープの三番手久本に対し1死から代打高山が四球で出ると、代走荒木がプロ入り初盗塁。代打関本も連続四球で1死一二塁とする。西岡は空振り三振に倒れたが、大和がレフトオーバーのサヨナラ二塁打を放って劇的な幕切れ。大和は両親を含む故郷鹿屋市からやってきた大応援団の前で大仕事をやってのけた。ヒーローインタビューは同点スクイズとプロ入り初サヨナラ打の大和。
◎カープ8回戦……0-2
 タイガースの先発は久々にチャンスが巡ってきた秋山。初回、先頭のルイスにライトオーバーの二塁打を打たれると、菊池のバントと丸のレフトへの犠牲フライで1点を先制された。さらに2回表、1死からセンターオーバーの二塁打を梵に打たれる。堂林を一塁ファールフライに打ち取り、ここで石原を敬遠して前田健と勝負したが、野手顔負けの打撃センスを誇る前田健にレフト前にタイムリーを打たれて2点目を失う。それでも3回以降は低めに球も集まりだし、5回までなんとか投げ切った。カープのエース前田健に対して、3回裏にチャンスを作る。先頭の日高がセンター前ヒットを放つ。秋山のバントは投手正面で二封。西岡のレフト前ヒットで1死一二塁とし、大和もレフト前にヒット。秋山は一気にホームを突くが、捕手石原のブロックに阻まれ得点はならず。鳥谷のレフトへの強い当たりはルイスに好捕され最初のチャンスを逃した。タイガースは6回からは筒井、渡辺、ボイヤーのリレーでカープ打線を封じて打線の反撃を待つ。8回裏、今成と西岡の連打でチャンスを作るが、大和、鳥谷が凡退。9回裏にはマートン、新井貴の連打でチャンスを作ったが、新井良、桧山と外野フライに打ち取られ、2死一三塁で日高は強烈な当たりを一塁線に放つが、エルドレッドの正面を突いてファーストライナーに終わり、試合終了。前田健は必ずしも素晴らしい出来とはいえなかったが、右打者への外角スライダー、左打者へのチェンジアップを有効に使い、タイガース打線から9奪三振。完敗とはいえないが、あと1本が出るかどうかで勝敗が決した。

愛すれどTigers週間MVP
投手……加藤康介 戦力外通告を2度も受け、それでも必死でプロの世界にとどまり続けた男に、初めてのセーブがついた。中継ぎ、抑えとフル回転のリリーフ陣の中で、特に出番も多く、抑える場面も多い。これぞ小説よりもドラマチックなプロ野球人生である。
野手……大和 疲労と打撃不振で苦悩していたが、それを乗り越えて今節は思い切りのいいスイングが戻ってきた。生涯初というサヨナラヒットの場面では「俺にまわってこい」と心の中で吼えていたという。その意気やよし。

 次節は甲子園でジャイアンツ3連戦。3タテすれば首位に躍り出る勘定になるが、今はそんな星勘定よりも2勝を目標にじわじわとくらいついていってほしい。続いてはマツダズームズームスタジアムでカープ3連戦。次節こそ前田健を打ち崩してほしいものだ。ボイヤーもそれなりに使えそうな投球を見せ、リリーフ陣に厚みが増した。先は長い。とにかく各カードを毎回勝ち越すことだ。

(2013年7月1日記)


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