愛すれどTigers


鶴、藤浪、松田ら若手の奮投で自力V復活

 長期ロードの間の京セラドームでの6連戦。まずはカープ3連戦。初戦はまたも前田健を打てず落とし、2戦目は岩田が初回でノックアウト、なんとか3戦目でスタンリッジの好投で連敗を止めて、1勝2敗。続くスワローズ戦は、初戦を新井貴のサヨナラ犠飛でとり、2戦目は久々の先発の鶴が目の覚めるような投球で3年ぶりの先発勝利、3戦目は藤浪が悪いなりに要所を締め、打線もそれに応え、3勝0敗。今節は4勝2敗。通算で58勝44敗2分。勝率.569。首位ジャイアンツとのゲーム差は6.5で2位。ジャイアンツがドラゴンズ戦で負け越したためタイガースの自力優勝が復活。マートンの退場劇や連日の1点差ゲームなどはらはらさせる展開を見せた6連戦だったが、とにかく勝利への執念を感じさせるプレーも多く見られた。

◎カープ15回戦……1-2
 メッセンジャーは初回から絶好調。いきなり2者三振でスタートしたが、そこに穴がああった。丸に変化球をうまくとらえられバックスクリーン右に先制のソロホームランを打たれてしまった。しかし、それ以降はカープ打線を寄せつけず2回表と6回表は三者三振に打ち取るなどして11奪三振。その好投にタイガース打線がこたえられない。前田健の前に、初回は先頭の今成の四球を足場にバントなどで2死三塁と攻めたがマートンが三振。3回裏には2死からまた今成が死球。大和のヒットと鳥谷の四球で満塁としたが、ここでもマートンがファールフライに倒れ、得点できず。7回表、メッセンジャーに疲れが見えてきた。キラと堂林のヒットで2死一三塁とされ、倉に2点目のレフト前タイムリーヒットを打たれてしまう。メッセンジャーは8回を投げて2失点12奪三振ながら味方の援護なしという結果に終わる。9回表は加藤がカープ打線をきっちり抑えて味方の前田健攻略を待つ。しかし9回裏、かんたんに2死をとられてしまった。ここで坂がライトスタンドにソロホームランを放ち、なんとか完封は免れたが、代打関本は三振に終わり、またも前田健攻略はならなかった。
◎カープ16回戦……1-7
 初回、岩田が打ち込まれ、試合が早々と決してしまった。先頭のルイスにレフト前ヒットを打たれると、続く菊池にはバスターで三塁線を破られ、無死二三塁とされる。丸のサードゴロの間にルイスに生還され、まず1点。キラのライト前ヒットで2点目。廣瀬のヒットと堂林への四球で2死満塁とされ、石原にライト前2点タイムリーを打たれると、大竹にもレフト前タイムリーでなんと一挙5失点。タイガースは2回裏、大竹からマートンがライト前ヒットを打ったが、新井貴がショートゴロ併殺。それでも福留、新井良の四球でもう一度チャンスを作り、清水の当たりはもう少しでライトの頭を越すかと思われたが廣瀬に好捕され、得点できず。3回裏、1死から坂と大和の連打と鳥谷の四球で満塁とし、打席にはマートン。初球はバットを止めたと思ったがスイングをとられ、2球目には外角いっぱいの球をストライクと判定され、マートンは激昂。主審に激しく食ってかかり、暴言退場。興奮したマートンはコーチやチームメイトが必死で抑えてもなかなかダグアウトに戻らない。代打の今成はよくボールを見て押し出しの四球で1点を返した。しかし、新井貴はサードゴロ併殺で一気にひっくり返せたかもしれないチャンスを逸した。4回までは岩田が立ち直っていたが、5回表、二塁打の菊池をキラのタイムリーヒットで返されて降板。二番手の久保田は後続を断ったが、続投の6回表、先頭の石原を歩かせ、大竹のバントで二進。ルイスには肘に死球を与え、菊池のレフト前タイムリーで決定的な1点を追加された。8回からは筒井がつなぎ、走者を出しながらもなんとか無失点で切り抜けた。大竹は決して好調とは言えなかったが、タイガース打線には逆転の執念は感じられず、8回まで抑えられ、9回裏はソコロビッチの前に福留の四球だけであっさりと逃げ切られた。5月3日以来の福留の先発も、その前の打者である新井貴が2併殺では勝負強さを発揮しようがなかった。
