やはり初戦が取れない交流戦。コボスタ宮城でのイーグルス初戦は、メッセンジャーが8回まで1安打無四球の好投を見せながら最終回に崩れ、呉昇桓のリリーフ失敗でまたも落とす。2戦目は藤浪が好投を見せて勝ち、1勝1敗。甲子園に戻って二順目にはいったバファローズ戦は金子を崩しながらも能見が突然の乱調で福原にマウンドを譲り、その福原が逆転ホームランを打たれる。2戦目は岩田が途中で崩れて連敗で、0勝2敗。ホークス戦は初戦乱打戦を制してやっと勝ったが、2戦目はかつてのチームメイトのスタンリッジに恩返しの完封を食らい1勝1敗。今節は2勝4敗。今季通算31勝29敗で勝率.517。首位ジャイアンツとのゲーム差は2.5で3位。
◎ゴールデンイーグルス1回戦……3-4
タイガースの先発メッセンジャーーは初回から絶好調。2回裏に松井稼にセンター前ヒットを打たれたが、それ以外は一切走者を出さない。速球に相手はつまり、変化球に空振りする。資格は全くなかった。イーグルス先発の則本は球が荒れていたが、そのためかタイガース打線は甘い球をミスショットし、走者を出してもなかなか返せない。均衡が破れたのは7回表。先頭のマートンがセンター前ヒットで出ると、今成もレフト前に落として続く。梅野のバントで1死二三塁に。緒方が敬遠され、満塁でメッセンジャーの打席に。普段投手相手に投げることのない則本は腕が振れず押し出しの四球を与え、タイガースが先制。1死満塁のチャンスは続いたが、上本の併殺で追加点ならず。8回表には二番手福山から鳥谷が福山の足に当たる強襲ヒットで出ると、ゴメスがレフトスタンド最前列に2ランを叩きこむ。マートンと今成の連打でなおもたたみかけるかと思われたが、梅野の併殺で追加点が取れない。9回表、1死から三番手の宮川は鬱気の全くないメッセンジャーをストレートの四球で出し、続く上本も四球。大和のショートゴロで2死一三塁となったが、鳥谷はセカンドゴロでメッセンジャーが三塁に残塁。ウォーミングアップもできないまま9回裏のマウンドに。ヒットの西田を塁に置き、代打後藤にレフトオーバーの三塁打を打たれ、完封を逃す。ここでメッセンジャーは降板。切り札の呉昇桓をつぎこんだが、準備が不十分だったのかいつもの球の切れがなく、代打ボウカーに犠牲フライを打たれて1点差に。聖澤は強い当たりながらライトフライに取ったが、岡島には二遊間寄りの内野安打を打たれ、A・ジョーンズを歩かせ、2死一二塁としたところで牧田にライトオーバーのサヨナラ三塁打を打たれて悪夢の逆転サヨナラ負け。1安打完封からまさかの敗戦という、落差の激しさに少なからぬショックを受けた試合であった。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……9-1
タイガースの先発藤浪は初回は不安定。2死から岡島に四球を与えると、A・ジョーンズのピッチャーゴロを送球の際に握り直し、一塁へ悪送球。岡島が一塁から長躯ホームイン。1点を先制された。タイガースはすぐに反撃。先発のベテラン左腕川井を攻める。先頭の新井貴が左中間に二塁打を放つと、俊介がバスターでレフト前に同点タイムリー。2死から上本と大和が続けて歩き、上本の盗塁などでチャンスを広げると、鳥谷がライト前に2点タイムリーで勝ち越す。ここで川井は降板。3回表には二番手上園からヒットの新井貴と四球の俊介を置き、梅野の左中間を破る二塁打で2点追加。6回表には四番手宮川から二塁打の上本を置いて鳥谷がレフトスタンドに2ランホームランで突き放す。藤浪は尻上がりによくなり、4回裏の2死満塁のピンチを藤田の一塁ゴロで切り抜けると、完全に立ち直った。8回からは久々に一軍のマウンドに戻ってきた福原を、9回裏には筒井を投入して、逃げ切った。ヒーローインタビューは前日の嫌な雰囲気を吹き払う好投を見せた藤浪。
