交流戦最終節。甲子園球場でのファイターズ初戦は、藤浪の好投とマートンのサヨナラヒットで先勝した。しかし2戦目は大谷の前に完敗で、1勝1敗。ゴールデンイーグルス戦は初戦はメッセンジャーが打ち込まれ則本に完封される。さらに2戦目は能見が打ちこまれて早々と降板し、0勝2敗。今節は1勝3敗。今季通算34勝34敗で勝率.500。首位ジャイアンツとのゲーム差は5.5で3位。交流戦は通算9勝15敗と過去最低の勝率でカープ、イーグルスと並ぶ最下位に終わった。
◎ファイターズ3回戦……4-3
タイガース藤浪、ファイターズ上沢の若手投手が先発。先制したのはタイガース。ゴメスとマートンの連打に続き、今成の四球で無死満塁とし、新井貴がショートゴロ併殺の間にゴメスが生還し1点を奪った。藤浪は序盤から速球で押していたが、5回表に追いつかれる。先頭の大野にセンター前ヒットを打たれ、中島のバントで二進。西川にセンターオーバーの三塁打で同点に追いつかれた。しかし、村田と中田を三振に取ってリードは許さない。中盤からは藤浪と上沢の投手戦。藤浪はスライダーを効果的に使い13奪三振。上沢は落ちる球でタイガース打線を翻弄する。8回裏、二番手クロッタが登板。先頭の梅野が左中間を破る二塁打を放つと、代走に田上。上本のバントで三進すると、代打坂が前進守備のレフト中田の頭上を襲うレフト犠牲フライでついにリードした。必勝を期して呉昇桓が9回表に登板したが、2死から大野がショートへの内野安打で出ると代走に杉谷。中島を歩かせ西川にライト線に逆転の二塁打を打たれてしまった。9回裏、三番手増井からゴメスがレフト線へ二塁打を放ち、代走に柴田が送られる。マートンが歩き、今成がバントで1死二三塁とし、新井貴は敬遠で満塁に。俊介がここで深いところにショートゴロを打ち、その間に田上が生還し同点として試合は延長戦に。10回表は三番手福原が抑え、10回裏には四番手宮西が登板。先頭の上本がセンター前ヒットで出ると、清水が送る。鳥谷が敬遠され、代打新井良は三振。マートンが敬遠で2死満塁に。ここで今成がショートゴロでチャンスを逸した。11回表は四番手安藤が先頭打者をヒットで出したが、五番手加藤につないで無失点に抑える。11回裏、五番手の藤岡に対し、先頭の新井貴がセンター前ヒットで出ると、俊介はサード飯山へのゴロがファインプレーで併殺に。試合は延長12回に突入。12回表は加藤から六番手金田につないで三者凡退で終え、負けがなくなる。12回裏、六番手カーターの前に2死となったが、鳥谷の四球、新井良のレフト前ヒットでサヨナラのチャンスを作る。そしてマートンがセンターオーバーのサヨナラタイムリー二塁打で4時間45分の激闘を制した。金田が嬉しいプロ入り初勝利。ヒーローインタビューはサヨナラヒットのマートン。「しんどかった」と日本語でやってくれた。
◎ファイターズ4回戦……0-4
ファイターズの先発大谷は初回から156kmの速球を連発。最速160kmも記録した。とにかくタイガース打線は歯がたたない。速球にはつまる。速球を想定して打って出たら落とされる。一方、タイガースの先発岩田も持ち味のゴロを打たせる投球でよくがんばった。しかし2回表、中田にライトスタンド最前列に飛びこむ先制のソロホームランを打たれてしまった。それでもすぐに立ち直り、走者を出しても後続を断つ。6回裏、2死から大和がレフト前に初安打を打つ。すぐに盗塁をしかけた。捕手大野の送球は一塁寄りに大きくそれたが、ショートの大引がうまく捕球しそのまま走る大和にタッチしてアウトに。和田監督の抗議も実らず。8回表、それまでよく粘っていた岩田がついに崩れた。先頭の大野にレフトポール際にソロホームランを打たれる。1死から西川の四球と杉谷のヒットでピンチを作ると、鶴と交代した。鶴は大引にレフト前ヒットを打たれると、レフトのマートンは雨を含んだ芝生を気にし、ファンブル。西川が生還して3点差に。さらに中田にもレフト前タイムリーを打たれて決定的な4点目を奪われた。大谷は8回裏2死を取ったところで異常を訴え一度ベンチに下がるがすぐにマウンドに戻り、今成をレフトフライに打ち取って1安打無失点11奪三振でマウンドを降りた。9回表、三番手筒井がなんとか無失点でしのぐと、9回裏のファイターズのマウンドにはカーターが。先頭の新井貴がレフト前ヒットを放ったが梅野はサードゴロ併殺。大和がライト前ヒットを放つも上本がショートゴロに倒れてなすすべもなく完封負け。これで交流戦の負け越しが決まってしまった。それにしても、前日の藤浪の投球とこの試合の大谷の投球を見たら、両投手の一騎打ちを見たくなってしまった。和田監督も栗山監督もファンに夢を見せるような演出をしてほしかった。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……0-4
