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メッセンジャー、完封で連敗止める

 ナゴヤドームでドラゴンズ3連戦。初戦は延長12回に代打梅野の決勝ホームランで先勝。しかし2戦目は初対戦の若い濱田に完封を許し、3戦目は岩田の好投もむなしくサヨナラ負け。1勝2敗と負け越し。甲子園球場に戻りジャイアンツ戦は初戦に能見が快調に飛ばすも途中で力尽きて落とす。2戦目は延長戦で高宮がアンダーソンに決勝ホームランを打たれて敗れたが、3戦目にメッセンジャーが菅野と息詰まる投手戦の末1-0の完封勝利で連敗を止め、1勝2敗。今節は2勝4敗。今季通算22勝17敗で勝率.564。首位カープとのゲーム差は3.0で2位ジャイアンツとは1.0ゲーム差で3位。

◎ドラゴンズ7回戦……6-3
 先制したのはタイガース。ドラゴンズ先発山井から2回表にライト線二塁打のゴメスを塁に置いて今成がレフト前にタイムリーを放つ。しかし、ドラゴンズもタイガース先発藤浪を攻める。3回裏、1死からヒットで出た大島を岩崎が内野ゴロで進塁させ、ルナのレフト前タイムリーで追いつく。球数が多い藤浪は6回裏、先頭のルナを歩かせ、平田には粘られた末にライト前ヒット。森野が送り二三塁とされ、和田のショートゴロの間にルナが生還しリードを許す。それでもこの日のタイガース打線はあきらめない。7回表、2死から鶴岡が二塁打で出ると、田上を代走に送る。代打新井貴は四球で一二塁に。続く代打の関本がライト線にヒットを放つと、田上が一気にホームインして同点に。新井貴も本塁突入を試みるが、ドラゴンズの中継プレーがよくストライク返球で憤死。7回裏、二番手の加藤が代打荒木を三振、大島にはセンター前ヒットを打たれたが、岩崎は三振。ここで三番手安藤にバトンタッチ。安藤はルナにヒットを打たれると、平田には厳しいコースを突くも四球。続く森野に押し出し四球を与えてしまった。タイガースは四番手玉置が好投し、追加点を許さない。9回表、ドラゴンズ三番手の切り札岩瀬に対し、先頭のマートンがセンター前ヒット。代走の柴田は今成のバントで二進。さらに福留のセカンドゴロで三塁に。代打俊介が高いバウンドのサードゴロを叩きつけるように打つと、ルナの必死の送球も間に合わず、同点のタイムリー内野安打となり、土壇場で追いついた。9回裏は五番手福原が、10回裏は六番手二神が力投して走者を許さない。ドラゴンズも祖父江、高橋聡のリレーでタイガース打線を封じる。11回裏は二神、高宮のリレーで抑え、打線の反撃を待つ。12回表、ドラゴンズ六番手小熊をついにつかまえた。先頭の新井良がレフト前ヒットで出ると、代打梅野がレフトスタンドに2ランホームランを叩きこんだ。さらに清水の二塁打を大和が送り、鳥谷のライト線へのタイムリーで1点追加して3点差とする。12回裏には呉昇桓が登板し、三者凡退で締め、4時間47分の長時間ゲームを制した。ヒーローインタビューは決勝ホームランの梅野。
◎ドラゴンズ8回戦……0-7
 タイガースは岩崎が先発したが、ここまで2勝しているドラゴンズ打線に研究されたか、3回裏にとらえられた。谷繁と濱田を連続三振に取ったあと、荒木にセンター前ヒットを打たれ、大島を歩かせてルナにレフト線に二塁打を打たれ1点を奪われると、続く平田のセンター前2点タイムリーで3点差とされた。5回裏には2死からルナと平田に連続四球を与え、森野のセンター前タイムリーで4点目を失ったところで玉置と交代。その玉置は和田にレフトスタンドに3ランを打たれて、試合は決した。ドラゴンズは予告先発は川上だったが、故障で急遽高卒2年目の濱田がプロ入り初先発。前半は速球で押され、後半は変化球を巧みに使われるという谷繁のリードにみごとにはまり、チャンスは何度か作ったのだが、ことごとくあと1打が出ず、完封を許した。光明は三番手高宮が2回を投げて無失点で切り抜けたこと。勝ちパターンでの左腕が加藤一人しかいない状況で、高宮に使えるめどが立ったのは大きい。前日とは打って変わって3時間3分で試合終了。完敗である。
