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藤浪、ジャイアンツ戦初登板初勝利

 長期ロード前の甲子園最後の試合はドラゴンズ3連戦。初戦はメッセンジャーの好投と打線の爆発でとったが、2戦目は岩田の好投もむなしく若い西川に抑えられ、3戦目は今季初登板の岩本が本領を発揮できず連敗し、1勝2敗。長期ロードの口あけである東京ドームでの3連戦は2敗したらジャイアンツのマジック点灯という窮地に立たされたが、初戦はスタンリッジが完封。2戦目は能見がホームラン攻勢で逆転を許して敗れたが、3戦目はジャイアンツ戦初登板の藤浪がみごとな投球を見せてマジック点灯を阻止し、2勝1敗。今節は3勝3敗。通算で50勝40敗2分。勝率.556。首位ジャイアンツとのゲーム差は6.5で2位。

◎ドラゴンズ10回戦……8-1
 ドラゴンズの先発は中田賢。西岡の登録抹消で一番セカンドのスターティングメンバーに名を連ねた坂が、初回いきなり右中間フェンス直撃の三塁打を放ち、鳥谷のライト犠牲フライでホームイン。ライト平田の好返球であわやアウトかというタイミングになったが、思い切りのいいスライディングでセーフに。メッセンジャーはこの虎の子の1点を必死で守る。2回表、2満塁のピンチを迎えたが、中田賢のセカンドゴロ併殺で切り抜ける。6回表には森野と平田のヒットで2死一二塁とされたがクラークを三振に。打線が6回裏に応えた。6回裏、1死からマートンがセンター前ヒットで出ると、新井貴が四球を選ぶ。今成の打席で暴投が出て二三塁となると、今成は内角の難しい球をうまくさばいてライトポール際へ2点三塁打。新井良の三遊間を破るタイムリーで代走俊介が生還し、さらに1点を加えた。中田はここで降板し、二番手小熊には抑えられる。7回裏、3番手の辻に対し、1死から鳥谷が歩き、辻の暴投で二進。マートンも四球で一二塁とすると、新井貴が右中間を破る二塁打で1点を加える。俊介はサードゴロで三塁走者が本塁で刺されたが、関本のセンターライナーは大島がダイビングキャッチを試みるもショートバウンドでのキャッチとなり、2点を追加。関本盗塁でチャンスを広げ、藤井彰のタイムリーでこの回4点。メッセンジャーは中盤から調子をあげ、完封を狙う。しかし、9回表、先頭の平田をショートへの内野安打で出すと、野本のセカンドゴロなどで2死二塁とされ、松井雅にセンター前にタイムリーを打たれて完封を逃した。続く高橋周にもヒットを打たれ、メッセンジャーはここで降板。二番手の加藤が大島を歩かせたが荒木をセカンドゴロに抑えて逃げ切り、連敗ストップ。ヒーローインタビューはチームトップの10勝をあげたメッセンジャーと貴重な追加点を叩きだした今成。
◎ドラゴンズ11回戦……0-1
 タイガースは久々の先発岩田。ドラゴンズは高卒2年目の若手西川の投手戦。岩田がゴロを打たせて取れば、西川の前にタイガース打線は凡フライの山。岩田は5回1死までノーヒットの好投を見せていたが、クラークに高めをとらえられてライナー性の当たりはライトスタンドへ。初安打が先制ソロホームランとなった。一方タイガース打線は岩田の前に7回2死までパーフェクトに抑えられていたが、鳥谷が四球を選んで初めて走者を出すと、マートンがヒットで続いた。しかし、新井貴がセカンドゴロに終わり、得点できない。岩田は8回を投げて2安打という素晴らしい投球を見せたが、味方の援護がなく降板。9回表はこちらも高卒2年目の松田が登板して三者凡退に抑える。ドラゴンズは8回裏を浅尾、9回裏を岩瀬と必勝リレー。9回裏、2死から大和と鳥谷の連打で一打同点のチャンスを作ったが、マートンがセカンドゴロに倒れ、3安打完封負け。
◎ドラゴンズ12回戦……4-6
