長期ロードがはじまった。神宮球場でのスワローズ3連戦は、いずれも乱打戦。初戦は八木のアクシデントにつけこんで序盤に大量得点して勝ったが、2戦目は岩田がつかまり、最後は追い上げたたが惜敗。3戦目は歳内が途中で崩れて、1勝2敗。京セラドーム大阪でのカープ戦は、初戦、前田健を打ちこんで取ると、2戦目は大瀬良を崩して連勝。3戦目はドラフト1位の新人岩貞がプロ入り初登板初先発。緊張からか球が高めに浮いて打たれ、3タテならず2勝1敗。今節は3勝3敗。今季通算53勝46敗1分で勝率.535。首位ジャイアンツとのゲーム差は1.5の2位となり、射程内に入ってきた。なお、カープ16回戦で鳥谷がプロ入り通算1500試合を達成、岩田が7月の月間MVPセ・リーグ投手部門を初受賞した。
◎スワローズ15回戦……20-11
スワローズの先発は八木。2死から鳥谷が打った平凡なセンターフライは比屋根が落球。ゴメスが歩いたところで八木は太ももに張りを訴えて降板。二番手のアンダースロー山中からマートンも四球で満塁に。新井貴が右中間スタンドに先制の満塁ホームランを放つ。メッセンジャーは2回に失点。1死から畠山のサードゴロを新井貴が弾いてしまう。森岡のファーストゴロで二進し、中村のセンター前タイムリーで1点を返される。しかし、タイガース打線は打ちまくる。3回表、先頭の鳥谷がライトスタンドにライナーでソロホームラン。1死からマートンもライトスタンドにソロホームラン。新井貴がヒットで続くと、梅野のレフト横へのタイムリー二塁打で返す。メッセンジャーにもライト前にタイムリーが出て、この回4点を奪う。しかし、3回裏、先頭の山田に二塁打を打たれると、川端のライト前へのタイムリーでまた1点を返される。バレンティンのヒットで一三塁とされ、雄平のセカンドゴロでさらに1点を返された。4回表、三番手阿部から鳥谷とゴメスの四球で無死一二塁とし、マートンの二塁打で1点。新井貴のライト前タイムリー。新井良が歩き満塁に。メッセンジャーの走者一掃の二塁打でこの回5点を奪う。メッセンジャーはそれでもぴりっとしない。ヒットの中村を塁に置き、山田のライトスタンドへの2ランで8点差に。5回表、二塁打の鳥谷を置いてゴメスがライトスタンドに2ランホームランを叩きこみ10点差に。5回裏、先頭の川端を四球で出すと、雄平の二塁打で1死二三塁に。森岡のセンター前2点タイムリーと代打飯原のライト前タイムリーで3点を返される。メッセンジャーは勝ち投手の権利を持って降板。6回表は久古の前に無得点。6回裏、榎田も無失点で切り抜ける。7回表、久古をとらえる。ゴメスとマートンの連打と新井貴の四球で満塁とし、伊藤隼の犠牲フライで1点を追加。7回裏、建山がこの試合両チーム初めての三者凡退に抑え、8回表、松岡も三者凡退で試合は落ち着くかと思われたが、8回裏に二神が1死から山田にソロホームランを打たれてまた試合は荒れる。ここで登板した小嶋が2死までは取ったが川端、バレンティンの連打でピンチに。雄平のレフト前に落とすヒットと畠山のセンター前ヒットで3点を失い、安藤にバトンタッチして田中浩を三振に取りなんとかチェンジに。9回表、江村から鳥谷とゴメスの連打でチャンスを作ると、代打今成の二塁打で1点を返し、伊藤隼のライトフライは代走田上の好走塁で犠牲フライとなる。関本と鶴岡にも連続タイムリーでついに得点は21点に。9回裏、福原が貫録の三者凡退で試合を締めて、荒れた試合は終わった。ヒーローインタビューは満塁ホームランなどで5打点をあげた新井貴。
