長期ロード直前の甲子園球場での連戦は、「ウル虎の夏」と題して緑色の特別ユニフォームを使用。甲子園誕生90年を記念して芝生の緑をモチーフにしたという。スワローズ戦の初戦はゴメスの欠場もあって打線が振るわず岩田の好投を見殺しに。2戦目は無死満塁のピンチを切り抜けた歳内がプロ入り初勝利。3戦目は能見が先制され、打線も村中を攻略できず敗れ、1勝2敗。ベイスターズ戦は、甲子園の誕生日に初戦があり、福留の2週続けてのサヨナラ打で誕生日を飾った。残り2戦は台風の影響で連続して雨天中止。最終日には、今成、メッセンジャー、伊藤隼による雨中パフォーマンスで客席を沸かせた。中止のためこのカードは1勝0敗。今節は2勝2敗。今季通算50勝43敗1分で勝率.538。首位ジャイアンツとのゲーム差は2.5で2位と変わらず。
◎スワローズ12回戦……0-4
手法のゴメスが体調不良でオーダーから外れ、四番には新井貴が入る。タイガースの先発岩田は初回から三者凡退の好スタートを切るが、2回表につかまる。先頭のバレンティンをストレートの四球で出すと、川端はサードへの内野安打。暴投で二三塁とされ、畠山のセンター前に落ちるテキサスヒットで1点を先取される。雄平はセカンドゴロに抑えたが、相川にはセンターへの犠牲フライを打たれて2点を先取された。スワローズの先発八木はストレートに切れがあり、タイガース打線はみな詰まらされる。5回裏、先頭のマートンが投手強襲の内野安打で出塁すると、新井良が四球で無死一二塁とチャンスを作る。しかし、福留はセカンドフライ。鶴岡の三塁線を襲うヒット性の当たりを川端に好捕され、二封。2死一三塁で岩田の打球は一二塁間を抜けるかと思われたが山田に好捕され、間一髪でアウトに。岩田は膝を叩いて悔しがった。3回以降立ち直った岩田だったが、打線の援護のないまま8回2失点で降板。9回表、新戦力の建山が移籍初登板。1死から川端と畠山二連打されると、雄平に右中間を破る2点三塁打を打たれてダメ押しの得点を許してしまった。9回裏、完封ペースの八木から俊介がセンター前ヒットで出塁。この時八木が左手をつって降板。マウンドには急遽バーネットが。しかし、コントロールがままならないバーネットに対し、鳥谷はハーフスイングを空振りと取られて三振。新井貴もハーフスイングを空振りと取られ、連続三振。マートンのセンター前ヒットでなんとかチャンスは作ったが、新井良が空振り三振で試合終了。ゴメスの存在が大きくなっていることが、欠場ではっきりした試合だった。
◎スワローズ13回戦……5-4
タイガースの先発は二神。久々のチャンスに力が入ったか、初回につかまる。先頭の山田を歩かせ、森岡に右中間に二塁打を打たれて先制を許す。川端にもセンター前にタイムリーヒットを打ち返されて2失点。バレンティンにもレフト前ヒットを打たれピンチが続いたが、雄平をセカンドゴロ併殺に打ち取ると落ち着いたか畠山もショートゴロでなんとか切り抜けた。スワローズ先発の石山に、タイガース打線も反撃。1回裏、1死から今成と鳥谷の連打でチャンスを作ると、この試合から復帰のゴメスがレフト線への二塁打で1点を返した。2回を抑えた二神は調子をあげていたが、4回表、先頭の雄平にレフトオーバーの二塁打を打たれると、畠山のレフト前ヒット、武内への四球で無死満塁に。相川のレフト前タイムリーヒットで1点を追加されたところで降板。二番手歳内は石山、山田と連続三振に取り、森岡をセカンドゴロに打ちとってピンチを脱した。この投球に打線がこたえる。1死から伊藤隼が四球で出塁。梅野がレフト前ヒットで続き、代打新井良はサードゴロに打ち取られ二封されたが、セカンド山田の一塁悪送球で伊藤隼が生還して1点差に。上本が歩いて2死一二塁となり、今成のレフトオーバーのタイムリー二塁打で同点に追いつく。ここで鳥谷がレフト前に2点タイムリーを放ち、この回一気に逆転した。スワローズは、松岡、山中、江村、秋吉と小刻みな継投でタイガース打線に追加点を許さない。タイガースは5回から榎田が登板。6回表、2死から相川、代打飯原の連打でピンチを作り、安藤に交代。安藤は山田にタイムリーを打たれたが、森岡をセカンドゴロに打ち取ってなんとか切り抜けると、7回もきっちり抑える。8回からは福原、呉昇桓の必勝リレー。それぞれランナーは許したが、要所を締めて逃げ切った。ヒーローインタビューは無死満塁のピンチを切り抜けてプロ入り初勝利をあげた歳内と勝ち越しタイムリーを放った鳥谷。
◎スワローズ14回戦……1-8