 タイガースは今季初登板の岩本が先発。初回、ヒットの大島を谷に送られ、和田のライト前タイムリーで1点を先制された。しかし、ドラゴンズの先発山本昌から1回裏、すぐに反撃。2死から鳥谷が四球で出るとマートンがセンターオーバーの二塁打で返して同点に。3回裏には先頭の大和がヒットで出塁し、すかさず盗塁。俊介は三振に倒れたが、鳥谷がライト前に勝ち越しのタイムリーを放つ。岩本はせっかくのリードを持ちこたえられない。4回表、和田と平田を歩かせ、クラークは投手ゴロ併殺で2死三塁までいったが、高橋周にライト前に同点タイムリーを打たれた。岩本はこの回限りで降板。4回裏、山本昌を攻める。新井良がライト前にヒットを放つと、藤井彰もライト前に落ちるヒットで続いて1死一三塁に。代打浅井の投手ゴロで二封されたが、ショートの谷が一塁に転送できず、新井良が生還して勝ち越した。5回表から6回表1死まで二番手筒井が好投し、三番手西村にスイッチ。和田にレフト前ヒットを打たれると、平田、クラークと歩かせて1死満塁で西村は降板。四番手加藤は高橋周にセンターバックスクリーンに満塁ホームランを打たれてしまう。6回裏、二番手岡田から黒瀬が移籍初安打となるライト線への二塁打で出ると、藤井彰のライトフライで三進し2死三塁までもっていく。ここで代打関本がレフト前にタイムリーを放ち2点差に縮めた。しかし、反撃はここまで。タイガースは若い松田、清原がなんとか無失点で抑えて反撃を待ったが、マドリガル、岩瀬のリレーで逃げ切られてしまった。
◎ジャイアンツ15回戦……4-0
 ジャイアンツの先発澤村を初回に攻略。1死から大和が歩き、鳥谷のサードゴロで二進。マートンのライト前タイムリーヒットで1点先制。2回以降は立ち直られただけに、この初回の1点は大きかった。スタンリッジはいつもの走者が出た時のイライラもなく、ジャイアンツ打線を内外角を巧みについて抑える。4回裏、先頭の橋本のヒットと盗塁でピンチに陥るが、坂本をセンターフライに、阿部を歩かせ村田をファールフライ、ロペスは三振とピンチを切り抜ける。6回裏には坂本に二塁打を打たれるが、四番打者を信頼できない原監督のサインで三盗を狙うも、藤井彰のストライク送球でタッチアウト。セオリー無視の作戦を取らねばならぬほど切羽詰まっていたか。8回までなんとか抑えていた澤村に代打高橋由を出し、ヒットでチャンスを作っても長野はあっさりと初球を打ってライトフライ。橋本をショートゴロに打ち取り、余裕で1点差を守る。9回表、二番手青木高から鳥谷がセンター前ヒットを放つと、三番手アコスタからマートンがライトオーバーの二塁打で待望の追加点を奪い、さらに新井貴がダメ押しの2ランをレフトスタンド上の看板に叩き込み、勝敗は決した。スタンリッジは9回裏、坂本、阿部、村田のクリーンアップトリオをいずれもあっさりと退け、今季2度目の完封勝利。直接対決の初戦を取り、剣が峰で踏みとどまった。ヒーローインタビューは完封勝利のスタンリッジ。
◎ジャイアンツ16回戦……3-4
 タイガース打線が初回から杉内を攻める。先頭の俊介がセンター前に弾き返すヒットで出ると、大和が送り、鳥谷三振のあとマートンがレフトスタンドに先制2ラン。リードをもらった能見は、チェンジアップのコントロールがままならず、2回裏に村田にライトスタンドにソロホームランを叩きこまれると、続くロペスにもレフトスタンドに運ばれて同点に追いつかれた。タイガース打線は執念で1点をもぎ取りにいく。5回表は2死満塁でマートンが三振に倒れ絶好のチャンスを逸したが、6回表にはレフト前ヒットの新井貴を関本が送り、代打新井良のレフト前ヒットで1死一三塁とし、藤井彰のセーフティスクイズで1点をもぎ取った。しかし、能見はこのリードを守れない。6回裏、1死から坂本と阿部の連打で一二塁と走者をため、村田のレフトへの二塁打で同点に追いつかれた。