球団史上初の沖縄での公式戦となった沖縄セルラースタジアム那覇でのドラゴンズ戦は能見とスタンリッジの好投に打線も応えて2連勝。甲子園球場に場所を移してベイスターズ戦は、2戦目は苦手の藤井秀に完封されたものの、初戦と3戦目でメッセンジャーと藤浪が持ち味を出し、2勝1敗。今節は4勝1敗。通算で45勝31敗2分。勝率.592。首位ジャイアンツとのゲーム差は1.5の2位。
◎ドラゴンズ8回戦……6-2
ドラゴンズの先発田島を初回に攻めたてる。1死から大和がレフト前ヒットで出ると、すかさず盗塁。鳥谷のレフト前ヒットで一三塁とし、マートンが先制のレフト前タイムリーヒットを放つ。さらに新井貴がライトのフェンス最上部にあたってグラウンドに跳ね返る2点二塁打を打ち、一気に3点を奪った。タイガースは能見が先発。4回表、平田にセンターバックスクリーンに入るソロホームランを打たれたが、それ以外は快調な投球。6回裏、二番手の左腕岡田から先頭のマートンがライト前にヒットを放つと、新井貴がレフトスタンド最前列に飛びこむ2ランホームランを打って突き放す。能見は7回表に疲れが出たか、コントロールを乱す。ヒットの井端と四球の代打藤井、ヒットの大島を塁に置く1死満塁のピンチ。荒木のセカンドゴロはバウンドを合わしそこねた西岡がひっくり返るようにして捕球し、二封はしたが、三塁走者を返してしまい、1点を返された。それでも能見はクラークを沈む球で空振り三振に取って最少失点で防ぐ。8回表を安藤がきっちりと抑えると、8回裏にタイガースが追加点。五番手小林正から先頭の坂がレフト前にヒット、好走塁で二塁を陥れる。藤井彰のバントで三塁に進み、関本は浅い外野フライで走者を返せなかったが、西岡がレフト前にタイムリーを放ってダメ押しの1点を加えた。9回表はボイヤーで逃げ切り、沖縄のファンを喜ばせた。ヒーローインタビューはホームランなどで4打点の新井貴。
◎ドラゴンズ9回戦……6-1
タイガーススタンリッジ、ドラゴンズ西川の両先発投手が初回から好投。スタンリッジは2回表、3回表とも三塁の坂がエラーをして走者を許すが、いらつくことなく冷静に対処。2回表は走者平田、打者森野の間のエンドランを三振ゲッツーで切り抜けるなど、バッテリーのいきのあったところを見せてくれた。タイガース打線は若い西川の手元で伸びる速球に手を焼いていたが、4回裏、1死から新井貴が四球を選ぶと、今成のライト前ヒットで一三塁とチャンスを広げ、坂のレフト前タイムリーで1点を先取した。さらに5回裏、先頭のスタンリッジのヒット、鳥谷の四球で2死一二塁のチャンスにマートンがライトオーバーの二塁打を放って2点目を入れた。6回裏には今成とスタンリッジのヒットで2死一二塁とし、西岡がライトスタンドに久々のスリーランを放りこみ、一気にリードを広げた。西川はこの回限りで降板。スタンリッジは楽々完封かと思われたが、7回表にコントロールを乱し、井端への四球と代打山崎のヒットでピンチに。大島にセンター前にタイムリーを打ち返されて、1点を失った。8回は筒井が抑えると、その裏、二番手鈴木義から藤井彰のライト前ヒット、俊介の高く弾む三塁内野安打で1死一二塁のチャンスを作り、西岡がショートの横を抜くタイムリーでダメ押し点を入れ、9回表には渡辺が締めて逃げ切った。ヒーローインタビューは4打点の西岡と、西岡から呼ばれて飛び入り参加した先制タイムリーと2失策の坂。
◎ベイスターズ9回戦……3-2
メッセンジャーが初回につかまる。荒波を歩かせ、山崎のライト前ヒットで無死一三塁とされると、モーガンの高いバウンドのサードゴロの間に三塁走者を返されて先制された。ブランコにはセンター前に落ちるヒットでつながれ、中村紀は三振に打ち取ったものの石川も高く弾むショートゴロをショートバウンドで鳥谷が捕りにいったがうまく取れず、内野安打となって2点目を失った。しかし、直後の1回裏、新外国人投手のコーコランを攻める。西岡のセンターへのライナー性の当たりはモーガンがダイビングキャッチを試みるが取れず、二塁打に。大和は袖をかする死球。鳥谷のセンター前ヒットで西岡が一気に生還して1点を返す。さらにマートンの一二塁間を抜くライト前タイムリーヒットで同点に。鳥谷が三塁に進み、新井貴のライトへの犠牲フライで逆転した。以降は、メッセンジャーもコーコランも立ち直る。メッセンジャーは2回から5回まで一人も走者を許さない。タイガースは4回裏には2死から藤井彰とメッセンジャーの連打でチャンスを作るが、西岡が凡打。5回裏には1死から鳥谷のヒットとマートンの四球でチャンスを作るが、新井貴が併殺打。6回裏には今成が内野安打で出て、コーコランを降板させ、長田にかわったところで代走の俊介が盗塁。坂のピッチャーゴロで三塁に進み、長田の暴投で俊介は本塁を突くが、フェンスから不運にも強いバウンドで球が本塁にかえってきて、ベース上でタッチアウト。追加点が取れない。メッセンジャーは8回まで投げ切り、9回は加藤と福原のリレーで1点差を守り切った。ヒーローインタビューは8勝目をあげたメッセンジャー。
