Bクラスに転落して迎えた下位球団との対戦で、タイガースは息を吹き返した。倉敷マスカットスタジアムでのスワローズ戦は、石川から初回にビッグイニングを作り、藤浪は不調だったが打ち勝つ。甲子園に戻って2戦目はスミ1の得点を岩田の好投もあって守り切り連勝。雨で3戦目は流し、2勝0敗でロードへ。静岡草薙球場ではメッセンジャーが辛抱の投球でマートンのホームランを生み、関本の決勝打で接戦をものにする。横浜球場に移り、ゴメスのホームランで勝つと、3戦目はローテーションの谷間で苦しい試合を打ち勝ち3勝0敗。。今節は5勝0敗。今季通算39勝36敗1分で勝率.520。首位ジャイアンツとのゲーム差は6.0で3位に復帰。2位カープとの差は2.0ゲーム。
◎スワローズ10回戦……12-6
タイガースにとって相性のいい倉敷マスカットスタジアムでの今季唯一の試合。タイガースの先発藤浪が初回からつかまる。1死後、上田、山田と連続四球のあと、川端のサードゴロで二三塁とされ、雄平にライト前タイムリーで2点を先制される。しかし、タイガース打線も負けてはいない。スワローズ先発石川を1回裏に攻略。上本、大和が連続でレフト前ヒットを放つと、鳥谷もライト前ヒットで無死満塁に。ゴメスのライト犠牲フライで1点を返す。さらにマートンがショートの左を襲うタイムリーヒットで同点に。新井貴のセンター前ヒットとセンターの守備のもたつきで2点を返して逆転に成功。さらに新井貴を三塁に置き福留がライト前タイムリーで5点目を奪うと、仕上げは梅野のレフトスタンドへの2ランホームラン。これで藤浪は楽になるかと思われたが、2回表、2死から武内にレフト線への二塁打を打たれると石川のショートへの内野安打で一二塁とされ、森岡のライト前ヒットで1点を返された。4回表には先頭の武内に二塁打を打たれ、石川のバントで三進。上田の犠牲フライで3点差に迫られれる。しかし、直後の4回裏、先頭の梅野が2打席連続のソロホーム無ランをレフトスタンドに叩きこむと、1死後上本と大和の連打チャンスを作る。ここで石川は降板し、二番手は松岡。鳥谷はライト線を破る三塁打で2点を追加すると、ゴメスがレフトスタンドに2ランを放ち、一気に突き放す。藤浪は苦しい投球。6回表、先頭の代打飯原に二塁打を打たれると、上田のライトオーバーの三塁打と山田のセンター犠牲フライで2点を返された。スワローズは赤川、秋吉、岩橋のリレーでタイガース打線を抑える。対するタイガースは加藤、榎田とつないでしのぎ、9回裏には渡辺が締めて連敗脱出。ヒーローインタビューは新人では田淵以来となる2打席連続ホームランの梅野。
◎スワローズ11回戦……1-0
先制したのはタイガース。スワローズの先発石山に対し、1死から大和がセンター前に落とすヒットを放つ。鳥谷のサードゴロで二封されたが、石山の一塁への牽制悪送球で鳥谷が二進。ゴメスのレフト前タイムリーで鳥谷がホームインした。タイガースの先発は岩田。3回表にはヒットと四球で2死満塁とされたが山田を空振り三振。4回表には内野安打と二塁打で無死二三塁とされたが田中浩と野口を連続空振り三振に取ると中村を敬遠して石山をセカンドゴロに仕留める。5回表には連打とバントで1死二三塁とされたが川端を見送り三振、雄平をセカンドゴロに打ち取る。6回、7回も先頭打者を出塁させるが後続を断つ。苦しい中、7回無失点で切り抜けた。タイガース打線は2回以降、石山の速球に詰まらされ、ヒットは出ても後が続かない。6回からはカーペンター、8回には山本哲に抑えられ、追加点を奪えない。それでも8回表には福原が先頭の田中浩にヒットを許すが後続を力の投球でねじ伏せ、9回表には呉昇桓が三者凡退で逃げ切り、勝率を五割に戻した。ヒーローインタビューは粘りの投球で得点を許さず5勝目を上げた岩田。
◎ベイスターズ10回戦……3-2
メッセンジャーはベイスターズの下位打線の粘り強いバッティングに球数を増やし、いらつき始める。3回表、2死から山崎にライト前ヒットを打たれると、続くグリエルにもライト線に二塁打を打たれて二三塁に。筒香の打席で暴投。1点を献上する。筒香にもライト前タイムリーで2点目を奪われた。しかし、4回裏、ヒットのバルディリスを背負いながら桑原を併殺に取ってからリズムが生まれた。ベイスターズの先発井納の落ちる球に手を焼いていたタイガース打線だったが、6回表、1死から鳥谷がセンター前ヒットを放ったところで流れが変わりはじめた。ゴメスは駆け引きの末ライトフライに打ち取られたが、ほっとした井納の初球をマートンがとらえてレフトスタンドに同点ホームランを放つ。7回裏、メッセンジャーは先頭の桑原を歩かせ、黒羽根のバントをファンブルして生かしてしまう。ここで井納のバントは一塁ゴメスへの小フライとなり、梶谷を空振り三振に、山崎をサードゴロに抑えてピンチを切り抜けた。8回表、自らのバント失敗を引きずったか、井納は先頭の大和を歩かせる。鳥谷の一塁ゴロは後藤がそらして大和は三進し無死一三塁に。ゴメスは空振り三振に終わったがその間に鳥谷が盗塁して二三塁とすると、マートンは敬遠。ここでベイスターズは二番手に左腕大原を投入。代打関本のライトへの犠牲フライでついに勝ち越し。8回は福原が、9回は呉昇桓が好投し、2試合連続で1点差試合を逃げ切った。ヒーローインタビューは決勝の犠牲フライを打った関本。