◎スワローズ16回戦……6-7
タイガースの先発岩田が先につかまった。2回裏、先頭の雄平に二塁打を打たれ、畠山のセンター前タイムリーで1点を失うと、相川のライト前ヒット、山田の三塁内野安打で2死満塁とし、谷内に押し出しの死球を与える。3回裏にはバレンティンにレフトスタンド上段にソロホームランを打たれて3点差に。しかし、タイガース打線も石山を4回にとらえる。1死から今成と鳥谷の連打、ゴメスの四球で1死満塁とし、マートンの犠牲フライで1点を返すと、5回表には伊藤隼のセンターオーバーの二塁打と梅野のヒット、岩田のバントで1死二三塁とし、今成のレフト線への2点タイムリー二塁打で同点に追いついた。6回裏、岩田が崩れた。1死から上田のライト前ヒット、山田のライトオーバーのタイムリー二塁打で1点リードを許すと、谷内には四球、川端のレフト線への二塁打で2点を追加され、降板。二番手の建山はバレンティンは抑えたが雄平に一二塁間を抜かれるタイムリーを打たれ、この回4点差をつけられる。スワローズは6回から松岡、久古のリレーでタイガース打線を抑える。タイガースも三番手高宮が走者を再三許すも2イニングを無失点でなんとか切り抜ける。9回表、木谷に対し伊藤隼がセンター前ヒットを放つと、代打新手貴が四球。バーネットにスイッチし、代打関本は空振り三振に倒れたが、上本が四球で1死満塁に。今成のレフト線への2点タイムリー二塁打と鳥谷のセカンドゴロでこの回3点を奪い1点差としたが、ゴメスはよく粘ったものの空振り三振で逃げ切られた。
◎スワローズ17回戦……4-13
先制したのはタイガース。スワローズ先発の村中から今成のヒットと鳥谷の四球で2死一二塁とし、マートンのセンター前タイムリーで1点を奪った。タイガースの先発は歳内。3回まで無失点と上々の立ち上がり。4回表、二塁打のマートンと死球の新井貴を置いて、伊藤隼がバントを決め1死二三塁とチャンスを作ったが、梅野、歳内が凡退して得点できず。逆に4回裏、二塁打の川端と死球のバレンティンを塁に置くという同じ状況で、雄平は打って出てショートゴロの二封となり1死一三塁。ここで畠山にレフト前同点タイムリーを打たれ、さらに森岡にライトスタンドに3ランを打たれてしまう。歳内は2死からさらに村中、山田の連打で降板。二番手榎田は上田を歩かせて満塁とし、川端にライト線に走者一掃の二塁打を打たれて大量失点。5回裏には連続三振で2死を取りながら、森岡のセンター前に抜けるかという当たりを鳥谷が追いつきながらこぼし、不運なエラーとなると、中村のライト前ヒットと村中への四球で満塁とされて榎田は降板。三番手金田の暴投で1点をさらに失う。5回裏、ゴメスのヒットと梅野の二塁打でチャンスを作り、代打新井良がセンター前に2点タイムリー。しかし、反撃はここまで。6回裏には四番手高宮が上本のエラーで出た川端とヒットのバレンティンを置いて雄平に3ランホームランをライトスタンドに。7回裏には山田のソロホームラン、二塁打の上田を川端のライト前タイムリーで返され、高宮一人で5失点の炎上。8回裏は建山がやっと抑えた。スワローズは7回表から江村、8回表から徳山が登板。9回表、1死から今成がレフト前ヒットで出ると、鳥谷とゴメスが連続四球で満塁とし、マートンのセンターへの犠牲フライでなんとか1点を返す。坂も四球で2死満塁と攻め立てたが、最後は伊藤隼がサードへのファールフライで試合終了。
◎カープ14回戦……7-5