◎バファローズ3回戦……3-4
初回にバファローズのエース金子を攻略。四球の上本を大和が送り、鳥谷のピッチャーゴロで三進。ゴメスのレフト前タイムリーで1点を先制した。さらに3回表、鳥谷がライトスタンドにソロホームランを打ちこむ。タイガースの先発能見は7回まで10奪三振の好投。ヒットを打たれても動じることなく無失点で抑える。バファローズは7回裏、二番手中山を投入。ライト前ヒットの上本を大和が送り、鳥谷の左中間への二塁打で3点目を奪い、これで試合はほぼ決まったかに見えた。しかし、8回表、先頭のヘルマンをストレートの四球で出すと、平野恵にこの日4安打目となるライト前ヒットを打たれて無死一三塁に。糸井のセカンドゴロの間に1点を返された。ペーニャを迎えたところで二番手福原にスイッチ。これが大誤算。ペーニャのセカンドゴロで三進を許し、坂口を歩かせ、T-岡田にライトスタンドに逆転3ランを打たれてしまった。バファローズは岸田、佐藤、平野佳のリレーで逃げ切り。楽勝のはずが、またもショッキングな逆転負けでまたも初戦を落とした。
◎バファローズ4回戦……1-4
タイガースの先発岩田は3回までパーフェクトと、課題の立ち上がりの悪さを克服した。しかし、4回表、1死から平野恵にセンターオーバーの二塁打を打たれ、糸井、ペーニャを歩かせて満塁に。坂口をセカンドゴロに打ち取ったが、二封したものの一塁はセーフと「併殺崩れ」の間に1点を先取された。続くT-岡田の一二塁間の当たりを上本はよくおさえたが、間一髪で内野安打となり、2点目を奪われた。5回表、先頭の伊藤にライト前ヒットを打たれると、安達のバントで二進。1死後、平野恵を歩かせ、糸井のライト前タイムリーで1点を追加され、さらにペーニャの打席で糸井が盗塁を試みたのに対し捕手梅野が焦って投球を大きく弾き、さらに1点を献上した。バファローズの先発東明は荒れ球で、四球を出しながらもタイガース打線は狙い球を絞り切れずにここというところで凡退を繰り返す。5回裏、緒方のプロ入り第1号となるライトスタンドへのソロホームランで1点は返したが、流れはこない。タイガースは筒井、金田がよくバファローズ打線を抑えて追加点を許さなかった。しかし、バファローズは岸田、馬原、佐藤、平野佳の鉄壁リリーフでタイガース打線を抑えこんだ。タイガースは連敗。何か消化不良という感じの敗戦であった。
◎ホークス3回戦……14-8
両チーム打ち合いの大乱戦となった。先制したのはホークス。タイガース先発の榎田から初回、ヒットの今宮を塁に置き、李大浩の左中間を破る二塁打で返す。その裏、タイガースが反撃。ホークス先発オセゲラから先頭の上本が四球を選ぶとすぐに盗塁、大和の一塁ゴロで三進し、鳥谷のライトポール際への2ランホームランで逆転した。さらにゴメスのライト前ヒット、マートンのレフト線への二塁打で二三塁とし、新井貴がレフト前に22点タイムリー。新井良がヒットで続き、緒方が歩いて満塁に。梅野の左中間を深々と破る走者一掃の三塁打でさらに3点を追加した。2死後、大和のレフト前タイムリーで1点追加し、その大和の盗塁と鳥谷の四球で一二塁とすると、ゴメスのレフト前タイムリーでこの回9点目。しかし、その大量リードを榎田が守れない。3回表、先頭の中村を歩かせ、今宮の二塁打、柳田への四球で満塁に。李大浩にライト前2点タイムリーを打たれると、長谷川にもライト前タイムリーでさらに1点。暴投で二三塁とし、吉村のライト前タイムリー、本多のショートゴロでこの回5点を奪われ、ここで鶴と交代した。3点差と迫られた3回裏、二番手山中から先頭の梅野が二塁打。