愛すれどTigers


メッセンジャー、甲子園でバッキー以来の3連続完封

 どらドラスタジアム米子市民球場でのカープ2連戦。首位に肉薄したいところだったが、初戦は延長12回に梵にサヨナラホームランを打たれて惜敗。しかし2戦目は岩田の好投もあり雪辱。1勝1敗とタイに持ち込んだ。甲子園球場に戻りベイスターズ戦は初戦に能見が序盤に打ちこまれて落としたが、2戦目はメッセンジャーがバッキー以来となる甲子園での外国人当初3連続完封を記録した。そして3戦目、岩崎の好投と継投が成功して2勝1敗と久々のカード勝ち越しを決めた。今節は3勝2敗。今季通算25勝19敗で勝率.568。首位カープとのゲーム差は3.0で2位に浮上。

◎カープ7回戦……1-2
 タイガースは藤浪、カープは九里が先発というフレッシュ対決。先制したのはタイガース。3回表、先頭の緒方が左中間を破る二塁打を放つと、大和のセンター前タイムリーヒットで一気に生還する。しかし、その後は九里の荒れ球にてこずり、走者を出しても後が続かない。藤浪は初回から2回にかけて菊池、丸、エルドレッドを連続三振に取るなど、快調に飛ばす。しかし、7回表、先頭のキラにヒットを打たれると代走赤松の盗塁で二塁に進まれ、松山のセンター前タイムリーヒットで同点に追いつかれた。藤浪、九里、ともに7回を投げ切って降板。タイガースは安藤が9回まで抑え、カープは中田が同じく抑える。試合は延長戦に。10回表、三番手永川から、2死後に緒方が死球。その前に出塁した時には牽制死していた緒方だが、めげずに盗塁を決める。しかし、大和はショートライナーでチャンスを逸した。10回裏、三番手玉置が2死から梵に四球を与え、菊池にもヒットで続かれてサヨナラのピンチに。ここで四番手加藤に交代。丸のヒット性の当たりは鳥谷がよくおさえて満塁にとどめ、このピンチに登板した呉昇桓がエルドレッドを三振に打ち取りサヨナラのピンチを免れた。カープは一岡、フィリップスとつなぐ。タイガースは呉昇桓が11回裏に代打田中に三塁打を打たれるも、石原のスクイズ失敗と中東の三振でピンチを脱した。だが辛抱もここまで。12回裏、六番手二神が梵にレフトスタンドにサヨナラホームランを叩きこまれ、米子の長い夜が終わった。
◎カープ8回戦……4-3
 タイガースの先発岩田の課題は立ち上がり。初回いきなり先頭の梵にライト線へ二塁打を打たれると菊池に送られて三進。丸のレフト線へのタイムリー二塁打で1点を奪われる。三者とも初球狙い。なんとたった3球で1点先制されてしまった。しかし、岩田は落ち着いて後続を断ち、2回からはゴロで打ち取るていねいな投球。カープの先発は今季初めてとなる小野。3回表、大和がプロ入り初ホームランをレフトスタンドに運んで同点とし、4回表にはマートンがレフト最上段へ勝ち越しソロホームランを放つ。四球の今成を塁に置き、鶴岡がセンターオーバーの二塁打でさらに1点を追加した。7回まで好投した岩田は、8回に苦しむ。先頭の代打上本崇にセンター前ヒットを打たれると続く會澤を歩かせ、梵のバントで1死二三塁に。菊池のセンターへの犠牲フライで1点差に迫られた。9回表、三番手永川勝に対し、1死から大和が打ったピッチャーゴロは永川勝のすねを直撃。大和は投ゴロアウトとなったが、鳥谷は初球を叩いて左中間へ二塁打。ここでカープは四番手中田を投入。永川の故障のための緊急交代ということで中田の投球練習の球数が多くとられ、和田監督が抗議に出る場面も。じらすように長く投球練習した中田をあざ笑うかのように、ゴメスは前進守備のセンターの頭上を大きく超える二塁打で1点を追加した。9回裏、呉昇桓が登板。キラにライトスタンドにソロホームランを打たれて1点差とされたが、後続をきちんと押さえて逃げ切った。地方球場のためヒーローインタビューはなし。
◎ベイスターズ7回戦……1-3
 能見が立ち上がりを狙われた。1回表、先頭の石川はバントヒットで出塁。白崎のバントは捕邪飛となり、梶谷は三振。2死からバルディリスを歩かせ、筒香にレフト前にタイムリーを打たれて1点を先取された。さらに3回表、1死から梶谷にレフト線へ二塁打を打たれ、バルディリスにセンター前にタイムリーヒットを打たれる。筒香は三振に取ったが、またも2死になってから今度は金城にセンター前にタイムリーを打たれ、序盤に3点を失ってしまった。しかし、能見は尻上がりによくなり、速球とフォーク、チェンジアップを投げ分け、8回を投げて11奪三振。ところが打線が井納の落ちる球にひっかかりなかなか出塁もできない。8回1死まで散発の3安打。8回裏、代打今成がレフトポール際にソロホームランを打つ。9回表に登板した二番手鶴が三者凡退でリズムを作ると、9回裏には鳥谷とマートンのヒットで1死一二塁と同点のチャンスを作った。代打関本が告げられると、完投目前の井納を降板させて三上を投入。関本はショートゴロ併殺で万事休す。
◎ベイスターズ8回戦……4-0
 タイガースの先発はメッセンジャー。甲子園での3試合連続完封を目指しての登板となった。2回表、1死から筒香に二塁打を打たれたが、後続を断つ。ピンチらしいピンチはこの回のみ。ベイスターズの先発モスコーソの力のある球を打ちあぐねていたタイガース打線だが、4回裏1死からゴメスがレフトフェンスに届くヒットで出塁すると、マートンのセンター前のテキサスヒットで一気に三塁を陥れ一三塁とチャンスを作る。続く今成のライト前タイムリーヒットで1点を先取。福留のライト前ヒットで満塁とし、鶴岡が押し出し死球で2点目をもらう。メッセンジャーのピッチャーゴロは併殺を焦ったモスコーソがお手玉をしてどこにも投げられず、さらに1点をもらい、3点差に。5回裏にはゴメスのレフト前ヒット、今成のピッチャー強襲ヒット、福留の四球で満塁とし、鶴岡が押し出し四球で1点を追加した。4点リードをもらったメッセンジャーは内外角にびしびしとストライクを決め、スプリットやカーブを駆使して被安打3、9奪三振。9回表、先頭の石川にセンター前ヒットを打たれたものの代打多村はサードゴロで二封。梶谷、バルディリスと連続三振でみごと完封勝利を収めた。甲子園での3試合連続完封の外国人投手はバッキー以来。また、マートンも来日通算ヒット数でバースと並んだ。ヒーローインタビューは完封のメッセンジャーと先制タイムリーの今成。
◎ベイスターズ9回戦……4-1
 タイガースは岩崎、ベイスターズは加賀美の若手投手の対決。先制したのはタイガース。2回裏、ゴメスがレフトスタンドにソロホームランを叩きこむ。岩崎は4回まで1安打の好投を続けていたが、5回表につかまった。先頭の筒香にライト線に二塁打を打たれ、1死後金城のレフトオーバーのタイムリー二塁打で同点に追いつかれた。6回表、二番手高宮が石川にライト線を深々と破られ、福留がもたつく間に石川は三塁へ。無死三塁というピンチに、白崎を三振に打ちり、梶谷はセカンドゴロ。大和が本塁へ返すと、間一髪でアウトに。捕手の梅野のブロックの間隙を突いて石川はホームペースに足を突っ込み、セーフだと激昂。中畑監督も飛んできて激しく抗議したが、覆る事はなし。ここで三番手鶴が登板、バルディリスをセンターフライに打ち取りピンチを脱し、7回表も三者凡退の好投。6回裏、ベイスターズ三番手藤江から鳥谷が風邪にも助けられてレフトポール際に勝ち越しのソロホームラン。8回裏にはソーサからゴメスの死球、マートンのヒット、1死後に福留の四球で満塁とし、代打新井良がセンター前に弾き返して2点を追加した。8回裏は安藤が抑え、9回裏、締めくくりは呉昇桓。ブランコを三球三振に打ち取り、梶谷のセカンドゴロは大和がこぼして失策で生かしてしまったが、バルディリスをショートゴロ併殺に打ちとり逃げ切った。ヒーローインタビューは代打タイムリーの新井良と10セーブ目をあげた呉昇桓。