◎カープ17回戦……3-1
 タイガースの先発はスタンリッジ。課題の立ち上がり、1死から菊池にレフト線に二塁打を打たれ、丸を歩かせ1死一二塁のピンチを迎えたが、キラをレフトフライに打ち取ると、松山の痛烈な当たりも二塁坂へのライナーとなってピンチを脱した。カープの先発は中村恭。荒れ球に今回もてこずり、四球で塁に出てもヒットが出ない。初安打は4回裏、福留が復帰初安打となるソロホームランをライトスタンドに叩き込み、先制点をあげた。スタンリッジは早打ちのカープ打線にも助けられ、7回まで無失点の好投。一方、タイガース打線は中村恭に抑えられていたが、5回裏、先頭の藤井彰が四球で出塁したところで中村恭は降板。二番手の横山に対し、スタンリッジはスリーバント失敗、後続を断たれて無死の走者を生かせない。6回裏、先頭の鳥谷がライト線への二塁打を放つが、マートン、新井貴と連続三振。福留は敬遠で一二塁としたが、代打今成はセカンドゴロで追加点を奪えない。7回からは三番手のソコロビッチにも抑えられる。8回表、スタンリッジに疲れが。1死から代打安部にライト前ヒットを打たれ、ルイスは死球。一二塁から菊池にライト前に同点のタイムリーを打たれ、1死一三塁に。丸を歩かせて満塁とされたが、ここからよく踏ん張った。キラの投手ゴロはスタンリッジが併殺を焦ってお手玉をし、本塁封殺で2死満塁とピンチが続く。松山のサードゴロを関本が三塁ベースを自ら踏んで逆転を許さない。8回裏、四番手永川勝に対し、鳥谷が左膝に死球を受けると、マートンがバックスクリーンに決勝の2ランを放った。9回裏は福原が登板し、堂林、岩本を連続三振に打ち取るなど、みごとに逃げ切った。ヒーローインタビューは連敗を止めた投打の立役者、スタンリッジとマートン。マートンはファンの前で日本語で「バカガイジンです、すみません」と謝った。
◎スワローズ15回戦……2-1
 タイガースの先発能見は立ち上がりから苦しい投球。1死から上田にヒットを打たれるが川端をショートゴロ併殺に打ち取り切り抜ける。直後の2回表、バレンティンに先制のソロホームランをレフトスタンドに叩き込まれていただけに、初回の併殺は大きかった。5回表には先頭の山田にライト線に二塁打を打たれ、相川を歩かせるピンチ。ここで川島慶をピッチャーゴロ併殺に打ち取って2死三塁とし、木谷を三振に取りピンチを脱した。タイガース打線はプロ入り初先発の木谷に手を焼く。5回1死までパーフェクトピッチングを許していたが、新井貴がレフトスタンドに同点のソロホームランを放ち、このあと立ち直った能見との投手戦に。能見は8回表、1死から代打田中浩にライト前ヒットを打たれると、比屋根を歩かせ、上田はセカンドゴロで二封したが、川端を歩かせ、2死満塁としたところで降板。好調のバレンティンに対するは二番手の安藤。フルカウントから高めの速球を振らせ空振り三振でこの試合最大のピンチを脱した。9回表は福原が抑える。スワローズも8回は石山が抑え、9回裏にバーネットが登板。先頭の西岡がショートへの内野安打で出ると、大和は再三バントを試みるも失敗し、ヒッティングに切り替えて三遊間を抜くレフト前ヒット。鳥谷は投手前にバント。これをバーネットが悪送球で生かして無死満塁に。マートンのセンターフライは浅くサードランナーは生還できない。しかし、新井貴はセンターへ大きな犠牲フライを放ち、西岡がサヨナラのホームを踏んだ。ヒーローインタビューは同点ホームランとサヨナラ犠飛の新井貴と、最大のピンチでバレンティンを三振に取った安藤。
◎スワローズ16回戦……1-0