◎ドラゴンズ9回戦……1-2
 タイガースの先発は岩田。前回の登板同様ゴロを打たせるていねいな投球。4回裏には森野のセンターフライを俊介が滑り込みポケットキャッチしながら回転して捕球する好守、和田の強烈なピッチャー返しを自ら好捕、堂上直の一二塁間を抜けるかというライナーを大和がジャンピングキャッチするなど、守備にも助けられて7回無失点で切り抜ける。ドラゴンズの先発は雄太。緩急をつけた投球を打ちあぐんでいたが、7回表、先頭の鳥谷が死球で出ると、1死後マートンのライト前ヒットで一三塁とし、新井良のライト前タイムリーで勝ち越した。ここからは必勝リレーと8回裏に福原を投入したが、2死まで来てルナにライトスタンド前に同点ソロホームランを打たれてしまう。ドラゴンズは8回表から又吉を投入。8回は三者三振を食らうが、9回表、1死から鳥谷の四球、ゴメスの死球、マートンの四球で満塁とし、打席には新井良。しかし空振りの三振に打ち取られると、続く福留はセカンドゴロでチャンスを逸した。9回裏、三番手安藤は先頭の森野にレフトオーバーに二塁打を打たれ、和田を敬遠気味に歩かせる。堂上直のバントは投手前に転がり三封。四番手加藤が打たせた代打小笠原のセカンドゴロは大和の一塁送球がそれ、併殺をとらんと一塁走者を狭殺にかかるが、その隙を突こうと二塁走者の和田が一気にホームを狙うも一塁の坂がホームへ送球し刺す。この走塁ミスで息を吹き返すかに思われたが、松井佑は三遊間への内野安打。満塁とされて荒木にレフト前にサヨナラタイムリーを打たれ、悔しい敗戦。
◎ジャイアンツ7回戦……2-4
 タイガースが先制。4回裏、ジャイアンツの先発大竹からレフトスタンドに豪快なソロホームランを叩きこむ。タイガースの先発能見は初回から飛ばしていたが、6回表に2死から坂本にライト前ヒットを打たれ盗塁を許すと、片岡のレフト前タイムリーで同点に追いつかれた。続くアンダーソンはピッチャーゴロに打ち取ったが、その際足もとが滑ったか送球がややそれた。その際に足を痛めたのだろう。7回表、先頭の阿部を歩かせると、1死後、ロペスにレフト線に二塁打を打たれて二三塁とされ、長野のレフト前タイムリーで1点リードされる。代打矢野を歩かせ満塁とすると、井端のサードゴロは今成が捕球したものの送球できずにやはりそこで足をとられて転び、タイムリー内野安打となる。さらに坂本にセンターに犠牲フライを打たれ、この回3点を失った。7回裏、二番手西村にタイガース打線が襲いかかる。1死後、柴田のライト前に落ちるヒットと代打福留の四球でチャンスを作り、代打新井貴のセンター前タイムリーで2点差に迫る。西村に代わった三番手久保から大和と鳥谷が連続三振で反撃を断たれた。タイガースは高宮と二神のリレーでジャイアンツ打線を抑えたが、ジャイアンツもマシソン、山口を投入する。9回裏、2死から代打新井良がヒットを放つが、代打関本が空振り三振で試合終了。エースの変え時の難しさを感じさせた試合であった。
◎ジャイアンツ8回戦……3-6
