愛すれどTigers


甲子園でジャイアンツに完璧3連勝

 本拠甲子園球場でのベイスターズとジャイアンツの6連戦。ベイスターズ初戦は藤浪がブランコに満塁ホームランで逆転されて敗れる。ところが2戦目、岩崎がまたも好投して試合を作り相手のミスに乗じて連敗を止めると、3戦目は接戦の末上本のサヨナラ打で連勝し、2勝1敗と勝ち越す。さらに、ジャイアンツ戦は、メッセンジャー、能見、榎田と先発がジャイアンツ打線を抑えきり、打線もよくつながって3連勝。3戦目は苦手のセットアッパー山口から関本がサヨナラ打。甲子園での初顔合わせでジャイアンツに3連勝したのは優勝した2003年以来だとか。なんと縁起の良いことよ。今節は5勝1敗。今季通算9勝6敗で勝率.600。首位カープとのゲーム差は1.0で2位に浮上。

◎ベイスターズ1回戦……5-6
 タイガースは藤浪、ベイスターズはタイガースからFA移籍の久保が先発。序盤は投手戦の様相を見せていたが、5回裏にタイガースが久保を攻略。先頭の田上のライト前ヒットを藤浪が送れずスリーバント失敗。しかし、上本が四球をもぎ取り大和のレフト前に落ちるテキサスヒットで田上が一気にホームイン。ゴメスが三塁線を破る二塁打でこの回2点を奪う。さらに6回裏、1死から藤井と田上の連打でチャンスを作ると、藤浪のバントを一塁ブランコが三塁に送球するも間に合わず満塁に。上本のライト前タイムリーと大和の押し出し四球でさらに2点を取る。打線の援護があった藤浪も、7回表に疲れが出たかつかまった。2死から代打金城にライト線に二塁打を打たれると、石川のセンター前タイムリーで1点を返される。さらに山崎のレフト前ヒットと梶谷の四球で満塁とされ、ブランコに初球をバックスクリーンに運ばれて逆転のグランドスラム。二番手の安藤は先頭のバルディリスにライト前に運ばれ、荒波のバントで二進を許す。黒羽根はバント失敗の三振に打ち取ったが、金城にセンター前にタイムリーを打たれて2点差に。8回裏、三番手の山口から上本のヒットと大和の四球でチャンスを作る。四番手大原に対し、鳥谷は初球をバントでファール。強打に切り替えてハーフスイングで空振り三振。五番手高崎からゴメスがセンター前にタイムリーで1点差に迫るが、マートンの強烈なピッチャー返しはたす先のグラブに収まり、飛び出していたゴメスは一塁に戻れず併殺。9回裏、抑えのソーサから俊介のヒットと今成の四球でチャンスを作るが、田上のバントは一塁にまわっていたバルディリスによって三封。代打関本の当たりはライトの頭を越すかと思われたが梶谷の好捕に阻まれ、上本はよく粘ったが見逃し三振で試合終了。藤浪の課題は100球前後で切れるスタミナにありと見た。FA移籍の久保に移籍後初勝利をプレゼントしてしまった。
◎ベイスターズ2回戦……5-4
 ベイスターズの先発は尚成。1回裏、2死から鳥谷が左中間を破る二塁打を放つと、ゴメス四球で走者をため、マートンが三遊間を抜く先制タイムリーで1点先行。タイガースの先発岩崎の緩急をつけた投球にベイスターズ打線は打ちあぐねていたが、4回表、ブランコに左中間に同点ソロホームランを叩きこまれる。しかし岩崎は走者が出ても落ち着いた投球で7回まで投げて1失点と好投。タイガース打線も尚成の老獪な投球に翻弄され、6回から登板の新人三上にも抑えられ、こちらも7回まで得点できず。8回表は福原がきっちりと抑え、打線の奮起を待つ。8回裏、三番手長田から先頭の大和が四球を選ぶと、鳥谷との間にヒットエンドランが成功し、無死一三塁に。ゴメスの打席で鳥谷が盗塁し、二三塁とすると、長田のワンバウンドを捕手の黒羽根が弾き、大和が生還してまず1点。ゴメスが歩きまた一三塁とすると、マートンのセカンドゴロは二封のみで鳥谷が生還。坂の打席で長田がまたワンバウンド投球。マートンの代走田上が三進すると、黒羽根は焦って三塁に悪送球し、田上も生還して3点差をつけた。9回表、満を持して呉昇桓が登板。ヒットの多村と荒波を2死で塁に置き、暴投で2点差とされると、黒羽根のタイムリーで1点差に迫られた。しかしなんとか代打金城をライトフライに打ち取って辛くも逃げ切った。ヒーローインタビューは先制タイムリーを含む猛打賞のマートン。
