愛すれどTigers


藤浪、プロ入り初完投勝利

 オールスター前最後のカード、ナゴヤドームでのドラゴンズ戦は初戦は岩崎に森野の打球が当たるアクシデントからいつもの投球ができず打ちこまれて敗れたが、2戦目は藤浪がプロ入り初完投勝利をついに達成、3戦目はメッセンジャーの好投に報いるようにワンチャンスをものにして吉見を攻略。今節は2勝1敗。今季通算45勝38敗1分で勝率.542。首位ジャイアンツとのゲーム差は3.5で2位。後半戦に向け、いい形で折り返すことができた。
 フレッシュオールスターは投手陣では岩貞が三者凡退。山本も走者は許したが無失点に切り抜け、後半戦に期待を持たせる内容。打者では北條、横田がノーヒット。こういうところで派手な活躍ができてこそスター候補。その点ではちょっと残念だ。オールスターでは初戦に鳥谷が打点付きのヒットを放ち、マートンも代打でヒット。2戦目ではファイターズ大谷の160kmの速球を鳥谷が技ありのヒット。マートンにもタイムリーが出た。藤浪は大谷を意識し過ぎたか単調な投球でペーニャに大きなホームランを打たれて4失点。それでも2回は無難におさえて藤浪らしさを見せた。勝には縁のなかったタイガースの選手たちだったが、それなりの存在感は見せつけてくれた。

