愛すれどTigers


嗚呼、東京ドーム3連敗で燃え尽きる

 長期ロード最後の3連戦は東京ドームでジャイアンツ戦。3連勝すれば2.0ゲームに差が縮まると期待していたのだが、村田、長野らの一発攻勢に打ち砕かれて0勝3敗。ジャイアンツに優勝マジックが再び点灯した。やっと戻ってきた甲子園でのカープ3連戦は台風が近づく中でも強硬開催されたが、ジャイアンツ戦で燃え尽きたか打線に力強さがなくなり、辛うじて藤浪のセ・リーグの高卒新人では江夏さん以来の10勝目で3連敗は免れたが、1勝2敗。今節は1勝4敗。通算で63勝49敗2分。勝率.558。首位ジャイアンツとのゲーム差は8.5と大きく開いて2位。

◎ジャイアンツ18回戦……0-4
 ジャイアンツの先発は内海。立ち上がり、ストライクが入らない。先頭の西岡が死球で出塁。しかし今成がショートゴロ併殺でチャンスをつぶす。それでも鳥谷とマートンが連続四球でもう一度チャンスを作ったが、新井貴がよく粘るも空振り三振。スタンリッジは球が高めに浮く傾向があって、1回裏、ヒットの亀井を塁に置き、外角のスライダーを村田にうまく打たれ、レフトスタンドに2ランホームラン。4回裏には先頭の高橋由にライトスタンドにソロホームランを打たれ、坂本のヒットとロペスの四球、寺内のバントで1死二三塁に。内海のセカンドゴロは三塁走者坂本を狭殺したが、2死二三塁から長野を歩かせ、亀井のセンター前タイムリーで4点目を失う。満塁のピンチは続いたが阿部を三振に取り、スタンリッジは4回を投げ切って降板。ボイヤー、加藤、久保とつないでジャイアンツ打線をなんとか抑える。7回裏の加藤は不運な内野安打などもあって2死満塁のピンチを迎えたが、ロペスを三振に取り、無失点で切り抜けた。打線の反撃を待つものの、内海を打てない。5回表は新井良と西岡のヒットで2死一二塁としたが、今成が三振。8回表には西岡の二塁打と代打俊介のヒットで無死一三塁としたが、鳥谷が三振。ここで内海はマシソンと交代。マートンはマシソンの前にショートゴロ併殺。そして9回表、西村の前に三者凡退で逃げ切られ、完封負け。内海の粘りの投球にまた今年もやられてしまった。
◎ジャイアンツ19回戦……3-5
 タイガースの先発榎田は久々の一軍登板。復帰試合がいきなり首位戦線ということもあったのか。1回裏、ヒットの長野を置いて村田に2試合連続の先制2ランをレフトスタンドに運ばれた。しかし、タイガース打線も負けてはいない。直後の2回表、ジャイアンツ先発の宮國からマートンがレフトスタンドにソロホームランを放ち1点差に。3回裏、1死から長野の一塁ゴロを榎田のベースカバーが遅れて内野安打にしてしまう。亀井はバントをさせずに三振に取ったが、之までカモにしていた阿部にライト線へ二塁打を打たれて1点追加されてしまう。それでもこの試合のタイガース打線は踏ん張る。4回表、ヒットの鳥谷を置いて福留が同点となる2ランホームランをライトポールにぶち当てた。5回表には2死ながら内野安打の日高、ライト前ヒットの西岡が塁上に。ここで宮國は降板。青木高が鳥谷に対する。鳥谷はよくボールを見て四球で満塁に。しかし、マートンがショートゴロに倒れて大きなチャンスを逃した。5回裏、1死から亀井のセンター前ヒット、長野の二塁打で二三塁とされ、榎田も降板。二番手ボイヤーは村田のライト前タイムリーと大きく弾む高橋由の二塁ゴロで2点を失い、またもリードを許した。タイガースは久保、安藤とつないでジャイアンツ打線を抑え、打線の反撃を待つ。ジャイアンツはマシソン、山口、西村の必勝リレーでタイガース打線を抑えこみ、再びマジックナンバーを点灯させた。
◎ジャイアンツ20回戦……2-3
