愛すれどTigers


白仁田、6年目の初勝利

 横浜スタジアムでのベイスターズ戦は、初戦、腰に張りの出たスタンリッジの代役白仁田がプロ入り初勝利を飾ったが、2戦目は鶴が打ち込まれ、3戦目は打線が点火せず好投のメッセンジャーを見殺しにしサヨナラ負けで1勝2敗。甲子園でのジャイアンツ3連戦は、初戦はジャイアンツの守備でのミス連発もあって能見が久々の勝ち星をあげたが、残り2試合は藤浪、松田といった期待の若手がジャイアンツのホームラン攻勢に打ち砕かれ1勝2敗。今節は2勝4敗。通算で65勝54敗2分。勝率.546。首位ジャイアンツとのゲーム差は10.0とさらに大きく開いた2位。

◎ベイスターズ17回戦……10-1
 ベイスターズの先発は三浦。初回、1死から俊介のショートゴロを梶谷が足元に叩きつけるような送球ミス。続くマートンがレフトスタンドに2ランを叩きこんで2点先制。タイガースは白仁田がプロ入り初先発。スタンリッジの腰痛を受けて、急遽二軍から駆け付けての登板。1回裏、先頭の石川にライト前ヒットを打たれるが、続く山崎のバスターエンドランを清水がうまく外して石川を二塁で刺す。山崎を三振に打ち取り、落ち着いた白仁田はモーガンもレフトフライに打ち取って、以降は左打者の膝もとにスライダーをうまく決める好投を見せる。3回表、レフト前ヒットの上本を俊介が送り、マートンがライトオーバーの二塁打で3点目を奪う。さらに4回表、今成と新井良の連打のあと、清水と白仁田凡退となったが、上本が今季第1号となる3ランホームランをレフトスタンドに。6点目が入った。三浦はこの回限りで降板。5回表、二番手加賀から鳥谷が右中間を破る三塁打を放つと、新井貴がライト前にタイムリーヒット。7点目が入った。さらに今成が四球。新井良はサードゴロに倒れたが、清水がライト前にプロ入り初の猛打賞となるヒットで8点目を加える。6回裏、山崎とモーガンの連打でピンチとなる。中村紀はショートゴロ併殺で2死三塁としたところで白仁田はフォークを暴投。1点を与えた。白仁田は6回1失点でリリーフに後を託す。7回表、三番手長田から新井良がレフトスタンド上段にソロホームランで9点目。9回表には二塁打の鳥谷を塁に置き、今成のセカンドゴロなどで2死三塁とし、新井良のセンター前タイムリーで10点目を入れた。タイガースのリリーフ陣は、7回から久保、ボイヤー、久保田とつないでベイスターズ打線を抑えきり、白仁田の初勝利を助けた。ヒーローインタビューはプロ入り6年目にして初先発初勝利の白仁田。
◎ベイスターズ18回戦……3-8
 タイガースの先発鶴が初回からつかまる。2死をとったあと、モーガンを歩かせ、中村紀のセンター前ヒットで一三塁とされると、後藤のタイムリーで1点を先制され、さらに金城にライトスタンドに3ランを叩きこまれた。2回裏にも2死から石川にレフト線に二塁打を打たれると梶谷のセンター前ヒットで1点を追加され、さらにモーガンのライト前ヒットで6失点目。この回限りで降板した。ベイスターズの先発は加賀美。3回表に新井良のソロホームランで1点を返し、藤井彰と代打狩野の連打でチャンスを広げたが、上本は三進。俊介はセカンドフライで点差をつめられない。5回表にはヒットの狩野とレフトオーバーの二塁打の上本を塁に置き、代打日高のファーストゴロ、マートンのサードゴロでそれぞれ走者を返し、3点差まで迫った。しかし、二番手大田から鳥谷が四球でさらにチャンスを作るが、新井貴の痛烈なサードへの当たりを中村紀に好捕され、反撃もそこまで。3回と4回は久保田が無失点でリズムを作りかけたが、5回裏、三番手の久保が中村紀と後藤の連打で無死一二塁に。中村紀はバントのサインで飛びだしたが、藤井彰がセカンドに送球したため三盗を許してしまう。金城のライト前タイムリーで1点を追加されてしまうが、その後は代走山崎を二塁牽制で刺し、荒波はエンドランをかけてきたが二塁上本がライナーを好捕して金城は帰塁できず一塁に送り併殺となる。なんとか1失点に抑えた形である。8回裏に登板した四番手松田は金城と黒羽根のヒットで2死一三塁とし、石川の高いバウンドのサードゴロは新井良が必死で一塁に送球したが間に合わずタイムリー内野安打となり、ダメ押しの1点を追加された。ベイスターズは大原、山口、藤江、ソーサと小刻みにつなぎ、タイガース打線を抑えこむ。先発の鶴が早く崩れて流れをベイスターズにもっていかれ、それを引き戻すことができなかった。
◎ベイスターズ19回戦……0-1
 タイガースの先発はメッセンジャー。2回裏、二塁打のブランコと四球の梶谷を塁に置き、金城を平凡なフライに打ち取ると、荒波と黒羽根を連続三振に取り、このピンチを脱したことでペースをあげる。ベイスターズは三嶋が先発。前回同様、チャンスは作っても併殺などで生かしきれない。4回表はマートンの四球、鳥谷のヒット、新井貴の四球で2死満塁としたが、今成はセカンドゴロ。6回表は四球の俊介とヒットのマートンを塁に置き、鳥谷、新井貴が連続三振。とにかくあと1本が出ない。8回表、先頭のメッセンジャーがヒットで出ると、1死後、俊介がヒットでつなぐ。マートンのライトフライでメッセンジャーは懸命に走って三塁に。ここで三嶋は降板し、二番手は山口。鳥谷をファーストゴロに打ち取る。メッセンジャーは8回を投げ切り、ベイスターズは三番手の藤江が好投。タイガース打線を抑える。9回裏、タイガースの三番手安藤は先頭のブランコにヒットを許すと、梶谷は四球。代打小池のバントを安藤はサードに送り、一瞬早くセーフに。荒波の打球は前進守備のレフトマートンの頭上を越えてサヨナラ打に。好投のメッセンジャーを見殺しにした。
