甲子園球場でのドラゴンズ戦、久々に打線が爆発して勝利、マツダスタジアムでのカープ戦はスタンリッジが打たれて敗れ、CSに不安を残した。横浜スタジアムのベイスターズ戦は秋山を非常の交代で勝ちを取りにいき、打線も機能して勝利し、2位を確定させた。神宮球場でのスワローズ戦は、延長戦を相手のミスで制して宮本の引退試合を勝利で見送った。甲子園球場の最終戦であるジャイアンツ戦は、相手の若手内野手のミス連発で桧山の引退試合を勝利で飾った。公式戦最終戦となった横浜スタジアムでのベイスターズ戦は、スタンリッジが本塁打攻勢に敗れたが、打線も復調の兆しを見せた。今節は4勝2敗。通算で73勝67敗4分。勝率.521。優勝したジャイアンツとのゲーム差は12.5で2位確定。3位カープとの差は4.5ゲームで落ち着いた。個人タイトルは、メッセンジャーが奪三振王、そしてマートンが最多安打の栄冠に輝いた。
◎ドラゴンズ24回戦……8-4
タイガースの先発は能見。初回、顔見せに先発起用された和田と山崎を速球で打ち取るなど好調な滑り出し。ドラゴンズは前回の登板でタイガースを抑えた西川を起用。2回裏、先頭の福留がライト前ヒットで出ると、新井貴もセンター前ヒットで続く。三塁を欲張った福留はタッチアウト。しかし、二塁に新井貴が残り、新井良のサードゴロで三進。藤井彰の打席で西川が暴投し、先取点をあげた。しかし、能見が3回表に乱調。先頭の投手西川にプロ入り初安打を打たれると、藤井を歩かせ大島の一二塁間を抜けるかという当たりは新井貴がミットの先で弾くようにとめて内野安打にとどめて無死満塁に。1死後、平田のレフト前ヒットで2点を奪われ逆転を許し、続く高橋周にもレフト前にタイムリーを打たれる。能見は指の軽い故障でこの回限りで降板した。3回裏、先頭の西岡が二塁岩崎へのゴロを放つと、これをこぼしてエラーに。俊介が送り、この試合から三番に戻った鳥谷がライトスタンドに弧を描く同点2ランを放つ。二番手ボイヤーが4回をしっかりと抑えると、直後の4回裏、新井貴と新井良が連続四球で出塁したところで西川は降板。二番手武藤から藤井彰がバントを決め、代打今成のライトへの大きな犠牲フライで勝ち越した。さらに西岡が左中間にタイムリーを放ち、2点差に。5回からは久保が抑え、6回裏、三番手小熊に対し新井良が左手に死球を受ける。藤井彰がまたもバントを決め、代打桧山がライトオーバーの二塁打で1点を加える。西岡がセンター前ヒットで続き、一三塁から俊介が一塁側にセーフティスクイズを決めて4点差に広げた。7回表を加藤が抑え、7回裏、四番手川崎から1死後福留と新井貴が連続四球で出、新井良にかわって守備についていた坂がレフト前ヒットで代走柴田を迎え入れて決定的な8点目を奪った。8回を抑えた安藤からスイッチされた福原が9回表に藤井にソロホームランを打たれたが、後続は断って逃げ切った。ヒーローインタビューは今季甲子園最後のお立ち台。現役最後のお立ち台という形で代打タイムリーの桧山が選ばれた。
◎カープ24回戦……2-7
タイガースの先発スタンリッジが不調。2回裏、先頭の梵にライト前ヒットを打たれると、1死後木村に先制2ランをライトスタンドに運ばれた。続く石原にもヒットを打たれ、バントで二進、丸の内野安打で一三塁と攻められたが、菊池をサードゴロに打ち取って追加点は防いだ。しかし3回裏、先頭のキラを歩かせ梵への死球、岩本のライト前に落ちるヒットで1死満塁とされ、木村はセカンドゴロでホームアウトにしたが、石原に押し出し四球を与えて3失点で降板した。カープの先発野村は決して好調とはいえなかったが、連打が出ず、5回裏に藤井彰と代打森田のヒットでやっとチャンスを作る。しかし西岡がセカンドゴロ、俊介がショートゴロでチャンスを生かせない。4回裏は筒井が抑えたが、5回裏に三番手の松田が打たれる。二塁打の梵とライト前ヒットの木村を塁に置いて、野村にタイムリーを打たれると、丸を歩かせ満塁に。菊池のレフトオーバーの三塁打で走者一掃。7点差をつけられた。6回表、先頭の鳥谷がレフト前ヒットを放つと、マートンもレフトへの二塁打で続き無死二三塁に。福留のセカンドゴロの間に鳥谷が生還して1点を返すと、新井貴はレフト前タイムリーで2点目を奪った。ただ、坂と藤井彰はこの流れに乗れずに凡退した。タイガースは7回から玉置を起用。玉置もその起用に応えて四球は出すが後続を断ち、2回を投げて無失点。しかし、カープはCSをにらんで今井を7回に登板させ、タイガース打線を抑えると、8回には横山から今季限りで引退する菊地原のラスト登板をもとチームメイトの新井貴の打席で飾らせるなど余裕のリレー。9回には永川勝で締められて、タイガースは2位確定を決めることができなかった。