 タイガースの先発は能見。1回裏、ライト前ヒットの亀井とレフト前ヒットの阿部を塁に置き、村田のフェンス直撃かと思われる大飛球をマートンがフェンスに激突しながらも好捕。2塁をまわって三進しかけていた阿部が二塁を踏まずに直接一塁に戻るボーンヘッドをやらかしてくれ、二塁にベースタッチしてアピールし、併殺が成立。これで流れはタイガースに。4回表、ジャイアンツ先発澤村から先頭の上本が死球で出ると鳥谷がセンター前ヒットで続く。マートンはサードゴロ。二封のあと、一塁にボールは転送されたが、マートンが全力で駆け抜け併殺にはならず。新井貴のセンター前ヒットで上本が生還して先制する。続く今成はライト前に落ちるテキサスヒット。とてもホームインできるような打球ではなかったのに、何を勘違いしたかマートンが制止する吉竹コーチを振り切ってホームに向かい、あっさりアウトに。俊介が凡退して、追加点はならず。それでもマートンは6回表にバックスクリーン右に入るソロホームランを放ち、2点差とする。能見は立ち上がりこそタイミングを合わされていたが、尻あがりによくなり、完封も期待できる内容に。しかし8回裏、先頭の代打矢野にレフト線に二塁打を打たれると、代打ボウカーの一塁ゴロで三振を許す。長野は空振り三振に取ったが、亀井に初球をセンター前に弾き返され1点を返される。9回裏、先頭の村田の二塁打と続く高橋由のヒットで無死一三塁とされ、坂本のレフトへの大きなファールフライが犠牲フライとなってついに追いつかれ、降板。能見は自分への怒りか、ダグアウトに戻るとベンチにグローブを叩きつける。二番手安藤はロペスをセンターフライに打ち取ると、脇谷を敬遠して代打河野を三振に取り、試合は延長に。10回表、四番手西村に対し、俊介が二塁打を放ち、2死二塁。代打桧山は敬遠。西岡はピッチャーゴロに打ち取られる。10回裏、三番手松田は力勝負にいったが、長野にレフトスタンドに強烈なライナーのサヨナラホームランを打たれてしまった。松田はこれがプロ入り初失点。
◎カープ18回戦……0-3
 タイガースの先発はメッセンジャー。球のキレもよく、好投したのだが、味方に足を引っ張られるような形で失点してしまった。2回表、キラのレフト前に落ちるヒットに対し、レフトのマートンが緩慢な動作で返球した。それを見たキラは一気に2塁へ。梵のバントで三進。松山のレフト前タイムリーヒットで先制される。木村のバントをこの試合サードに入っていた西岡が雨上がりの地面に足をとられ転んでしまい、内野安打となる。石原を歩かせて1死満塁とされ、野村にライト前にタイムリー。今成が打球をジャッグルしたりしている間に二塁走者の生還も許してこの回3失点。気を取り直したメッセンジャーは天谷と菊池を三振に取り、カープの勢いを止めた。5回まで投げ切り降板したが、無失点でもおかしくない内容だった。カープの先発は野村。コーナーにぴしゃりと決まる切れの良い球を投げていただけではない。タイガースの打者がいい当たりをしても、すべて野手の真正面を突く当たりでつきもなかた。タイガースは久保、ボイヤー、久保田とつないで無失点に抑え、味方の反撃を待ったが、野村の好投、そして9回裏にはミコライオに抑えられてせっかくの甲子園に戻ってきて、鳥谷を四番に据える新オーダーで臨んだにもかかわらず、完敗してしまった。
◎カープ19回戦……2-1
 タイガースの先発は藤浪。甲子園ではまだ不敗の若者にチームの連敗ストップが託された。1回表、2死から丸のセンター返しの打球を止めたが、急いで一塁に送球したがこれが悪送球となり、丸は三塁まで進んだ。しかし、ここでキラを空振り三振に打ち取る。直後の1回裏、バリントンから西岡がレフト前ヒットを放ち、上本が送るとマートンはショートゴロで進塁打を打てなかったが、鳥谷が初球を叩いてレフト前にタイムリー。先制点を奪った。2回表、梵にピッチャー強襲のヒットを打たれ、木村のセンター前ヒットで1死一三塁とされる。石原のセーフティバントを藤浪はグラブトスでホームに送るが、梵のホームへのベースタッチが早く、同点に追いつかれた。