◎ジャイアンツ21回戦……8-4
 ジャイアンツの先発澤村を初回から攻略。先頭の上本が右中間を破る二塁打を打てば、俊介が手堅く送り、この試合3番に入った西岡がレフトへの犠牲フライを打って効率よく1点を先制。3回裏には先頭の上本が四球を選ぶとまたも俊介が送る。この試合、坂本を一塁にまわしたため、セカンドは不慣れなロペス。西岡のセカンドゴロを緩慢な守備で内野安打にする。1死一三塁から鳥谷が一二塁間にゴロを放てば、またもロペスが横に動けずライト前タイムリーに。西岡は三塁に進み、マートンのセンターへの犠牲フライで3点目を奪う。タイガースの先発は能見。4回表、先頭の村田をストレートの四球で出すと、高橋由にレフトポール際に2ランホームランを打たれて1点差に迫られた。5回裏、先頭の俊介がセンター前ヒットで出ると、西岡のセカンドゴロをロペスがこぼして一二塁に。鳥谷が初球をライトスタンドに叩き込み、3点を加えた。澤村をノックアウトした打線は、6回裏、左腕阿南に襲いかかる。先頭の能見が四球を選び、暴投で二塁に進む。上本のセンター前ヒットで一三塁とし、俊介のファーストゴロの間に1点を追加。西岡はサードゴロに倒れたが、鳥谷がレフト前ヒットで二塁走者上本を返し、6点差をつけた。能見はコントロールに苦しみながらも何度かのピンチを脱して7回2失点で粘って、8回表は加藤がきっちり抑える。9回表、久々の登板となった福原は先頭の坂本を歩かせる。藤村のショートゴロは、併殺を焦った上本が鳥谷の高めの送球を取れず、無死一三塁に。藤村が走って二塁に進み、代打石井義は見送り三振に取ったが代打ボウカーのレフト前ヒットを焦ったマートンがスライディングキャッチしようとして失敗。返球にもたつく間に2点を返された。長野のヒットで1死一三塁に。長野も走って二進。それでも福原はフォークをうまく使い、亀井、阿部を連続の空振り三振に打ち取って逃げ切った。ヒーローインタビューは4安打1本塁打5打点と大活躍の鳥谷。
◎ジャイアンツ22回戦……1-4
 ジャイアンツの先発は杉内。2回裏、マートンがライトポール際にソロホームランを放ち、1点を先制する。タイガースの先発は8月の月間MVPを受賞した藤浪。初回、1死一二塁のピンチを、村田、ボウカーを抑えて切り抜けたが、4回裏、阿部に死球を与えると、続く村田にうまく合わせられてレフトスタンドに逆転の2ランを浴びた。4回裏、先頭の鳥谷が四球を選び、盗塁。1死後、新井貴のライト前ヒットで一気にホームを突くが、ライト長野の好返球によりホームで刺され、同点のチャンスを逃した。直後の5回表、ヒットの寺内を塁に置き、長野にライトポール際に2ランを打たれ、突き放される。以降は藤浪も走者を許さない好投を見せ、久保、久保田とつないでジャイアンツ打線を抑えこんで味方の反撃を待つ。6回裏、鳥谷がヒットで出たがマートンの併殺でチャンスをつぶすと、杉内には7回まで投げ切られ、マシソン、西村の必勝リレーで逃げ切られた。藤浪は高校、プロを通じて甲子園で初めて負け投手となってしまった。
◎ジャイアンツ23回戦……6-9
 ジャイアンツの先発は菅野。1回裏、上本が四球を選ぶと、菅野の牽制悪送球で一気に三塁に進み、西岡のレフトへの犠牲フライで先制のホームを踏む。タイガースはこの試合に照準を合わせて再登録された榎田。3回までは完全にジャイアンツ打線を抑え、4回にヒットと四球で1死一二塁とされたが村田、坂本と内野フライに打ち取り相手を寄せつけない。菅野も2回以降立ち直り、投手戦の様相を見せてきた。5回裏、マートンと日高のヒットで1死一二塁としたが、榎田はスリーバント失敗。上本はファーストゴロでチャンスをつぶした。直後の6回表、先頭の菅野を四球で出塁させた榎田は、続く長野にレフトオーバーの二塁打を打たれて無死二三塁に。松本哲には左中間を破られ走者一掃の二塁打とされて逆転を許す。阿部を歩かせ、ここで榎田は降板。二番手は松田。村田には意表を突くバントでショートへの内野安打となり満塁に。坂本の犠牲フライで1点を失い、代打高橋由のレフトへの3ランを打たれる。続く寺内にもソロホームランを浴び、ヒットの藤村をバントで送られ、長野にとどめとなる2ランをバックスクリーン横に叩き込まれて松田は降板。三番手の藤原が松本哲を抑えて怒涛の9点攻撃がここで止まった。タイガース打線は菅野に7回まで抑えこまれ、8回裏から登板した一岡にも抑えられた。しかし、9回裏、その一岡に襲いかかる。先頭の鳥谷が投手への内野安打で出る。マートンのライト線への打球はファールと判定されたが和田監督が抗議。マートンも一時は審判に詰め寄る場面も。さらにホームランかどうかビデオ判定に。審判の説明は「ファールでした」とホームランかどうかは関係ないもの。打ち直しとなったマートンのセカンドゴロで二封されたが、続く新井貴はライト前ヒットで続き、引退を表明した桧山のセンター前に落ちるヒットで1点を返した。日高が倒れて2死となったところで投手は三番手福田に。代打関本のヒットで新井貴が生還、さらに上本のセンター前ヒットで代走清水が生還。坂もレフトへの2点タイムリーで続き、福田も降板。クローザーの西村を引っ張り出した。西村に対し浅井もタイムリーで3点差に。一発が出たら同点というところまで追いすがったが、鳥谷は三振で試合終了。榎田のバント失敗とそれに続く先頭の投手への四球という2つのほころびから大きく裂けてしまった試合だった。