◎ベイスターズ23回戦……7-3
タイガースの先発は、今度こそ今季初勝利がほしい秋山。初回から走者を背負う苦しい投球。2回裏、松本啓、白崎の連打でピンチを作ると、黒羽根のセカンドゴロを西岡がこぼしてしまい、なんとか一塁に投げるもセーフ。その間に松本啓に先制のホームを踏まれてしまう。それでも後続を断って1失点にとどめた。ベイスターズの先発須田に、直後の3回表に襲いかかる。先頭の俊介がライト前ヒットを打つと、鳥谷がライトスタンドに逆転2ラン。さらにマートン、福留が連続四球を選ぶと、新井貴のセンターフライでマートンが三進し、1死一三塁とする。新井良がセンター前にタイムリーヒットを放ち、須田は降板。二番手の左腕土屋に対し清水の三振で2死となったが、秋山自らセンター前ヒットを打って満塁とし、西岡のレフト前へのライナーはレフト松本啓が直接捕球しようとしたが、辛うじてワンバウンド捕球の判定でタイムリーヒットとなりさらに2点を追加してこの回一挙5点を奪った。中畑監督が直接捕球ではないかと猛抗議したが、判定は覆らず。しかし、秋山は踏ん張り切れない。勝利投手の権利が得られる5回裏、ヒットの荒波を置いて、ブランコにセンターバックスクリーン左に2ランホームランを打たれた。ここで秋山は降板、二番手筒井が後続を断つ。ベイスターズは小林寛、菊地、藤江とつないでタイガース打線を封じこめると、タイガースも久保、加藤、安藤が1回ずつをきっちりと締める。9回表、五番手長田から鳥谷が四球を選ぶと、マートンがレフトスタンドに2ランを叩きこみ試合を決める。9回裏は福原が締め、カープも負けたため2位が確定した。ヒーローインタビューは逆転2ランの鳥谷。
◎スワローズ24回戦……3-2
この試合はスワローズの宮本内野手の引退試合とあって、神宮球場は超満員。スワローズ先発の木谷から4回表にタイガースが先制する。先頭の鳥谷が四球を選び、1死後今成のライト前ヒットで一二塁と攻め立てる。新井良がライトフライに打ち取られたが、森田はショート宮本の左を襲う痛烈なライナーを放ち、名手宮本もさすがに弾き、強襲ヒットで鳥谷が一気にホームイン。続く藤井彰はセカンドの頭を越しライト前に落ちるヒットで今成が生還し2点を先取。ただ、森田が二塁をオーバーランして刺されてしまった走塁には課題が残る。タイガースの先発メッセンジャーは7回まで投げて7奪三振と快調に飛ばしたが、6回裏に四球の上田を塁に置きバレンティンに今季60号となる2ランホームランをライトスタンドまでもっていかれて同点のままマウンドを降りることになった。このあとはタイガースが玉置、松田の若手がリリーフで踏ん張り、スワローズ打線を抑える。スワローズも木谷に8回途中までよく粘られたが、2死二塁と攻め立てたところで久古に交代。鳥谷は久古から見逃し三振を取られてチャンスを逸した。続く石山もタイガース打線を抑える。試合は同点のまま延長戦に。10回表、山本哲から森田が強襲ヒットを放つと、バントの構えをした清水の頭部をかすめる死球で山本哲は危険球退場。急遽登板したバーネットに対し、柴田は三振。上本が内野安打で満塁と攻め立てたが、代打桧山は空振り三振で決定打が出ない。雨脚が強くなった12回表、ロマンに対し1死から柴田が歩くと上本も四球を選ぶ。代打日高が三振し、2死となるが、鳥谷は強く叩きつける一塁ゴロで、ユウイチが一塁ベースカバーに入ったロマンに送球するも少しそれてロマンが弾き、柴田がホームインしてついに勝ち越し。9回裏には福原が三者凡退で逃げ切り、松田にプロ入り初勝利がついた。宮本の引退セレモニーのため、ヒーローインタビューはなし。
◎ジャイアンツ24回戦……4-3