◎ベイスターズ3回戦……6-5
 先制したのはタイガース。3回裏、ベイスターズ先発の三嶋から先頭の鶴岡がセンター前にヒットを放つと、田上は四球。歳内のバントで二三塁とし、上本の三振で2死となったが大和のライト前タイムリーで2点を奪う。今季初登板の歳内はリードをもらったことで守りに入ったか、直後の4回表につかまった。先頭ブランコに二塁打を打たれると、1死後バルディリスにレフトオーバーのタイムリー二塁打を打たれ、続く荒波の打球は風に乗りレフトポール直撃の2ランホームラン。歳内はこの回限りで降板した。5回表、二番手は榎田。1死後山崎に死球を与えると、梶谷にもヒットを打たれ、降板。三番手金田がブランコに対する。梶谷の盗塁で二三塁とされ、ブランコに三遊間を抜かれるタイムリーでさらに2点を奪われた。6回裏、タイガースが反撃。センター前ヒットの鳥谷、四球のゴメス、ライト前ヒットのマートンを塁に置き、満塁に強い新井良が左中間を破る二塁打で2点を返す。さらに鶴岡もセンター前タイムリーで続いて同点に追いついた。しかし、このあと走塁ミスが続き逆転はできず。タイガースは7回から加藤、福原、呉昇桓がそれぞれ1回ずつ確実に抑える。ベイスターズも二番手高崎の好投で譲らず。8回裏には鳥谷のヒットでチャンスを作るがマートンの素晴らしい当たりはピッチャーライナー。鳥谷が飛び出して帰塁できず併殺に。9回裏、ベイスターズのクローザー、ソーサから、新井良が右中間への二塁打を放つと、2死はとられたが福留が四球でつなぐ。そして上本がライトオーバーのサヨナラタイムリーで代走の坂がホームイン。勝率を5割に戻した。ヒーローインタビューはサヨナラヒットの上本。
◎ジャイアンツ4回戦……5-1
 メッセンジャーと杉内の投手戦。ジャイアンツの初安打は5回表の杉内。しかし長野を三振に取って抑えきる。タイガースの初安打は6回裏、レフト前に上本がヒットで出ると、大和が送り、鳥谷は内野フライに終わったが、ゴメスがよく粘って四球で出る。そしてマートンがライトスタンドに先制3ラン。杉内をノックアウトした。メッセンジャーは7回まで快調に飛ばしていたが、8回につかまる。1死から長野と片岡の連打で一二塁のピンチに。アンダーソンのライト前タイムリーで2点差に。しかし、村田のセカンドゴロは一二塁間を抜けるかという当たりだったがよく抑え、二塁のベースカバーに入った鳥谷への送球も少しそたが、鳥谷がしっかりと二封、そして一塁に転送して併殺。大きなピンチを脱した。8回裏、二番手高木京から四球の上本を大和が送り、ゴメスの左中間を破る二塁打で1点。マートンは敬遠。三番手香月から代打新井貴が初球狙いでライト前にタイムリー。4点差をつけて9回表は呉昇桓が登板。阿部の一塁線への当たりを新井貴がファインプレーするなどバックも盛りたて三者凡退で逃げ切った。ヒーローインタビューは先制3ランのマートンと今季初勝利のメッセンジャー。
◎ジャイアンツ5回戦……9-0