タイガースの先発能見が初回に打たれる。レフト前ヒットの谷内を置いてバレンティンにセンターバックスクリーンに放りこまれた。3回まで走者を出す苦しい投球を続けたが、4回以降は尻上がりに調子をあげ、7回表に村中のヒット、山田への四球と暴投で2死一三塁とされ谷内のセンター前タイムリーで3点目を奪われたが9奪三振と試合は作った。しかし、打線がスワローズ先発の村中を崩せない。7回裏、鳥谷がショート谷内の悪送球で出塁すると、ゴメスのセンター前ヒットで無死一三塁に。マートンのセカンドゴロ併殺の間に鳥谷が生還して1点をとるのがやっと。8回表には二番手建山がバレンティンにライト前ヒットを打たれ、代走比屋根の盗塁、雄平のセンターフライで三進を許し、畠山のライトへの犠牲フライであっさりと1点を返された。9回表、前日のヒーロー歳内が登板したが、1死から代打武内を歩かせ、山田のライト前ヒットで一二塁とされ、谷内の二塁打で2点を失う。ここでルーキー左腕山本に交代するが、左打者の川端にライトオーバーの三塁打でさらに1点を失い、比屋根はサードゴロに取ったが雄平のレフト前タイムリーで8点目を奪われ、試合は決まった。スワローズは9回裏、松岡を立て、上本がヒットを打ったものの代打伊藤隼は三振、鳥谷は併殺で試合終了。終盤、リリーフが崩れての大敗となった。
◎ベイスターズ13回戦……5-4
甲子園満90歳のこの日、甲子園の申し子のような藤浪が先発。2回表、ライト前ヒットの筒香を塁に置き、バルディリスに先制2ランホームランを左中間スタンドに放りこまれる。しかし、セ・リーグ最多勝の井納に対して3回裏に食らいつく。1死から上本がセンター前に打ち返すと荒波が飛びついて捕りにいき後ろにそらし、三塁打となる。続く今成がセンター前タイムリーヒットで1点差とすると、鳥谷のセカンドゴロで二進。ゴメスのライト前ヒットは梶谷が後逸し今成が生還、同点に追いついた。藤浪は2回表から連続7奪三振。これはタイガースでは小山、村山、江夏、能見と並ぶタイ記録。4回裏、福留のライト前ヒットと伊藤隼の右中間二塁打で無死二三塁とし、1死後、藤浪が勝ち越しの2点タイムリーヒットをセンター前に弾き返した。しかし藤浪は6回表につかまる。内野安打の筒香とセンター前ヒットの山崎を塁に置き、黒羽根のセンター前タイムリーで1点差とされると、7回表にはショートへの内野安打の石川が梶谷のピッチャーゴロで二進。ブランコのレフト前同点タイムリーを打たれてしまう。このあと筒香とバルディリスの連打で1死満塁と攻め立てられるが、山崎はセカンドゴロで本塁封殺、黒羽根をサードゴロに打ち取って、ピンチを脱した。7回裏、ベイスターズ三番手林から上本がライトオーバーの三塁打を放つが、今成は浅いレフトフライ、鳥谷は初球を打ちあげてショートフライ。ここで四番手加賀が登板、ゴメスは強い当たりのショートライナーを山崎に好捕され、1点が遠い。タイガースは8回表を福原で抑え、9回表には呉昇桓を投入。梶谷とブランコは三振に取ったが、筒香は三塁内野安打。暴投で二進すると、バルディリスを歩かせる。山崎のライト前ヒットで満塁のピンチに。しかし黒羽根を三振に取って延長戦に。タイガース打線はソト、国吉の継投に抑えられ、タイガースも榎田が10回表を抑える。10回裏、七番手の左腕大原に対し、鳥谷がセンター前ヒットで出塁すると、ゴメスがセカンドゴロで二進。代打関本は敬遠。ここで福留が食らいついてセンター前にサヨナラタイムリーを放ち、甲子園の誕生日を勝利で飾った。ヒーローインタビューはサヨナラヒットの福留。
愛すれどTigers週間MVP
投手……藤浪晋太郎 プロ入り初勝利の歳内にしたいところだが、勝った翌日に打ちこまれたので、球団記録となる7連続奪三振で甲子園の誕生日に花を添えた藤浪としよう。こういう試合で記録を作れるあたり、まさに聖地の申し子である。
野手……今成亮太 大和が戦列離脱し、2番打者に固定されている。バントも決め、また持ち前の柔らかいバッティングでチャンスメイクもできるし、走者も返せる。期待されている役割を十分に果たしているといえる。相手が左腕投手の時にも固定して起用し続けてほしいものである。
いよいよ長期ロードに入る。まずは神宮でのスワローズ戦。甲子園で負け越したお返しをしてもらいたい。相手打線はよく打つだけに、先発投手陣の役割は重い。とにかく先手を取れば、下位に沈んでいるチームらしく反発力が弱い。続いて京セラドーム大阪でカープ戦。眼下の敵を突き離したい。このカードも前回はマツダスタジアムで負け越している。ここもしっかりお返しをしてもらいたい。今度こそドラフト一位ルーキーの岩貞の登板機会がありそうだ。岩崎に負けない投球を期待してますよ。
(2014年8月4日記)