◎ドラゴンズ13回戦……4-8
 ドラゴンズの先発は朝倉。先頭の上本が初回にレフトスタンドに自身プロ入り初の先頭打者ホームランを放ち先制。続く大和もレフト前ヒットで続き、盗塁を決めると、鳥谷のレフト前ヒットで一気にホームインして、勢いを見せた。しかし、2回裏、タイガースの先発岩崎は先頭の和田にセンター前ヒットを許すと、森野の打球が足を直撃。なんとか二封し、ベンチに帰って治療したあとマウンドに戻り松井佑の二塁打、そして藤井に逆転3ランホームランをレフトスタンドに叩き込まれる。朝倉にもヒットを打たれ、荒木を歩かせたところで降板。急遽マウンドに上がった二番手金田は谷の左中間を破る二塁打でさらに2点を奪われる。朝倉は尻上がりに調子をあげ、タイガース打線は5回まで抑えられる。タイガースは金田が3回以降は好投、5回裏からは二神の継投でドラゴンズ打線を抑える。7回表、二番手田島から先頭のマートンが四球を選ぶと、左の岡田にスイッチ。福留も四球。ここで又吉が登板し、代打西岡のセンター前ヒットで無死満塁に。梅野の犠牲フライで1点を返す。しかし、代打関本、上本が又吉の前に連続三振で大きなチャンスを逸した。8回裏、榎田がつかまる。荒木とエルナンデスにヒットを打たれ、和田のライト前ヒットは一塁塁審がアウトと誤審したという一幕もあったが、ヒットと判定され1点を加えられた。さらに森野のセンターオーバーの三塁打で走者が一掃され5点差と広げられた。9回表、マウンドには浅尾。マートンと福留の連打でチャンスを作るが、西岡、梅野は連続三振。しかし代打新井貴のセンター前ヒットがタイムリーとなり、1点を返す。ここで浅尾が降板し、岩瀬が登板。上本は外野フライに打ち取られて試合終了。岩崎のアクシデントが大きかった。
◎ドラゴンズ14回戦……8-1
 ドラゴンズ先発の雄太を初回に攻略。先頭の上本がレフト前ヒットと盗塁、大和が歩き無死一二塁とし、鳥谷が右中間スタンドに先制のスリーランホームランを叩きこむ。1回裏、タイガースの先発藤浪は三者三振の快調な滑り出し。雄太もホームランのあとは立ち直る。藤浪は3回裏、2死から工藤と荒木の連打でピンチを作るもエルナンデスを空振り三振に取り、得点を許さず。直後の4回表、雄太からゴメスと新井貴のヒットで1死一二塁とするも新井良のサードライナーでゴメスが飛び出し併殺に。膠着状態を脱したのは6回表。2死からゴメスが四球を選ぶと、マートンのセンター前ヒットで一二塁とし、新井貴のセンター前タイムリーで待望の追加点をあげ、続く新井良もレフト前タイムリー。7回表には二番手岡田から上本と大和の連続四球で1死一二塁に。鳥谷のピッチャーゴロは岡田が二塁へ悪送球し、1点をもらう。ゴメス三振で2死二三塁となったが、マートンのセンター前タイムリー、新井貴の左中間を破るタイムリー二塁打でこの回3点を追加した。大量得点に守られた藤浪だったが、7回裏、センター前ヒットの藤井を置いて高橋周の一塁線の打球はヒット性の当たりだったがゴメスのミットをかすめて外野へ。失策がつき、1点を返される。しかし、ドラゴンズの代打ゴメスを三振に、中田をライトフライに打ち取って最少失点に食い止める。藤浪は最終回も三者凡退で投げ切り、プロ入り初完投勝利をあげた。ヒーローインタビューは完投勝利の藤浪。
◎ドラゴンズ15回戦……2-0
 投手戦をタイガースがワンチャンスでものにした。初回、ドラゴンズ先発吉見にあっさり三者凡退に打ち取られると、タイガースの先発メッセンジャーはいきなりピンチを背負う。1死から荒木にヒットを打たれ、盗塁を許す。エルナンデスは三振に取ったが、和田と森野を歩かせて2死満塁に。ここで藤井をライトフライに打ち取り、なんとか無失点で切り抜けた。メッセンジャーは2回以降は走者を得点圏に進ませない好投。ここぞというところで緩急織り交ぜて三振の山を築く。4回表、上本がセンター前ヒットで出ると、大和のバントで二進。鳥谷のセンターフライをテキサスヒットになると判断した上本は三塁に向かって走り出したが、センターがダイレクトキャッチし、二塁に送って併殺に。嫌な流れになったが、5回表、ついに吉見を捕らえる。先頭の新井貴がセンター前ヒット、続く梅野がレフトオーバーの二塁打で無死二三塁に。メッセンジャーのセカンドゴロは前進守備のため走者は釘付けになったが、上本が前の回のミスを取り返すべくスクイズを敢行。しかしこのバントはファールに。ヒッティングに切り替え、レフト前の先制タイムリーでまず1点を奪う。大和のショートゴロは上本が二封されたが、一塁に転送されるも大和のヘッドスライディングで一塁はセーフ。この間に梅野が生還して2点目を加えた。ドラゴンズは8回から又吉、浅尾でなんとかタイガース打線を抑える。しかしメッセンジャーは8回まで投げて13奪三振の快投。9回裏には呉昇桓が登板、荒木、エルナンデスを連続三振に取り、和田をサードフライに打ち取り逃げ切った。ヒーローインタビューは投手戦を投げ勝ったメッセンジャー。

愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 プロ入り初完投をやっと達成。遅すぎたくらいだが、これをきっかけに初完封、そして2年連続10勝以上に期待がかかる。ジャイアンツを追撃するには藤浪の力が欠かせないのだ。
野手……新井貴浩 数少ないチャンスを確実にものにしている。これから終盤に向けては、ベテラン選手の経験が必要になってくる。そういう意味でも新井の活躍に今後も期待したい。

 後半戦は甲子園でのジャイアンツ戦で始まる。妙に力んで3連勝を狙うのではなく、勝ち越すことを目標にしてほしい。そのためには初戦の岩田の投球に注目だ。リリーフに、初物に弱いジャイアンツに対して山本を起用するのも面白いだろう。1日おいてマツダズームズームスタジアムでカープ3連戦。オールスター初戦で大いに目立って勢いのついた相手だけに、ここはきっちりと勝ち越してゲーム差を開いておきたい。本当の勝負は8月以降。ここは連敗しないように気をつけるくらいでちょうどいい。

(2014年7月20日記)


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