タイガースの先発メッセンジャーの自滅だった。3回表、先頭の岡島のピッチャーゴロを自らの一塁への悪送球で二塁まで行かせてしまい、藤田のバントで三進させ銀次のレフトへの犠牲フライであっさり先制される。ミスを犯してもカバーできれば流れは自分のところに来るが、簡単に先制を許してしまったことで流れをイーグルスにやってしまった。タイガース打線はイーグルス先発則本に対し、3回までは大和や上本らがヒットで出てチャンスを作るが、後続を断たれ、流れを引き寄せられない。4回表、新外国人ラッツのライトフライを緒方が取れず、二塁打としてしまう。これでメッセンジャーはまた自滅。ていねいな投球は姿を潜め、カウントを悪くしてボウカーにライトポール際に2ランホームランを打たれてしまった。ここでなんとか気持ちを切り替えられ、これ以降はランナーを許さないようになったが、ちょっと遅すぎた。8回表には先頭の岡島にセンター前ヒットを打たれると、1死後A・ジョーンズを歩かせラッツのレフト線への二塁打でダメ押しの失点。ここでメッセンジャーは降板し、榎田、渡辺が後続を断つが、尻上がりに調子を上げてきた則本の前に4点は重かった。9回裏、2死からゴメスの三塁内野安打とマートンのライト前ヒットで一三塁と攻めたが、今成の一二塁間を抜こうかという打球を一塁岩崎に好捕され、試合終了。最後まで流れを呼び込むことができなかった。
◎ゴールデンイーグルス4回戦……1-5
タイガースの先発能見が2回につかまる。先頭のA・ジョーンズを歩かせると、ラッツにライトスタンドに先制2ランを浴びた。さらにボウカーと牧田に連打され、嶋を歩かせて満塁に。西田の三遊間への当たりは鳥谷が好捕して二封したが、その間に1点を追加され、岡島にレフトへ犠牲フライを打たれてよもやの4失点。4回表には牧田にバックスクリーンにソロホームランを打たれて5失点で降板した。イーグルスの先発は美馬。5回まで荒れ球に悩まされ散発3安打。6回裏、先頭の上本の頭部に四球で美馬は危険球退場。急遽登板した二番手永井に対し、大和がライト前ヒット。鳥谷は見逃し三振に倒れるが、ゴメスのセンター前タイムリーで1点を返した。さらにマートンのレフト前ヒットで満塁としたが、三番手福山の前に今成は併殺。このあとは両チームのリリーフが踏ん張る。タイガースは金田、安藤、福原、加藤とつなぐ。イーグルスは斎藤、ファルケンボーグが登板。最後は両チームとも決定打を欠いてそのまま試合終了。美馬の突如の降板というアクシデントを切り抜けたイーグルスに軍配が上がった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……金田和之 勝ちパターンのリリーフにはまだ入ってこないが、一軍のマウンドにも慣れて安定した投球を見せるようになり、ついにプロ入り初勝利を飾った。リーグ戦再開からはベテラン勢に加わって勝ちパターンのリリーフに入ることもあるだろう。それだけの信頼を勝ち得ている。
野手……マット・マートン サヨナラヒットだけではなく、今節は外野守備でも意外にいいところを見せた。序盤戦のような爆発的な打撃はないものの、安定してヒットを積み重ねている。リーグ戦再開後は、ぜひ4月の勢いを取り戻してほしい。
ついに5割ちょうどまで勝率が落ち込んだ。しかし、これからセ・リーグとの長いペナントレースが始まる。勝負は8月以降である。そこまでとにかく5割は維持し、夏場になってからエンジンをかけていけばよい。アメリカでマイナー落ちしている建山投手の獲得も視野に収めているというが、ベテランの補強はあくまでカンフル剤。二軍でブルペン入りを再開した松田やシート打撃に登板した岩貞ら、期待の若手たちが一軍で活躍するようでないとリーグ戦は勝ち抜けない。梅野をスタメンで起用しているのも、今は勝敗を度外視して経験を積ませ、夏場以降には安心して起用できるようにということだろう。今は目先の勝利よりも若手に経験を積ませる時だ。西岡の復帰も心強い。ベンチのムードがぐっと明るくなると、戦い方も変わってくるだろう。リーグ戦再開後に期待したい。
(2014年6月23日記)