先制したのはカープ。タイガース先発藤浪は初回、天谷を歩かせ菊池のレフト前ヒットで無死一三塁とされる。丸のレフトへの犠牲フライで1点を失った。さらに3回表、先頭の前田健にセンター前ヒットを打たれると、天谷にもセンター前ヒットで続かれる。菊池のバントで1死二三塁とされ、丸のセカンド強襲の当たりはイレギュラーバウンドで上本のグラブを弾いてライト前に。2者が生還して3点差に広げられた。しかし、この日の前田健は股関節を気にするそぶりなどを見せ、上半身での投球が目立つ。3回裏、1死から上本が歩くと、今成は浅いセンターフライに終わったが、鳥谷の打席で上本が盗塁。鳥谷も四球でチャンスを作る。ゴメスのショートへの強いゴロはイレギュラーバウンドしてショート田中の顔面を直撃しレフト前に。この間に上本と鳥谷が生還して1点差に迫る。二進したゴメスを塁に置き、マートンがセンター前タイムリーヒットで同点に追いつく。藤浪は4回以降尻上がりによくなる。6回裏、福留がライトスタンドにソロホームランを叩きこみついに勝ち越し。7回表、藤浪は先頭の石原にセンター前ヒットを打たれたが、前田健はバスターエンドランを仕掛けるもピッチャーゴロで併殺に。直後の7回裏、先頭の今成が歩くと、鳥谷がセンター前ヒットで続く。ゴメスのレフト前ヒットをエルドレッドが後逸し、今成と鳥谷が生還。ここで前田健は降板、二番手として中田がマウンドに。マートンのレフト前ヒットで無死一三塁とし、福留のセカンドゴロは二封されたものの一塁はセーフの併殺崩れで代走俊介が生還して4点差に広げた。8回表、二番手福原がヒットの菊池を置いてキラに2ランホームランをライトスタンドに打たれ、2点差と迫られる。さらに梵を歩かせ、代打堂林にもヒットを打たれたところで呉昇桓にバトンを渡す。呉昇桓は會澤をセカンドゴロに打ち取り、ピンチを脱した。さらに9回裏は三者凡退で締めて、眼下の敵との初戦をとった。ヒーローインタビューは初めて前田健に投げ勝った藤浪と、イニングまたぎでピンチを脱した呉昇桓。
◎カープ15回戦……5-4
マートンが欠場した打線だったが、先制したのはタイガース。カープ大瀬良に対し、2回裏、先頭のゴメスが死球で出ると、新井貴がセンター前ヒットでつなぐ。福留の一塁ゴロで二封されて1死一三塁に。ここで伊藤隼がレフトへの犠牲フライを放つ。4回裏には鳥谷が四球で出、ゴメスのライトオーバーの二塁打で無死二三塁とすると、新井貴がライトへの犠牲フライを放つ。福留のライト前ヒットで一三塁とし、伊藤隼の三振のあと、清水のライト前へのタイムリーで1点追加。さらに能見にもレフト線へのタイムリーが出てこの回3点を奪い、大瀬良をノックアウトした。能見は初回から好投、3回表には堂林と會澤の連打で無死一二塁とされたが、大瀬良の一塁へのバントをゴメスが判断よく三封、赤松、菊池を打ち取ってピンチを脱する。5回裏、二番手の小野を攻める。二塁打の今成を塁に置き、鳥谷の二塁ゴロで三進、ゴメスがセンター前タイムリーを放ち5点差とする。能見は完封ペースかと思われたが、7回表、先頭のキラをサードへの内野安打で出すと、堂林のサードゴロは二封のみで併殺に取れず、會澤のレフトオーバーの二塁打で1点を返された。8回表、一度はマウンドに上がった能見に、代打小窪が出ると安藤にスイッチ。小窪と菊池に連打を浴び、丸にライトオーバーの三塁打を打たれ、2点差とされる。キラに対しては三番手加藤が捕邪飛に打ち取り、四番手福原が梵をセカンドゴロに打ち取る間に丸が生還して1点差に。廣瀬をセカンドフライに打ち取り、なんとかリードを保つ。9回表、クローザーの呉昇桓が登板。2死から代打中東にヒットを打たれたが、小窪を空振り三振に取り、連勝を決めた。ヒーローインタビューは久々の勝利を飾った能見と、好リードとタイムリーの清水。