愛すれどTigers週間MVP
投手……ランディ・メッセンジャー 外国人投手としてはバッキー以来、タイガースの投手としても村山以来という、あの江夏ですらなし得なかった甲子園3連続完封を記録。タイガース史上に残る大投手と並んだ。能見が不調の中、実に頼りになる右のエースである。
野手……今成亮太 開幕当初は不調で新井良太の後塵を拝していたが、新井良太の不調と入れ替わるように好調をキープ。甲子園での技ありのホームランや、難しい球を払うようにして放ったヒットなど、バッティング技術の高さを存分に見せてくれた。

 次節より交流戦がスタート。準本拠地である京セラドーム大阪で首位を走るバファローズと2連戦。続いてヤフオクドームで首位争いをするホークスと2連戦。好調の2チームにどのような戦いをして見せてくれるか、期待はふくらむ。甲子園に戻ってマリーンズと2連戦。この出だしで勢いがつくかどうかが決まる。今シーズンはセ・リーグの球場でDHを使い、パ・リーグの球場で投手が打席に立つ。敵地での試合とはいえ、投手のところで打線が切れるのは有利に働くかもしれない。この交流戦で勢いをつけたチームがリーグ優勝を果たした例も多い。上本も一軍復帰が決まった。これでまた4月の勢いを取り戻してもらいたいものだ。

(2014年5月19日記)


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