愛すれどTigers


ナゴヤドームで初の5連勝

 長期ロードも終わりに近づいてきた。横浜スタジアムでのベイスターズ2連戦。初戦は序盤に大量得点をあげたもののメッセンジャーの乱調で追いつかれついにはサヨナラ負け。2戦目は打線がベイスターズのリリーフ陣を打ちこみ、1勝1敗。静岡草薙球場のベイスターズ戦が降雨中止になり、苦手の藤井秀に当たらなかったのも大きかった。天の恵みか。続くナゴヤドームでのドラゴンズ戦は、初戦は誤審に対する和田監督の抗議で退場処分となったことでナインの闘争心に火がつき、終盤に逆転。2戦目は藤浪が1点に抑えたが打線が沈黙。それでも最終回に岩瀬を打ちこみ逆転勝ち。3戦目は山井を序盤でノックアウトして、3勝0敗。今節は4勝1敗。通算で62勝45敗2分。勝率.579。首位ジャイアンツとのゲーム差は5.0と迫る2位。鬼門ナゴヤドームで開場以来初めての5連勝。チームに勢いがついてきた。

◎ベイスターズ15回戦……8-9
 ベイスターズの先発三浦に2回までは完全に抑えられていたタイガース打線だが、3回表に猛攻を見せる。1死から藤井彰がライト線に二塁打を放つと、メッセンジャーはショートゴロで2死二塁とされたが、西岡のライト前ヒットと大和の四球で満塁とし、鳥谷のレフト線への二塁打で2点を先制。二三塁からマートンが歩き、満塁で新井貴が走者一掃の二塁打を左中間に放つ。さらに福留のライト線への二塁打で1点を追加し、坂のライト前ヒットで一三塁とし、藤井彰が三浦の股間を抜くセンター前タイムリーでこの回7点を奪った。楽勝かと思われたが、メッセンジャーのボールが高めに浮きだす。3回裏、二塁打の梶谷を塁に置き、2死からモーガンがライトスタンドに2ラン。続く後藤もライトスタンドに運び4点差に迫られた。4回裏、先頭の城先のサードゴロを坂がトンネル。鶴岡のレフトへの二塁打で1点。小林寛のバントで三進し、梶谷の2ランで1点差に迫られた。ここでメッセンジャーは降板。二番手の筒井は山崎にヒットを打たれると、モーガンの二塁打で同点とされ、金城のセンター前タイムリーで逆転された。ベイスターズ二番手の小林寛を4回表に1死満塁と攻め立てたがマートン、新井貴が開き直った速球にやられて得点できない。それでも6回表、三番手加賀から先頭の大和がセンター前ヒットで出ると、鳥谷もライト前ヒットで続き、マートンは三振に倒れたが、新井貴がセンター前に同点タイムリーを放つ。このあと、タイガースは久保、松田が好投。ベイスターズも林、山口、大田のリレーでタイガース打線を抑える。9回裏、マウンドには安藤。先頭のモーガンにライト前ヒットを打たれ、後藤のバントで二進を許す。金城を敬遠し、代打中村紀と勝負するが、フルカウントから高めの球を左中間に運ばれサヨナラ負け。
◎ベイスターズ16回戦……9-3
 ベイスターズ先発の須田から2回表に先制。1死から福留がレフト線に二塁打を放つと、坂もレフト前ヒットで続き、藤井彰の三振で2死一三塁となったが、スタンリッジが自らを助けるライトオーバーの二塁打で走者を一掃した。5回表には先頭の西岡がセンター前ヒットを放ち、骨折で登録抹消された大和に変わって二番に起用された俊介がバントで送る。鳥谷はセンターフライに倒れたが、マートンは四球を選び、新井貴のライト前に落ちるタイムリーヒットで3点目を奪い、須田はここで降板した。スタンリッジは4回まで無失点の好投。しかし5回裏、先頭の荒波に二塁内野安打で出塁されると、鶴岡のライト前ヒットで無死一三塁に。ここで中畑監督は早くも代打にブランコを投入。ブランコはセンターに大きな犠牲フライを放ち、2点差に。梶谷のライト前ヒットで1死一二塁とされたが、代打宮崎のライトライナーで走者が飛び出し、福留はまず一塁に送球したが、これは戻られた。だが、二塁走者の鶴岡は大きく飛び出しており、新井貴が二塁に送って併殺とし、ピンチを脱した。6回裏、先頭のモーガンにセンター前ヒットを打たれ、続く中村紀のライト前ヒットを福留が後逸し、モーガンが生還して1点差に迫られる。さらに中村紀を三塁に置き、後藤と金城は内野ゴロに打ち取ってなんとか走者を返さず踏ん張っていたが、荒波のライト前ヒットで同点に追いつかれた。