愛すれどTigers


藤浪、前田健に投げ勝つ!

 甲子園に戻ってジャイアンツ戦は2戦目が雨で中止。2試合とも接戦を落とし、一気にゲーム差を縮めることはできなかった。しかし、力は互角であることを改めて知らせてくれた。ジャイアンツ戦は0勝2敗。マツダズームズームスタジアムに場所を移してのカープ戦は、初戦はメッセンジャーが完投、2戦目は榎田の好投に打線が報い、3戦目は雨中断などありながらも6回まで投げ抜いた藤浪が前田健に投げ勝つ。カープ戦は3勝0敗。今節は3勝2敗。通算で41勝30敗2分。勝率.577。首位ジャイアンツとのゲーム差は3.5の2位。

◎ジャイアンツ10回戦……2-3
 先制したのはタイガース。初対決の菅野に対し1死から新井良が歩き、藤井彰のサードゴロで二進。能見が右中間を破る二塁打で1点を奪う。さらに3回裏、先頭の鳥谷が歩き、マートンのセカンドゴロを寺内がこぼして一二塁に。新井貴のレフト前タイムリーで2点差とした。能見は完封ペースで投げていたが、5回表、先頭の中井にセンター前にヒットを打たれると、坂本のライトフライは風に流され、ファールゾーンにあと少しというところでスライディングキャッチを試みたライト今成がキャッチできず、ボールはフェアゾーンに落ちる。中井は一気にホームインして1点差に。7回表、2死から中井がライト線に二塁打。坂本のレフト線への二塁打で同点に追いつかれた。ジャイアンツは青木、マシソン、山口とつないでタイガース打線を封じる。タイガースも9回裏から安藤、福原、加藤とつないでジャイアンツに走者は許しても失点は許さない。10回裏、山口から新井貴のヒット、俊介のバント、高山敬遠で藤井彰のセカンドゴロなどで2死二三塁とサヨナラのチャンスだったが、代打関本がセンターフライに打ち取られ、長蛇を逸する。延長11回表、五番手筒井がヒットの實松を代打矢野に送られ、代打石井義を三振にとったところで渡辺にスイッチ。中井のヒットで一三塁とされ、坂本は敬遠。2死満塁で立岡に押し出しの四球を与えてついに勝ち越しを許した。11回裏、西村の前に2死から鳥谷が四球を選んだが、反撃はそこまで。マートンのショートゴロで4時間30分を越す熱戦に終止符が打たれた。
◎ジャイアンツ11回戦……0-1
 タイガースのスタンリッジとジャイアンツの宮國の投手戦。スタンリッジは初回こそ四球を連発して不安定な立ち上がりだったが、2死満塁のピンチにボウカーを三振にとってピンチを脱すると、2回以降は毎回奪三振と快調に飛ばす。4回表はボウカー、長野、實松を三者三振に取る。タイガースは5回裏、1死から今成のライト前ヒット、新井良のショートゴロは坂本の送球が高く明らかにセーフだったが、塁審がアウトを宣告する不運。それでも宮國の暴投と藤井彰の四球などで2死一二塁と攻め立てるが、スタンリッジがショートゴロに打ち取られる。6回表、高橋由の二塁ゴロは西岡の送球が横にずれて内野安打に。村田のライト前ヒットで無死一三塁とされ、ボウカーのライトへの犠牲フライで先制された。続く長野にはレフト前のヒットを打たれ、マートンが後ろにそらしたがバックアップした大和の好返球で三塁を陥れようとした村田を刺し、實松をセンターフライに打ち取り追加点は許さず。8回からは安藤、福原のリレーでヒットを許さず、打線の反撃に期待した。8回裏、二番手マシスンから先頭の代打坂が四球を選び、代走荒木が盗塁。しかし代打俊介がバントできずピッチャーゴロで荒木は二塁に釘付け。西岡、大和が速球に詰まって連続凡フライで得点はならず。9回裏には2死から三番手西村に対して新井貴がヒット、代打桧山もセンター前ヒットで続き、同点のチャンス。しかし、新井良がフルカウントから止めたバットを空振りと判定されて三振で試合終了。惜しい星を落とした。
◎カープ9回戦……3-1
 タイガースの先発スタンリッジが1回裏につかまる。先頭のルイスにセンター前に落とされると、菊池のバントで二進。丸のセンター前ヒットで1点を失った。しかし、2回表、カープの先発武内から新井貴がうまくすくい上げてレフトスタンドに同点ソロホームランを運ぶと、続く今成がプロ入り初となるソロホームランをライトスタンドにもっていって勝ち越す。2回裏、松山と梵の連打、堂林のバントで1死二三塁とされたが、會澤を空振り三振に、そして早くも先発投手の武内をマウンドから降ろしてまで野村監督が賭けた代打の迎も空振り三振でピンチを脱し、以降は自分のペースで投げ続ける。4回表、二番手今井からメッセンジャーと坂の連打、大和の四球で満塁とし、鳥谷のセカンドゴロ併殺の間に1点を追加した。カープは久本、上野とつないでタイガース打線を封じたが、メッセンジャーが完全に立ち直り、完投勝利。連敗を止めた。ヒーローインタビューは決勝のプロ入り初ホームランを放った今成。
◎カープ10回戦……3-2
 タイガースの先発は榎田。日高のかまえたところにずばりと投げる制球力、速球のキレとも文句なし。6回を投げて2安打1四球と完全にカープ打線を抑えた。6回裏、ルイスのファールフライを捕球する際に日高と新井良が交錯し、日高が退場するアクシデントもあったが、藤井彰のリードもよく、アクシデントで崩れることがなかったのも大きかった。カープは大竹が先発で、こちらは右打者を左右に散らばる変化球で封じ、タイガースは打線がつながらない。7回表、1死から新井貴が四球で出塁。今成は抑えられたが、新井良も四球。藤井彰がレフト前ヒットで満塁とすると、好投の榎田にかわる代打の西岡が押し出しの四球を選んでついに先制。続く坂のレフト前ヒットで2点を追加した。7回裏、二番手の安藤がつかまる。1死から、廣瀬、梵に連打を浴び、二三塁のピンチに。堂林がレフト前に2点タイムリー。1点差とされたが、堂林を執拗に牽制で攻め、ついに牽制タッチアウトとする。ここで追いつかれなかったのが大きい。8回裏は加藤、9回裏は福原がきっちり抑えて逃げ切り、連勝。ヒーローインタビューは3ヶ月ぶりに勝利をあげた榎田。
◎カープ11回戦……4-0
 雨のために30分開始を遅らせたが、藤浪も前田健も全くその影響を感じさせない投球。2回表、先頭の今成が二塁打で出塁するが、新井貴は投手ゴロ、坂はセンターフライで走者を三塁に進めたところで、藤井彰の一塁ライナーで得点できず。2回裏、2死から梵のヒットと堂林への四球で藤浪もピンチを迎えたが、石原を三振に取る。均衡が破れたのは6回表。鳥谷がレフトスタンドにソロホームランを叩きこみ、今季初めて前田健から得点をあげる。6回裏、2死から菊池にサード強襲の二塁打を打たれ、丸を歩かせて同点のピンチになったが、エルドレッドを一塁ファールフライに打ち取り、難を逃れた。7回表、新井貴が打席に入ったところで豪雨に見舞われ、1時間の中断となる。カープは小野、菊地原の継投で1点差を守り、タイガースも筒井、安藤、加藤のリレーでカープ打線を封じる。9回表、四番手のミコライオをタイガース打線がとらえた。1死から今成の二塁打、新井貴の三塁への内野安打で一三塁とし、坂のレフト前ヒットで待望の追加点をあげると、藤井彰はショートゴロエラーでつなぎ、代打桧山は凡退したが、西岡がレフト前に2点タイムリーを放ち、4点差とする。9回裏には福原が走者を出しながらも併殺で切り抜けてカープに3連勝。ヒーローインタビューは前田健に投げ勝った藤浪。

愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 リーグ戦再開後初の勝利は、日本を代表する好投手である前田健太との投げ合いを制したもの。ジャイアンツでの連敗を挽回する連勝も、この試合に勝たなければ意味が薄まるだけに、チームにとっても貴重な勝利であった。
野手……今成亮太 カープ戦での大活躍で一気にライトのポジションを手中に。プロ入り初ホームラン、初の1試合4安打と、天性の柔らかい打撃フォームがみごとな結果を出した。西岡の代役として出場した坂の活躍も含め、層の厚さを感じさせるようになってきた。。

 次節は沖縄でドラゴンズ2連戦。キャンプでおなじみになった沖縄のファンにいいところを見せてほしい。1日おいて甲子園に戻ってベイスターズ戦。下位の2チーム相手に少しでも勝ち星を上積みし、ジャイアンツとの差を広げないようにしていってほしいものだ。
 オールスターには鳥谷と西岡がファン投票で、マートンが選手間投票で、新井貴、藤井彰、能見、藤浪が監督推薦でそれぞれ出場が決まった。特にベテラン藤井彰の初出場は嬉しい限り。
 また、能見が2ヶ月連続で月間MVPに選出されたのも朗報。チームの調子がよいと、すべていい感じでまわるものだなあ。

(2013年7月8日記)


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