愛すれどTigers週間MVP
投手……白仁田寛和 ドラフト1位で入団し、背番号も大きなものに変えられ、ここまで一軍での登板はどうでもいい場面での中継ぎばかり。このまま埋もれてなるものかという意地が、スタンリッジの代役と言うチャンスをみごとつかんでプロ入り初勝利。辛抱してきた白仁田も立派だが、見放さなかったコーチ陣にも拍手を送りたい。
野手……清水誉 新人の頃からリードには定評があったが、バッティングが非力であるというところで一軍起用も少なかった。しかしここにきて藤井彰、日高を押しのけてスタメン起用が続き、リード面でも打撃面でも信頼できる結果を残している。次代の正捕手争いでは、昨シーズンまでは小宮山にリードを許していたが、リード面で不安の残る小宮山を征して清水が一番手に躍り出たといっていい。

 次節、甲子園でのドラゴンズ戦、神宮でのスワローズ戦と、今季比較的相性のいい相手が続く。優勝がかなり難しくなったうえに、3位陥落という危機感もない現状、どうモチベーションを保っていくかが課題だろう。逆にいうと、ジャイアンツ同様、クライマックスシリーズを見据えた選手起用や作戦をどんどん試せる機会でもある。久保の先発起用、榎田の中継ぎ起用など、試してみてもいいのではないだろうか。

(2013年9月9日記)


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