それでもロペス、ボウカーがそれぞれ初球に手を出して内野ゴロに倒れてくれて、リードは許さない。7回裏、中井にレフトスタンドに運ばれてついに勝ち越されてしまった。あまりに不用意な一球だった。タイガース打線も粘る。7回と8回はマシソン、山口のリレーの前にチャンスも作れなかったが、9回表、1死から俊介と大和が連続ヒットで出ると、鳥谷はライトフライに倒れ、ここで切り札西村が登板。マートンが四球を選んで2死満塁に。代打桧山が起用され、逆転のお膳立ては揃ったが、力のないショートゴロに倒れ万事休す。痛い敗戦となった。
◎ジャイアンツ17回戦……7-0
 スーパールーキー同士の対戦とあって、試合開始前から話題を読んだ試合。ジャイアンツの瀬な発菅野に対し、初回、先頭の坂が四球を選ぶ。大和のバントで二進。鳥谷がレフト前ヒットでつないで一三塁とすると、マートンは三振に打ち取られたが、新井貴がセカンド中井の頭を越すライト前に落ちる先制タイムリーヒットを放つ。中井はジャンプして捕りにいき、着地に失敗して左ひざを故障し、登録抹消となった。ジャイアンツは藤浪に対し1回裏、1死から橋本がヒットで出塁するも盗塁を試み捕手清水の絶好の送球でタッチアウト。坂本も三振で併殺となった。この初回の攻防が明暗を分ける。藤浪は走者を許してもここぞというところでカットボールを駆使しピンチを脱する。一方の菅野はしり上がりに調子をあげ。タイガース打線がだんだんつけいる隙をなくしていく。嫌なムードを振り払ったのは7回表。1死から新井良が死球。清水がレフトオーバーに二塁打を放つと、三塁走者の新井良に代走俊介を送り、好投の藤浪に代打桧山を送る。この仕掛けが成功。桧山のセカンドゴロを二塁古城がバックホームするも、スタートダッシュのよかった俊介が一瞬早くホームベースを踏み、待望の追加点。坂のセカンドゴロをこれも古城が併殺を狙ってセカンドに送球するも大きくそれて清水が生還して1点追加。さらに大和のセンター前ヒットで代走田上が生還してまた1点。菅野をノックアウトした。二番手の青木高に鳥谷は内野フライに打ち取られたが、三番手香月から大和が盗塁し、マートンのセンター前ヒットで2者生還してこの回一挙5点を奪った。タイガースは7回に若手松田を投入して三者凡退で相手の戦意を失わせる。8回からは安藤、福原の継投で、それぞれランナーを出してもここぞというところで締めて藤浪の勝利を助けた。ヒーローインタビューはジャイアンツ戦初登板初勝利の藤浪。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ジェイソン・スタンリッジ 嫌なムードで迎えたジャイアンツ戦で、ジャイアンツ打線を抑えきって完封勝利。リーグ防御率1位の座も守った。この1勝の価値ははかり知れないほど大きい。
野手……マット・マートン 前節までは不振に陥っていたが、今節は調子を取り戻して東京ドームでは先制点を連日のようにあげた。スパイダーマンやバットマンのかぶり物でチームのムードを盛り上げようとするなど、これまでとはまた違う一面も見せてくれた。四番の復調はこの上ない朗報である。

 次節はマツダスタジアムでカープと3連戦。藤浪の勝利で確実にムードが変わった。新たに加わった大砲キラをどう抑えるか、これまでとはまた違う戦い方をしなければなるまい。そしてナゴヤドームでドラゴンズ3連戦。久々のナゴヤドームだが、鬼門のなんのと言ってはいられない。藤浪が今度はドラゴンズ戦初登板となる。ここでも彼の持つ勝ち運を発揮してもらいたいところだ。とにかくあきらめずにジャイアンツに食らいついていってもらいたい。

(2013年8月5日記)


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