桧山進次郎の引退試合。桧山は5番ライトで先発出場。先発は藤浪。初回から走者は許しても要所を抑えて無失点で切り抜けていたが、4回表、1死からボウカー、亀井を続けて歩かせ、寺内にレフト線へ二塁打を打たれて1点を先制された。さらに、藤井彰が三塁走者の飛び出たのを見て刺そうとサードへ送球したが三塁走者の亀井に送球が当たり、三塁手新井良がそらして二塁走者までホームインし、この回3点を失った。藤浪は5回を投げ切って降板し、6回以降は筒井、久保、安藤がジャイアンツ打線を抑えこみ、味方の反撃を待つ。ジャイアンツは若い小山が7回まで切れの良い速球と落ちる球を駆使してタイガース打線は2安打しか打てなかったが、8回裏、精神的なもろさを突く。先頭の新井良がセンター前ヒットを放つと、日高のサードゴロを三塁手立岡が二塁へ悪送球してオールセーフ。そして動揺した小山がインコースに落ち切らないフォークを投げ込んだところを上本がセンターバックスクリーンに同点3ランホームラン。がっくりきた小山は俊介、鳥谷に連続四球を出す。ここで小山は降板し、二番手は澤村。マートンのサードゴロは立岡がサードベースを踏んで俊介を三封したが、今度は一塁へまたも悪送球。カメラマン席に直接飛び込み、テイクワンベースで2死二三塁に。柴田のセカンドゴロは二塁手藤村が前に大きく弾いて、鳥谷が勝ち越しのホームを踏んだ。若手選手がミスの連鎖でタイガースを助けてくれた。9回裏、加藤が2者を抑え、締めくくりに福原が登板。レフト前ヒットの寺内を日高の捕逸で二塁に進め、代打安部を敬遠。代打石井も歩かせ満塁に。ここで打席には立岡。エラーで逆転された汚名を返上させようとした原監督の思惑も、ショートゴロでさらに傷を深くする結果に終わり、桧山の引退試合をタイガースは勝利で飾ることができた。試合終了後、本拠地最終試合ということで、ヒーローインタビューはなく、マウンド近辺にナインが並んで恒例の挨拶。そして桧山が引退セレモニーでCSへの決意表明を宣言し、8回胴上げされ、グラウンドを2周まわってファンに別れを告げた。
◎ベイスターズ24回戦……5-7
ベイスターズ先発の三嶋は今季タイガース戦を得意とする相手。先制したのはタイガース。2死から坂がレフト前ヒットで出ると、鳥谷がライト前に運び、マートンのセンター前ヒットで1点を先制。続く福留が左中間を破る二塁打で2点目を取る。タイガースの先発はスタンリッジ。3回まで完全に抑えていたが、4回裏、伏兵黒羽根にセンターバックスクリーンにソロホームランを打たれる。5回裏、梶谷のヒットと荒波の二塁打で1死二三塁とされ、赤堀のレフトへの犠牲フライで同点に追いつかれると、この試合が引退試合の小池にレフトスタンドに2ランを打たれ、勝ち越しを許した。さらに6回裏、2死から梶谷にライトスタンド上段にソロホームランを叩きこまれ、この回限りで降板した。タイガース打線は4回以降、小林寛、大田、大原とつながれ、沈黙。タイガースも7回以降、久保、加藤とつないで抑え反撃を待つ。8回表、藤江から先頭の福留が二塁打を放つと、1死後、今成がレフト前ヒットで一三塁とし、代打日高のレフト前タイムリーで1点を返して2点差に迫った。このあと2死満塁まで攻め立てたが、新井良が内野フライに終わり、もう1本がやはり出ない。8回裏、好投していた安藤が先頭の白崎をライトフライに打ち取ったが、ライト今成が落球して無死二塁に。荒波の一塁ゴロで1死三塁とされたところで松田にスイッチ。今季限りでベイスターズ退団の決まっているラミレスが代打で登場し、犠牲フライでまたも3点差に。さらに小池にレフトスタンドに2本目のソロホームランを打たれ、さらに1点を加えられる。9回表、ベイスターズはソーサが登板。先頭の鳥谷が歩くと、マートンはレフト線へのヒットで続く。俊介のセカンドゴロでマートンが二封。1死一三塁とし、今成のライト前タイムリーで1点を返し、俊介は三進。新井貴のピッチャーゴロの間に俊介が生還して2点差に。2死一塁で清水は三振し、試合終了。公式戦最終戦を勝利で飾ることができなかった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……久保康友 今節、最も安定した投球をしたのは、実は久保だった。やっと中継ぎのリズムをつかみ、ロングリリーフもこなせるりリーバーとしてCSでもここというところで安心して送りだすことができるだろう。
野手……桧山進次郎 去りゆく「悠久の若虎」に対して敬意を表し。甲子園最後のお立ち台は、引退セレモニー以上に胸にぐっとくるものがあった。
三番鳥谷、四番マートンという形に戻し、打線がつながるようになった。そして五番打者として福留、今成を使えるめどが立った。これでCSの第一ステージは、安定した先発陣を少しは打線が助けられる形が作れるだろう。つなぐ俊介が好調の上に、上本も安定した力を発揮。大和も間に合いそうだ。桧山の「忘れ物」を取りにいくために、CSは開き直ってのびのびとプレーしてほしいものだ。甲子園で、カープを一気に沈める姿を期待している。
(2013年10月9日記)