鶴岡にもヒットで続かれ、ピンチは続いたが、中畑監督は好投していた三番手山口の交代を嫌いそのまま打席に送り、セカンドゴロで同点にとどまった。スタンリッジは6回限りで降板。7回は山口とタイガース二番手加藤がきっちりと抑え、重い展開になりかけた。しかし、8回表、四番手加賀からマートンがレフトスタンドに勝ち越しのソロホームランを放つと、新井貴もヒットで続く。五番手林の前に福留はセンターフライに倒れたが、坂がバントで新井貴を二進させると、藤井彰は四球で2死一二塁に。代打に起用された新井良がライト線への二塁打で1点を追加すると、西岡は左中間を破る二塁打で2点を加え、この回一気に4点をリードした。8回裏には松田がまたも無失点で抑え、9回表は六番手小林太から鳥谷が四球を選ぶと、マートンが二打席連続の2ランホームランをまたもレフトスタンドに運び、ダメ押しの2点を加えた。9回裏、久々に昇格したボイヤーが三者凡退で締めてベイスターズ戦の連敗を4で止めた。ヒーローインタビューは決勝ホームランと二打席連続のダメ押しホームランを放ったマートン。ほとんど日本語で受け答えをして横浜のファンを沸かせた。
◎ドラゴンズ16回戦……7-2
 タイガースの先発は鶴。初回こそ1死一二塁のピンチを招いたが、和田、平田を外野フライに打ち取って無失点で切り抜けると、2回からは前回の好投を思い出させるコントロールの良さを見せる。ドラゴンズの先発は大野。3回表、先頭の鶴がセンター前へヒットを放ち、2死はとられたが鳥谷が死球で出塁してチャンスを作る。マートンはライトへのライナー。フェンスに当たってすぐにライト平田がキャッチしたが、明らかにヒット。しかし一塁塁審の名幸はこれをダイレクトキャッチしたとしてアウトを宣告する大誤審。和田監督の10分を超える抗議も実らず、判定は覆らなかったうえに、主審の場内への説明も誤審に関しては一切触れず、ナインも興奮気味。さらに鶴が4回裏、森野にライトスタンドに、平田にレフトスタンドにそれぞれソロホームランを打たれてノックアウト。このまま敗れてしまったら、ペナントレースの行方を左右しかねない誤審となるところだった。しかし、タイガース打線もここで奮起。6回表、鳥谷がショートへの内野安打で出塁すると、マートンは今度は文句なしに左中間へ二塁打を放ち、無死二三塁に。新井貴の浅いライトフライのあと、福留がライトフェンス最上部に当たる二塁打で1点を返し、なお1死二三塁。新井良はセンターオーバーの二塁打で走者を一掃して逆転。清水のセンター前のプロ入り初打点となるタイムリーでさらに1点。これで大野は降板。二番手の田島から代打関本と西岡が連続四球で1死満塁とし、俊介の高いバウンドのピッチャーゴロは、田島がホームに送るもセーフでさらに1点。この回一挙5点でうっぷんを晴らした。タイガースは5回からボイヤー、久保、安藤、松田とつないでドラゴンズ打線を抑える。7回表、ドラゴンズ四番手の武藤に対し、2死から新井良が死球で出ると、清水がライト前ヒットでつなぎ、代打桧山の右中間を破る二塁打でさらにダメ押しの2点を奪う。9回裏、加藤が締めて誤審に対して抗議した和田監督の退場という嫌な雰囲気を消し去った。ヒーローインタビューは逆転タイムリーと4安打の新井良。
◎ドラゴンズ17回戦……4-1
 タイガースの先発藤浪は、制球が不安定でボール先行気味の投球。2回から5回まで、毎回先頭打者を出し、投球数も多かった。ドラゴンズの先発カブレラは力で押す投球。4回表、1死からマートンが左中間に二塁打を放ち、新井貴のサードゴロは三塁高橋周がファンブルして一塁送球がそれ、一二塁に。福留のライト前ヒットは前進守備で得点に結びつかず、それでも1死満塁。ここで新井良が初球を打ち上げてファールフライ。清水は粘ったが三振。それ以降はチャンスらしいチャンスが作れない。5回裏、藤浪がつかまる。先頭のカブレラを歩かせ、藤井のヒットと井端のバントで1死二三塁に。森野を歩かせ満塁とし、和田に先制のレフト犠牲フライを打たれてしまった。それでも平田を三振に打ち取り最少失点にとどめたのはさすが。