いよいよ3月28日、タイガースの2014年度のシーズンが始まる。
前年は首位に12ゲーム離されての2位、しかも9月に限れば大失速というシーズンだった。
その反省を踏まえ、どのような補強の手を打つか。中村GMの腕のみせどころだったはずだ。
しかし、その手腕はオリックスのGMをしていた頃となんら変わらぬ定見の無さを露呈した。確かにクローザーと長距離砲は懸案事項だった。韓国三星ライオンズから呉昇桓を獲得できたのは、補強という面から見ても大きいものがある。ただ、そのために先発ローテーション投手でリーグ防御率2位のスタンリッジを手放してしまったのは、いくら外国人枠の問題があるとはいえ、あまりにも大きい代償だった。さらにFA宣言をした久保投手にもベイスターズに去られた。どこまで情熱を持って説得したのだろう。クローザーとして起用したのは誤りだったと頭を下げた時点で、久保は冷めた目で中村GMを見ていたのではないか。
まだ来日していないゴメスを獲得した時点で4番候補とぶちあげたのも、昨年のコンラッドの失敗から何も学んでないのではないかと感じられた。外国人選手は期待が大きければ大きいほど、失敗した時の失望感は大きい。逆に、マートンのようにキャンプ時から赤星となにかと比較され開幕直前は早くもダメ外人の烙印を押されていた選手もいる。結果はどうだったか。ゴメスは来日が遅れただけでなく、急ピッチで仕上げようとして膝を痛め、まだ調整の段階である。
かくしてローテーションは能見、メッセンジャー、藤浪、榎田、秋山と開幕当初はこれでまわることになるが、長いシーズンの間に、二神、白仁田、岩田らが試されることになるだろう。
中継ぎは、安藤、加藤、福原が昨年のように活躍できればよいが、オープン戦の段階で仕上がっているのは福原1人。せっかく獲得した呉昇桓を生かせるような展開にもっていくためには、金田、山本、岩本ら一軍経験の少ない選手の伸びしろに頼るしかない。昨年台頭した松田が故障で開幕に間に合わなかったのは痛い。経験豊富な渡辺や西村の名が挙がってこないのはなぜなのだろう。
打線は、西岡が年間通じて常時出場できるか、もし休ませる場合、上本がどれだけ西岡を脅かす存在になれるか、両二塁手に期待がかかってくる。トップバッターを任される鳥谷、二番に定着した大和は心配はいらないし、マートンも相談役に日本でのキャリアの長いオマリーコーチが就任したことで精神的には安定したシーズンを送れるだろう。注目のサード争いは新井良、今成がどちらが選ばれてもおかしくないほどの成長を見せてくれている。ライトには福留が入ることになるだろうが、緒方、俊介らがそのポジションを虎視眈々と狙っている。
捕手は昨年終盤からよく起用された清水と新人の梅野がベテランの藤井、鶴岡、日高に挑む形になりそうだ。それにしてもFAの人的補強で獲得したのがベテラン捕手の鶴岡というのも、いくら昨年ベイスターズに痛いところでやられたとはいえ、首をかしげる選択だった。ローテーションを狙える息のいい若手を獲得するものとばかり思っていたのに。
これもまた中村GMの補強の仕方に問題があるだろう。掛布雅之さんを復帰させるのに正式なコーチでなくアドバイザー的なポジションに持ってきたのにも首をかしげざるを得ない。正式なコーチにしたら、和田監督の後釜としてスポーツ紙に書かれることを危惧したせいか。
というわけで、今季のタイガースはどうなるのか、全く読めない。目論見が当たれば優勝も夢ではないだろうが、つまづくと低迷してしまう、そんな気がする。優勝か最下位か、というような、シーズンになりそうだ。
シーズン途中からでよいから、西田、一二三、中谷、森田、北條、そして高卒ルーキーの横田らが入れ替わり立ち替わり一軍に昇格し、ベテラン連中のおしりに火をつけるような、そんなシーズンになってもらいたい。
開幕は東京ドームでのジャイアンツ3連戦。能見、メッセンジャーで確実に2勝してくれれば上々の滑り出しになるだろう。
掛布DCの手がけた若手たちの台頭に期待したいシーズンである。
(2014年3月26日記)