2回裏、今成のセンター返しはバリントンの膝を直撃し、そのまま降板。二番手久本に抑えられる。4回裏、右中間に二塁打を放ったマートンが鳥谷の一塁ゴロで三進。新井貴のセンターへの犠牲フライで勝ち越した。5回表、久本、天谷、菊池の三連打で1死満塁のピンチを背負った藤浪は、丸を三振、キラをサードへのファールフライに打ち取ってピンチを脱した。6回表を投げ切ったところで、この試合2度目の降雨中断。1時間以上待って再開された。藤浪はこの中断もあって、ここで降板。タイガース打線は横山、今村の継投に抑えられたが、タイガースも7回表は松田が四球で走者を出しながらも抑え、8回表は加藤が丸、キラ、梵を三者三振。9回表、福原が先頭の松山にヒットを打たれ、代走赤松に盗塁を許し、同点の危機を迎えたが、代打エルドレッド、安部を連続三振に取り、代打廣瀬はセンターフライで逃げ切った。ヒーローインタビューはセ・リーグの高卒新人では江夏以来となる10勝目をあげた藤浪と、三者三振の好リリーフを見せた加藤。
◎カープ20回戦……1-2
 タイガースの先発は秋山。2回表、1死から松山にライトスタンドにソロホームランを打たれ、先制を許す。2死から木村、石原に連打を食い、ピンチが続くが今井を三振にとって難を逃れた。カープ先発の今井の前に走者は出すがあと1本が出ないタイガース打線。3回裏、1死から西岡が右中間を破る二塁打を放ち、続く上本のセンター前に落ちるヒットで一気に西岡がホームを突き、同点に追いついた。5回裏、2死から西岡の二塁打、上本の四球で勝ち越すチャンスを作ったが、マートンは力のないショートゴロ。なかなかリードを奪えない。秋山も好投を続けていたが、6回表に丸にレフトポール直撃のソロホームランを打たれて勝ち越しを許した。秋山は7回2失点の好投ながらまたも打線の援護なく勝ち星を逃す。今井は6回1失点で降板。横山、永川勝とつないでくる。8回裏、永川勝からマートン、鳥谷の連打でチャンスを作るが、新井貴は空振りで三球三振。今成はフォークボールをよく見極め、暴投で二三塁というチャンスを作ったが、フルカウントからフォークを空振り三振。逆転のチャンスを逃した。タイガースも久保、ボイヤーが無失点でつないで最終回の反撃を待つ。9回裏、カープは切り札ミコライオを投入。俊介のヒット性の当たりはセカンド菊池に横っ跳びで取られてセカンドライナー。日高、代打桧山は連続で空振り三振。逃げ切りを許した。桧山の最後の空振りは微妙なハーフスイングで抗議したが受け入れられるわけもなく、後味の悪い敗戦となった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 セ・リーグの高卒新人の勝利数が、江夏さん以来という10勝の大台に乗った。新人王のライバル、スワローズの小川やジャイアンツの菅野にジワリジワリと近づいてきた。ヒーローインタビューで「通過点なんで……」と答えた藤浪の眼の先には最多勝のタイトルも見えているのではないか。
野手……俊介 福留の再度の離脱、大和の骨折などでまたも回ってきたチャンスを最大限に生かしている。バットの振りも新人の頃のように、思い切りよくシャープになってきた。打線全体が湿っている中、生き残りを賭けて必死でやっているのが好結果につながっている。

 次節はいよいよ横浜スタジアムで苦手ベイスターズ戦。そして甲子園に戻ってジャイアンツ戦。優勝の可能性はゼロになったわけではないし、クライマックスシリーズで当たる可能性のあるチームに対して苦手意識を振り払い、そして首位に少しでも迫ってもらいたい。まだ残り1ヶ月ある。開き直ってのびのびとプレーしている姿を見たい。

(2013年9月2日記)


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