藤浪は6回を投げ切ってボイヤーに交代。ボイヤーは8回から2イニングをしっかりと無失点で抑えて味方の反撃を待つ。カブレラは7回で降板し、8回にはマドリガル、浅尾をつぎこみ、ドラゴンズは逃げ切り態勢に移る。9回表、切り札岩瀬が登板。先頭の福留は死球で出塁。新井良はセカンドゴロで走者が入れ替わる。代打関本が右中間を破る二塁打で1死二三塁とチャンスを作ると、代打浅井のサードゴロはバックホームを焦った高橋周がボールをこぼしてしまい、三塁走者が生還して同点に。続く西岡はショートの頭を越すセンター前に落ちるタイムリーで勝ち越す。代打今成がヒットでつなぎ、鳥谷凡退のあと、マートンが左中間を破る2点タイムリーで試合を決めた。9回裏は福原が締めて鬼門ナゴヤドームで連日の逆転劇。ヒーローインタビューは勝ち越しタイムリーの西岡。
◎ドラゴンズ18回戦……9-4
 ドラゴンズ先発の山井に初回から襲いかかる。1死から今成がライト前ヒットで出塁、2死後、マートンの左中間を破る二塁打で二三塁とし、新井貴のレフト前タイムリーヒットで2点を先制した。続く2回表、坂のセンター前ヒット、日高のライト前ヒットで無死一三塁とする。メッセンジャーはバント失敗で結局三振。西岡はショートライナーで2死とされたが、今成がよく粘り四球を選ぶと、鳥谷のレフト前ヒットで2点を追加。さらにマートンがレフト前ヒットで1点を加えると、新井貴が右中間を破る二塁打でもう2点。まさかの7失点で山井は降板。二番手武藤から福留がライト線へタイムリーを放ち、8点先行という予想外のビッグイニングを作った。5回表には新井貴がレフトスタンド前のフェンス越しにソロホームランを叩きこみ、9得点中5打点という大爆発。メッセンジャーは前回、大量援護を逆転されてしまったこともあり、初回からていねいな投球。5回裏までノーヒットピッチングを続ける。6回裏、先頭の谷繁を歩かせ、代打大島はセンターフライに打ち取ったが、藤井にこの試合初安打となるレフトとショートの間に落ちてファールグランドに転がる二塁打を打たれ、1死二三塁とされると井端のセンター前ヒットで1点を奪われ、さらに森野にも二塁打で2点目を失った。それでも和田と平田を速球で押して凡退させ、なんとか2失点で切り抜ける。7回は加藤が抑えたが、8回裏、三番手の久保がヒットの藤井を塁に置いて森野にライトスタンドに2ランを打たれ、5点差にまで迫られた。タイガース打線は6回以降は高橋聡、田島、矢地のリレーに抑えられる。9回裏、久保田が三者凡退に抑えて逃げ切り、鬼門ナゴヤドーム開場後初の5連勝を飾った。ヒーローインタビューは5打点の新井貴。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ブレイン・ボイヤー 来日当初は速球で空振りが取れなかったりしたが、二軍で久保コーチと日本野球向けのコンビネーションを工夫し、リードされる展開でしっかり抑えて2日連続で勝利投手となった。戦力として期待されていなかった助っ人が、みごとに戦力として計算できるようになる。こういうラッキーボーイの登場もまた勢いをつけるひとつの要素となる。
野手……新井貴浩 ここにきて、甘い球をしっかりととらえ、いいところでしっかりとタイムリーを打てるようになってきた。鳥谷、マートン、新井貴のクリーンアップトリオがそろって打てばチームの勢いがさらに増す。この大事な時期に調子をあげてくれる。打点王の本領発揮の時がきた。

 次節はいよいよ東京ドームでジャイアンツと3連戦。勢いのついた長期ロードの締めくくりで首位ジャイアンツとの対戦という、願ってもない展開になった。とにかく一つ一つの試合をしっかりとものにしていってほしい。そして甲子園にタイガースが帰ってくる。カープとはここまで互角の対戦となっているが、そろそろガツンと叩いてもらいたいものだ。西岡、福留、日高、榎田と故障で戦列を離れていた選手たちが続々と復帰してきているのも心強い。ペナントレースの鍵を握る6連戦となりそうだ。

(2013年8月26日記)


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