◎ベイスターズ11回戦……3-0
ベイスターズ先発のモスコーソは立ち上がりから快調。初回は上本、大和、鳥谷が三者三振という、これまでのモスコーソのようにはいかないという手ごたえを感じさせた。タイガースは岩崎が先発。4回裏、1死から多村にライト線に打たれた長打を福留が捕球をもたつくなどして三塁打とされた。バルディリスに死球を与えて一三塁とされたが、黒羽根の投手ゴロは飛びだしたサードランナーに自らタッチしに行ってアウトをとり、モスコーソをサードゴロに打ち取って危機を脱した。均衡が破れたのは7回表、先頭の大和がセンター前ヒットで出ると、走者を気にしたモスコーソの投球が単調になり、ゴメスがそこを狙ったように左中間に先制2ランホームランを放つ。8回表には二番手長田から今成がライトスタンドにソロホームラン。3点リードで8回裏は福原が抑え、9回裏には呉昇桓が登板。1死から代打石川に四球を与えると、続く代打梶谷のライト前ヒット、金城のファーストゴロは坂が二封しようとして走者に当たり、フィルダーズチョイスとなって1死満塁に。代打白崎をフルカウントからボール球を降らせて空振り三振に取ると、好調繰りえるをセンターフライに打ち取り、なんとか無失点で逃げ切った。ヒーローインタビューは2ヶ月ぶりの3勝目をあげた岩崎。
◎ベイスターズ12回戦……12-6
先制したのはタイガース。ベイスターズ先発の加賀美から初回に大和の四球と鳥谷の三塁内野安打でチャンスを作ると、マートンのライトオーバーの二塁打で走者を一掃し、2点を奪う。タイガースは谷間の先発、鶴。直後の1回裏、先頭の石川を歩かせ、山崎のバントで二進。梶谷のセンター前タイムリーで1点を返された。3回表、鳥谷とゴメスが連打でチャンスを作ると、マートンがレフト線に二塁打を打ち、1点を返す。鶴は2回以降も常にピンチを背負う。3回限りで降板し、金田が4回と5回を無失点で切り抜けると、打線も援護。6回表、四番手林に対し、鶴岡の打球が顔面を直撃、林は担架で運ばれる。急遽登板した萬谷に上本がバントを決め、鳥谷の左中間を破る二塁打で4点目を奪う。五番手の安倍から7回表には四球の今成を置いて今季初スタメンの伊藤隼がライトスタンドに2ランホームランを、8回表には上本がライトスタンドにソロホームランを放ち、7-1として楽勝かと思わせた。しかし、安藤からバトンを渡された渡辺が誤算。8回裏、二塁打のグリエルと四球の筒香を置いて後藤の二塁打でまず1点を返され、2死から嶺井にセンター前タイムリーを打たれたところで福原に交代。福原は石川にライトスタンドに3ランを打たれ、1点差に迫られた。9回表、七番手の長田を攻める。センター前ヒットのマートンの代走俊介を今成が送り、伊藤隼が四球。坂はショートゴロで二封。1死一三塁から鶴岡がライト前タイムリーで2点差に戻す。上本が歩いて一二塁とし、大和のセンター前タイムリーでさらに1点。鳥谷の走者一掃の二塁打で3点を追加して取られた5点をそのままお返しした。9回は呉昇桓が締めて、ベイスターズに3連勝した。ヒーローインタビューは先制打と猛打賞のマートン。
愛すれどTigers週間MVP
投手……岩崎優 全日打ち合いとなったベイスターズ打線を7回完封で締め、4月下旬以来の3勝目をあげた。これまでは好投しても打線の援護がなかったが、これをきっかけに打線とかみあうようになってくれば、まだまだ勝利数は増えるだろう。ローテーションで行くと、次はジャイアンツ戦。初物に弱いジャイアンツ打線だけに大いに期待できる。
野手……マット・マートン 4月の絶好調時に打撃が戻ってきた。どんなコースにも対応でき、ホームランも出た。後半戦からがペナントレースの本当の勝負だけに、マートンの復調は心強い限り。
オールスター戦で、ファン投票と選手間投票で鳥谷が、選手間投票でマートンが、監督推薦で藤浪が選ばれた。ゴメス、呉昇桓、上本あたりも選ばれておかしくない成績をあげているが、他チームとの兼ね合いもあったのとちょうど交流戦で調子を落としていた時期に投票があったので3名だけの選出となったが、その間、他の選手はリフレッシュして後半戦に臨んでほしい。オールスター前は甲子園のカープ戦、東京ドームのジャイアンツ戦、ナゴヤドームのドラゴンズ戦と9連戦が組まれている。甲子園は台風の影響でどこまで開催されるかわからないが、ドームの6試合は確実に行われるだろう。ここをすべてのカードで勝ち越すことができれば、まだまだ優勝のチャンスは残ってくる。能見も軽傷のためジャイアンツ戦で復帰しそうであるし、二軍で出番を待っていた伊藤隼太もスタメンでいきなりホームランを放つなど好調を維持している。一時の最悪の状況からは抜け出たと思われるだけに、勢いをつけてもらいたいものである。
(2014年7月7日記)