上本と大和が打ち取られて嫌なムードになったが、鳥谷のレフト前タイムリーで再び4点差に。しかし、ホークス打線もしぶとい。4回表、鶴が柳田に四球を与え、李大浩のレフト線の二塁打でまたも3点差に。4回裏、ヒットのマートンを塁に置き、新井貴が二塁打で1点を返してみたび4点差に。5回表、四球の吉村を塁に置き、三番手筒井が代打江川らレフトオーバーの三塁打で1点を返されてまたまた3点差に。5回裏、三番手千賀からヒットの大和が盗塁死。しかし鳥谷がヒット、ゴメスが四球でチャンスを作り、マートンのタイムリーでよたび4点差に。タイガースは6回から安藤を投入、7回途中で加藤を投入と、先手を打つ投手リレーでホークス打線を抑える。7回裏、四番手森福からヒットの大和をゴメスが返し、さらにマートン寝二塁打でこの回2点追加。これでホークス打線も追いつけず、9回には呉昇桓がきっちり抑えて12試合ぶりにカード初戦を勝った。ヒーローインタビューは逆転2ランの鳥谷と4安打のマートン。
◎ホークス4回戦……0-6
タイガースはメッセンジャー、ホークスはスタンリッジと、昨シーズンのタイガースを支えた両輪が対決。メッセンジャーは立ち上がりから球が浮き、初回、1死から明石と柳田を歩かせ、李大浩のセンター前タイムリーで先制されると、長谷川にもセンターへ大きな犠牲フライを打たれ2点を先行される。3回表には李大浩のヒットと長谷川への四球で2死一二塁とされ、松田のレフトオーバーへの2点タイムリー二塁打で計4失点。5回表には柳田にレフトスタンドにソロホームランを打たれて5点目を失うと、この回限りでマウンドを降りた。スタンリッジは3回までパーフェクトピッチング。4回裏に上本と鳥谷の四球で1死一二塁のチャンスを作るが、ゴメスとマートンが連続三振でチャンスを生かせない。6回裏には先頭の緒方が四球を選び、上本が右中間を破ったが、緒方が二塁ベースを空過し、ベースを踏み直しに戻るなどというミスが出て、無死二三塁にとどまる。大和、鳥谷、そしてゴメスがこのチャンスにいずれも凡退し、最大のチャンスを逸した。タイガースの二番手金田は6回から8回まで無失点で切り抜けたが、9回表に登板した鶴が中村と代打吉村の連打で三塁まで走者を進め、柳田の犠牲フライで決定的な6点目を失った。スタンリッジは3安打無失点の完投勝利。なじんだ甲子園で古巣相手にみごとな「恩返し」をして見せた。ホークスのヒーローインタビューはスタンリッジ。しきりに「甲子園で投げられて嬉しい」と喜んだ。
愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 プロ入り最速の156kmの速球を披露するなど、持ち味である力の投球がやっとできるようになってきた。これで2連勝。ここから調子を上げていってほしい。藤浪で勝つと、チームに勢いが出るような気がするのだ。
野手……鳥谷敬 交流戦に入り好調を保ち続けている。特にホークス初戦の逆転ホームランなど、ここで打ってほしいというところでしっかり結果を残してくれている。3週連続MVPは当然の結果である。
次節はQVCマリンフィールドでマリーンズと2連戦。調子が上がってこない相手だけに、ここはなんとかしてほしい。続いて西武ドームでライオンズと2連戦。前回甲子園で連敗しているだけに、監督交代で揺れている今こそきっちりお返しをしたいところだ。故障でリハビリをしていた藤井が一軍に復帰。リードとキャッチングに難のある新人梅野に任せていたホームペースをベテランの豊富な経験で取り返してもらいたい。ピンチを迎えた時も藤井なら安心して落ちる球を駆使できる。それだけで大違いである。
(2014年6月10日記)