 タイガースの先発は能見。初回、2死からアンダーソンと村田の連打でピンチを作るもロペスをショートゴロに打ち取った。ジャイアンツの先発は内海。2回裏、新井良がバックスクリーン左に先制のソロホームランを放つ。4回表、アンダーソンの四球と村田のライト前ヒットで無死一三塁のピンチ。しかし能見はロペスをファーストのファールフライに打ち取ると、阿部は空振り三振、坂本も見逃し三振というみごとなコントロールでピンチを脱した。直後の4回裏、1死から鳥谷がショートへの内野安打で出塁すると、2死後マートンが四球、新井良がレフトとショートの間に落ちるレフト線いっぱいのテキサスヒットで鳥谷を迎え入れて2点差とした。6回裏、先頭の鳥谷がレフト前に、そしてゴメスがセンター前にそれぞれヒットを放ち、マートンがレフトスタンドに試合を決める3ランホームランを打ち込んだ。7回裏には二番手の若い今村から上本がライトへの二塁打で出ると、大和の一塁ゴロで三進。鳥谷の左中間を破る二塁打で1点を奪うと、ゴメスは三振に倒れたが、マートンがレフト前にタイムリーでこの回2点目。8回裏には三番手笠原に対し、2死から上本のヒット、暴投をからめて大和が四球。鳥谷とゴメスの連続タイムリーで2点を加えて大量リード。能見は打線の援護に助けられて快調に投げ、7回と8回にはそれぞれ先頭打者にヒットを打たれるが次打者を併殺に切って取って反撃ムードを摘みとる。そして9回裏にはアンダーソン、村田、ロペスを三者凡退に打ち取り今季初完封。開幕の10失点のお返しをみごとにやってのけた。ヒーローインタビューは先制ホームランの新井良と完封の能見。
◎ジャイアンツ6回戦……2-1
 タイガース榎田、ジャイアンツ大竹の両先発が、それぞれの持ち味を出して好投し、投手戦となる。先制したのはタイガース。5回裏、先頭のマートンがライト前ヒットで出ると、ワンバウンド投球を阿部が弾きその間に二塁へ。新井良の一塁ゴロはロペスが三塁封殺を狙うも三塁村田のタッチが遅れセーフに。福留の大きなライトフライが犠牲フライとなり、1点を奪う。榎田は6回表に1死から長野にヒットを打たれ、片岡の三塁線を破る二塁打で同点に追いつかれた。しかし、後続を断ち同点で踏ん張る。タイガースは8回裏1死から福原を投入してジャイアンツ打線を封じ、ジャイアンツも8回裏からマシソンを投入。9回表には呉昇桓がきっちり抑えると、9回裏、ゴメスの左中間への二塁打とマートンの四球、新井良のセンター前ヒットで1死満塁とサヨナラのチャンスを作る。三番手山口に対し、代打新井貴はファーストゴロ併殺で大きなチャンスを逃した。しかし、延長10回表には安藤が三者凡退で流れを作り、10回裏、山口を攻める。1死から俊介がライト線に落ちるテキサス性の二塁打でチャンスを作り、上本は四球。大和気見逃し三振に終わったが、鳥谷がレフト前ヒットで満塁に。代打関本は初球を叩き三遊間を破るサヨナラヒットでジャイアンツに3連勝。ヒーローインタビューはサヨナラ打の関本。

愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 東京ドームで10失点したお返しを今季初完封でやり遂げた。しかもセ・リーグの完封一番乗り。大量援護にも守られてジャイアンツ打線を翻弄した。これで気持ちも吹っ切れて、今後はエースの名にふさわしい投球を続けてくれることだろう。
野手……上本博紀 マートンの猛打も、一人だけでは打線がつながらない。今節は特に上本の出塁率が高く、マートンに見せ場でまわす役割を果たした。打率も急上昇して一時は.400を越えていたが、今節の終わりの段階では.380でマートン、アンダーソンに続くリーグ3位。もう「西岡の代役」とは言わせない。

 次節はマツダスタジアムで今季初対戦となるカープ3連戦。勢いに乗って勝ち越し、首位の座に立ってほしいものだ。藤浪の今季初勝利がかかる初戦がポイントか。続いては甲子園に戻りスワローズ連戦。神宮では投手が打たれて負け越したが、中継ぎの金田らが安定してきたことで前回のようにはいくまい。波に乗って流れをつかんでいってほしい。でないと、ジャイアンツ戦の3連勝が無駄になってしまう。

(2014年4月14日記)


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