◎ベイスターズ10回戦……0-6
タイガースの先発秋山は、初回から速球の切れもよく、ベイスターズ打線を抑えていく。一方、タイガース打線は、ベイスターズ先発の藤井秀を初回から攻める。1死から大和がセンター前ヒット。しかし盗塁死。続く鳥谷は四球で出塁したが、これもまた盗塁死。果敢に攻めるのはいいが、初回で相手がばたついているだけに、急ぎ過ぎの感があった。4回表、先頭の山崎が新井良太のグラブをはじく三塁線への二塁打を放つと、モーガンのライト線への二塁打で先制される。ブランコには力でレフト前にもっていかれ、2点目を許す。中村紀を歩かせ、金城には内角の難しい球を巻き込むような芸術的なバッティングでライトスタンドに運ばれ、あれよあれよという間に5点を失ってしまった。その後、5回裏もきれいに抑えただけに、この一気に攻められての5点は大きかった。打線の援護によって余裕のできた藤井秀はタイガース打線を翻弄。和田監督は6回以降はボイヤーとプロ入り初登板となる松田をマウンドに送り、敗戦の中から選手に場数をふまさせるという策に出る。9回表、四番手の渡辺がブランコにレフトスタンド中段に飛び込む大きなソロホームランを打たれ、藤井秀には11年ぶりの完封勝利を許してしまった。
◎ベイスターズ11回戦……8-4
藤浪と三浦の投手戦。2回表、先頭のブランコに右中間スタンドに先制のソロホームランを打たれた藤浪は、続く中村紀にもレフト線に二塁打を打たれ、金城にもライトオーバーの二塁打を打たれた。中村紀が二塁上でタッチアップの構えをした分スタートが遅れて三塁でとどまったことが幸いし、荒波は三振。高城はピッチャーゴロで中村紀を三本間で狭殺。三浦を三振に取り、最少失点にとどめた。ここらの粘りは新人とは思えない。タイガース打線は三浦の老獪な投球になかなか得点できないでいたが、6回裏、先頭の大和が内野安打で出塁し、盗塁。鳥谷が歩いて、マートンのファーストゴロで二三塁とすると、新井貴が四球を選んで満塁に。今成が一二塁間を抜く逆転の2点タイムリーヒットを放つと、坂が歩いてまた満塁に。藤井彰のライト前ヒットでさらに1点を追加。代打の桧山は二番手大原慎の前にファーストフライに倒れて2死満塁となったが、自打球を太ももに当ててベンチに下がった西岡の代役新井良がレフトスタンドに満塁ホームランを叩きこみ、この回一挙7点のビッグイニングとなった。7回表は加藤が走者を出しながらも無失点でしのいだが、8回表、三番手のボイヤーからヒットのモーガンを塁に置き、中村紀がレフトスタンドに2ランを放つ。ボイヤーは金城のヒットと荒波への四球で走者を残して四番手安藤に交代。安藤は鶴岡にレフト前タイムリーヒットを打たれ、3点差とされたものの、筒香を三振に取り、なんとかピンチを脱した。8回裏、四番手の長田から坂がヒットを打ち、藤井彰のバントで二進。代打森田が今季初打席ながら左中間を破る二塁打でダメ押しの1点を奪い、9回表は福原がきっちりと抑えて逃げ切った。ヒーローインタビューはプロ初ナイターで勝利をあげた藤浪、満塁ホームランの新井良、逆転タイムリーの今成の3名。今成が「明日もががががんばるぞー」と気勢をあげた。
愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェイソン・スタンリッジ これまでは好投しても打線が振るわずなかなか勝ちにつながらなかったが、今節では入れ入れする悪癖も影を潜め、久しぶりの勝利を手にした。これをはずみに後半戦は勝ち星をどんどん増やしていってほしい。
野手……今成亮太 前節に続き、好調を維持。ここぞというところでのタイムリーなど、いいところでもきっちり結果を出し続けている。左投手ということで先発を外された試合ではチームも負けてしまった。勢いのあるうちにどんどん起用して自信をつけさせるべきだろう。。
次節は甲子園でジャイアンツ3連戦。3連勝すれば順位も逆転するところだが、欲張らずに確実に試合をものにしていってほしい。ジャイアンツはドラゴンズに3連敗して甲子園に乗りこんでくる。立ち直らせないような試合を続けて見せてもらいたいものだ。この連戦が終わると、オールスターのため公式戦はしばし中断。不調の新井良などはミニキャンプをして自信を取り戻してもらいたい。むろん、出場組の活躍にも期待したい。
(2013年7月15日記)