◎カープ16回戦……3-7
プロ入り初登板初先発の岩貞が初回にプロの洗礼を浴びる。先頭の堂林にレフト前ヒットを打たれると、菊池のバントで二進。丸を歩かせて一二塁とされ、エルドレッドは三振に取ったがキラにセンターオーバーの2点タイムリー二塁打を打たれる。さらに梵のセンター前タイムリーで3失点。2回表には無死二三塁とピンチを迎えたが、福井と堂林を連続三振に打ち取ると菊池をライトフライに打ち取りピンチを切り抜けた。しかし、4回表に先頭の梵に右中間を破られ三塁打、カットした二塁手上本が三塁に悪送球し、送球がカメラ席に入りテイクワンベースで梵はホームイン。4失点で岩貞は降板、ほろ苦い一軍デビューとなった。タイガース打線はカープ先発福井に抑えられていたが、5回裏に反撃。先頭の代打新井良がセンター前ヒットで出ると、上本もライト前ヒットで続く。今成は浅いレフトフライに倒れたが、鳥谷が四球を選んで1死満塁に。ゴメスのショートゴロは二封されたが併殺崩れとなり1点を返す。福留の四球でまたも満塁とし、代打新井貴がレフト前2点タイムリーで1点差と迫った。タイガースは建山、金田のリレーでなんとかカープ打線を抑える。カープも6回から永川勝、中崎とつないでタイガース打線を封じた。8回表、前の回から登板していた加藤がつかまる。先頭のキラにライト前ヒットを打たれると、梵のバントで代走赤松が二進。田中の打席で赤松が三盗し、田中のライトオーバーの二塁打で生還。會澤には前進守備のレフトの頭をこえる二塁打でさらに1点、代打小窪にもレフト前ヒットを打たれて1死一三塁とされたところで筒井に交代。筒井は堂林にレフトへの犠牲フライを打たれ、この回大きな3点を奪われた。8回裏、カープは勝ちパターンの一岡を投入、福留がセンター前ヒットを放つと、途中出場の関本もセンター前に弾き返し無死一二塁のチャンスを作ったが、伊藤隼、代打マートン、新井良が凡退し反撃ならず。9回裏はミコライオに抑えられ、岩貞の初登板を飾れなかった。
愛すれどTigers週間MVP
投手……能見篤史 6連敗と苦しみもがいていた主戦投手がついに連敗を止めた。完投させてもよいほど安定しており、次回登板も、さらに残りの試合もこの勝利をきっかけに好転するという予感がする。投手にとって勝ち星は最良の薬というが、自身を取り戻す登板となったはずだ。
野手……新井貴浩 スワローズ戦では満塁ホームラン、カープ戦では欠場のマートンにかわって五番を打ったり、代打でタイムリーを放つなど、変則的な起用に対してもよく結果を残している。首位ジャイアンツ追走に欠かせない戦力として、その存在感は増すばかりだ。
次節は東京ドームで首位ジャイアンツとの直接対決。ここで3連勝すれば首位に立つわけだが、今はまだ無理に3つ取ろうと欲張らず、2勝1敗と勝ち越して0.5差でじわじわと真綿で首を絞めるように追いあげるくらいでよいと思う。とはいえ、予想ではメッセンジャー、岩田、藤浪の先発。3連勝のチャンスはおおいにある。続いて横浜球場でベイスターズ戦。先発の頭数がなかなかそろわないが、ベイスターズと相性の良い岩崎をそろそろ一軍に戻して先発させてもよいのではないか。ここで取りこぼすと展開が苦しくなる。ここは3連勝を狙うくらいの気持ちで臨んでもらえればと思う。何にせよ、楽しみの多い6連戦になりそうだ。
(2014年8月11日記)