 タイガースの先発は榎田。コンビネーションのよい鶴岡のリードでジャイアンツ打線を打ち取る。3回表、先頭の大田を歩かせ、内海はスリーバント失敗でアウトにしたが、大田が坂本の打席で盗塁。坂本はフライに打ち取ったが片岡にセンター前タイムリーを打たれて1点を先取される。しかし、タイガース打線もジャイアンツの先発内海に食らいつく。4回裏、1死からゴメスがあわやホームランというレフトオーバーの二塁打で出ると、マートンは四球。新井良は三振してしまったが、鶴岡がライト前に同点となるタイムリーを放つと、続く柴田もセンター前に勝ち越しタイムリーを打った。榎田もレフト前ヒットで続くが、満塁のチャンスに俊介がセカンドゴロに終わり、ビッグイニングを作れなかった。5回裏には先頭の大和の二塁打でチャンスを作り、鳥谷の一塁ゴロで三塁に進み、ゴメスの鈍い当たりのサードゴロの間に大和が生還してリードを広げる。榎田は6回1失点で7回に安藤にバトンタッチ。安藤は無失点で切り抜けたが、8回表に登板した福原が誤算。1死から坂本の二塁打、片岡のライト前タイムリーで1点差とされ、さらに片岡に二盗を許す。アンダーソンは空振り三振に取ったが、阿部は敬遠気味に歩かせ、村田のレフト線へのタイムリーヒットで同点に追いつかれた。9回表は呉昇桓が抑え、9回裏、ジャイアンツ三番手の山口を攻める。先頭の柴田がレフト前ヒットで出ると代打田上が一発でバントを決める。代打新井貴は敬遠され、大和は初球を打って出たがサードフライ。鳥谷のレフト前ヒットで満塁としたが、ゴメスが三振に打ち取られて延長戦に。10回表、五番手二神が坂本のヒット、片岡の内野安打でピンチを作ると、左打者のアンダーソンに対して左腕高宮がマウンドに。しかし、高宮はアンダーソンにライトスタンド最前列に3ランホームランを運ばれてしまう。10回裏、マシソンの前に三者凡退で逃げ切られた。
◎ジャイアンツ9回戦……1-0
 メッセンジャーと菅野の見ごたえのある投手戦。唯一の得点は2回裏。ゴメスのライトフライは浜風に押し戻されてライト前に落ちるテキサスヒットに。続く今成が三遊間を抜く巧打で、レフトのアンダーソンの緩慢な守備の隙をついてゴメスが一気に三塁を陥れる。福留はサードフライに倒れたが、鶴岡が二遊間を抜くセンター前ヒットでゴメスを返した。メッセンジャーはこの得点を守り切る。5回表、ロペスと松本哲のヒットで2死一二塁のピンチを招いたが、菅野をセカンドゴロに打ち取り、唯一のピンチを脱した。昨シーズンのリーグ奪三振王が、この試合に関しては奪三振は3のみ。内野ゴロが13と、低めに球を集めて打たせて取り、野手もよく守った。対する菅野は9奪三振。絶妙のコントロールでタイガース打線を圧倒しただけに、ワンチャンスをものにし、守り勝ったこの勝利は大きい。ヒーローインタビューは決勝タイムリーの鶴岡と完封勝利のメッセンジャーのバッテリー。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー 今季2度目の1-0完封試合で嫌なムードの連敗をストップさせた。ビジターでは勝てていないが、これで甲子園では3勝目。ここ一番での勝負強さは頼もしい限りだ
野手……鶴岡一成 3球団を渡り歩き、特にジャイアンツとタイガースでそれぞれ独特の緊張感を味わっている経験豊富なベテランが、リード面だけでなく打撃面でもいいところでタイムリーを放ち、藤井離脱の穴をみごとに埋めている。今後も新人梅野や中堅清水、さらには二軍で腕部している日高らと正捕手の座を争い切磋琢磨してくれることだろう。

 次節は米子でカープ2連戦。できれば連勝でゲーム差を縮めたいところだが、相手も好調、悪くともタイに持ち込みたいところ。続いて甲子園に戻りベイスターズ3連戦。こちらも調子をあげているだけに、何とかか勝ち越して交流戦に向けて弾みをつけたい。上本の離脱で大和がセカンドにまわり、逆に外野が福留、俊介、柴田、田上、緒方らの競争となってきた。災い転じて福ということもある。外野手たちの激しい定位置争いでチームが活性化してくれればと願う。

(2014年5月12日記)


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