 スワローズの先発は新人王候補の小川。1回裏、西岡が初球を叩いてセンター前ヒットを放つと、大和が送り二進。鳥谷は三振に倒れたが、マートンがライトバレンティンを襲うライナーを放ち、バレンティンが弾いて球が後ろにそれる間に西岡がホームインして先制した。タイガースの先発鶴は外角に決まるスライダーの切れがよく、スワローズ打線を打ち取っていく。小川も尻上がりに落ちる球のキレが良くなり、4回裏はマートンのヒットと新井貴の四球でチャンスを作ったが、福留、坂、藤井彰が三者三振でチャンスを生かせない。鶴は7回表、先頭のバレンティンに二塁打を打たれ、畠山のセカンドフライのあと、森岡に抜ければ同点かというセカンドゴロを打たれたが、西岡が好捕して一塁アウト。走者は三進したが山田をショートフライに打ち取って、7回無失点のままリリーフにつなぐ。8回は松田が、そして9回は福原が抑えて1点差を逃げ切った。ヒーローインタビューは久々の先発勝利をあげた鶴と連投で9セーブ目をあげた福原。
◎スワローズ17回戦……6-4
 タイガースの先発は藤浪。初回から本調子ではなく、先頭の上田にヒットを打たれ、三輪のバントと森岡の一塁ゴロで三進される。バレンティンを歩かせ、川端のセンター前ヒットで先制点を許した。しかし、スワローズは先発投手の台所事情がよくない。久々の先発となった左腕中澤を2回裏に攻略。先頭の新井貴がレフトスタンドに同点ソロホームランを放つと、続く福留はライトフェンス直撃の二塁打。ライトバレンティンがクッションボールを素手で取りにいってお手玉している間に福留は三進。関本がセンターとセカンドの間に落ちるテキサスヒットで勝ち越しの1点をもぎ取る。藤井彰が凡退したあと藤浪のバントが決まり2死二塁とすると、西岡のライト前タイムリーで関本が一気にホームイン。この回3点を奪う。4回裏には藤井彰がセンター前ヒットで出ると、藤浪はバントを失敗して三振したが、西岡は四球で1死一二塁。ここで中澤は降板し、二番手には七條。大和のショートゴロで二封され2死一三塁とし、鳥谷の三遊間への深いゴロがショート内野安打となってさらに1点を追加した。5回表、先頭の相川に左中間に二塁打を打たれると、田中浩には四球。上田は三振に取ったが、三輪のレフト前ヒットで1死満塁のピンチ。ここで森岡をピッチャーゴロに打ち取り、藤浪は本塁へ、藤井彰は一塁へ転送し、併殺でピンチを逃れた。6回表にはヒットのバレンティンを塁に置き、2アウトをとるも二進を許し、代打岩村のライト前タイムリーで2点目を失い、藤浪はこの回限りで降板。7回表は久保がきっちりと抑える。7回裏、三番手押本から大和がライト前ヒットで出るとすぐに盗塁。鳥谷とマートンは凡退したが、新井貴には肘への死球。ここで四番手の左腕久古が上がるが、福留に四球を与えて2死満塁として降板。五番手は元タイガースの藤田太陽。代打桧山に押し出しの死球。続く藤井彰にも押し出し四球でダメ押しの2点を献上してもらう。8回は松田、9回は安藤がともに走者は許したが安定した投球で締めて逃げ切った。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーの関本と復帰後初タイムリーの西岡。漫才さながらのやり取りでファンを沸かせた。

愛すれどTigers週間MVP
投手……鶴直人 久々の先発勝利は、今までのイメージを払拭するような素晴らしいコントロール。まるで別人かと思うような投球だった。こういう投球を何試合か続ければ、安心してローテーションを任せられるようになるだろう。
野手……西岡剛 ムードメーカーが一軍に戻ってきた。前半戦を牽引してきた男の復帰は心強い。それだけでなく、ベンチを活気づけてくれる。活気のあるところに勢いはついてくるのだ。

 次節は横浜と静岡でベイスターズと3連戦。そしてナゴヤドームでドラゴンズと3連戦。この6連戦の間に少しでもジャイアンツとのゲーム差を縮めていけば、次々節のジャイアンツ戦に向けで弾みがつくというものだ。若い藤浪、鶴、松田らの活躍に刺激を受け、ベテラン陣も気合が入ってきた。若手の活躍がチームを活気づけ、勢いが出、流れが傾いてくる。そしてロードを勝ち越して聖地甲子園に戻ってきてもらいたいものである。

(2013年8月19日記)


目次に戻る

ホームページに戻る